四半期分析機械2027/3期 Q1

三精テクノロジーズ(6357) 利益進捗は例年超え、それでも据え置かれた通期計画

2026/09/02 公開2026/09/02 更新6分で読了対象決算:2027年3月期 第1四半期

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

三精テクノロジーズ株式会社

東証スタンダード 6357 ・ 3月期決算

2026/08/23 時点

株価

2,418円

時価総額

467.45億円

配当利回り

3.93%

年間95円

PER

8.1倍

PBR

0.85倍

ROE

10.5%

ROA

5.5%

純利益ベース

自己資本比率

52.5%

配当性向

31.8%

有利子負債

158億円

D/Eレシオ

0.31倍

有利子負債÷自己資本

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 2027年3月期第1四半期は売上高176億22百万円(前年同期比+15.5%)、営業利益10億76百万円(同+34.6%)、経常利益11億73百万円(同+22.2%)、純利益7億41百万円(同+49.4%)の増収増益で着地した。通期計画に対する利益の進捗率(IR BANK集計)は例年の第1四半期レンジを上回るペースだったが、会社は通期計画を据え置いた。
  • 増益を牽引したのは連結売上の68.7%を占める最大セグメント・遊戯機械ではなく、規模の小さい舞台設備(セグメント利益+62.5%、工事採算の改善)と昇降機(同+49.9%、収益性の高い案件の進捗)だった。遊戯機械はセグメント利益率が前年同期6.1%から当期5.2%へ低下しており、増収の中身は一様ではない。
  • 有利子負債は157億92百万円(前期末155億59百万円から+2億33百万円)、D/Eレシオは0.31倍(前期末0.30倍)とわずかに上昇した。自己資本比率は52.5%(前期末52.7%)でほぼ横ばい。自己株式取得9億99百万円が純資産を押し下げた一因である。
  • 配当予想は年間95円(中間47.50円・期末47.50円)で据え置かれた。前期(2026年3月期)は期初予想60円から実績90円へ大幅増額した実績があるだけに、今回の「据え置き」を保守的な様子見と見るか、下期の反動要因を織り込んだ現実的な判断と見るかが、この記事の分かれ目になる。
目次11項目
  1. 1. 概要
  2. 2. 会社概要とビジネスモデル
  3. 3. 業績の推移
  4. 4. 例年より速い利益進捗でも据え置かれた通期計画、稼いだのは遊戯機械ではない
  5. 5. 配当の推移
  6. 6. 会社の現状と直近の動き
  7. 7. 業界とセクターの状況
  8. 8. 今後のスケジュール
  9. 9. 想定されるカタリスト
  10. 10. 想定されるリスク
  11. 11. まとめ:どう判断材料にするか

1. 概要

2026年8月23日時点で、株価2,418円・PER8.09倍(2027年3月期会社予想EPS299.03円ベース)・PBR0.85倍(第1四半期末実績BPS2,846.71円ベース)・予想配当利回り3.93%(会社予想の年間95円ベース)・自己資本比率52.5%(第1四半期末実績)という水準です。ROE10.5%・ROA5.51%(純利益ベース)は会社予想ベースの値です。ROAは純利益÷総資産で計算しており、経常利益ベースで計算すると数値はもっと高くなります。他サイトの数値と比較する際は、どちらの利益を使っているかを確認してください。

2026年8月6日に開示された2027年3月期第1四半期(2026年4-6月)決算は、売上高176億22百万円(前年同期比+15.5%)、営業利益10億76百万円(同+34.6%)と、増収以上に増益ペースが速い決算でした。通期計画に対する利益の進捗率も、過去の第1四半期の実績レンジと比べて明確に速いペースです。それにもかかわらず、会社は通期の業績予想を据え置きました。この一見矛盾する組み合わせと、その裏で何が起きていたか(最大セグメントである遊戯機械ではなく、舞台設備・昇降機という小さいセグメントが増益を牽引していたこと)を第4節で整理します。

2. 会社概要とビジネスモデル

三精テクノロジーズ(旧・三精輸送機)は1951年設立、東京証券取引所スタンダード市場に上場する機械メーカーです。観覧車・ジェットコースターなどの遊戯機械、劇場やホールの舞台機構(舞台設備)、エレベーターなどの昇降機、特殊機構の設計・製作・据付・保守を手がけています。財務諸表上の報告セグメントは遊戯機械・舞台設備・昇降機の3つで、当第1四半期の売上構成比は遊戯機械68.7%・舞台設備23.9%・昇降機7.3%と、遊戯機械が圧倒的な主力です。

