当サイトの記事はすべて個人の見解であり、投資助言ではありません。必ずご自身で一次情報を確認のうえ、ご自身の判断と責任で投資を行ってください。

空運業

航空会社は座席という在庫が効かない商品を、燃油費という為替・原油価格に連動する変動費の上に売る産業です。旅客需要が座席供給(機材・路線網)を上回れば利用率と単価が上がり、下回れば一気に赤字化する高い操業レバレッジを持ちます。設備投資(機材)が巨額かつ長期であるため、有利子負債と自己資本比率の推移が財務体質を測る中心的な指標になります。

空運業セクターの見方(当サイトの整理)

個社の分析に入る前に、この産業に共通してかかる制約と、決算書のどこを見れば状態が分かるかを整理しています。

収益がどこから生まれるか
旅客収入(国内線・国際線)と貨物収入が柱。旅客収入は「旅客数×単価」ではなく、座席キロ・旅客キロ・利用率(座席の何%が売れたか)で分解して見る。国際線は訪日需要・海外渡航需要の両輪、貨物は半導体関連など荷動きの強弱に連動する。LCC子会社や整備受託・機内食などの関連事業も含めた複数事業ポートフォリオを持つ持株会社が多い。
業績を左右する外部要因
航空燃油費(原油・ケロシン価格)と為替(ドル建て燃料調達・機材リース)が最大の外部要因。地政学リスク(迂回ルートによるコスト増)、感染症・災害による渡航需要の急減、燃油サーチャージによる価格転嫁の時差も業績を左右する。会社が織り込む前提(原油価格・為替レート)は決算短信の業績予想注記に明記されるため、前提が崩れれば予想も崩れる。
決算書のどこを見るか
売上高・営業利益・経常利益・純利益の4段階に加え、有利子負債(無利子転換社債型新株予約権付社債を含むと定義する会社が多い)と自己資本比率を必ず確認する。機材(航空機)は有形固定資産の大部分を占め、建設仮勘定(発注済み・未引渡しの機材)の増減が将来の投資計画を示す先行指標になる。デリバティブ(燃油ヘッジ・為替予約)の評価損益が純資産の「その他の包括利益累計額」を動かし、自己資本比率が業績と無関係に振れる要因になる点に注意。
配当・株主還元の傾向
感染症拡大局面では無配に転じた実績があり、「安定配当」を掲げていても業績変動に応じて増減配される。配当性向を目安に置く会社が多く、期初は保守的に予想し期中・期末に修正する傾向がある。自己資本比率の回復を優先する時期は自社株買いが抑制され、財務健全性の改善が一巡すると株主還元(増配・自社株買い)に重心が移る傾向がある。
指標を読むときの注意
PBR・PERは単年の利益変動が大きいため、単年の水準だけで割安・割高を判断すると読み違える。自己資本比率は感染症拡大期のような業績急変時に純資産が急減して大きく下がることがあり、その後の改善ペースを複数期で追う必要がある。ハイブリッド証券(社債型種類株式など)を発行している会社では、その分配額が「純資産の増加」と「配当」の両方の性質を持つため、普通株主に帰属する実質的な取り分を分けて確認する必要がある。

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