イントラスト(7191) 増収19.9%の内実、保証事業本体は+12.3%にとどまる
本記事をお読みになる前に
本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。
生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。
株式会社イントラスト
2026/09/18 時点
株価
1,214円
時価総額
271.61億円
配当利回り
4.08%
年間49.5円
PER
14.8倍
PBR
3.37倍
ROE
22.8%
ROA
14.3%
純利益ベース
自己資本比率
62.9%
配当性向
60.2%
有利子負債
0億円
D/Eレシオ
0.00倍
有利子負債÷自己資本
※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。
この記事の結論
- 2027年3月期第1四半期は売上高34億55百万円(前年同期比+19.9%)・営業利益7億72百万円(+17.1%)・経常利益7億72百万円(+16.6%)・純利益4億57百万円(+18.2%)の増収増益。ただし中核の保証事業単体の伸びは+12.3%にとどまり、連結全体の伸び率とは差がある。
- 伸び差の主因は2026年1月に連結子会社化したキャロルシステム(ITサービス、2億66百万円、前年同期実績なし)の新規寄与。保証事業とソリューション事業を合わせた既存事業ベースの伸びは、逆算すると概算で+10%台前半とみられる。
- 立替金は前期末比+2.7%(1億61百万円増)にとどまる一方、貸倒引当金は+6.7%(2億19百万円増)と、引当金の伸びの方が速い。立替金に対する貸倒引当金の比率は54.2%から56.3%へ上昇しており、次期以降の推移を確認する必要がある。
- 通期業績予想(売上高142億00百万円・営業利益30億00百万円・経常利益30億20百万円・純利益18億40百万円)に修正はなく、会社は今回の増収増益ペースを織り込み済みとしている。
- 配当は2026年3月期の38.00円から2027年3月期予想49.50円(+30.3%)へ大幅増配見込み。配当性向は48.7%から計算上60%台まで上昇する見込みで、利益成長ペース(会社予想の純利益+5.5%)を上回る増配が続くかが焦点。
目次11項目
1. 概要
2026年9月18日時点で、イントラストはPER14.76倍・PBR3.37倍・ROE22.8%・予想配当利回り4.08%・自己資本比率62.9%という水準です(PER・ROE・ROAは会社の2027年3月期予想ベース)。
2026年7月28日に開示された2027年3月期第1四半期決算は、売上高34億55百万円(前年同期比+19.9%)・営業利益7億72百万円(+17.1%)・純利益4億57百万円(+18.2%)と、いずれも前年同期を上回る増収増益でした。
ただし、この増収率をそのまま「事業の勢い」と受け取るのは早計です。事業別の内訳を見ると、中核である保証事業(家賃債務保証・医療費用保証・介護費用保証)単体の伸びは+12.3%にとどまっています。 連結全体の伸び率+19.9%との差は、2026年1月に連結子会社化したITサービス会社キャロルシステムの新規寄与によるものです。増収の質をどう見るか、あわせて立替金・貸倒引当金の増加ペースがどうなっているかを、4節で詳しく確認します。
2. 会社概要とビジネスモデル
株式会社イントラスト(東証スタンダード)は、家賃債務保証を主力に、医療費用保証・介護費用保証などを展開する保証会社です。開示上は「総合保証サービス事業」という単一セグメントですが、決算短信の事業別内訳では、保証事業・ソリューション事業・ITサービスの3つに分けて売上高が開示されています。2027年3月期第1四半期の内訳は、保証事業2,985百万円(構成比約86%)、ソリューション事業203百万円(約6%)、ITサービス266百万円(約8%)です。
保証事業の収益は、新規契約時に受け取る初回保証料と、契約継続時に受け取る更新保証料からなります。更新保証料はストック性が高く、契約残高が積み上がるほど安定的に積み上がる収益です。2026年1月には、ITサービス会社キャロルシステム株式会社を連結子会社化し、保証事業以外の収益源を加えました。
強みと弱みの整理
強み
実質無借金・高い自己資本比率
