当サイトの記事はすべて個人の見解であり、投資助言ではありません。必ずご自身で一次情報を確認のうえ、ご自身の判断と責任で投資を行ってください。

基礎知識

決算スケジュールとカタリストの考え方

2026/07/23 更新4分で読了

一言でいうと

株価が大きく動くのは、多くの場合何かのイベントが起きたときです。決算発表、業績予想の修正、増配・減配の発表、配当の権利確定、制度変更(薬価改定など)。こうした予定を前もって把握しておくと、「いつ、何を確認すべきか」の地図が持てます。

この地図の上に置く各イベントをカタリスト(株価を動かしうる材料)と呼びます。カタリストは上振れ要因だけでなく、下振れ要因も、どちらに転ぶか分からない両面のものもあります。カタリストを「いつ・どちらの方向に・どれくらいの確からしさで」効くかで整理するのが、この記事の主題です。

決算・開示の年間サイクル

3月期決算(3月末が期末)の会社を例にすると、開示のカレンダーはおおむね次のようになります。

時期イベント
5月中旬本決算(通期)の決算短信。次期の業績予想・配当予想が出る
6月下旬定時株主総会。期末配当が確定
8月上旬第1四半期決算短信
11月上旬第2四半期(中間)決算短信。中間配当
2月上旬第3四半期決算短信

このほか、期中に業績や配当の修正が出れば、その都度、取引所の適時開示(TDnet)で公表されます。本決算で出た会社予想が、四半期ごとにどう修正されるかを追うのが、期中のカタリストの中心です。

配当の権利確定日

配当を受け取る権利は、権利確定日(3月期企業なら期末配当は3月末、中間配当は9月末)に株主名簿に載っている必要があります。実務上は、その2営業日前の「権利付最終日」までに買っておく必要があります。権利付最終日の翌営業日(権利落ち日)には、理論上、株価が配当分だけ下がります。配当利回りだけを見て権利確定の直前に飛びつくと、権利落ちで株価が下がり、思ったほど得にならないことがある点は知っておきます。

どう読むか

カタリストを3つの軸で整理する

内容
時期(いつ)次の四半期決算か、期中の修正か、数年先の制度変更か
方向(どちらへ)上振れ要因・下振れ要因・両面(結果次第でどちらにも動く)
確度(どれくらい)起きることがほぼ確実か、可能性の話か

確実に起きるイベント(次の決算)と、起きるかどうか分からないイベント(増額修正)は分けて考えます。 前者は「日程」、後者は「シナリオ」です。

会社公表の日程か、推定の日程か

次の決算発表日は、会社が正式に公表するまでは前年実績からの推定にすぎません。推定日を確定日のように扱うと、予定がずれたときに判断を誤ります。

よくある誤解

1. 決算発表日は、会社が公表するまで確定していない

多くの銘柄情報サイトが「次回決算予定日」を表示しますが、会社が正式に発表日を告知するまでは推定値です。当サイトの銘柄分析記事では、スケジュール表で会社公表済みの日付か、当サイトの推定かを明示的に区別しています(推定を確定として載せない)。日程を前提に動く前に、会社IRの正式告知を確認します。

2. 「増配予想」は、すでに株価に織り込まれていることがある

会社が増配を予想として開示すれば、その情報は公開された時点で株価に反映され始めます。予想として出ている材料は、発表済みである以上、新しいカタリストにはなりません。 株価が動くのは、予想が「さらに上振れて修正されたとき」や「予想に届かなかったとき」です。すでに開示された予想を、これから起きる材料と取り違えないようにします。

3. カタリストは上振れだけではない

好材料ばかりを数えると、判断が甘くなります。カタリストには下振れ要因も、両面のものもあります。たとえば医薬品セクターの薬価改定は、原則として引き下げ方向にしか働かない下振れ要因です。ツムラ(4540)にとっての薬価改定はこの典型で、数年先の制度イベントとして下方向のカタリストになります。上振れ・下振れ・両面を同じテーブルに並べて初めて、バランスの取れた見立てになります。

4. 四半期は「答え合わせ」の機会

本決算で出た会社予想(通期見通し)に対し、四半期決算は進捗を確認する機会です。会社が「通期で増益」と見込んでいるなら、第1四半期でその軌道に乗れているかが最初の答え合わせになります。次の四半期決算は、当たり外れを検証できる最も確実なカタリストであり、当サイトの各記事も「次の確認ポイント」としてここを挙げています。

当サイトでの扱い

当サイトの銘柄分析記事では、§8「今後のスケジュール」で予定を、§9「想定されるカタリスト」で材料を扱います。スケジュール表は会社公表日と推定日を区別し、カタリスト表は各材料を「時期・確度・方向」の軸で整理しています。好材料と悪材料を同じ分量で並べるのが決まりです。

決算短信のどこを最初に見るかは 決算短信の1ページ目だけで分かることスクリーニング表示の落とし穴は スクリーニングの落とし穴 を参照してください。