ソニーグループ(6758) 前期「赤字」は会計上の付け替え。今期のけん引役は半導体に交代
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本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。
生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。
ソニーグループ株式会社
2026/08/25 時点
株価
3,832円
時価総額
228,590億円
配当利回り
0.91%
年間35円
PER
18.6倍
PBR
2.69倍
ROE
14.5%
ROA
7.5%
純利益ベース
自己資本比率
52.2%
配当性向
17.0%
有利子負債
12,042億円
D/Eレシオ
0.14倍
有利子負債÷自己資本
※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。
この記事の結論
- 2027年3月期第1四半期は、継続事業ベースで売上高2兆8,377億71百万円(前年同期比+8.2%)、営業利益4,764億99百万円(同+40.2%)と大幅な増収増益。通期業績予想も1,720,000百万円の営業利益(前期比+18.8%)へ上方修正済みで、過去最高益水準を見込む。
- 前期(2026年3月期)の純利益は、非継続事業を含む会社全体では△3,268億65百万円の損失(EPS -54.70円)だが、これは金融事業スピンオフに伴う一時的・非資金的な会計処理(その他包括利益1兆3,777億95百万円の振替)が原因。継続事業(本業)ベースでは1兆308億93百万円の黒字(前期比-3.4%)を確保しており、資本合計・キャッシュ・フローへの影響は無いと会社が明記している。
- 今回のQ1で利益成長を最も押し上げたのは、ゲーム(G&NS、営業利益+36.6%)ではなく半導体・イメージセンサー事業(I&SS、同+125.3%)。セグメント利益構成比はI&SSが15.4%→25.2%に上昇し、G&NSは42.0%→41.7%とほぼ横ばい。「エンタメと半導体」の二本柱のうち、今けん引しているのは半導体側である。
- ただし、半導体(I&SS)の主要生産拠点は熊本県に集中しており、2026年7月28日発生の熊本地震の影響は現時点で通期業績予想に織り込まれていないと会社自身が明記している。増益基調をどこまで信頼するかは、この地震の影響が判明するまで確定しない。
- 配当は2027年3月期に年間35円(前期25円から+40.0%)を予想。会社予想ベースの利回りは3,832円に対して0.91%と、高配当株としての水準ではない。判断材料としては、利回りではなく増益・増配トレンドの持続性を見る銘柄である。
目次11項目
1. 概要
2026年8月25日時点で、ソニーグループの株価は3,832円、予想PER18.6倍、PBR2.69倍、自己資本比率52.2%という水準です。予想配当利回りは会社予想の年間35円ベースで0.91%と、高配当株としての水準ではありません。この銘柄を検討するうえでの論点は利回りではなく、増益・増配のトレンドがどこまで続くかにあります。
2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は、継続事業ベースで売上高2兆8,377億71百万円(前年同期比+8.2%)、営業利益4,764億99百万円(同+40.2%)という大幅な増収増益でした。通期の会社予想も、営業利益1兆7,200億円(前期比+18.8%)へ上方修正済みです。
一方で、前期(2026年3月期)の実績には注意が必要です。2025年10月に実行した金融事業のスピンオフに伴う一時的な会計処理により、非継続事業を含む会社全体の純利益は△3,268億65百万円の損失として開示されています。ただし本業(継続事業)だけを見ると1兆308億93百万円の黒字で、前期比ではほぼ横ばいです。この「赤字」の正体と、今回の増益を実際に牽引したのがどの事業かを、第4節で詳しく整理します。
2. 会社概要とビジネスモデル
ソニーグループは、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)・音楽・映画・エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S、旧エレクトロニクス)・イメージング&センシング・ソリューション(I&SS、半導体・イメージセンサー)の5事業を核とするコングロマリットです。2025年10月1日付で、金融事業を営んでいた完全子会社ソニーフィナンシャルグループ(SFGI)をパーシャル・スピンオフし、IFRS上は2026年3月期第1四半期から金融事業を非継続事業として区分しています。
