ユニシアHLDG(3547) 増収増益の中身——のれん償却15年化と有利子負債6.5倍増
本記事をお読みになる前に
本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。
生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。
株式会社ユニシアホールディングス
2026/09/18 時点
株価
1,947円
時価総額
215億円
配当利回り
0.77%
年間15円
PER
35.7倍
PBR
2.87倍
ROE
22.7%
ROA
14.5%
経常利益ベース
自己資本比率
29.1%
配当性向
18.5%
有利子負債
123億円
D/Eレシオ
1.67倍
有利子負債÷自己資本
※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。
この記事の結論
- 2026年11月期中間期は売上高17,859百万円(前年同期比+73.4%)・営業利益813百万円(同+20.2%)と増収増益だったが、増収の大半は2025年12月に子会社化したピソラの連結効果によるもので、営業利益の前回予想比の上振れ(450→813百万円、+363百万円)のうち4割強は、のれん償却期間を10年から15年に変更した会計上の見積り変更に由来する計算になる。
- ピソラ取得資金を借入で調達した結果、有利子負債は2025年11月期末の1,881百万円から2026年5月期末には12,267百万円へ6.5倍に急増し、D/Eレシオは0.46倍から1.67倍へ、自己資本比率は42.3%から29.1%へ低下した。のれんは8,560百万円が資産側に積み上がっており、今後の減損リスクが構造的な弱気材料になる。
- 2025年12月1日払込の第三者割当増資(発行済株式総数+17.3%相当)の割当先には、ピソラの役員3名に加えて、当社代表取締役会長兼社長である貫啓二氏本人が含まれる。これは決算短信の注記に明記された事実であり、資本構成・ガバナンスを判断する材料として押さえておく必要がある。
- 串カツ田中単体の既存店売上高は114.6%、セグメント売上・利益はそれぞれ+19.4%・+29.0%と地力の伸びも確認できる一方、ハウスミール事業(Antwayとの提携解消・譲渡協議中)や内装工事事業(売上△36.3%・利益△67.5%)など非中核事業の不振も抱えており、強気材料と弱気材料が併存する決算内容である。
目次11項目
1. 概要
2026年9月18日終値(1,947円、直近営業日)を基準にすると、PER35.74倍(2026年11月期の会社予想EPS54.47円ベース、2026年7月15日修正後)・PBR2.87倍(2026年5月末実績BPS679.26円ベース)・ROE22.7%・ROA14.5%(いずれも2025年11月期実績、ROAは総資産経常利益率ベース)・自己資本比率29.1%(2026年5月末実績)という水準です。配当利回りは前期(2025年11月期)実績配当15円を現在株価で割った参考値で0.77%ですが、2026年11月期の配当は「未定」とされており、これは会社予想ではない点に注意してください。
2026年11月期中間期(2025年12月〜2026年5月累計)は、売上高17,859百万円・営業利益813百万円・経常利益737百万円・親会社株主に帰属する中間純利益366百万円という結果でした。見出しの数字だけを見れば大幅な増収増益で、会社は同時に通期業績予想も上方修正しています。ただし中身を分解すると、増収の大半は2025年12月に子会社化したイタリアンレストランチェーン「ピソラ」の連結効果によるもので、さらに営業利益が前回予想を上振れた要因の一部は、のれんの償却期間を10年から15年に変更したという会計上の見積り変更に由来します。加えて、この買収資金を借入で調達した結果、財務構造も大きく変わりました。何が実力の伸びで、何が会計・財務構造の変化によるものかを、第4節で整理します。
2. 会社概要とビジネスモデル
株式会社ユニシアホールディングスは、2026年3月1日に株式会社串カツ田中ホールディングスから商号変更した外食チェーン運営会社です。代表取締役会長兼社長は創業者の貫啓二氏。中核事業の「串カツ田中」を軸に、次の5事業を展開しています。
- 串カツ田中: 国内直営・フランチャイズ店を展開する串カツ田中チェーン。中間期時点で344店から352店に増えています。
- ピソラ: 2025年12月1日付で完全子会社化したイタリアンレストランチェーン。近畿・東海・関東の郊外ロードサイドで展開し、「本格イタリアンを、リゾート気分で」を掲げます。
- 国内その他: 「天のめし」ブランドの天ぷら店や、焼肉くるとん等の新業態。
- ハウスミール事業: 業務提携先の株式会社Antwayとの提携を解消し、事業譲渡に向けた基本合意書兼覚書を締結して協議中です。