2026年6月末時点で有利子負債は実質ゼロ(借入金・社債の該当項目なし)、自己資本比率は62.9%です。保証料収入モデルのため、自ら資金を貸し付ける消費者金融・信販会社ほど資金調達に依存しません。
ストック性の高い保証料収入と事業領域の拡大
更新保証料は契約が続く限り積み上がる収益です。家賃債務保証に加え、医療費用保証・介護費用保証でも新規開拓が進み、既存先からの契約も伸びています。
大幅な増配トレンド
年間配当は2023年3月期14.00円から2026年3月期38.00円まで4期で2.7倍に増えました。2027年3月期は49.50円を予想しています。
弱み
貸倒引当金の伸びが立替金の伸びより速い
2026年6月末の立替金は前期末比+2.7%(1億61百万円増)にとどまる一方、貸倒引当金は+6.7%(2億19百万円増)と、引当金の方が速いペースで積み上がっています。保証履行(代位弁済)リスクの動きとして次期以降の推移を見る必要があります。
増収の質 — 中核事業単体の伸びは連結全体より緩やか
2027年3月期第1四半期の連結売上高+19.9%のうち、中核の保証事業単体の伸びは+12.3%です。伸び差は新規連結したITサービス(キャロルシステム)の寄与によるもので、既存事業だけの実力ベースの成長率はより緩やかとみられます。
配当性向の急上昇
配当性向は2024年3月期32.8%から2026年3月期48.7%へ上昇し、2027年3月期予想は計算上60%台に乗る見込みです。増配ペースが利益成長ペース(会社予想の純利益+5.5%)を上回っており、上昇トレンドがどこまで続くかが論点です。
3. 業績の推移
数値で確認する
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 営業CF | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022/03 | 4,943 | 1,184 | 1,179 | 779 | — | 70.3% |
| 2023/03 | 6,491 | 1,627 | 1,625 | 1,005 | 2,783 | 65.2% |
| 2024/03 | 8,971 | 2,073 | 2,070 | 1,227 | 288 | 63.1% |
| 2025/03 | 10,572 | 2,329 | 2,345 | 1,360 | 1,535 | 61.8% |
| 2026/03 | 12,283 | 2,766 | 2,797 | 1,744 | 1,690 | 63.1% |
| 2027/03会社予想 | 14,200 | 3,000 | 3,020 | 1,840 | — | — |
注意点:2023年3月期以前(2022年3月期・2023年3月期)は非連結(単体)決算、2024年3月期以降は連結決算です。 2024年3月期の決算短信自体が「2023年3月期の対前期増減率は記載していない」としているため、この2期間をまたぐ伸び率は単純比較できません。グラフ上も、この境目で決算の集計範囲が変わっている点に注意してください。
読み取れることは3つあります。
増収は単体・連結を通じて続いている。 2022年3月期の49億43百万円(単体)から、2026年3月期は122億83百万円(連結)まで拡大しました。連結移行後だけでも2024年3月期89億71百万円→2026年3月期122億83百万円と、3期で約37%増えています。
営業利益率はゆるやかに低下している。 単体だった2023年3月期は営業利益率25.1%でしたが、連結初年度の2024年3月期は23.1%、2026年3月期は22.5%、2027年3月期の会社予想では21.1%まで下がる見込みです。増収は続いているものの、利益率は緩やかに切り下がる方向にあります。
純利益は経常利益とほぼ同水準で推移している。 2026年3月期は経常利益27億97百万円に対し純利益17億44百万円で、税負担後もおおむね自然な目減り幅です。特別損益による利益のブレが大きい会社ではないと読めます。
4. 増収19.9%の内実 — 保証事業本体は+12.3%、貸倒引当金の伸びも点検
前節までで確認した増収基調そのものは事実ですが、2027年3月期第1四半期の決算短信をよく見ると、増収率の「中身」に注意が必要な点が2つあります。
事業別に見ると、連結全体の伸びと保証事業単体の伸びには差がある
| 項目 | Q1実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 連結売上高 | 34億55百万円 | +19.9% |