海外展開も特徴で、遊戯機械分野ではVekoma Rides(オランダ)・S&S Worldwide(米国)を、舞台・イベント設備ではテルミックを、テーマパークのコンセプト設計ではFORREC(カナダ)をグループ会社に持ちます。国内向けは自治体・公共施設や遊園地運営会社への新設・改修工事と、納入後の保守メンテナンス・補修部材供給が収益源です。

強みと弱みの整理

強み

  • 海外子会社を含む幅広い事業ポートフォリオ

    Vekoma Rides(オランダ)・S&S Worldwide(米国)など海外の遊戯機械メーカーをグループに持ち、国内需要だけに依存しない事業構成になっています。

  • 補修部材・保守メンテナンスという安定収益源

    遊戯機械セグメントは国内外の受注に加え、補修部材の需要が「引き続き堅調」と決算短信で説明されています。本体工事の受注が振れても、稼働台数に応じたアフター収入が下支えになります。

  • 財務は着実に厚みを増している

    自己資本比率は2023年3月期末49.1%から2027年3月期第1四半期末52.5%へ、5期弱で3.4ポイント上昇しました。有利子負債157億92百万円に対しD/Eレシオは0.31倍と、極端な借入依存ではありません。

弱み

  • 最大セグメントの利益率が低下している

    売上の68.7%を占める遊戯機械のセグメント利益率は、前年同期6.1%から当第1四半期5.2%へ低下しました。増収の中身が必ずしも増益に直結していません。

  • 工事採算のばらつきに利益が左右される

    舞台設備セグメントの利益急増(前年同期比+62.5%)は「工事採算が前年に比べ改善した」ことによるもので、個別工事ごとの採算のブレが大きい受注産業特有の性質を持ちます。

  • 通期業績予想の据え置き理由が開示から特定できない

    第1四半期の利益進捗率は例年より明確に速いペースでしたが、会社は据え置きの具体的な理由を説明していません。保守的な姿勢か、下期の反動要因を織り込んだ判断かは外部から確認できません。

3. 業績の推移

売上高(左軸) 営業利益(右軸) 会社予想
0020,0002,00040,0004,00060,0006,00080,0008,0002023/032024/032025/032026/032027/03単位:百万円
自己資本比率(%)30456049.151.051.252.7
数値で確認する
決算期売上高営業利益経常利益純利益営業CF自己資本比率
2023/0340,6842,0072,7581,7042,54049.1%
2024/0352,3073,1633,6042,0729,54051.0%
2025/0361,8624,7975,2942,9953,27051.2%
2026/0373,0706,5706,7925,1029,45052.7%
2027/03会社予想77,0007,7007,8005,300
単位:百万円。出典:2027年3月期第1四半期決算短信、および過去の決算短信・IR BANK集計(2023〜2026年3月期)

読み取れることは3つあります。

売上高・各利益とも右肩上がりが続いてきた。 売上高は406億84百万円(2023年3月期)から730億70百万円(2026年3月期)まで3期でおよそ8割増加しました。2027年3月期は会社予想でも770億円(前期比+5.4%)とさらに増収を見込んでいます。営業利益も20億07百万円から65億70百万円まで3期で3倍以上に拡大し、2027年3月期予想は77億円(同+17.2%)です。

営業利益率は毎期改善が続いている。 2023年3月期4.9%→2024年3月期6.0%→2025年3月期7.8%→2026年3月期9.0%と一貫して上昇し、2027年3月期予想でも10.0%への到達を見込んでいます。増収と利益率改善が同時に進んできた5期分の実績が、今回のQ1決算の「増益ペースが例年より速い」という評価の土台になっています。

純利益の伸びは経常利益の伸びより大きい年が多い。 2026年3月期は経常利益+28.3%に対し純利益+70.4%と、特に純利益の伸びが際立ちました。一方2027年3月期予想では経常利益+14.8%に対し純利益+3.9%と、伸び方の関係が逆転しています。この非対称性の要因(特別損益や税負担率の変動)は、今回の第1四半期決算短信からは特定できませんでした。

4. 例年より速い利益進捗でも据え置かれた通期計画、稼いだのは遊戯機械ではない

何が起きたか

2027年3月期第1四半期(2026年4-6月)の連結業績は、売上高176億22百万円(前年同期比+15.5%)、営業利益10億76百万円(同+34.6%)、経常利益11億73百万円(同+22.2%)、純利益7億41百万円(同+49.4%)でした。増収率(+15.5%)を上回るペースで営業利益(+34.6%)が伸びています。