- 内装工事事業: グループ店舗の内装工事の内製化に加え、外部からの受注も行います。
中期経営計画では「食・旅・体験をデザインするグローバル・ライフスタイルサービス企業へ」を掲げており、M&Aによる多業態化が近年の成長戦略の柱になっています。
強みと弱みの整理
強み
串カツ田中の既存店売上高が高水準
串カツ田中の国内直営既存店売上高は前年同期比114.6%。ヒット商品「無限串」シリーズと専用サワーでの「無限ミッション」施策が奏功しました。串カツ田中セグメント全体でも中間期の売上高は9,963百万円(前年同期比+19.4%)・営業利益1,405百万円(同+29.0%)と、中核事業の地力が伸びています。
ピソラの関東進出が増収に貢献
2025年12月に子会社化したピソラは、中間期の売上高6,346百万円が計画比102.0%、のれん償却前営業利益391百万円が計画比107.8%と、当初の想定を上回るペースで推移しています。本格的な関東進出と食べ放題メニューの拡充が寄与しました。
通期業績予想を上方修正
2026年7月15日、会社は2026年1月14日公表の期初予想から、売上高・営業利益・経常利益・純利益のいずれも増額する形で通期予想を修正しました(営業利益は1,000百万円→1,340百万円、+34.0%)。
弱み
有利子負債の急増と自己資本比率の低下
ピソラ取得資金を借入で調達した結果、有利子負債は2025年11月期末の1,881百万円から2026年5月期末には12,267百万円へ増加し、自己資本比率は42.3%から29.1%へ低下しました。詳細は第4節で扱います。
非中核事業の不振
ハウスミール事業は業務提携先との提携を解消し譲渡協議中、内装工事事業は中間期の売上高が682百万円(前年同期比△36.3%)・営業利益25百万円(同△67.5%)と落ち込んでいます。国内その他セグメントも営業損失が拡大しています(前年同期△47,934千円→当中間期△63,660千円)。
第三者割当の割当先に自社の代表取締役本人が含まれる
2025年12月1日払込の第三者割当増資(発行済株式総数+17.3%相当の希薄化)の割当先は、ピソラの役員3名に加えて、当社代表取締役会長兼社長である貫啓二氏本人です。決算短信の注記に明記された事実であり、資本構成・ガバナンスを判断する材料として押さえておく必要があります。詳細は第4節で扱います。
3. 業績の推移
数値で確認する
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 営業CF | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022/11 | 10,919 | -169 | 1,399 | 743 | — | — |
| 2023/11 | 14,072 | 763 | 833 | 357 | — | — |
| 2024/11 | 16,864 | 847 | 846 | 380 | — | — |
| 2025/11 | 21,091 | 1,185 | 1,236 | 744 | 2,009 | 42.3% |
| 2026/11会社予想 | 36,400 | 1,340 | 1,240 | 500 | — | — |
読み取れることは3つあります。
1つ目は、2022年11月期が営業損失(△169百万円)にもかかわらず経常利益1,399百万円・純利益743百万円という珍しい形になっていることです。営業外に大きな押し上げ要因があったとみられますが、当時の決算短信の該当ページまでは今回確認しておらず、要因は特定していません。
2つ目は、2023年11月期から2025年11月期にかけて3期連続の増収増益が続いていることです(営業利益は763百万円→847百万円→1,185百万円)。串カツ田中単体の店舗網拡大が主導した成長期にあたります。
3つ目は、2026年11月期の会社予想が売上高36,400百万円(前期比+72.6%)と大幅増収を計画する一方、純利益は500百万円と前期実績744百万円を下回る計画(△32.8%)になっていることです。増収は続くのに純利益は減る計画という非対称な形になっている理由は、ピソラののれん償却負担や下期の出店に伴う初期費用の先行を会社自身が見込んでいるためで、詳細は次節で扱います。
4. 増収増益の中身——のれん償却期間の変更、有利子負債6.5倍増、そして第三者割当
見出しの増収増益(売上高17,859百万円・営業利益813百万円)だけを見ると好決算に映りますが、会社が2026年7月15日に開示した2件の適時開示(決算短信、業績予想の修正に関するお知らせ)を読み込むと、押し上げ要因のうち会計上・財務構造上の変化に由来する部分が相応にあることが分かります。
のれん償却期間の変更が利益を押し上げている