| うち保証事業 | 29億85百万円 | +12.3% |
| うちソリューション事業 | 2億03百万円 | -8.9% |
| うちITサービス | 2億66百万円 | 前年同期実績なし(新規連結) |
出典:2027年3月期第1四半期決算短信
ITサービス(2億66百万円)は、2026年1月に連結子会社化したキャロルシステム株式会社の寄与で、前年同期には存在しなかった売上です。この新規連結分を除いた保証事業とソリューション事業だけの合計は31億88百万円になります。
それぞれの伸び率から前年同期の金額を逆算すると、保証事業は約26億58百万円、ソリューション事業は約2億23百万円で、合計は約28億81百万円です。これに対して今期の31億88百万円は、概算で10.7%程度の伸びにとどまります。 連結全体の見出しの伸び率+19.9%は、新規連結したITサービスの寄与を含んだ数字であり、既存事業だけの実力ベースの伸びはこれより緩やかだと考えられます(逆算値のため概算です)。
なお、四半期1期だけの数字であり、この伸び率の鈍化が一時的なブレなのか、それとも今後も続くトレンドなのかは、この決算だけでは判断できません。2026年3月期通期の保証事業を含む連結増収率は+16.2%、2025年3月期は+17.9%だったことと比べると見劣りしますが、通期と単一四半期を単純に並べて断定することは避けるべきです。次の四半期以降の推移を確認する必要があります。
立替金より貸倒引当金の方が速く増えている
保証事業の実態を見るうえでもう1つ確認すべきなのが、立替金(代位弁済した家賃等)と貸倒引当金の残高です。
| 項目 | 2026年3月末 | 2026年6月末 | 増減 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 立替金 | 60億48百万円 | 62億09百万円 | +1億61百万円 | +2.7% |
| 貸倒引当金 | △32億77百万円 | △34億97百万円 | △2億19百万円 | +6.7% |
出典:2027年3月期第1四半期決算短信「財政状態」
立替金の増加ペース(+2.7%)に対して、貸倒引当金の増加ペース(+6.7%)の方が2倍以上速く、保証事業の増収率+12.3%と比べても引当金の伸びの方が目立ちます。立替金に対する貸倒引当金の比率も、2026年3月末の54.2%(32億77百万円÷60億48百万円)から2026年6月末は56.3%(34億97百万円÷62億09百万円)へ上昇しました。
これだけで保証履行(代位弁済)リスクが悪化したと断定することはできません。引当金の積み増しは保守的な会計処理の結果である可能性もありますし、四半期1期分の変化にすぎないためです。ただし、増収の質を評価するうえで、次期以降もこの比率が上昇を続けるかどうかは要観察のポイントです。
利益面:営業利益の伸びは売上の伸びより低い
営業利益は7億72百万円(+17.1%)で、売上高の伸び+19.9%を下回りました。決算短信は、保証事業の増収に伴って管理会社への業務委託手数料や家賃決済に係る手数料等が増加したことを要因として挙げています。一方で、貸倒費用(当期の費用計上分)は安定的に推移し、費用増加を一定水準に抑制できたとも説明しています。
それでも会社は、通期の業績予想(売上高142億00百万円・営業利益30億00百万円・経常利益30億20百万円・純利益18億40百万円)を今回の決算で修正していません。Q1の増収率が新規連結の寄与込みであることを踏まえると、会社は上期の勢いをそのまま通期に単純外挿しているわけではなく、もともと保守的な予想を置いていたか、下期にかけての反動を見込んでいる可能性があります。
5. 配当の推移
| 決算期 | 期初予想 | 年間配当 | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2022/03 | — | 12円 | 34.4% |
| 2023/03 | — | 14円 | 31.1% |
| 2024/03 | — | 18円 | 32.8% |
| 2025/03 | — | 25円 | 41.1% |
| 2026/03 | — | 38円 | 48.7% |
| 2027/03会社予想 | 49.5円 | 49.5円 | 60.2% |
