モリタHD(6455) Q1営業利益60.8%減でも配当予想は25%増額、DOE方針が生んだ乖離
本記事をお読みになる前に
本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。
生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。
株式会社モリタホールディングス
2026/09/04 時点
株価
2,485円
時価総額
1,128.65億円
配当利回り
3.22%
年間80円
PER
10.5倍
PBR
1.00倍
ROE
9.6%
ROA
10.4%
経常利益ベース
自己資本比率
71.2%
配当性向
33.8%
有利子負債
19億円
D/Eレシオ
0.02倍
有利子負債÷自己資本
※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。
この記事の結論
- 2027年3月期第1四半期は、売上高188億49百万円(前年同期比+3.2%)と増収だった一方、営業利益5億40百万円(同△60.8%)・経常利益6億94百万円(同△54.9%)と大幅な減益だった。主力の消防車輌事業がセグメント損失(△1億04百万円)に転落し、防災・産業機械・環境車輌の残る3セグメントもすべて減益で、人件費等コスト上昇が主因とされている。
- 一方で親会社株主に帰属する四半期純利益は7億54百万円(同△2.1%)とほぼ横ばいだった。これは関係会社清算益5億21百万円という特別利益の計上と、法人税等の減少(7億75百万円→4億66百万円)によって税引前利益・純利益が下支えされた結果であり、本業の実力が保たれたことを意味しない。
- 会社は決算発表と同じ2026年7月31日に、2027年3月期の年間配当予想を期初64円から80円へ25%増額修正した。理由は業績の上振れではなく、2026年6月公表の中期経営計画で掲げたDOE(株主資本配当率)3.5%以上を目安とする方針にもとづくもので、通期純利益予想97億円(前期比+2.6%)自体は据え置かれている。
- 修正後の配当80円はDOE換算で約3.24%と、会社目安の3.5%にはまだ届いていない。方針が維持されるなら増配の余地が残る一方、Q1で本業が減益・一部赤字に転じた事実を軽視すべきではない。財務面は自己資本比率71.2%・D/Eレシオ0.02倍と健全である。
目次11項目
1. 概要
モリタホールディングス(6455)は、2026年9月4日時点で株価2,485円、PER10.51倍(会社予想EPS236.59円ベース)、PBR1.00倍、予想配当利回り3.22%(会社予想配当80円ベース)という水準にあります。PER10.51倍は2010年以降のレンジ(6.55〜18.67倍)のうち下から3割程度に位置し低めの水準、PBR1.00倍は同じく2010年以降のレンジ(0.49〜1.79倍)のなかでは中央よりやや低い水準です。自己資本比率は2026年6月末(2027年3月期第1四半期末)時点で71.2%、有利子負債は18億84百万円、D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)は0.02倍と、財務面では実質無借金に近い状態にあります。
2026年7月31日に発表された2027年3月期第1四半期決算は、一見すると矛盾した内容でした。営業利益が前年同期比60.8%減、経常利益も54.9%減という大幅な減益だった一方、親会社株主に帰属する四半期純利益はわずか2.1%減とほとんど変わらない着地だったのです。しかも会社は同じ発表日に、通期配当予想を年間64円から80円へ25%増額する修正を発表しました。営業段階の減益と配当予想の大幅増額が同時に起きたのはなぜか——この構図を第4節で整理します。
2. 会社概要とビジネスモデル
モリタホールディングスは、消防ポンプ自動車・はしご車などの消防車両で国内最大手のメーカーを中核とする持株会社です。事業セグメントは4つあり、2027年3月期第1四半期の売上高構成比は消防車輌事業51.5%、防災事業28.2%(防災関連機器)、産業機械事業5.5%(環境・産業向け機械)、環境車輌事業14.8%(塵芥車等の環境関連車両)でした。顧客の中心は全国の消防本部・地方自治体で、官公需(公共部門向けの需要)の比率が高いのが特徴です。
2026年6月には新しい中期経営計画「Morita Growth 2030」を公表し、消防車輌・防災の両事業を成長牽引領域と位置付けました。同じタイミングで、株主還元の方針としてDOE(株主資本配当率。自己資本に対する年間配当総額の割合)3.5%以上を目安とする考え方も示しています。この方針が、第4節で扱う配当予想の大幅増額に直接つながっています。
強みと弱みの整理
強み
受注残高は増加基調
2026年6月末時点の受注残高は1,001億31百万円で、前年同期(958億円程度)から4.5%増加した。当第1四半期の受注高自体は前年同期を4.1%下回ったが、積み上がった残高は増えており、今後の売上計上余力は確保されている。
実質無借金に近い財務基盤
