四半期分析百貨店・小売2027/2期 Q1

高島屋(8233) 前期の最終赤字はCB特損の一過性、Q1は経常+43%・純利益+58%で反転

2026/08/06 公開2026/08/06 更新6分で読了対象決算:2027年2月期 第1四半期

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

株式会社髙島屋

東証プライム 8233 ・ 2月期決算

2026/08/05 時点

株価

2,245円

時価総額

6,851.94億円

配当利回り

1.78%

年間40円

PER

17.3倍

PBR

1.45倍

ROE

8.4%

ROA

2.8%

純利益ベース

自己資本比率

33.4%

配当性向

30.8%

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 2027年2月期第1四半期(2026年3月1日〜5月31日)は営業収益119,687百万円(前年同期比+6.4%)、営業利益15,971百万円(同+26.4%)、経常利益16,489百万円(同+43.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益11,082百万円(同+58.4%)と大幅な増収増益でした。
  • 前期(2026年2月期)は営業利益・経常利益がともに減益ながら底堅く着地した一方、転換社債型新株予約権付社債(CB)の買入消却に伴う特別損失712億円により、親会社株主に帰属する当期純利益は8,194百万円の赤字に転落しました。この特損を除いた実質純利益は約420億円で、期初計画400億円を上回る水準だったと会社・複数の報道が説明しています。
  • 今第1四半期は一過性の特損要因が無く、営業・経常段階の増益がそのまま最終利益に反映される「通常運転」に戻りました。前期のEPS推移(126.33円→△27.44円→予想129.68円)だけを見ると業績が乱高下しているように映りますが、実態は特別損益の有無による見かけ上の振れです。
  • 商業開発業(国内+海外)は営業収益で全体の12.5%を占めるにすぎませんが、営業利益では24.0%を稼ぎ出しており、百貨店業の変動を緩和する収益源になっています。この構造をどう評価するかが判断材料の一つです。
目次11項目
  1. 1. 概要
  2. 2. 会社概要とビジネスモデル
  3. 3. 業績の推移
  4. 4. 前期の最終赤字はCB特損の一過性、Q1で「通常運転」に反転
  5. 5. 配当の推移
  6. 6. 会社の現状と直近の動き
  7. 7. 業界とセクターの状況
  8. 8. 今後のスケジュール
  9. 9. 想定されるカタリスト
  10. 10. 想定されるリスク
  11. 11. まとめ:どう判断材料にするか

1. 概要

高島屋の2027年2月期第1四半期(2026年3月1日〜5月31日)は、営業収益119,687百万円(前年同期比+6.4%)、営業利益15,971百万円(同+26.4%)、経常利益16,489百万円(同+43.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益11,082百万円(同+58.4%)でした。1株当たり四半期純利益は37.82円です。会社は通期業績予想(経常利益57,000百万円、純利益38,000百万円)を据え置いており、「概ね予想通りに推移している」と説明しています。

2026年8月5日終値2,245円に対して、PER17.31倍(会社予想EPS129.68円ベース)・PBR1.45倍(自己資本ベースのBPS1,551.05円)・予想配当利回り1.78%(会社予想配当40円ベース)という水準です。自己資本比率は当第1四半期末で33.4%、ROE8.36%・ROA2.79%(いずれも会社予想、純利益ベース)となっています。

この会社を理解するうえで欠かせないのが、前期(2026年2月期)に何が起きていたかという点です。前期は営業利益経常利益こそ減益ながら底堅く着地したにもかかわらず、転換社債型新株予約権付社債(CB)の買入消却に伴う特別損失712億円により、親会社株主に帰属する当期純利益は82億円の赤字に転落しました。EPSの推移だけを追うと「126.33円→△27.44円→予想129.68円」という乱高下に見えますが、これは一過性要因による見かけ上の歪みです。今第1四半期はこの特損要因が無く、本業の増益がそのまま最終利益に反映される「通常運転」に戻ったことが、この決算の核心です(詳細は4節)。