2027年3月期第1四半期の売上構成比は、G&NSが32.3%、音楽が19.7%、映画が11.0%、ET&Sが18.8%、I&SSが17.4%です。エンタテインメント(コンテンツIP・ゲーム)と半導体という値動きの異なる事業を併せ持つ点が、同業の電機メーカーと異なる特徴です。
セグメント別の営業利益率(2027年3月期第1四半期)を見ると、I&SSが24.8%、G&NSが22.1%、音楽が19.0%と高く、ET&Sは8.0%、映画は7.9%にとどまります。同じ会社の中でも、事業ごとの収益性にはかなりの差があります。
強みと弱みの整理
強み
事業間の分散が景気サイクルの偏りを和らげる
コンテンツIP(音楽・映画・ゲーム)と半導体(イメージセンサー)は、需要の波形が異なります。片方が景気敏感でも、もう片方がそれを補う構造は、単一事業の会社にはない強みです。
半導体事業の収益性が急速に改善している
I&SSの営業利益率は2027年3月期第1四半期に24.8%まで上昇しました。同事業の営業利益は前年同期比+125.3%で、セグメント利益構成比も15.4%から25.2%に上がっています。
自己株式取得・消却による株主還元
2026年度第1四半期だけで自己株式取得に1,274億80百万円を投じ、発行済株式数は前期末から約1億8,449万株(-3.0%)減少しました。期中平均株式数も前年同期比-2.0%で、1株当たり指標の押し上げに寄与しています。
弱み
生産拠点の地理的集中リスク
I&SSの主要生産拠点は熊本県に集中しています。2026年7月28日発生の熊本地震の影響は、2026年7月31日時点で通期業績予想に織り込まれていないと会社自身が明記しています。
エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)と映画の収益性は低い
ET&Sの営業利益は2027年3月期第1四半期に前年同期比-1.3%と減益でした。営業利益率も8.0%にとどまり、G&NSやI&SSに比べて見劣りします。映画も四半期ごとの振れが大きい事業です。
会計処理の複雑さが年度比較を難しくしている
金融事業のスピンオフに伴い、2025年3月期・2026年3月期は継続事業ベースへの組み替えが行われています。2024年3月期以前の数値と単純に並べて比較することはできません。
3. 業績の推移
数値で確認する
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022/03 | 9,921,500 | 1,202,300 | — | 882,178 | 23.4% |
| 2023/03 | 10,974,300 | 1,302,300 | — | 1,005,200 | 21.2% |
| 2024/03 | 11,260,000 | 1,035,200 | — | 970,573 | 22.2% |
| 2025/03 | 12,034,917 | 1,276,635 | — | 1,067,431 | 23.2% |
| 2026/03 | 12,479,620 | 1,447,507 | — | 1,030,893 | 51.8% |
| 2027/03会社予想 | 12,500,000 | 1,720,000 | — | 1,210,000 | — |
IFRS採用会社のため、経常利益(ordinaryIncome)の開示はありません。
読み取れることは3つあります。
2024年3月期以前と2025年3月期以降は連続しない系列です。 2025年10月の金融事業スピンオフを受け、決算短信は2025年3月期・2026年3月期を継続事業ベースに組み替えて開示しています。2022〜2024年3月期には金融事業(保険・銀行等)の業績が含まれているため、この間の売上高・利益率を2025年3月期以降と単純に並べて比較することはできません。
営業利益率は2024年3月期にいったん落ち込み、その後回復しています。 2022年3月期の12.1%から2024年3月期には9.2%まで下がりましたが、2025年3月期に10.6%、2026年3月期に11.6%へ回復し、2027年3月期の会社予想では13.8%まで見込まれています。
2026年3月期は、営業利益・税引前利益が伸びる一方で、純利益(継続事業ベース)は前期比-3.4%とわずかに減少しています。 営業利益+13.4%・税引前利益+5.9%に対し純利益が減益という順序は、税負担や非支配持分の影響が例年より重く出た可能性を示唆しますが、その内訳までは本記事で参照した一次情報からは特定できませんでした。