- 2024/03:この期から連結決算に移行。
- 2026/03:前期実績25.00円から38.00円へ増配。
- 2027/03:2026年5月13日公表の予想から修正なし。予想EPS82.24円に対する配当性向は当サイト算出で60.2%(前期実績48.7%からさらに上昇する計算)。
配当は明確な増配トレンドです。2023年3月期の14.00円から、2026年3月期は38.00円まで、3期で約2.7倍になりました。2027年3月期は49.50円を予想しており、これは2026年5月13日の公表から修正されていません。会社が予想を明示しているため、冒頭の予想配当利回り4.08%はそのまま使えます。
注目すべきは配当性向の推移です。2023年3月期31.1%→2024年3月期32.8%→2025年3月期41.1%→2026年3月期48.7%と、一貫して切り上がっています。2027年3月期予想の配当49.50円を会社予想EPS82.24円で割ると、配当性向は当サイト算出で60.2%になります。(この数値自体は会社が明示的に開示したものではなく、公表済みの配当予想とEPS予想から算出した参考値です)
配当性向がここまで上昇すると、増配ペースが利益成長ペースを上回っている状態です。2027年3月期の会社予想では純利益の伸びは+5.5%にとどまる一方、配当は+30.3%の増額予想です。財務基盤(自己資本比率62.9%・有利子負債ゼロ)を踏まえれば還元余力自体は大きいと見られますが、この上昇トレンドがどこまで続くかは、今後の配当政策の発表を確認する必要があります。
6. 会社の現状と直近の動き
財政状態:総資産・純資産はわずかに減少
2026年6月末(Q1末)時点の財政状態は次のとおりです。
| 項目 | Q1末(2026年6月末) | 前期末(2026年3月末) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 128億23百万円 | 128億53百万円 | -29百万円 |
| 純資産 | 81億00百万円 | 81億35百万円 | -34百万円 |
| 自己資本 | 80億71百万円 | 81億07百万円 | -36百万円 |
| 自己資本比率 | 62.9% | 63.1% | -0.2pt |
出典:2027年3月期第1四半期決算短信「財政状態」
純資産がわずかに減った理由は明確です。四半期純利益4億57百万円を計上した一方、配当の支払いで4億58百万円が流出し、両者がほぼ相殺されました。有利子負債は借入金・社債とも貸借対照表に該当項目がなく、実質ゼロのままです。 つまり今回の自己資本比率の低下(63.1%→62.9%)は負債の積み増しによるものではなく、配当支払いが利益計上とほぼ同額だったこと、加えて資産側で立替金(+1億61百万円)や前受収益(+3億44百万円、負債側)が動いたことによる、資産・負債構成の変化が主因と考えられます。D/Eレシオは有利子負債がゼロのため、この期も0.00倍のままです。
キャロルシステムの連結子会社化
2026年1月、イントラストはITサービス会社キャロルシステム株式会社を連結子会社化しました。第1四半期はこの会社化後、初めて四半期を通じて連結される期間となり、ITサービスとして266百万円の売上高が計上されています。この子会社化の目的や取得価額などの詳細は、本記事で参照した第1四半期決算短信からは確認できませんでした。
7. 業界とセクターの状況
イントラストが属する家賃・信用保証サービス業は、賃貸住宅の家賃債務保証や医療費用・介護費用保証など、個人の支払いを保証して保証料(初回保証料・更新保証料)を受け取るビジネスです。立替払い(代位弁済)は発生しますが、消費者金融・信販会社のように自ら資金を融資して残高に利息を積み上げる業態ではありません。そのため、同じ「保証」でも与信保証(残高への利ざや型)の会社とは自己資本比率の水準がまったく異なり、消費者金融と同じ基準(一桁台が普通)で比較すべきではありません。イントラストの自己資本比率62.9%も、この業態の構造から自然に高くなる水準です。
このセクターでは、新規契約の量が賃貸住宅の新設着工戸数や管理会社との提携網の広さに左右される一方、個人の雇用・所得環境の悪化は保証履行(代位弁済)の増加という形で遅れて業績に表れます。単一セグメントで開示する会社が多いため、事業別の売上高内訳(本体の保証事業とソリューション・ITサービス等)から実質的な牽引役を読み解く必要があり、今回の記事の4節はまさにこの点を扱っています。また、立替金とそれに対する貸倒引当金の残高・増加ペースを、保証事業の売上高の伸びと比較する視点が欠かせません。引当金が売上より速く積み上がっていれば、増収の質(回収可能性)に注意が必要というのは、このセクターに共通する読み方です。