通期計画に対する進捗率は、例年より明確に速い

IR BANKの集計によれば、通期計画に対する当第1四半期時点の進捗率と、過去の第1四半期における進捗率のレンジは次のとおりです。

項目当第1四半期の進捗率過去の第1四半期の進捗率レンジ
売上高22.89%18%〜22%
営業利益13.97%6.1%〜11.9%
経常利益15.04%9.8%〜14.2%
純利益13.98%8.0%〜10.0%

出典:IR BANK(決算短信の実績値と整合を確認済み)

売上高の進捗率は例年並みかやや上振れですが、営業利益・経常利益・純利益の進捗率はいずれも過去のレンジの上限を上回っています。特に純利益は過去レンジ(8.0〜10.0%)に対して13.98%と、大きく上振れています。それにもかかわらず、会社は「通期業績予想につきましては、現時点において2026年5月13日に公表した数値を見直しておりません」と、通期計画を据え置きました。

増益を牽引したのは遊戯機械ではなく、舞台設備と昇降機

この「速い進捗」の中身をセグメント別に見ると、意外な構図が見えてきます。

セグメント売上高(前年同期比)セグメント利益(前年同期比)
遊戯機械(連結売上の68.7%)121億05百万円(+18.4%)6億29百万円(+1.6%)
舞台設備(同23.9%)42億16百万円(+17.5%)8億13百万円(+62.5%)
昇降機(同7.3%)12億89百万円(△9.0%)1億80百万円(+49.9%)

出典:2027年3月期第1四半期決算短信(セグメント情報

最大セグメントの遊戯機械は、国内外の好調な受注と補修部材需要の伸びで増収を確保したものの、セグメント利益はほぼ横ばい(+1.6%)でした。セグメント利益率は前年同期6.1%から当第1四半期5.2%へ低下しており、増収の中身は必ずしも増益に結びついていません。

一方、規模では遊戯機械の3分の1程度にとどまる舞台設備は、セグメント利益が62.5%も伸びました。会社は「常設の舞台機構において、公共施設向けの新設・改修工事が順調に進捗し、工事採算が前年に比べ改善した」と説明しています。昇降機も売上こそ前年同期の大型案件の反動で9.0%減少しましたが、「収益性の高い案件の進捗やコストの削減」によりセグメント利益は49.9%増えました。

つまり、連結営業利益の伸び(+34.6%)が連結売上高の伸び(+15.5%)を上回った主因は、規模の小さい2セグメントの工事採算改善であり、稼ぐ力の中心である遊戯機械の収益性自体は横ばいから微減という、見た目の派手さとは異なる内訳でした。工事採算は個別案件ごとにばらつきが出やすい性質があるため、この舞台設備・昇降機の伸びが今後も同水準で続く保証はありません。

据え置きをどう読むか——過去の「期初は保守的」の癖と照らして

この会社には、期初に保守的な計画を出し、期中に上方修正する癖があります。2026年3月期の例を見ると分かりやすいです。

売上高営業利益経常利益純利益
期初予想700億円50億円53億円32億円
期中修正後予想730億円57億円60億円41億円
実績730億70百万円65億70百万円67億92百万円51億02百万円

出典:IR BANK(決算短信の実績値と整合を確認済み)

期中修正後の計画さえ、実績はさらに上回りました。配当も期初予想60円→実績90円(期初予想比+50%)まで積み上がっています。この「期初は保守的、期中で上方修正」という過去の癖を踏まえると、今回の据え置きは以下の2通りに読めます。

保守的な様子見と見る場合、今回の据え置きは前期と同じパターンの初期段階に過ぎず、下期に向けて上方修正される余地が残っていることになります。会社が据え置きの理由を明示していないこと自体、前期と同様「様子見」であることの表れとも取れます。

現実的な判断と見る場合、今回の速い進捗は工事採算という振れやすい要因に支えられており、下期にその反動が出ることを会社が見込んでいる可能性があります。特に舞台設備の大幅増益(+62.5%)は個別工事の採算改善によるもので、同水準が通期を通じて続く保証がないことは、決算短信の説明自体からも読み取れます。