会社は2026年7月15日開示の「業績予想の修正に関するお知らせ」で、通期業績予想を1月公表時点から上方修正した理由の一つとして、次のように説明しています。
「期初に想定していたのれん償却費について、監査法人との協議を踏まえ、償却期間を10年から15年に変更したことも利益の押し上げ要因」
ピソラの子会社化で発生したのれんは8,855,121千円(取得原価配分=PPAが未確定の暫定額)で、中間期の実際の償却額は295,170千円(15年償却・半期ベース)でした。仮に期初に想定していた10年ベースのままだったら、半期の償却額は8,855,121÷10÷2=442,756千円になる計算で、差額は約147,586千円(約1億48百万円)です。
中間期の営業利益は、2026年4月14日公表(第1四半期時点)の前回予想450百万円から、実績813百万円へ363百万円上振れました。この差額147,586千円は363百万円の4割強にあたり、キャッシュフローを伴わない会計上の見積り変更だけで、上振れの相応の部分が説明できる計算になります。残りは串カツ田中の既存店売上高114.6%とピソラの関東進出効果による、営業面での実質的な収益改善です。
有利子負債は6.5倍、自己資本比率は42.3%から29.1%へ
ピソラの取得資金(投資キャッシュ・フローの主因、株式取得8,417百万円)は借入で調達されました。財務キャッシュ・フローは+8,830百万円で、主因は短期借入収入9,500百万円・長期借入収入7,105百万円です。この結果、有利子負債(社債+短期借入金+1年内返済予定の長期借入金+長期借入金)は2025年11月期末の1,880,845千円(約1,881百万円)から、2026年5月期末には12,267,233千円(約12,267百万円)へ、約6.5倍に急増しました。D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)は0.46倍から1.67倍へ上昇し、自己資本比率は42.3%から29.1%へ低下しています。
資産側には、のれん8,559,950千円が新たに計上されたほか、有形固定資産の増加を含め固定資産全体が14,085百万円増加しました。買収による事業拡大の裏側で、財務レバレッジが大きく高まったことになります。この有利子負債の返済能力と、のれんの減損リスクが、今後の財務面での焦点になります。
第三者割当の割当先に、自社の代表取締役会長兼社長本人が含まれる
決算短信の株主資本の変動に関する注記によれば、2025年12月1日払込の第三者割当増資により、発行済株式総数は9,428,280株から11,061,399株へ1,633,119株(+17.3%相当)増加しました。割当先は「株式会社ピソラの代表取締役1名、取締役2名」に加えて、「当社代表取締役会長兼社長である貫啓二氏」です。増加した資本金・資本準備金は、同日付でその他資本剰余金に振り替えられており、資本金自体は変動していません。
これは決算短信に明記された事実であり、この記事ではそれ以上の評価や憶測は行いません。ただし、ピソラ買収に伴う資本政策の一環として、自社の代表者本人が割当先に含まれているという事実は、資本構成やガバナンスを判断する材料として、読者自身が押さえておくべき点だと考えます。
5. 配当の推移
| 決算期 | 期初予想 | 年間配当 | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2023/11 | — | 13円 | 33.4% |
| 2024/11 | — | 13円 | 31.4% |
| 2025/11 | — | 15円 | 18.5% |
| 2026/11会社予想 | — | — | — |
- 2026/11:期末配当は未定。2026年1月・4月・7月の開示すべてで「配当予想額は未定」としている。参考までに前期(2025年11月期)実績配当15円を現在株価で割った利回りは0.77%だが、これは会社予想ではなく前期実績ベースの参考値。
配当は年1回・期末配当のみで、中間配当は実施していません。1株配当は2023年11月期13.00円→2024年11月期13.00円(据え置き)→2025年11月期15.00円(増配、配当性向18.5%)と推移してきました。配当性向は2023年11月期33.4%→2024年11月期31.4%→2025年11月期18.5%と低下しており、これは配当額の伸びより純利益の伸び(2024年11月期380百万円→2025年11月期744百万円、+95.8%)が大きかったことによるものです。
2026年11月期については、会社は2026年1月14日・4月14日・7月15日の開示いずれでも「配当予想額は未定」としています。3回連続で同じ表現が使われていることから、期初予想を保守的に出して期末に修正するという通常の癖とは異なり、判断そのものを保留している状態だと読めます。配当性向の目安や累進配当といった、還元方針を明文化した開示も今回確認した範囲では見当たりませんでした。前期実績配当15.00円を現在株価1,947円で割った参考値としての利回りは0.77%ですが、これはあくまで前期実績ベースの参考値であり、会社予想ではありません。