同業他社との横並び比較は、当サイトでこのセクターを扱う記事が本記事が最初のため、今回は行っていません。
8. 今後のスケジュール
2027年3月期 第2四半期(中間) 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年3月期 第3四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年3月期 通期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2028年3月期 第1四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
次の決算(中間期)は、保証事業単体の増収率が+12.3%からどう動くか、また立替金・貸倒引当金の比率がさらに上昇するかどうかを確認する最初の機会になります。発表日は過去の傾向からの推定であり、確定日は同社IRサイトで確認してください。
9. 想定されるカタリスト
通期予想据え置きのなか、保証事業単体の増収率が+12.3%からリバウンドするか、さらに鈍化するかを確認できる最初の機会。
家賃債務保証の新規契約数を左右する外部要因。着工戸数が鈍化すれば新規契約ペースにも影響しうる。
2026年1月連結のITサービス事業が通期でフル寄与する期間が長くなるほど、連結売上高への寄与度は増す見込み。
10. 想定されるリスク
増収の質のリスク。 4節のとおり、連結売上高の伸び+19.9%のうち、新規連結したITサービスの寄与を除いた既存事業ベースの伸びは概算で+10%台前半にとどまります。保証事業単体の伸びが今後さらに鈍化した場合、連結の増収率自体も新規連結効果が一巡するとともに鈍化する可能性があります。
保証履行(代位弁済)リスク。 貸倒引当金の増加ペース(+6.7%)が立替金の増加ペース(+2.7%)を上回っており、立替金に対する引当金の比率は54.2%から56.3%へ上昇しました。四半期1期分の変化であり断定はできませんが、次期以降も同じ傾向が続けば、保証履行リスクの高まりを示唆します。
配当性向上昇の持続可能性リスク。 配当性向は2024年3月期32.8%から2027年3月期予想では計算上60%台まで上昇する見込みです。増配ペースが利益成長ペースを上回る状態が続けば、将来的に増配ペースの鈍化や配当方針の見直しにつながる可能性があります。
利益率低下のリスク。 売上高営業利益率は2023年3月期の25.1%から2027年3月期の会社予想では21.1%まで緩やかに低下する見通しです。保証事業の増収に伴う業務委託手数料・家賃決済手数料等のコスト増が、この先も利益率を圧迫し続ける可能性があります。
11. まとめ:どう判断材料にするか
2027年3月期第1四半期は、見出しの数字(売上高+19.9%・純利益+18.2%)だけを見れば強い決算に見えます。しかし、その伸びの相当部分は2026年1月に連結子会社化したITサービス事業の新規寄与によるもので、中核の保証事業単体の伸びは+12.3%にとどまります。あわせて、立替金より貸倒引当金の方が速いペースで増えている点も、増収の質を評価するうえで無視できない材料です。
判断の分かれ目は、この四半期の保証事業の伸び鈍化と引当金の増加ペースを、単なる四半期ごとのブレと見るか、それとも増収の質が変わりつつあるシグナルの兆しと見るかです。 前者であれば、次の四半期以降に保証事業の伸び率が回復し、引当金の比率上昇も落ち着くはずです。後者であれば、中間期以降も保証事業の伸びが一桁台にとどまり、貸倒引当金の比率がさらに上昇していくと考えられます。
予想配当利回り4.08%(会社予想ベース)や自己資本比率62.9%・実質無借金という財務基盤は、この会社の安定性を裏付ける材料です。一方で、配当性向が計算上60%台まで上昇している点は、増配ペースの持続可能性という別の論点も投げかけています。次の確認ポイントは、2026年11月上旬に予定される第2四半期(中間)決算です。保証事業単体の増収率と、立替金に対する貸倒引当金の比率の推移を確認してください。