有利子負債は18億84百万円(短期借入金のみ、長期借入金・社債の計上なし)で、自己資本101,988百万円に対するD/Eレシオは0.02倍。自己資本比率も2026年3月末69.3%から2026年6月末71.2%へ上昇しており、財務の安全性は高い。
株主還元方針の明確化(DOE基準の導入)
2026年6月公表の中期経営計画でDOE3.5%以上を目安とする方針を掲げ、実際に2027年3月期の配当予想を期初64円から80円へ引き上げた。方針が維持されるなら、増配継続に向けた枠組みができたことになる。
弱み
本業(消防車輌事業)がQ1にセグメント損失へ転落
消防車輌事業の売上高は97億12百万円(前年同期83億12百万円)で増収だったが、セグメント損益は1億04百万円の損失(前年同期は1億16百万円の利益)。人件費等コスト上昇が主因と決算短信に明記されている。
全セグメントで前年同期の水準を下回る
防災事業(4億90百万円、前年同期9億95百万円)、産業機械事業(1億09百万円、前年同期1億81百万円)、環境車輌事業(51百万円、前年同期94百万円)と、残る3セグメントもすべて前年同期を下回った。
配当性向はDOE目標に対しまだ未達
修正後の年間配当80円は、2026年3月期末の1株純資産2,470.13円に対しDOE換算で約3.24%にとどまり、会社が掲げる3.5%以上の目安にはまだ届いていない。
3. 業績の推移
数値で確認する
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022/03 | 83,602 | 8,115 | 8,761 | 5,350 | 64.7% |
| 2023/03 | 81,344 | 5,081 | 5,913 | 3,996 | 67.1% |
| 2024/03 | 95,205 | 9,453 | 9,627 | 6,011 | 64.8% |
| 2025/03 | 111,743 | 13,733 | 13,744 | 9,472 | 67.3% |
| 2026/03 | 116,596 | 15,456 | 15,045 | 9,456 | 69.3% |
| 2027/03会社予想 | 115,500 | 14,500 | 15,000 | 9,700 | — |
読み取れることは3つあります。
1つ目は、売上高が5期連続で拡大していることです。 836億02百万円(2022年3月期)から1,165億96百万円(2026年3月期)まで、4期で+39.5%増加しました。2027年3月期の売上高予想は1,155億円で、前期比△0.9%のほぼ横ばいです。
2つ目は、営業利益と純利益がここ2期でかい離し始めていることです。 2025年3月期から2026年3月期にかけて、営業利益は137億33百万円から154億56百万円へ前期比+12.5%伸びた一方、純利益は94億72百万円から94億56百万円へ前期比-0.2%とほぼ横ばいでした。増収増益が必ずしも最終利益の増加に直結していない状態が、直近2期続いています。
3つ目は、自己資本比率が着実に切り上がっていることです。 2022年3月期64.7%から2026年3月期69.3%まで一貫して上昇しており、2027年3月期第1四半期末には71.2%まで達しています。有利子負債は18億84百万円とごくわずかで、財務の安全性という点での懸念は小さいと言えます。
4. 営業減益60.8%でも純利益はほぼ横ばい——特別利益とDOE方針が生んだ乖離
2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の決算で最も目を引くのは、利益の各段階でまったく異なる動きをしている点です。
| 項目 | 前年同期 | 当第1四半期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 182億60百万円 | 188億49百万円 | +3.2% |
| 営業利益 | 13億77百万円 | 5億40百万円 | △60.8% |
| 経常利益 | 15億39百万円 | 6億94百万円 | △54.9% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 7億70百万円 | 7億54百万円 | △2.1% |
出典:2027年3月期 第1四半期 決算短信
売上高はわずかに増収でありながら、営業利益は6割減、経常利益は5割強の減益です。ところが純利益はほとんど変わりません。この差がどこから生まれているのかを、3つに分けて確認します。
(1) 本業(消防車輌事業)が損失に転落した
セグメント別の状況です。
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | セグメント損益 | 前年同期 |
|---|---|---|---|---|
| 消防車輌事業 | 97億12百万円 | +16.8% | △1億04百万円 | 1億16百万円 |
| 防災事業 | 53億21百万円 | △9.8% | 4億90百万円 | 9億95百万円 |