2. 会社概要とビジネスモデル

髙島屋は1831年創業、1949年上場の老舗百貨店です。事業は6つのセグメントで構成されます。

セグメント内容
国内百貨店業日本橋・新宿・玉川・大阪・京都など東西の大型店が主力
海外百貨店業シンガポール・上海・ホーチミン・バンコク(サイアム)に展開
国内商業開発業ショッピングセンター(SC)の開発・運営(東神開発など)
海外商業開発業海外でのSC開発・運営
金融業クレジットカード事業(髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ)
建装業店舗内装・建装工事(髙島屋スペースクリエイツ)

当第1四半期累計のセグメント別営業収益・営業利益は次のとおりです。

セグメント営業収益前年同期比営業利益前年同期比
国内百貨店業71,159百万円+3.2%7,461百万円+44.2%
海外百貨店業9,488百万円+13.6%2,552百万円+17.0%
国内商業開発業10,614百万円+4.1%2,158百万円+4.8%
海外商業開発業4,377百万円+16.3%1,672百万円+23.3%
金融業5,437百万円+7.9%1,644百万円+17.4%
建装業8,860百万円+31.8%595百万円△3.0%
その他9,748百万円+3.4%323百万円+12.2%

出典:2027年2月期 第1四半期決算短信セグメント情報

国内百貨店業が営業収益の過半(119,687百万円中71,159百万円、約59%)を占める主力事業である一方、商業開発業(国内+海外合計)は営業収益14,991百万円(全体の12.5%)にとどまるものの、営業利益は合計3,830百万円で全体(15,971百万円)の24.0%を稼いでいます。売上構成比に対して利益貢献度が約2倍という非対称な構造で、これは4節でさらに掘り下げます。

強みと弱みの整理

強み

  • 商業開発業という高収益な安定収益源を持つ

    商業開発業(国内+海外)は営業収益構成比12.5%に対し、営業利益構成比24.0%を占めます。百貨店業がインバウンド動向などで変動しやすいなかで、この事業が業績の下支えになっています。

  • 当第1四半期は増収増益が明確に加速

    営業利益+26.4%・経常利益+43.3%・純利益+58.4%と、前年同期(それぞれ△26.9%・△35.5%・△45.4%)から大きく反転しました。国内百貨店業の営業利益は+44.2%と特に伸びが目立ちます。

  • CB買入消却により潜在株式の希薄化懸念が解消

    前期にCBを買入消却したことで、前年同期に見られた潜在株式調整後EPS(19.45円)と基本EPS(23.06円)の乖離が解消しました。今後の1株益は希薄化リスクを気にせず追いやすくなります。

弱み

  • 国内百貨店業はインバウンド反動で構造が読みにくい

    前期(2026年2月期)はインバウンド売上高が前期比△18%(中国人客は△25%)と急落しました。当第1四半期は国内百貨店業が回復基調にありますが、訪日客数・為替・地政学要因に左右されやすい構造は変わっていません。

  • 自己資本比率は前期に低下している

    自己資本比率は2022年2月期34.8%から2025年2月期36.5%まで緩やかに上昇していましたが、2026年2月期は33.4%へ低下しました。CB買入消却に伴う利益剰余金の目減りが主因です。

  • 国内百貨店業の商品利益率は低下傾向

    当第1四半期の国内百貨店業は増益でしたが、決算短信によれば商品利益率自体は低下しています(ラグジュアリーなど利益率の低い商品の構成比増)。売上増でカバーできている状態であり、この関係が逆転すれば利益の伸びは鈍化します。

