ベンチャーキャピタル・PE投資
未上場のベンチャー企業やバイアウト案件に投資し、IPOやM&Aによる株式売却益(キャピタルゲイン)とファンドの管理報酬・成功報酬で収益を得るビジネス。収益の柱であるキャピタルゲインは株式市場・新規上場市場の動向に強く左右され、四半期・年度ごとの振れ幅が一般事業会社よりはるかに大きい。この構造的な予測困難性から、業績予想を出さない会社が多い。自己資本中心の運用が基本で財務レバレッジは低いが、保有する未上場株式の評価(投資損失引当金の計上状況)が含み損リスクの管理状況を映す指標になる。
ベンチャーキャピタル・PE投資セクターの見方(当サイトの整理)
個社の分析に入る前に、この産業に共通してかかる制約と、決算書のどこを見れば状態が分かるかを整理しています。
- 収益がどこから生まれるか
- 投資先のIPO・M&Aによる株式売却益(キャピタルゲイン)と、ファンドの管理報酬・成功報酬。管理報酬は運用資産残高に比例して安定するが規模は小さく、利益の大半は売却益で決まる。つまり「いつ売れたか」がそのまま業績になる。
- 業績を左右する外部要因
- 株式市場、とりわけ新規上場(IPO)市場の活況度。IPOが止まれば売却の出口が閉じる。加えて未上場企業の資金調達環境と、投資先それぞれの事業環境。景気そのものより、出口の開き具合が効く。
- 決算書のどこを見るか
- 営業投資有価証券の残高と、投資損失引当金の計上状況。含み損の管理状況がここに表れる。売却益は計上時期を選べる面があるため、四半期の利益より投資残高と回収の累計で見る。予測困難性から業績予想を開示しない会社が多く、その場合は会社予想ベースのPERや予想配当利回りがそもそも計算できない点にも注意が要る。
- 配当・株主還元の傾向
- 利益が読めないため配当は業績連動になりにくく、自己株式取得を還元の主軸に置く例がある。純資産を基準にした方針を採る場合もあるので、配当利回りの数字より還元の基準そのものを確認する。
- 指標を読むときの注意
- 大型のIPOがあった期の当期純利益で評価すると、翌期に大きく外す。PERは意味を持ちにくく、保有する投資残高と純資産に対する評価(PBR)で見るほうが実態に近い。