4. 「純利益赤字」の正体と、けん引役の交代
ここが本記事の中心です。
前期の純利益には二つの数字がある
2026年3月期決算短信の脚注には、次の記載があります。非継続事業を含む連結の当社株主に帰属する当期純利益(損失)は△3,268億65百万円、1株当たり当期純利益(損失)は-54.70円です。この数字だけを見ると、ソニーは前期に大幅な赤字を計上したことになります。
しかし、同じ決算短信は続けてこう説明しています。この損失の原因は、2025年10月に実行した金融事業(ソニーフィナンシャルグループ)のパーシャル・スピンオフに伴い、金融事業が計上していた累積その他の包括利益の残高、1兆3,777億95百万円を、非継続事業からの純利益(損失)に振り替える処理を行ったためです。会社は「当該会計処理は、当社の連結財政状態計算書の資本の部における内訳項目の振替であり、資本合計及びキャッシュ・フローへの影響はなく、継続事業の損益への影響もありません」と明記しています。
実際、継続事業(本業)だけのベースでは、2026年3月期の当社株主に帰属する当期純利益は1兆308億93百万円で、前期比では-3.4%とほぼ横ばいです。ゲーム・音楽・映画・半導体といった本業は、前期に赤字転落したわけではありません。会社全体の「純利益」という言葉が、継続事業ベースか非継続事業を含む全体かで、景色がまったく異なる点には注意が必要です。他の情報源でこの銘柄の過去の純利益を確認する際は、どちらのベースの数字かを必ず確認することをおすすめします。
なお、今回のQ1決算短信で示された前年同期(2025年度第1四半期)の四半期純利益259,027百万円という数字も、継続事業ベースに事後的に組み替えた再表示値です。同じ決算短信の会計方針注記には、当時実際に開示された当社株主帰属四半期純利益が236,909百万円だったことも記載されています。今回開示された「前年同期比+32.1%」という伸び率は、この事後的な組み替え後の数字との比較であり、仮に当時の実績値と比較すると+44.4%相当になる計算です。数字自体に誤りがあるわけではありませんが、比較の分母が年度によって変わりうる過渡期であることは押さえておく必要があります。
今回のQ1で伸びたのは、ゲームより半導体
セグメント別の営業利益(2026年度第1四半期、前年同期比)を並べます。
| セグメント | 2025年度第1四半期 | 2026年度第1四半期 | 増減率 | 利益構成比 |
|---|---|---|---|---|
| I&SS(半導体・イメージセンサー) | 542億51百万円 | 1,222億03百万円 | +125.3% | 15.4%→25.2% |
| G&NS(ゲーム) | 1,479億57百万円 | 2,020億14百万円 | +36.6% | 42.0%→41.7% |
| 音楽 | 928億07百万円 | 1,058億82百万円 | +14.1% | - |
| 映画 | 186億65百万円 | 248億09百万円 | +32.9% | - |
| ET&S | 431億43百万円 | 426億01百万円 | -1.3% | - |
出典:2027年3月期第1四半期決算短信(セグメント情報)
ソニーの事業ポートフォリオが「エンタテインメントと半導体」の二本柱であること自体は妥当な見立てですが、今回のQ1決算で利益成長を最も押し上げたのはゲームではなく半導体・イメージセンサー事業(I&SS)でした。I&SSの営業利益は前年同期の2倍以上に増え、セグメント利益全体(全社調整前)に占める構成比は15.4%から25.2%へ、10ポイント近く上昇しています。G&NSも+36.6%と伸びていますが、構成比自体はほぼ横ばいです。
I&SSの成長は、スマートフォン向けイメージセンサーの需要動向に左右される事業です。一過性の需要増なのか、構造的なシェア拡大・単価上昇なのかは、今回のQ1だけでは判断できません。次の四半期以降、この構成比が上昇を続けるかどうかが、この会社の利益構造を占う材料になります。
5. 配当の推移
| 決算期 | 期初予想 | 年間配当 | 期初比 | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|
| 2022/03 | — | 65円 | — | 9.1% |
| 2023/03 | — | 75円 | — | 9.2% |
| 2024/03 | — | 85円 | — | 10.8% |
| 2025/03 | — | 20円 | — | 11.3% |
| 2026/03 | 25円 | 25円 | 0円 | 14.5% |
| 2027/03会社予想 | 35円 | 35円 | — | — |