3. 業績の推移

過去5期の実績と、会社が示す2027年2月期の予想です。

売上高(左軸) 営業利益(右軸) 会社予想
00200,00015,000400,00030,000600,00045,000800,00060,0002022/022023/022024/022025/022026/022027/02単位:百万円
自己資本比率(%)20304034.835.135.736.533.4
数値で確認する
決算期売上高営業利益経常利益純利益営業CF自己資本比率
2022/02761,1004,1106,9005,36021,00034.8%
2023/02443,40032,50034,50027,80036,50035.1%
2024/02466,10045,90049,20031,60059,50035.7%
2025/02498,50057,50060,40039,50072,50036.5%
2026/02492,37053,51656,900-8,19453,80033.4%
2027/02会社予想503,00057,50057,00038,000
単位:百万円。出典:決算短信、およびIR BANK集計による過年度実績(億円単位の概数を百万円換算)

読み取れることは3つあります。

2023年2月期の急激な売上減少は、業績悪化ではなく集計基準の見直しの可能性が高い。 2022年2月期の売上高761,100百万円から2023年2月期443,400百万円への落差は、決算短信が併記する「総額営業収益」と「営業収益」という2つの売上指標の使い分けが影響しているとみられます(総額営業収益にはテナント賃料や消化仕入取引の総額が含まれ、営業収益より大きくなる)。2023年2月期以降は毎期「営業収益」ベースで一貫しているとみられ、2027年2月期予想503,000百万円もこのベースと整合します。ただし決算短信の記載だけでは完全な断定はできないため、2022年2月期と2023年2月期以降を単純比較しないよう注意が必要です。

営業利益・経常利益は、2026年2月期を除いて増加基調が続いている。 2023年2月期32,500百万円から2025年2月期57,500百万円まで、営業利益は2期連続で伸びました。2026年2月期は53,516百万円(前期比△6.9%)とわずかに減益でしたが、致命的な落ち込みではありません。

純利益だけが2026年2月期に突出した動きを見せている。 営業利益△6.9%・経常利益が前期比で1桁台の減益にとどまった一方、純利益は39,500百万円の黒字から8,194百万円の赤字へと転落しました。営業・経常段階の動きと最終利益の動きが大きく乖離しているのは、この5期の中でこの期だけです。4節で詳しく見ます。

4. 前期の最終赤字はCB特損の一過性、Q1で「通常運転」に反転

2026年2月期の決算を数字だけで見ると、「経常減益・純利益は赤字転落」という悪い決算に見えます。しかし内訳を確認すると、実態はかなり違います。

赤字の原因は本業ではなく、CB(転換社債型新株予約権付社債)の買入消却に伴う特別損失712億円です。 会社の決算説明会資料および複数の報道によれば、この特損を除いた実質的な純利益は約420億円で、期初計画(400億円)を上回る水準でした。営業利益53,516百万円(前期比△6.9%)・経常利益(概算569億円、前期604億円から減少)はいずれも本業として大きく崩れておらず、最終赤字82億円という数字だけを見て「業績が悪化した」と読むのは実態と異なります。

この歪みは、EPSの推移にそのまま表れています。

EPS備考
2025年2月期126.33円実績
2026年2月期△27.44円実績(CB特損712億円により赤字転落)
2027年2月期129.68円会社予想

単純にEPSの数字だけを時系列で追うと、1期だけ突然赤字に転落し、翌期にまた黒字に戻るという不自然な動きに見えます。しかし営業利益・経常利益はこの間ずっとプラスであり、動いたのは特別損益と、それに伴う税負担の項目だけです。「利益の質」を確認しないまま前期実績や前期比の数字だけを見ると、実態以上に業績が不安定な会社だと誤解しかねません。

その裏付けとなるのが、今第1四半期の決算です。特損要因が無いため、営業利益+26.4%・経常利益+43.3%・純利益+58.4%と、経常段階の増益がほぼそのまま最終利益に反映されています。前年同期(2026年2月期第1四半期)は逆に、営業利益△26.9%・経常利益△35.5%・純利益△45.4%という大幅減益でした。この振れ幅の大きさそのものが、前期がいかに特殊な期だったかを物語っています。

