スーパー・総合小売
食料品と日用品という毎日の買い物を地域の商圏で受け止める業態で、景気が悪化しても需要が崩れにくい一方、売上総利益率が低く、人件費・物流費・水道光熱費の上昇が営業利益に直接響く構造を持つ。需要は商圏の人口と世帯数でほぼ決まり、出店余地と競合店の動向が成長を左右する。大型の総合スーパー(GMS)やショッピングセンターを自社で運営する企業は、テナントからの賃料収入と土地・建物の保有コストを同時に抱える。
スーパー・総合小売セクターの見方(当サイトの整理)
個社の分析に入る前に、この産業に共通してかかる制約と、決算書のどこを見れば状態が分かるかを整理しています。
- 収益がどこから生まれるか
- 客数と客単価に粗利率を掛け、人件費・賃借料・光熱費などの販管費を引いた差。営業利益率は数%にとどまるため、売上の伸びより販管費率の0.1ポイントの動きが利益を左右する。大型商業施設を運営する会社は、直営売場の粗利に加えてテナントからの営業収入が収益の土台になる。
- 業績を左右する外部要因
- 商圏の人口・世帯数、競合店の出退店、食料品価格と家計の防衛意識、最低賃金の改定、電力・燃料価格。地震・台風など災害による店舗休業も、商圏が地域に集中するほど業績への影響が大きい。
- 決算書のどこを見るか
- 営業収益に売上高と営業収入(テナント賃料など)が含まれる点、収益認識会計基準の適用前後で営業収益が断絶している点に注意する。決算日が銀行休業日にあたると、仕入債務の決済が翌月に持ち越されて営業キャッシュ・フローと仕入債務が期末で膨らみ、翌期にその反動が出る。単期のキャッシュ・フローだけで資金繰りを判断しない。
- 配当・株主還元の傾向
- 安定配当を基本に置く会社が多い。営業利益率が低く利益の振れも小さいため、配当性向は3割前後に収まることが多い。大型店の新設や改装に資金を回すため、配当と設備投資のバランスが還元の水準を決める。
- 指標を読むときの注意
- PBRの1倍割れは、保有する土地・店舗の簿価と収益力のかい離を映していることがあり、それだけで割安とは言えない。ROEが低めに出るのは、自己資本比率が高く薄利多売という業態の構造による面が大きい。