| 産業機械事業 | 10億31百万円 | △25.8% | 1億09百万円 | 1億81百万円 |
| 環境車輌事業 | 27億84百万円 | +4.8% | 51百万円 | 94百万円 |
出典:2027年3月期 第1四半期 決算短信(セグメント情報)
主力の消防車輌事業は、売上高97億12百万円(前年同期83億12百万円)と増収でありながら、セグメント損益は1億04百万円の損失に転落しました。前年同期は1億16百万円の利益だったので、単純な減益ではなく黒字から赤字への転落です。決算短信は、この要因を人件費等のコスト上昇と説明しています。防災事業(4億90百万円、前年同期9億95百万円)、産業機械事業(1億09百万円、前年同期1億81百万円)、環境車輌事業(51百万円、前年同期94百万円)の残る3セグメントも、いずれも前年同期の水準を下回りました。4つのセグメントすべてが前年同期を下回り、うち1つが赤字という決算内容が、営業利益60.8%減の中身です。
(2) 特別利益(関係会社清算益)が税引前利益を下支えした
営業利益・経常利益がここまで落ち込んだにもかかわらず、税金等調整前四半期純利益は12億15百万円(前年同期12億41百万円)とほぼ横ばいでした。理由は、特別利益に5億21百万円の関係会社清算益が計上されたためです(前年同期は特別利益の計上なし)。経常利益6億94百万円に、この5億21百万円が上乗せされる形で、税引前利益の落ち込みが大きく緩和されています。
さらに、法人税等は7億75百万円(前年同期)から4億66百万円へと減少しました。この結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は7億54百万円(前年同期7億70百万円、△2.1%)とほぼ変わらない着地になっています。
つまり、純利益がほぼ横ばいだったのは、本業が堅調だったからではなく、一時的な特別利益と税負担の減少が営業・経常段階の落ち込みを打ち消したからです。 「純利益はほぼ横ばい=底堅い」とだけ読むと、消防車輌事業が損失に転落したという本業の悪化を見落とすことになります。
(3) 通期配当予想は同じ日に25%増額されている
モリタホールディングスは、この決算短信と同じ2026年7月31日付で「配当予想の修正に関するお知らせ」を発表し、2027年3月期の年間配当予想を、2026年4月28日公表の期初予想64円(中間32円・期末32円)から80円(中間40円・期末40円)へ引き上げました。増配幅は16円、率にして+25%です。
この修正の理由は、業績の上振れではありません。会社が明示しているのは、2026年6月に公表した中期経営計画「Morita Growth 2030」で掲げた株主還元方針――DOE(株主資本配当率)3.5%以上を目安とするという考え方にもとづく修正だという点です。実際、通期の純利益予想は97億円(前期比+2.6%)のまま変更されていません。業績予想を据え置いたまま、配当方針の転換だけを理由に配当予想を引き上げたことになります。
修正後の年間配当80円を、2026年3月期末の1株純資産2,470.13円で割ると、DOE換算で約3.24%です。会社が目安として掲げる3.5%にはまだ届いていない水準であり、方針が維持されるなら追加の増配余地が残っている一方、Q1で本業が減益・一部赤字に転じたことを踏まえると、通期の利益計画そのものの達成可否にも注意が必要になります。会社は今回、通期予想は据え置いていますが、修正するかどうかは今後の四半期の推移次第です。
なお、受注面は堅調です。2026年6月末の受注残高は1,001億31百万円で前年同期を4.5%上回り積み上がっており、当第1四半期の受注高自体は前年同期を4.1%下回りました。消防車輌事業は自治体向けの官公需が中心で、工事の進捗や検収のタイミングによって四半期ごとの損益がぶれやすい事業特性があります。受注残高が増えている以上、今回のセグメント損失を需要そのものの後退と直結させるのは早計かもしれませんが、コスト上昇が続けば採算改善は容易ではありません。
5. 配当の推移
| 決算期 | 期初予想 | 年間配当 | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2022/03 | — | 40円 | 33.9% |
| 2023/03 | — | 43円 | 47.3% |
| 2024/03 | — | 48円 | 35.0% |
| 2025/03 | — | 58円 | 26.7% |
| 2026/03 | — | 64円 | 28.5% |
| 2027/03会社予想 | 64円 | 80円 | 33.8% |
- 2025/03:期初時点では配当が未定と公表され、期中に一度50円という水準が示された後、実績は58円で着地した。
- 2027/03:2026年4月28日公表の期初予想64円(中間32円・期末32円)から、2026年7月31日(第1四半期決算と同日)に80円(中間40円・期末40円)へ25%増額修正。理由は業績の上振れではなく、2026年6月公表の中期経営計画「Morita Growth 2030」で掲げたDOE(株主資本配当率)3.5%以上を目安とする方針。通期純利益予想97億円(前期比+2.6%)は据え置き。