もう一つ、この特損には副産物があります。CBを買入消却したことで、将来の潜在株式による希薄化懸念が解消しました。 前年同期(2026年2月期第1四半期)の潜在株式調整後EPSは19.45円で、基本EPS23.06円から15.7%目減りしていました。今第1四半期の決算短信には潜在株式調整後EPSの開示自体がなく、CBが無くなったことで基本EPSがそのまま将来の1株益の目安になります。

なお、2節で触れた商業開発業(国内+海外合計で営業利益の24.0%を占める)という収益構造も、この「利益の質」の議論と無関係ではありません。百貨店業や特別損益で最終利益が振れやすい会社において、変動の少ない不動産的な収益源をどれだけ持っているかは、業績の読みやすさに直結します。

5. 配当の推移

決算期期初予想年間配当期初比配当性向
2022/0212円
2023/0213円
2024/0218.5円
2025/0223円19.2%
2026/0226円34円+8円2.2%
2027/02会社予想40円40円30.8%
  • 2026/02:期初予想13円+13円=26円に対し、期末に第2四半期末分・期末分をともに17円へ上方修正し、実績34円で着地。配当性向2.2%という数字は、分母の純利益がCB買入消却による特別損失712億円で赤字転落したことによる異常値であり、株主還元自体が弱まったわけではない。
  • 2027/02:第2四半期末20円・期末20円の合計40円で、直近の修正は無い(2026年4月14日の予想を据え置き)。前期実績34円との単純比較では+17.6%増配に見えるが、前期が特別損失による赤字期の減配だったことを踏まえると、2025年2月期実績23円からの増配基調の継続と見るのが妥当。
1株当たり。「期初比」は期初予想に対する着地の差。 出典:決算短信「配当の状況」、およびIR BANKの配当履歴(一部、分割調整後の値を含む)

2026年2月期は、期初予想13円+13円(合計26円)に対し、期末に第2四半期末分・期末分をともに17円へ上方修正し、実績34円で着地しました。ただし配当性向は2.2%という異例の低さです。これは株主還元姿勢が弱まったからではなく、分母である純利益がCB特損で赤字転落したことによる計算上の歪みです。 配当性向という指標も、分子・分母の一方に一過性要因が混ざると意味を失う典型例です。

2027年2月期は第2四半期末20円・期末20円の合計40円を予想しており、直近の修正はありません。前期実績34円との単純比較では+17.6%の増配に見えますが、前期がそもそも特損による赤字期の減配だったことを踏まえると、2025年2月期実績23円を起点とした増配基調の継続と見るほうが実態に近いといえます。予想配当性向は会社予想EPS129.68円に対して約30.8%で、2025年2月期実績の19.2%より厚めの水準です。

予想配当利回り1.78%は、会社が開示した2027年2月期予想配当40円をそのまま使った数字で、当サイトが扱う高配当銘柄の目安(3%以上)には届きません。

6. 会社の現状と直近の動き

当第1四半期の内容をもう一段分解します。

国内百貨店業は営業収益71,159百万円(前年同期比+3.2%)、営業利益7,461百万円(同+44.2%)でした。決算短信によれば、ラグジュアリーなど利益率の低い商品の構成比が高まり商品利益率自体は低下したものの、売上増でこれをカバーして増益を確保しています。

海外百貨店業は営業収益9,488百万円(+13.6%)、営業利益2,552百万円(+17.0%)で、上海拠点が黒字転換したことが寄与しました。

建装業は営業収益8,860百万円(+31.8%)と大きく伸びましたが、人件費等コストの増加により営業利益は595百万円(△3.0%)と減益でした。増収と減益が同時に起きているセグメントであり、他のセグメントとは異なる動きです。

財政状態は次のとおりです。

項目2026年2月末2026年5月末
総資産1,346,229百万円1,360,721百万円
純資産477,749百万円483,056百万円
自己資本449,788百万円454,494百万円
自己資本比率33.4%33.4%