- 2024/03:2024年10月1日付の1→5株式分割前の金額。分割調整後の現在株数換算では単純計算で17.00円相当になる。
- 2025/03:2024年10月の1→5株式分割をまたぐ期。会社開示の分割調整後ベースで統一した。分割前基準の中間配当は実際には50.00円だったが、単純合算はできない。
- 2027/03:会社はEPS予想を開示していないため、配当性向は公式には算出されていない。
配当は増配基調です。2026年3月期の実績25円(配当性向14.5%)に対し、2027年3月期は会社予想で年間35円(前期比+40.0%)です。会社は継続事業ベースの利益に対して配当性向を算定しており、2026年3月期の14.5%は稼いだ利益に対しては控えめな水準です。
注意すべきは利回りの絶対水準です。 2026年8月25日の株価3,832円に対して、会社予想35円ベースの利回りは0.91%にとどまります。会社はEPS予想を開示していないため、配当性向を公式に算出することはできません。参考までに、市場推計のEPS予想206.05円を使うと配当性向はおおむね17%程度になりますが、これはあくまで二次情報ベースの参考値です。
ソニーは配当と同時に大規模な自己株式取得を組み合わせた株主還元を行っています。2026年度第1四半期の自己株式取得額は1,274億80百万円で、配当だけでなく発行済株式数の削減を通じた1株当たり指標の改善も進めています。配当利回りの低さを補う要素として、この自己株買いの規模も判断材料になります。
6. 会社の現状と直近の動き
2026年度Q1末(2026年6月30日)時点の財政状態を見ます。資産合計は1兆6,047億30百万円、資本合計(純資産)は8,774億93百万円、株主資本比率は52.2%です。
自己資本比率は2025年3月期の23.2%から2026年3月期に51.8%へ急上昇していますが、これは財務体質の改善によるものではありません。 総資産も同時期に35兆2,931億73百万円から15兆6,834億90百万円へ半分以下に減少しています。原因は、金融事業(保険・銀行業)が連結から外れたことです。金融業は業態上バランスシートが巨大かつ自己資本比率が低くなりやすく、この事業が抜けたことで見た目の自己資本比率が大きく変わりました。実質的なデレバレッジ(負債圧縮)が進んだわけではない点に注意が必要です。
有利子負債は2025年度末の1兆419億86百万円から、2026年度Q1末には1兆2,041億71百万円に増えました。D/Eレシオ(有利子負債÷株主資本)は0.128倍から0.144倍への上昇です。この四半期での増加の具体的な要因は、本記事で参照した一次情報からは特定できませんでした。ただし、今後さらに上昇する要因は判明しています。2026年7月15日、音楽分野の連結子会社が音楽資産(ミュージック・カタログ)を保有する会社の全持分を、現金約2,600億円で取得すると発表しました。 この結果、約5,500億円のコンテンツ資産と、約3,100億円の長期借入債務を新たに認識する見込みです。この借入債務はQ1末の貸借対照表にはまだ反映されておらず、次の中間決算でD/Eレシオが今回の0.144倍より上昇する可能性が高いといえます。
キャッシュ・フローにも注意が必要です。2026年度第1四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは、継続事業ベースで1,974億35百万円と、前年同期の2,538億81百万円から-22.2%減少しました。 純利益(四半期)は前年同期比で+32.1%増えている一方、営業キャッシュ・フローはむしろ減っています。棚卸資産・コンテンツ資産の積み増しと法人所得税支払額の増加が影響したとみられます。利益の伸びほどキャッシュ創出力が伸びていない点は、今後の四半期で改善するかを確認すべきポイントです。
7. 業界とセクターの状況
ソニーが属する電機・エンタテインメントセクターには、個社の努力では変えられない構造的な制約がいくつかあります。
半導体市況とスマートフォン需要への連動。 I&SSの業績は、スマートフォン向けカメラの高性能化・多眼化のトレンドと、スマートフォン市場全体の需要に左右されます。これは業界共通の制約で、ソニー単独でコントロールできるものではありません。
生産拠点の地理的集中という半導体業界特有のリスク。 半導体製造は巨額の設備投資を要するため、生産能力を一拠点に集中させることでコストを下げる構造になりやすい業界です。ソニーのイメージセンサー生産拠点が熊本県に集中していることは、この業界構造の裏返しであり、自然災害リスクをその分だけ引き受けていることになります。