どちらが正しいかは、次の中間決算(2026年11月上旬予定)で進捗率のペースが維持されるかどうかで確認できます。

5. 配当の推移

決算期期初予想年間配当期初比配当性向
2018/0325円27.5円+2.5円
2019/0335円35円0円
2020/0335円35円0円
2021/0335円35円0円
2022/0335円35円0円
2023/0335円37.5円+2.5円
2024/0340円40円0円
2025/0350円55円+5円
2026/0360円90円+30円
2027/03会社予想95円95円31.8%
  • 2018/03:期初予想12.50円・12.50円の合計25円に対し、実績は合計27.50円で着地。
  • 2021/03:期中に中間・期末の配分が修正され、期末が20円へ増額された(合計は期初予想どおり35円)。
  • 2025/03:期初予想50円に対し実績55円で着地。
  • 2026/03:期初予想60円→期中に80円へ増額修正→期末配当をさらに増額し、最終的に合計90円(期初予想比+50%)で着地。純利益の伸び(前期比+70.4%)を配当に反映した形。
  • 2027/03:2026年5月13日公表の予想(中間47.50円・期末47.50円・合計95円)から、2026年8月6日の第1四半期決算時点で修正なし。
1株当たり。「期初比」は期初予想に対する着地の差。 出典:決算短信「配当の状況」、およびIR BANK配当履歴(2018年3月期〜2027年3月期予想)

過去10期を見ると、2019年3月期から2022年3月期までは年間35円で横ばいでしたが、2023年3月期以降は増配基調に転じ、2026年3月期には年間90円まで積み上がりました。特に2026年3月期は、期初予想60円→期中に80円へ増額修正→期末にさらに増額し実績90円という、2段階の上方修正を経ています。

2027年3月期については、2026年5月13日公表の年間95円(中間47.50円・期末47.50円)から、2026年8月6日の第1四半期決算時点でも修正はありません。予想配当利回り3.93%は会社が明示した予想に基づく数値であり、そのまま使えます。 ただし配当性向は会社予想EPS299.03円に対して31.77%で、前期の水準(2026年3月期実績配当90円・純利益51億02百万円から算出すると配当性向は概ね30%台前半)から大きくは変わっていません。前期のような大幅な期中増額が今期も起こるかどうかは、第4節で扱った通期計画の据え置きの読み方と表裏一体の論点です。

6. 会社の現状と直近の動き

セグメント別の詳細は第4節のとおりです。財政状態では、総資産が前期末972億37百万円から961億25百万円へ11億11百万円減少しました。主因は、有形固定資産が8億24百万円、投資有価証券が8億04百万円それぞれ増加した一方、受取手形・売掛金及び契約資産が計30億52百万円、現金及び預金が3億00百万円それぞれ減少したことです。

負債は前期末から2億45百万円減少し454億29百万円となりました。契約負債が13億15百万円、借入金が長短合わせて2億32百万円それぞれ増加した一方、未払法人税等が13億97百万円、支払手形及び買掛金が7億75百万円それぞれ減少しています。

純資産は前期末から8億66百万円減少し506億96百万円となりました。その他有価証券評価差額金が5億48百万円増加した一方、自己株式の取得により9億99百万円、配当金支払いにより利益剰余金が3億49百万円それぞれ減少したことが主因です。自己株式取得が純資産を押し下げる形で株主還元に回っている点は、配当だけでなく総還元の姿勢を見るうえで押さえておく必要があります。

有利子負債は短期借入金44億92百万円・1年内返済予定の長期借入金12億00百万円・長期借入金101億00百万円の合計157億92百万円で、前期末の155億59百万円から2億33百万円増加しました。 自己資本(504億54百万円)に対するD/Eレシオは0.31倍で、前期末の0.30倍からわずかに上昇しています。増加の内訳は借入金の長短合わせた純増(2億32百万円)が中心で、決算短信からは大型設備投資やM&Aといった特定の使途は確認できませんでした。自己資本比率は52.5%(前期末52.7%)とほぼ横ばいで、有利子負債の増加より自己株式取得による純資産の減少が自己資本比率にわずかに影響しています。

なお、四半期連結キャッシュ・フロー計算書は本決算短信では作成されていません(日本基準の四半期決算では一般的な扱いです)。年間ベースでは、2026年3月期の営業キャッシュフローは94億50百万円、設備投資は37億40百万円でした。

7. 業界とセクターの状況

三精テクノロジーズが属する機械セクターは、受注生産型の性格が強く、業績が設備投資サイクルに連動しやすい産業です。この会社の場合、遊戯機械は遊園地・テーマパークの設備投資に、舞台設備・昇降機は主に公共施設の新設・改修投資に連動します。受注から売上計上までタイムラグが生じるため、単年度の売上高だけでは需要の強弱を判断しにくいという構造的な制約は、このセクター全体に共通します。