6. 会社の現状と直近の動き
第1四半期(2025年12月〜2026年2月)と中間期累計の差から、第2四半期(2026年3月〜5月)単独の数値を計算すると、収益性の改善が四半期内で大きく進んだことが分かります。第1四半期は売上高8,597百万円・営業利益235百万円(前年同期比△5.0%)・経常利益160百万円(同△49.5%)・親会社株主に帰属する四半期純利益32百万円(同△73.1%)と苦戦していましたが、第2四半期単独では売上高9,262百万円・営業利益578百万円・経常利益578百万円・純利益334百万円まで改善しています。第1四半期時点では自己資本比率が29.5%・総資産23,721百万円まで悪化しており、ピソラ連結の影響は第1四半期から表れていましたが、収益性の改善は第2四半期に集中して進みました。
セグメント別(中間期累計)の内訳は次の通りです。
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益(損失) |
|---|---|---|---|
| 串カツ田中 | 9,963百万円 | +19.4% | 1,405百万円(+29.0%) |
| ピソラ | 6,346百万円 | 新規(計画比102.0%) | 96百万円(のれん償却前391百万円、計画比107.8%) |
| 国内その他 | 588百万円 | +61.7% | △64百万円(前年同期△48百万円の損失) |
| ハウスミール事業 | 603百万円 | △1.4% | 29百万円(+41.5%) |
| 内装工事事業 | 682百万円 | △36.3% | 25百万円(△67.5%) |
店舗数は、中間期を通じて串カツ田中が344店から352店(新店8)、ピソラ他が63店から72店(新店9)、京都天ぷら天のめし他が10店から12店(新店4・退店2)、TANAKAが3店から4店(新店1)と増加し、グループ合計は420店から440店になりました。
ハウスミール事業については、業務提携先の株式会社Antwayとの提携を解消し、事業譲渡に向けた基本合意書兼覚書を締結して協議中です。会社はこれを、コア事業(飲食事業)への経営資源集中と位置づけています。
キャッシュ・フローは、中間期累計で営業活動によるキャッシュ・フローが+1,097百万円(前年同期+720百万円)、投資活動によるキャッシュ・フローが△9,519百万円(前年同期△309百万円、主因はピソラ株式取得8,417百万円)、財務活動によるキャッシュ・フローが+8,830百万円(主因は借入による調達、短期借入収入9,500百万円・長期借入収入7,105百万円)でした。現金同等物残高は3,850百万円(前期末比+409百万円)です。
7. 業界とセクターの状況
外食チェーン業界では、既存店売上高(客数×客単価)と、賃借料という重い固定費のバランスが業績の基本構造を決めます。串カツ田中は既存店売上高114.6%という高い水準を確保しており、これは客数の伸びが主導していると考えられます。一方で、飲食店は賃借契約に基づく店舗展開が前提のため、既存店売上高が落ち込む局面では固定費の重さが業績を圧迫しやすい構造にあります。原材料費・人件費・物流費の継続的な高騰も業界共通の逆風で、会社は「食材調達最適化・物流効率化で売上原価率を維持」したと説明しています。
もう一つの構造的な論点はM&Aによる多業態化です。ユニシアホールディングスに限らず、外食業界では既存業態の成熟に対して新業態・新ブランドの獲得を通じた成長を志向する企業が増えており、買収に伴うのれんの計上・償却・減損という会計論点が業績評価を難しくする場面が増えています。今回のピソラ買収のように、のれんの償却期間という見積りの変更だけで利益水準が変わりうることは、この業界の企業を評価する際に共通して注意すべき点です。
8. 今後のスケジュール
2026年11月期 第3四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2026年11月期 通期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年11月期 第1四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年11月期 第2四半期(中間) 決算発表
過去の発表時期からの推定
次の確認ポイントは、2026年10月上旬(予定)の第3四半期決算です。会社が7月15日時点で示した「下期はPISOLA直営店の新規出店を増やす計画で、当期中の売上寄与は限定的な一方、出店に伴う初期費用が先行して発生する見込み」という減速シナリオ通りに進むか、あるいは上期の伸びが継続して再び上方修正されるかを確認することになります。