配当は2022年3月期の40円から2026年3月期の64円まで、5期でおおむね右肩上がりに増えてきました。配当性向は33.9%(2022年3月期)、47.3%(2023年3月期)、26.7%(2025年3月期)と年によって振れがありますが、概ね27〜35%程度のレンジで推移しています。
期初予想の癖という点では、2025年3月期は期初時点で配当が未定と公表され、期中に一度50円という水準が示された後、実績は58円で着地しました。期初に確定額を示さず、期中に段階的に金額を固める運用がこの会社にはあります。
その延長線上にあるのが、2027年3月期の配当予想です。2026年4月28日公表の期初予想は年間64円(中間32円・期末32円)でしたが、2026年7月31日、第1四半期決算と同じタイミングで年間80円(中間40円・期末40円)へ修正されました。増配幅は16円、+25%です。この修正は、第4節で見たとおり、業績の上振れではなく中期経営計画で掲げたDOE(株主資本配当率)3.5%以上という方針にもとづくものです。
この配当予想80円は会社が正式に開示した数値なので、これにもとづく予想配当利回り3.22%(株価2,485円ベース)はそのまま使えます。 予想EPS236.59円に対する配当性向は33.8%で、2026年3月期実績の28.5%からやや上昇する計画です。
6. 会社の現状と直近の動き
2027年3月期第1四半期の連結業績は、売上高188億49百万円、営業利益5億40百万円、経常利益6億94百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益7億54百万円でした。1株当たり四半期純利益は18.41円(前年同期18.03円)です。
貸借対照表面では、2026年6月末時点で総資産1,432億90百万円、純資産1,032億55百万円(うち自己資本1,019億88百万円)、自己資本比率71.2%でした。 前期末(2026年3月末、総資産1,460億06百万円、自己資本比率69.3%)と比べると、総資産はやや減少した一方、自己資本比率は上昇しています。
有利子負債は2026年6月末時点で短期借入金18億84百万円のみで、長期借入金・社債の計上はありません。 前期末の短期借入金9億08百万円からは増加していますが、自己資本(1,019億88百万円)に対するD/Eレシオは0.02倍ときわめて低い水準です。この短期借入金がなぜ増えたのかは、今回参照した決算短信のみからは特定できませんでした。
キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが18億82百万円(前年同期24億93百万円)、投資活動によるキャッシュ・フローが△3億80百万円(同△3億26百万円)、財務活動によるキャッシュ・フローが△5億05百万円(同△14億60百万円)で、現金及び現金同等物の期末残高は273億59百万円でした。
通期の会社予想は、売上高1,155億円(前期比△0.9%)、営業利益145億円(同△6.2%)、経常利益150億円(同△0.3%)、純利益97億円(同+2.6%)で、いずれも2026年7月31日時点で据え置かれています。通期予想に対する当第1四半期の進捗率は、営業利益で見ると540百万円÷14,500百万円で3.7%にとどまります。前年同期も1,377百万円÷15,456百万円で8.9%であり、少なくとも直近2期については、第1四半期の利益進捗が通期の4分の1(25%)を下回る傾向があります。今期はその中でもさらに低い水準にとどまっている点には注意が必要です。
7. 業界とセクターの状況
モリタホールディングスは、当サイトの「機械」セクターに属する初めての記事です。このセクターに共通する構造的な制約は、受注生産型の性格が強く、受注から売上計上までにタイムラグが生じやすいことです。単年度・単四半期の業績だけでは需要の強弱を見誤りやすく、受注高・受注残高を併せて確認する必要があります。
モリタホールディングスの場合、この構造がとりわけ色濃く出るのが顧客構成です。主要顧客が全国の消防本部・地方自治体という官公需中心の構造は、個社の努力だけでは変えられません。 需要そのものは、火災・救急への備えという性質上、景気変動の影響を受けにくい面がある一方、案件の発注時期や予算措置は自治体の財政事情に左右されます。
原材料面では、消防車輌・環境車輌ともに鋼材等の金属素材を多く使うため、価格変動の影響を受けやすい構造があります。今回のQ1決算では原材料価格よりも人件費上昇がセグメント減益の主因として明記されており、労務費の高騰という、機械セクター全般にも共通しつつある要因が個社の収益を圧迫している格好です。海外展開分については為替の影響も一定程度あります。
8. 今後のスケジュール