この記事の見立てが外れたと判断する条件
以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。
- 2026年11月公表の第2四半期累計で、保証事業単体の増収率が+12.3%からさらに鈍化し一桁台に落ち込んだ場合。新規契約の減速が一時的でないことになり、増収の質への懸念が強まる。
- 立替金に対する貸倒引当金の比率(2026年6月末で56.3%=34億97百万円÷62億09百万円、前期末は54.2%)が2027年3月期を通じてさらに上昇し、貸倒費用の増加が保証事業の売上の伸びを上回るペースで拡大した場合。保証履行リスクの悪化を示す。
- 2027年3月期の配当予想49.50円が期中で減額修正された場合、あるいは配当性向が計算上60%台からさらに切り上がる増配が続いた場合。利益成長を上回るペースでの株主還元は持続可能性に疑問符がつく。
- 2027年3月期通期の会社予想(営業利益30億00百万円・純利益18億40百万円)が下方修正された場合。今回据え置かれた通期予想の前提が崩れたことになる。
よくある質問
- イントラスト(7191)の配当は100株でいくらになりますか?
- 2027年3月期の会社予想配当は年間49.50円(中間24.50円・期末25.00円)です。100株保有した場合、 単純計算で年間4,950円(税引前)になります。この予想は2026年5月13日の公表から修正されておらず、 2027年3月期第1四半期決算時点でも据え置かれていますが、期中で修正される可能性はあります。
- なぜ増収増益なのに保証事業の伸びは鈍化しているように見えるのですか?
- 2027年3月期第1四半期の連結売上高は前年同期比+19.9%ですが、この中には2026年1月に連結子会社化した ITサービス会社キャロルシステムの寄与(2億66百万円、前年同期実績なし)が含まれます。中核の保証事業 単体の伸びは+12.3%にとどまっており、既存事業だけで見た成長ペースは連結全体の数字より緩やかです。
- イントラストの自己資本比率が高いのはなぜですか?
- 家賃債務保証などの保証事業は、自ら資金を貸し付けて残高に利息を積み上げる消費者金融・信販会社とは 異なり、保証料収入を主な収益源とするビジネスモデルです。有利子負債による資金調達への依存度が低いため、 2026年6月末時点で自己資本比率62.9%、有利子負債は実質ゼロ(借入金・社債の残高なし)となっています。
参考文献・引用元
- 01
株式会社イントラスト「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
2026年7月28日開示。第1四半期の売上高・事業別内訳・各利益・財政状態・貸借対照表の増減・通期業績予想(据え置き)・配当予想を参照。 / 2026/07/28 開示
- 02
株式会社イントラスト「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
2026年5月13日開示。2026年3月期通期実績、2027年3月期の期初業績予想・配当予想を参照。 / 2026/05/13 開示
- 03
株式会社イントラスト「2025年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
2025年5月9日開示。2025年3月期通期実績を参照。 / 2025/05/09 開示
- 04
株式会社イントラスト「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
2024年5月10日開示。連結決算移行初年度の実績。2023年3月期との対前期増減率は短信自体が「記載なし」としている。 / 2024/05/10 開示
- 05
株式会社イントラスト「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」
2023年5月12日開示。2023年3月期・2022年3月期はいずれも非連結(単体)決算。 / 2023/05/12 開示
- 06IR BANK「イントラスト(7191)」
株価・時価総額の確認に二次情報として参照(2026年9月18日時点の表示)。
- 07Yahoo!ファイナンス「イントラスト(7191)」
株価のクロスチェックに参照(2026年9月18日終値、IR BANKと完全一致を確認)。