9. 想定されるカタリスト
コア事業(飲食事業)への経営資源集中が進む一方、譲渡条件・損益影響(譲渡損益の計上有無)は2026年7月15日時点で未確定。
のれん8,855,121千円は2026年5月末時点でPPA未確定の暫定額。確定時にのれん額・無形資産の識別・償却期間がさらに見直される可能性がある。
このほか、ピソラののれんに関する取得原価配分(PPA)が確定した場合、のれん額や無形資産の識別、償却期間がさらに見直される可能性があります。ハウスミール事業の譲渡が完了すれば、非中核事業の整理という方向性が進み、コア事業(飲食事業)への経営資源集中が一段と明確になります。
10. 想定されるリスク
のれんの減損リスク。 ピソラののれんは2026年5月末で8,559,950千円と、純資産合計7,391,753千円を上回る規模で計上されています。取得原価配分(PPA)が未確定の暫定額であることに加え、ピソラ事業の収益性が想定を下回れば、減損損失が特別損失として計上される可能性があります。
財務レバレッジ上昇のリスク。 有利子負債は1四半期強で6.5倍に急増し、自己資本比率は42.3%から29.1%へ低下しました。今後もピソラの新規出店を借入で賄う局面が続けば、財務健全性への影響が拡大する可能性があります。
下期減速計画のリスク。 会社自身が、PISOLA新規出店に伴う初期費用の先行を理由に、下期の利益成長ペースが上期ほどではないことを示唆しています。通期純利益予想500百万円は、すでに前期実績744百万円を下回る保守的な計画です。
非中核事業の不振。 ハウスミール事業は譲渡協議中で先行きが未確定、内装工事事業は売上・利益ともに大きく落ち込み(売上△36.3%・利益△67.5%)、国内その他セグメントも営業損失が拡大しています(前年同期△47,934千円→当中間期△63,660千円)。
資本政策・ガバナンス面の留意点。 2025年12月払込の第三者割当増資の割当先に、当社代表取締役会長兼社長本人が含まれています。事実として押さえたうえで、資本構成の変化をどう評価するかは読者自身の判断に委ねられます。
11. まとめ:どう判断材料にするか
ユニシアホールディングスの2026年11月期中間期は、見出しの数字(売上高+73.4%・営業利益+20.2%)だけを見れば好調な決算です。串カツ田中の既存店売上高114.6%やピソラの関東進出効果など、営業面での実質的な改善も確かに存在します。一方で、営業利益が前回予想を上振れた要因の4割強はのれん償却期間の変更という会計上の見積り変更によるもので、買収資金を借入で賄った結果、有利子負債は6.5倍・自己資本比率は29.1%まで低下しました。
判断の分かれ目は2つあります。1つは、のれん償却期間の変更を、監査法人と協議した合理的な会計処理と見るか、それとも利益水準を押し上げる効果を持つ見積り変更と見るかです。もう1つは、有利子負債の急増を、ピソラという成長事業への合理的な投資と見るか、それとも自己資本比率が10ポイント以上低下した財務リスクと見るかです。いずれの見方を取るにせよ、決算短信に明記された事実(償却期間の変更、有利子負債の増加額、第三者割当の割当先)そのものは動きません。次回の第3四半期決算(2026年10月上旬予定)で、下期の減速シナリオが実際に的中するかどうかが、次の判断材料になります。
この記事の見立てが外れたと判断する条件
以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。
- のれん(2026年5月末8,559,950千円)についてピソラ事業の収益性が想定を下回り、減損損失を計上した場合。特にPPA確定後にのれん額・償却期間がさらに見直された場合は、今回の「償却期間を10年から15年に変更」した前提そのものが崩れることになる。
- 有利子負債(2026年5月末12,267百万円、D/Eレシオ1.67倍)の返済が計画通り進まず、追加借入でさらに比率が上昇し、自己資本比率が29.1%から一段と低下した場合。
- 会社が2026年7月15日開示で示した下期減速シナリオ(PISOLA新規出店の初期費用先行、当期中の売上寄与は限定的)が想定以上に重く、通期純利益予想500百万円(前期実績744百万円を下回る保守的な計画)をさらに下回った場合。逆に、上期の伸びが下期も続き通期予想が再度上方修正された場合は、7月時点の計画が保守的すぎたことを意味する。
- ハウスミール事業の譲渡協議が不成立に終わる、または譲渡損失を伴う形で確定し、非中核事業の整理という方向性が想定より遅れる、あるいは損失計上を伴った場合。
よくある質問
- ユニシアホールディングス(串カツ田中HD)の2026年11月期の配当はいくらですか?