2027年3月期 第2四半期(中間) 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年3月期 第3四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年3月期 通期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2028年3月期 第1四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
決算発表日はいずれも過去の発表時期からの推定です。確定日は同社IRサイトで確認してください。
9. 想定されるカタリスト
Q1でセグメント損失に転落した消防車輌事業が、中間決算にかけて黒字転換に向かうか、赤字が継続するかを確認する最初の機会。あわせて全社の通期業績予想(営業利益145億円・純利益97億円)に対する進捗率も確認できる。
修正後の年間配当80円は、2026年3月期末の1株純資産2,470.13円に対してDOE換算で約3.24%。会社目安の3.5%以上にはまだ届いておらず、方針が維持されるなら追加の増配余地が残る。
Q1のセグメント損失の主因とされた人件費等コスト上昇が今後も続くか、受注価格への転嫁が進むかが焦点。
2026年6月末時点の受注残高は1,001億31百万円(前年同期比+4.5%)で積み上がっている一方、当第1四半期の受注高自体は前年同期比△4.1%だった。
10. 想定されるリスク
第2節の強みと同じ分量で、弱気材料を整理します。
本業(消防車輌事業)の採算悪化が続くリスク。 消防車輌事業は増収にもかかわらずQ1にセグメント損失(△1億04百万円)へ転落しました。決算短信は人件費等コスト上昇を主因としており、この上昇が一過性でなく続くなら、通期の営業利益予想145億円の達成は容易ではありません。
全セグメントで前年同期を下回る、広がりのあるリスク。 防災・産業機械・環境車輌の3セグメントもすべて前年同期の水準を下回りました。特定セグメントだけの問題ではなく、複数事業に共通する費用圧力(人件費など)が背景にある可能性があります。
純利益の底堅さが一時的な特別利益に依存しているリスク。 当第1四半期の税引前利益は関係会社清算益5億21百万円によって下支えされています。この種の特別利益は継続的に発生するものではなく、次の四半期以降も同様の押し上げ要因があるとは限りません。
DOE目標に対する未達と、業績下振れが重なるリスク。 修正後の年間配当80円はDOE換算で約3.24%と、会社目安の3.5%にまだ届いていません。方針どおり追加増配が続く保証はなく、仮に通期業績が計画未達に終わった場合、配当方針そのものが再検討される可能性もあります。
11. まとめ:どう判断材料にするか
2027年3月期第1四半期は、営業利益が前年同期比60.8%減、経常利益も54.9%減という大幅な減益でした。主力の消防車輌事業がセグメント損失に転落し、防災・産業機械・環境車輌の残る3セグメントもすべて前年同期を下回るという、本業全体の採算悪化を示す内容です。一方で、純利益はほぼ横ばい(△2.1%)にとどまり、通期配当予想は同じ発表日に64円から80円へ25%増額されました。
判断の分かれ目は、この決算をどの数字で評価するかです。 純利益の横ばいと配当の大幅増額だけを見れば、この会社の還元姿勢は積極化していると評価できます。DOE3.5%以上という明確な方針が掲げられ、財務面もD/Eレシオ0.02倍・自己資本比率71.2%と極めて健全です。一方で、営業利益・経常利益の落ち込みと、純利益を下支えした要因(関係会社清算益という特別利益、税負担の減少)まで踏み込んで見れば、本業の収益力そのものは今回のQ1で目に見えて悪化しており、配当の増額は業績の裏付けではなく方針転換によるものだと分かります。
Aと見るなら、DOE方針にもとづく還元強化と財務健全性を評価して「配当方針の転換点」として受け止められますし、Bと見るなら、本業のセグメント損失と全セグメント減益という現実を重く見て「業績の裏付けを欠いた増配」として警戒的に受け止めることになります。 次の中間決算(2026年11月予定)で、消防車輌事業の採算が回復に向かうか、通期業績予想が据え置かれたままか、そしてDOE3.5%への接近が進むかどうかが、この分かれ目を判断する材料になります。
この記事の見立てが外れたと判断する条件
以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。
- 2026年11月予定の中間決算以降も消防車輌事業のセグメント損益が赤字圏、または前年を下回る水準にとどまり続け、通期営業利益予想145億円との乖離が拡大した場合。
- 通期純利益予想97億円が据え置かれたまま、通期配当予想80円(または修正後の水準)が減額修正された場合。DOE方針にもとづく増配という前提が崩れることになる。
- 関係会社清算益のような特別利益に依存して税引前利益・純利益が下支えされる決算が今後も繰り返され、営業・経常段階の悪化と純利益の見え方の乖離が構造化した場合。
- 受注残高(2026年6月末1,001億31百万円、前年同期比+4.5%)が減少に転じ、自治体の消防関連予算の縮小が確認された場合。
よくある質問
- モリタホールディングス(6455)の2027年3月期の配当予想はいくらですか?