出典:2027年2月期 第1四半期決算短信「財政状態」

キャッシュ・フローの状況(当第1四半期累計)は、営業活動によるキャッシュ・フローが+33,498百万円(前年同期+7,528百万円から+25,970百万円の増加)で、主因は売上債権の減少27,094百万円です。投資活動によるキャッシュ・フローは△14,557百万円、財務活動によるキャッシュ・フローは△5,865百万円で、現金及び現金同等物の四半期末残高は91,574百万円(前期末比+14,133百万円)でした。

会社は通期業績予想(経常利益57,000百万円・純利益38,000百万円、いずれも2026年4月14日の決算発表時から変更なし)を据え置いています。当第1四半期の経常利益は通期予想の28.9%に相当する進捗です。

7. 業界とセクターの状況

百貨店業には、個社の努力だけでは変えられない構造的な制約があります。

商圏立地への依存度が高い。 百貨店の収益力は出店している立地(都心の一等地)そのものに強く規定されます。Eコマースの浸透が進んでも、高額品やギフト、対面接客を伴う消費は店舗への依存が根強く残る一方、店舗網を大きく組み替えることは容易ではありません。

固定費(賃借料・人件費)が重い。 大型店舗を維持する以上、来店客数や売上の増減に対して費用が急には縮小しない構造があります。売上が落ち込む局面では、この固定費の重さが利益率を直撃します。

インバウンド需要への感応度が構造的に高い。 高額品消費の一部を訪日外国人が支えており、為替水準や渡航規制、両国間の政治情勢によって売上が大きく振れます。高島屋の前期(2026年2月期)のインバウンド売上高△18%(中国人客△25%)は、この構造がそのまま表れた結果です。

このセクターの中で、商業開発業(SC運営)のような不動産的収益源をどの程度持っているかは、各社の業績の安定性を分ける要素です。高島屋は商業開発業が営業利益の24.0%を占めており、百貨店業単独より業績のブレを抑えられる構造にありますが、それでも主力は依然として国内百貨店業(営業収益の約59%)であり、インバウンド動向からは逃れられません。

8. 今後のスケジュール

2026年10月上旬(予定)当サイト推定

2027年2月期 第2四半期(中間) 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年1月上旬(予定)当サイト推定

2027年2月期 第3四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年4月中旬(予定)当サイト推定

2027年2月期 通期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年7月上旬(予定)当サイト推定

2028年2月期 第1四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

会社は決算発表の予定日を公表していないため、いずれも過去の発表時期からの推定です。確定日は同社IRサイトで確認してください。

9. 想定されるカタリスト

時期想定イベント蓋然性方向
2026年10月上旬(予定)2027年2月期 第2四半期(中間) 決算発表両面

通期予想(経常利益57,000百万円、前期比+0.2%)への進捗確認。当第1四半期の経常利益は通期予想の28.9%に相当し、会社は「概ね予想通り」と説明している。

随時インバウンド消費(訪日外国人、特に中国人客)の回復度合い両面

前期(2026年2月期)はインバウンド売上高が前期比△18%(中国人客は△25%)と急伸の反動で落ち込んだ。当第1四半期は国内百貨店業の営業利益が+44.2%と回復基調にあり、インバウンドがさらに戻れば上振れ余地がある一方、地政学要因での再悪化もあり得る。

随時商業開発業(国内・海外SC運営)の増床・新規開発の進捗上振れ

売上構成比12.5%に対し営業利益構成比24.0%という高収益セグメント。海外商業開発業は当第1四半期+23.3%の増益で、この伸びが続けば全体の増益ドライバーになり得る。

随時CB消却後の資本政策(自己株式取得・再増配ペース)上振れ

前期にCBを買入消却したことで潜在株式による希薄化懸念がなくなった。前年同期は潜在株式調整後EPSが19.45円と基本EPS23.06円を下回っていたが、当期はその開示自体がない。