もう一つの構造的な特徴は、機械本体の販売と、納入後に発生する保守・部品・消耗品収入の組み合わせです。遊戯機械セグメントで「補修部材の需要が引き続き堅調」と説明されているように、後者は景気に左右されにくく、稼働台数の積み上がりが安定収益になります。本体工事の受注は個別案件ごとの採算のブレが大きく、今回の舞台設備セグメントの大幅増益(+62.5%)のように、単一案件の採算改善が全体の増益率を押し上げることもあれば、逆に押し下げることもあります。 第4節で見た「遊戯機械は増収でも利益率が低下し、規模の小さい舞台設備・昇降機が連結の増益率を押し上げた」という構図は、まさにこの構造の表れです。

配当政策についても、会社は「長期かつ安定的な利益還元」「当期利益の水準」に加えて「手持受注工事の期末残高」を配当決定の考慮要素として明示しています(会社公式サイト「株主還元」より)。受注残高という、工事進行基準の受注産業に特有の指標が配当判断に組み込まれている点は、このセクターの構造を反映したものと言えます。

8. 今後のスケジュール

2026年11月上旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 第2四半期(中間) 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年2月上旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 第3四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年5月中旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 通期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年8月上旬(予定)当サイト推定

2028年3月期 第1四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

次の中間決算(2026年11月上旬予定)が、第4節で示した「例年より速い利益進捗」が中間期時点でも続くか、それとも会社の据え置き判断どおり後半で伸びが鈍化するかを確認する最初の機会になります。発表日はいずれも過去の傾向からの推定で、確定日は同社IRサイトで確認が必要です。

9. 想定されるカタリスト

時期想定イベント蓋然性方向
2026年11月上旬2027年3月期 第2四半期(中間)決算両面

第1四半期時点で例年より速い利益進捗ペースが中間期でも続くか、それとも会社の据え置き判断どおり後半で伸びが鈍化するかを確認する最初の機会。

2027年3月期中舞台設備セグメントの工事採算の持続性両面

第1四半期のセグメント利益+62.5%が公共施設向け個別工事の採算改善によるものであるため、案件が入れ替わる下期以降も同水準を保てるかは不透明。

2027年3月期中通期業績予想の修正有無上振れ

過去(2026年3月期)は期初予想を2度にわたり上方修正し、最終的に修正後計画さえ上回って着地した実績がある。同じパターンが今期も繰り返されるかが焦点。

2027年3月期中配当予想(年間95円)の据え置きが維持されるか両面

前期は期初予想60円から実績90円へ2度の増額を経て着地した。今期は据え置きが続くか、前期同様に期中で増額されるかが論点。

10. 想定されるリスク

工事採算の反動リスク。 第4節のとおり、当第1四半期の増益は舞台設備・昇降機という規模の小さいセグメントの工事採算改善に支えられていました。個別工事の採算は案件ごとにばらつきが大きく、同水準の採算が続く保証はありません。

最大セグメントの利益率低下。 連結売上の68.7%を占める遊戯機械のセグメント利益率は、前年同期6.1%から当第1四半期5.2%へ低下しました。増収が続いても、主力セグメントの収益性が改善しなければ、連結利益の伸びは規模の小さいセグメントの一過性の要因に依存し続けることになります。

通期計画据え置きの理由が不透明。 利益進捗率が例年のレンジを明確に上回っているにもかかわらず、会社は据え置きの具体的な理由を説明していません。下期に反動要因を織り込んでいるのか、単に保守的なだけなのかを外部から判断する材料がありません。

有利子負債・D/Eレシオの緩やかな上昇。 当第1四半期末の有利子負債は157億92百万円、D/Eレシオは0.31倍で、前期末からわずかに増加しています。増加の使途が決算短信からは特定できておらず、今後の推移を確認する必要があります。

11. まとめ:どう判断材料にするか

2027年3月期第1四半期は、通期計画に対する利益進捗率が過去のレンジを明確に上回るという、一見強気材料に見える決算でした。しかしその中身は、連結売上の約7割を占める遊戯機械の利益率低下と、規模の小さい舞台設備・昇降機の工事採算改善という、非対称な構図でした。

判断の分かれ目は、この「速い進捗」を、前期(2026年3月期)と同じ「期初は保守的、期中で上方修正」というパターンの初期段階と見るか、それとも下期に工事採算の反動が出ることを会社が見込んだうえでの現実的な据え置きと見るかです。