- 会社予想は年間80円(中間40円・期末40円)です。2026年4月28日公表の期初予想64円(中間32円・期末32円)から、2026年7月31日(第1四半期決算と同日)に25%増額修正されました。修正理由は業績の上振れではなく、2026年6月公表の中期経営計画「Morita Growth 2030」で掲げたDOE(株主資本配当率)3.5%以上を目安とする方針にもとづくもので、通期純利益予想97億円(前期比+2.6%)自体は据え置かれています。株価2,485円に対する予想配当利回りは3.22%です。
- なぜ2027年3月期第1四半期は営業利益が60.8%も減ったのに、純利益はほぼ横ばいだったのですか?
- 主力の消防車輌事業が増収にもかかわらずセグメント損失(△1億04百万円)に転落するなど、本業の各段階の利益は大きく落ち込みました(営業利益△60.8%、経常利益△54.9%)。それでも純利益がほぼ横ばい(△2.1%)で着地したのは、特別利益として関係会社清算益5億21百万円が計上され(前年同期は計上なし)、税引前利益を下支えしたことに加え、法人税等が7億75百万円から4億66百万円へ減少したためです。本業の悪化を、一時的な特別利益と税負担の減少が打ち消した形であり、本業の実力が保たれたわけではありません。
- モリタホールディングスのROAが10.4%でROEの9.6%より高いのはなぜですか?
- 会社が開示する「総資産経常利益率」(ROA、経常利益÷総資産、2026年3月期実績10.4%)と「自己資本当期純利益率」(ROE、純利益÷自己資本、同9.6%)は、分子(経常利益か純利益か)も分母(総資産か自己資本か)も異なる別々の指標です。分母がより広い総資産で割るROAの方が、分母が狭い自己資本で割るROEより高くなること自体は珍しくありません。なお、IR BANKなど一部の情報源では、ROA(予)を純利益÷総資産で計算しており(2026年9月4日時点で6.77%)、会社開示の総資産経常利益率10.4%とは定義が異なるため、単純比較はできません。
参考文献・引用元
- 01
株式会社モリタホールディングス「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
2026年7月31日公表。連結経営成績(売上高・営業利益・経常利益・純利益、前年同期比、1株当たり四半期純利益)、セグメント情報(消防車輌・防災・産業機械・環境車輌の売上高・セグメント損益と定性的情報)、連結財政状態(総資産・純資産・自己資本比率)、キャッシュ・フローの状況、配当の状況、通期業績予想、損益計算書の特別損益・法人税等の内訳、受注高・受注残高を参照した。有利子負債(短期借入金18億84百万円)は連結貸借対照表から確認し、長期借入金・社債の計上が無いことを確認した。
- 02
株式会社モリタホールディングス「配当予想の修正に関するお知らせ」
2026年7月31日公表(決算短信と同日)。2027年3月期の配当予想を年間64円(中間32円・期末32円)から80円(中間40円・期末40円)へ修正した経緯と、その理由が中期経営計画「Morita Growth 2030」で掲げたDOE(株主資本配当率)3.5%以上を目安とする方針にもとづくものである旨を参照した。
- 03
株式会社モリタホールディングス「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」ほか過年度決算短信(2022年3月期〜2025年3月期)
2026年4月28日公表分ほか。売上高・営業利益・経常利益・純利益・EPS・自己資本比率の各期実績、2021年3月期〜2026年3月期の配当の状況(中間・期末配当実績、配当性向)、2026年3月期の会社開示指標(自己資本当期純利益率9.6%、総資産経常利益率10.4%、売上高営業利益率13.3%)を参照した。
- 04IR BANK「モリタHD(6455)」
株価・時価総額・PER/PBRの2010年以降レンジ・ROE(予)/ROA(予、純利益ベース)の表示値を、二次情報として参照した(2026年9月4日時点の表示)。本文のROA(会社開示・経常利益ベース)・配当利回り(会社予想配当ベース)の数値は決算短信等の一次情報にもとづき当サイトで算出したものを採用している。 / 2026/09/04 開示