コンテンツ事業のヒット依存度。 音楽・映画・ゲームソフトの業績は、個別タイトルのヒットに左右されやすく、四半期ごとの振れが大きくなりがちです。今回のQ1で映画の営業利益が+32.9%と伸びた一方、売上高は-4.3%だったことも、この事業特性の表れです。
研究開発・設備投資の先行負担。 半導体・ゲーム機ハードウェアともに、投資が先行し回収は数年後になる事業です。投資回収サイクルの長さが、四半期ごとの収益のブレを生みやすい構造は、業界共通のものです。
8. 今後のスケジュール
2027年3月期 第2四半期(中間) 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年3月期 第3四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年3月期 通期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2028年3月期 第1四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
発表日はいずれも過去の傾向からの推定です。確定日は会社のIRサイトで確認してください。
9. 想定されるカタリスト
半導体(I&SS)のセグメント利益構成比が2026年度第1四半期の25.2%からさらに上昇するか、伸びが一巡するかを確認できる最初の機会。熊本地震の影響が定量的に開示されるかも焦点。
2026年7月28日発生の地震について、会社は通期業績予想(営業利益1兆7,200億円)に現時点で織り込んでいないと明記している。影響が判明すれば予想の修正材料になる。
2026年7月15日発表の買収により、約5,500億円のコンテンツ資産と約3,100億円の長期借入債務を新たに認識する見込み。音楽セグメントの成長寄与と、D/Eレシオの上昇が同時に進む。
2026年度第1四半期だけで自己株式取得に1,274億80百万円を投じ、発行済株式数は前期末から約1億8,449万株減少した。1株当たり指標を押し上げる要因として働き続ける可能性がある。
10. 想定されるリスク
第2節の強みと同じ分量で、弱気材料を整理します。
熊本地震による生産・供給への影響。 I&SSの主要生産拠点が集中する熊本県で2026年7月28日に地震が発生しました。会社は2026年7月31日時点で、この影響を通期業績予想に織り込んでいないと明記しています。影響の規模・時期は現時点で特定できません。
キャッシュ創出力の鈍化。 2026年度第1四半期の営業キャッシュ・フローは継続事業ベースで前年同期比-22.2%でした。純利益の伸び(同+32.1%)とは逆方向の動きで、利益の質という観点では注視が必要です。
財務レバレッジの上昇余地。 音楽カタログ買収に伴う約3,100億円の新規長期借入債務の認識により、D/Eレシオは今回算出した0.144倍からさらに上昇する見込みです。M&Aによる有利子負債の積み増しが今後も続くかどうかは確認すべき点です。
配当利回りの低さ。 会社予想ベースの利回りは0.91%です。増配・自己株買いのペースは速いものの、インカムゲイン目的でこの銘柄を検討する場合、利回り自体は高くない点は押さえておく必要があります。
会計処理の複雑さによる比較の難しさ。 金融事業スピンオフに伴う組み替えにより、2024年3月期以前と2025年3月期以降の数値は単純比較できません。同種の事業再編が今後も起きれば、年度比較のたびに同様の注意が必要になります。
11. まとめ:どう判断材料にするか
事業面では、2027年3月期第1四半期は増収増益、通期の会社予想も上方修正済みで過去最高益水準です。前期の「純利益赤字」という表示は、金融事業スピンオフに伴う一時的・非資金的な会計処理が原因であり、継続事業ベースではほぼ横ばいの黒字を確保しています。
判断の分かれ目は、大きく2つあります。
1つ目は、今回の増益をどこまで信頼するかです。 増益の主エンジンは半導体・イメージセンサー事業(I&SS)に移りつつありますが、その主要生産拠点は2026年7月の熊本地震の被災地域に集中しています。会社自身、この影響を通期予想に織り込んでいないと明記しています。地震の影響が軽微だったと確認できるまでは、通期予想1兆7,200億円の営業利益を確定的なものとして扱うべきではないというのが本記事の見立てです。
2つ目は、この銘柄に何を求めるかです。 予想配当利回り0.91%は高配当株の水準ではなく、この銘柄をインカムゲイン目的で検討するのは前提が合いません。一方で、増配率+40.0%・大規模な自己株買いという株主還元の勢いや、事業ポートフォリオの分散という観点で評価するなら、判断材料は違ってきます。