前者と見るなら、PER8.09倍という水準は、通期計画がさらに上方修正される余地を織り込んでいない分、相対的に割安に見えます。後者と見るなら、進捗率の速さは規模の小さいセグメントの一過性要因によるところが大きく、会社予想EPS299.03円自体をそのまま信頼してよいかは慎重に見る必要があります。

次の確認ポイントは、2026年11月上旬に予定される中間決算です。進捗率のペースが維持されているか、そして遊戯機械のセグメント利益率が回復しているかを、まず確認してください。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 2026年11月上旬の中間決算で、営業利益の進捗ペースが失速し、通期計画(営業利益77億円)に対する中間期時点の進捗率が過去の中間期実績を明確に下回った場合。「据え置きは保守的な見立てに過ぎなかった」という前提が崩れる。
  • 舞台設備セグメントの増益(当第1四半期セグメント利益+62.5%)が特定の大型工事の採算改善によるものだったと判明し、下期以降に反動減が出て、連結営業利益の伸びが遊戯機械並みの低い伸び(同+1.6%)に近づいた場合。
  • 配当予想(年間95円)が期末に向けて減額修正された場合。過去10期(2018年3月期〜2027年3月期予想)で減配の実績はなく、前期は期初予想を50%上回って着地しているため、減額修正は株主還元姿勢の明確な転換を意味する。
  • 有利子負債・D/Eレシオが、当第1四半期末の157億92百万円・0.31倍からさらに継続的に上昇し、自己資本比率が50%を明確に割り込んだ場合。設備投資・M&A・追加の自己株式取得など、資金使途の変化を示す。

よくある質問

三精テクノロジーズの配当は100株でいくらになりますか?
2027年3月期の会社予想配当は年間95円(中間47.50円・期末47.50円)です。100株保有の場合、 年間9,500円(税引前)が目安になります。この予想は2026年5月13日の公表以降、 2026年8月6日の第1四半期決算時点でも修正されていません。
なぜ第1四半期の利益進捗が速いのに、通期の業績予想は据え置かれたのですか?
第1四半期の営業利益進捗率は13.97%(IR BANK集計)と、過去の同時期のレンジ(6.1〜11.9%)を上回るペースでした。 それでも会社は「2026年5月13日に公表した数値を見直していない」と説明するのみで、据え置きの具体的な理由は開示されていません。 増益を牽引した舞台設備セグメントの利益(前年同期比+62.5%)が個別工事の採算に左右されやすい性質を持つため、 保守的に据え置いた可能性はありますが、開示からは断定できません。
三精テクノロジーズの自己資本比率と有利子負債はどう推移していますか?
自己資本比率は2027年3月期第1四半期末で52.5%(前期末52.7%)とほぼ横ばいです。 有利子負債は157億92百万円(前期末155億59百万円)、D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)は0.31倍 (前期末0.30倍)とわずかに上昇しています。純資産の減少は、自己株式取得9億99百万円と 配当金支払いによる利益剰余金の減少(3億49百万円)が主因です。

参考文献・引用元

  1. 01
    三精テクノロジーズ株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」

    2026年8月6日開示。連結経営成績、セグメント情報(報告セグメントごとの売上高・利益)、連結財政状態(貸借対照表)、配当の状況、業績予想を参照。 / 2026/08/06 開示

  2. 02
    IR BANK「三精テクノロジーズ(6357) 業績」

    二次情報。通期の売上高・営業利益・経常利益・純利益、財務状況(総資産・純資産・自己資本比率・BPS・ROE・ROA)、キャッシュフローの5期分の時系列を参照。決算短信の実績値と整合することを確認済み。

  3. 03
    IR BANK「三精テクノロジーズ(6357) 配当」

    二次情報。配当の期初予想・期中修正・実績の10期分の履歴を参照。決算短信の配当実績と整合することを確認済み。

  4. 04
    IR BANK「三精テクノロジーズ(6357) 四半期」

    二次情報。通期計画に対する第1四半期時点の進捗率(売上高・営業利益・経常利益・純利益)と、過去の第1四半期進捗率のレンジの算出根拠として参照。決算短信の実績値と整合することを確認済み。

  5. 05
    三精テクノロジーズ株式会社 会社概要・株主還元(公式サイト)

    一次情報(会社公式サイト)。上場取引所(東京証券取引所スタンダード市場)、設立年、グループ会社(Vekoma Rides・S&S Worldwide・FORREC・テルミック等)、配当政策(長期かつ安定的な利益還元・当期利益の水準・手持受注工事の期末残高の3点を総合的に勘案)、配当基準日・支払時期を参照。