- 2026年11月期の配当予想額は、2026年1月・4月・7月の開示いずれでも「未定」とされており、まだ確定していません。前期(2025年11月期)の実績配当は年間15円(期末一括、中間配当なし)で、これを現在株価1,947円(2026年9月18日終値)で割った参考値としての利回りは0.77%です。ただしこれは会社予想ではなく前期実績ベースの参考値である点に注意してください。
- 営業利益が増えているのに、のれん償却期間の変更が論点になるのはなぜですか?
- 会社は2026年7月15日開示の「業績予想の修正に関するお知らせ」で、ピソラ子会社化に伴い発生したのれん(8,855,121千円、取得原価配分未確定の暫定額)について、償却期間を当初想定の10年から15年に変更したことを「利益の押し上げ要因」と自ら説明しています。中間期の実際の償却額は295,170千円ですが、仮に10年ベースなら442,756千円になる計算で、差額の約147,586千円(約1億48百万円)は、キャッシュフローを伴わない会計上の見積り変更による利益の押し上げです。中間期の営業利益が前回予想(450百万円)から813百万円へ363百万円上振れたうち、4割強がこの効果に由来する計算になります。詳細は本文第4節で扱っています。
参考文献・引用元
- 01株式会社ユニシアホールディングス 2026年11月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
2026年7月15日開示。連結経営成績・財政状態・キャッシュ・フロー・配当の状況・セグメント情報(事業別売上高・利益)・企業結合(ピソラ株式取得)・株主資本の変動(第三者割当増資の割当先)の注記を参照。
- 022026年11月期第2四半期(累計)の連結業績予想と実績との差異及び2026年11月期の連結業績予想の修正に関するお知らせ
2026年7月15日開示。前回予想との差異の要因(既存店売上高114.6%、PISOLAの関東進出効果、のれん償却期間の10年から15年への変更)と通期業績予想の修正内容を参照。
- 03ユニシアホールディングス 2026年11月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
2026年4月14日開示。第1四半期の連結経営成績(前年同期比)と財政状態(自己資本比率29.5%・総資産23,721百万円)を参照。
- 04株式会社串カツ田中ホールディングス 2025年11月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
2026年1月14日開示。通期の連結経営成績(financials 2025/11期の実績)・配当の状況・2026年11月期の期初業績予想を参照。
- 05株式会社串カツ田中ホールディングス 2024年11月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
2025年1月14日開示。2024年11月期・2023年11月期の連結経営成績(financials の当該2期)と配当の状況を参照。
- 06株式会社串カツ田中ホールディングス 2023年11月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
2024年1月15日開示。2023年11月期・2022年11月期の連結経営成績(financials の当該2期)を参照。
- 07Yahoo!ファイナンス (株)ユニシアホールディングス【3547.T】株価・株式情報
二次情報。2026年9月18日終値(直近営業日、9月19〜22日は土日・敬老の日・国民の休日・秋分の日で休場)、発行済株式数、年初来高値・安値を参照。