利回りの低さを許容してでも増益・増配トレンドと事業分散を評価するか、それとも熊本地震の影響が確認できるまで様子を見るか。 この2点が、次の中間決算(2026年11月上旬予定)までに確認しておくべき分かれ目になります。
この記事の見立てが外れたと判断する条件
以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。
- 熊本地震の影響が今後の決算で顕在化し、通期の営業利益予想1,720,000百万円を明確に下回った場合。会社は2026年7月31日時点で、この地震の影響を業績予想に織り込んでいないと明記している。
- 半導体(I&SS)の営業利益成長率が今後鈍化し、セグメント利益構成比が2026年度第1四半期の25.2%から明確に低下に転じた場合。「けん引役が半導体に交代した」という本記事の見立ては崩れる。
- 営業活動によるキャッシュ・フローの減少が今後も続き、純利益の伸びとの乖離が四半期を追うごとに拡大した場合。2026年度第1四半期は継続事業ベースで前年同期比-22.2%だった。
- 音楽カタログ買収に伴う約3,100億円の新規長期借入債務の認識後もD/Eレシオの上昇が続き、財務レバレッジが構造的に高まった場合。2026年度Q1末時点の0.144倍が起点になる。
- 金融事業スピンオフに類する一時的・非資金的な会計処理が今後も繰り返し発生し、開示される純利益の連続性・予測可能性が損なわれた場合。
よくある質問
- ソニーグループの2026年3月期の純利益は赤字だったのですか?
- 非継続事業(金融事業)を含む会社全体の当社株主に帰属する当期純利益は△3,268億65百万円の損失(EPS -54.70円)でした。ただしこれは、2025年10月に実行した金融事業のパーシャル・スピンオフに伴い、その他包括利益1兆3,777億95百万円を非継続事業の損益に振り替えたという一時的・非資金的な会計処理が原因です。継続事業(本業)ベースでは1兆308億93百万円の黒字(前期比-3.4%)で、会社は「資本合計及びキャッシュ・フローへの影響はない」と明記しています。
- ソニーグループの2027年3月期の配当はいくらですか?
- 会社予想は年間35円(中間17.5円・期末17.5円)です。2026年3月期の実績25円から+40.0%の増配予想になります。2026年8月25日の株価3,832円に対する予想配当利回りは0.91%で、高配当株としての利回り水準ではありません。
- ソニーグループの2027年3月期第1四半期は何が伸びたのですか?
- 連結の営業利益は前年同期比+40.2%でしたが、なかでも半導体・イメージセンサー事業(I&SS)が+125.3%と突出しました。ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)は+36.6%で、セグメント利益全体に占める構成比はI&SSが15.4%から25.2%に上昇し、G&NSは42.0%から41.7%とほぼ横ばいでした。
参考文献・引用元
- 01ソニーグループ株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」
2026年7月31日開示。連結経営成績・財政状態・配当の状況・通期業績予想・セグメント情報・キャッシュ・フロー計算書・重要な後発事象(音楽カタログ買収)・会計方針の変更を参照。 / 2026/07/31 開示
- 02ソニーグループ株式会社「2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」
2026年5月8日開示(通期)。継続事業/非継続事業を含む当期純利益の内訳、金融事業スピンオフに伴う一時的な会計処理の説明、配当の状況、株式分割の注記、有利子負債の内訳を参照。 / 2026/05/08 開示
- 03IR BANK「ソニーグループ(6758) 決算まとめ」
2022年3月期〜2024年3月期の通期業績(決算短信ベースの二次集計)として参照した。この期間は2025年10月にスピンオフした金融事業を含んでおり、2025年3月期以降(継続事業ベース)とは連続しない点に注意(2026年8月25日時点の表示)。
- 04IR BANK「ソニーグループ(6758) 配当金の推移」
2022年3月期〜2024年3月期の配当実績(決算短信ベースの二次集計、2024年10月の株式分割前の実額)として参照した(2026年8月25日時点の表示)。
- 05IR BANK「ソニーグループ(6758)」株式情報ページ
2026年8月25日終値時点の株価・時価総額・PER・PBR・ROE・ROA・BPS等の二次情報として参照した。