10. 想定されるリスク

インバウンド需要の再悪化。 前期(2026年2月期)は訪日外国人向けの売上高が18%減少し、中国人客に限れば25%の減少でした。当第1四半期は回復基調にありますが、為替や地政学要因次第では再び落ち込む可能性があります。2節で挙げた強みの裏返しとして、業績を最も動かしやすい要因です。

国内百貨店業の商品利益率の低下トレンド。 当第1四半期は売上増でカバーできましたが、ラグジュアリーなど利益率の低い商品の構成比増という傾向自体は続いています。売上の伸びが鈍化すれば、この利益率低下がそのまま増益率の鈍化につながります。

自己資本比率の低下。 2025年2月期36.5%から2026年2月期33.4%へ低下しました。CB特損という一過性要因が主因ではあるものの、財務健全性の絶対水準としては、当サイトが扱う他の高自己資本比率銘柄と比べて高くはありません。

特別損益による見た目のブレが今後も起こり得る。 前期のCB買入消却のように、保有株式の売却や政策保有株式の評価替えなど、今後も特別損益が発生する余地はあります。純利益・EPS・配当性向といった指標を見るときは、特別損益の有無を都度確認する必要があります。

11. まとめ:どう判断材料にするか

事実として確定しているのは次の点です。2027年2月期第1四半期は営業利益+26.4%・経常利益+43.3%・純利益+58.4%の大幅増益でした。前期(2026年2月期)の最終赤字は、CB買入消却に伴う特別損失712億円という一過性要因によるもので、営業利益・経常利益はいずれも大きく崩れていませんでした。商業開発業は売上構成比12.5%に対し利益構成比24.0%を占め、百貨店業の変動を緩和する収益源になっています。

前期の最終赤字を「一過性の特損によるもの」と正しく切り分け、経常利益ベースの増益基調を評価するなら、PER17.31倍・PBR1.45倍という水準は、CB消却後の希薄化リスク解消や商業開発業の安定収益力を含めた評価として妥当に見えます。

一方、インバウンド需要への感応度の高さや、国内百貨店業の商品利益率の低下傾向を重く見るなら、当第1四半期の大幅増益は前期の反動という側面が大きく、この伸び率がそのまま続く保証はないという見方もできます。 PBR1.45倍は過去レンジ(2010年以降0.3〜1.61倍)の上限に近く、バリュエーションに割安余地は乏しい水準です。

判断の分かれ目は、当第1四半期の大幅増益を「特損要因が消えた本来の実力」と見るか、「インバウンド反動を含む一時的な伸び」と見るかです。次の確認ポイントは2026年10月上旬(予定)の第2四半期決算で、通期予想(経常利益57,000百万円、前期比+0.2%)への進捗と、国内百貨店業の商品利益率の動向が最初の材料になります。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 2026年10月上旬(予定)の中間決算で、通期経常利益予想57,000百万円(前期比+0.2%)が明確に下方修正された場合。当第1四半期時点の進捗率は28.9%で、会社は「概ね予想通り」としている。
  • 国内百貨店業で、当第1四半期に見られた商品利益率の低下(ラグジュアリー等利益率の低い商品の構成比増)を売上増でカバーできなくなり、営業利益(当第1四半期7,461百万円、+44.2%)の伸びが鈍化・反転した場合。
  • インバウンド売上高が2026年2月期の前年比△18%(中国人客△25%)からさらに悪化し、回復の兆しが失われた場合。
  • 商業開発業(国内+海外合計、当第1四半期の営業利益3,830百万円・全体の24.0%)の利益貢献度が大きく低下し、百貨店業の変動を緩和するという構造上の強みが崩れた場合。
  • 自己資本比率(当第1四半期末33.4%)が前期末から一段と低下し続け、財務健全性の低下が一時的でなく継続的なトレンドだと判明した場合。

