当サイトの記事はすべて個人の見解であり、投資助言ではありません。必ずご自身で一次情報を確認のうえ、ご自身の判断と責任で投資を行ってください。

保険

損害保険・生命保険とも、収入保険料に対して将来の保険金支払いに備える保険負債を積み立てる構造上、自己資本比率や有利子負債の水準は一般事業会社と単純比較できない。国内は自然災害(台風・地震等)による保険金支払いの変動、海外は現地の保険市場サイクル(価格改定局面)や金利動向に業績が左右される、個社の努力だけでは動かせない構造的な制約を持つ。

保険セクターの見方(当サイトの整理)

個社の分析に入る前に、この産業に共通してかかる制約と、決算書のどこを見れば状態が分かるかを整理しています。

収益がどこから生まれるか
損害保険は正味収入保険料から保険金と事業費を引いた保険引受利益に、運用資産からの利息配当金が乗る構造。生命保険は責任準備金の積み増しとの関係で会計上の利益と実態がずれやすい。近年は海外保険事業の比重が上がり、国内の自然災害と海外の料率サイクルが別々に効くようになっている。
業績を左右する外部要因
国内は台風・地震など自然災害の発生規模。海外は現地の保険料率サイクル(ハード化・ソフト化)と金利。金利上昇は保有債券に含み損を生む一方、新規の運用利回りを押し上げるため、短期と長期で逆方向に働く。
決算書のどこを見るか
経常利益ではなく、各社が開示する修正利益(修正純利益)と修正ROE。会計上の利益には責任準備金や異常危険準備金の繰入・戻入が混ざり、稼ぐ力が見えない。引受の採算はコンバインド・レシオ(損害率+事業費率)で見て、100%を超えていれば引受は赤字。政策保有株の売却益は還元原資として重要だが、本業の利益とは分けて数える。
配当・株主還元の傾向
政策保有株の削減を原資に、累進配当と機動的な自社株買いを組み合わせる方針が定着している。還元の目安を修正純利益に対する比率で置く企業が多く、会計上の当期純利益で配当性向を計算すると数字が合わない。各社の定義を確認したうえで比べる必要がある。
指標を読むときの注意
自己資本比率や有利子負債を一般事業会社と比較しても意味がない。保険負債を大量に積む構造だから低く出る。PERも会計上の純利益が災害と準備金で振れるため機能しにくく、修正利益ベースで見る。

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