よくある質問

高島屋の配当はいくらですか?
2027年2月期の会社予想は1株40円(中間20円・期末20円)で、100株なら年間4,000円です(税引前)。2026年8月5日時点の株価2,245円に対する予想利回りは1.78%、配当性向は30.8%です。2月期決算のため、権利確定は中間が8月末、期末が2月末になります。
高島屋は前期に赤字だったのですか?
2026年2月期は親会社株主に帰属する当期純利益が8,194百万円の赤字でした。ただし原因は転換社債型新株予約権付社債(CB)の買入消却に伴う特別損失712億円という一過性の要因で、これを除いた実質純利益は約420億円と、期初計画の400億円を上回る水準だったと会社・複数の報道が説明しています。
高島屋は百貨店以外にどんな収益源がありますか?
商業開発業(国内+海外)が、営業収益では全体の12.5%にすぎない一方、営業利益では24.0%を稼いでいます。百貨店業の変動を緩和する収益源になっており、この構造をどう評価するかが判断材料の一つになります。

参考文献・引用元

  1. 01
    株式会社髙島屋「2027年2月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」

    2026年6月30日開示。連結経営成績(累計)、財政状態、キャッシュ・フローの状況、配当の状況、通期業績予想、セグメント別営業概況を参照した。会社ホームページのPDF(takashimaya.co.jp/base/corp/topics/260630a.pdf)はAkamai系WAFで直接ダウンロードできなかったため、TDnet適時開示を全文転載しているミラーページ(BigGoファイナンス)経由で本文を確認した。 / 2026/06/30 開示

  2. 02
    株式会社髙島屋「2026年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

    2026年4月14日開示。通期実績(売上高・各利益・特別損失712億円・配当実績・自己資本比率)と2027年2月期業績予想の裏付けとして参照した。TDnet系ミラー(BigGoファイナンス)経由で本文を確認した。 / 2026/04/14 開示

  3. 03
    株式会社髙島屋 2026年2月期 決算説明会資料

    2026年4月14日開示。「業績ハイライト」欄で、特別損失712億円・最終赤字82億円・特損除き実質純利益約420億円(期初計画400億円を上回る水準)を確認した。 / 2026/04/14 開示

  4. 04
    WWDJAPAN「高島屋、26年2月期は純利益82億円の赤字 CB買い入れ消却で特別損失712億円」

    2026年4月15日付記事。特別損失の発生理由、国内百貨店業のインバウンド売上高(前期比△18%、中国人客△25%)の内訳を、決算説明会資料と一致する内容として参照した。 / 2026/04/15 開示

  5. 05
    IR BANK「高島屋(8233) 決算まとめ」

    2022年2月期〜2027年2月期予の通期業績(売上高・営業利益・経常利益・当期利益・EPS・ROE)、自己資本比率・BPS・営業キャッシュ・フローの時系列を、二次情報として参照した(2026年8月時点の表示、DOM構造から抽出。億円単位の概数)。決算短信の実績値(2026年2月期の営業収益・営業利益・純利益)と一致することを確認済み。2022年2月期の売上高のみ「総額営業収益」ベースの可能性があり、2023年2月期以降との単純比較はできない旨、本文で注記した。

  6. 06
    IR BANK「高島屋(8233) 配当金の推移」

    2022年2月期〜2027年2月期の配当の期初予想・実績・配当性向を、二次情報として参照した。直近2期(2026年2月期の期初予想26円→実績34円、2027年2月期予想40円)は決算短信の記載と一致することを確認済み。

  7. 07
    IR BANK「高島屋(8233)」株式情報

    株価(2026年8月5日終値2,245円)・時価総額・PER(会社予想ベース)・PBR・配当利回り(会社予想ベース)・ROE/ROA(会社予想ベース)・PBRの過去レンジ(2010年以降0.3〜1.61倍)を、二次情報として参照した。metrics 欄の各数値は、この株価とQ1決算短信の自己資本・総資産・発行済株式数・会社予想EPS/配当から当サイトで計算し直し、IR BANK表示値と一致することを確認済み。 / 2026/08/05 開示