四半期分析機械2026/9期 Q3

IMV(7760) 9か月累計は増収増益も、受注高は横ばい・第3四半期単体は減益

2026/09/24 公開2026/09/24 更新6分で読了対象決算:2026年9月期 第3四半期

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

IMV株式会社

東証スタンダード 7760 ・ 9月期決算

2026/09/17 時点

株価

2,058円

時価総額

328億円

配当利回り

1.46%

年間30円

PER

17.7倍

PBR

2.50倍

ROE

17.5%

ROA

12.1%

経常利益ベース

自己資本比率

51.8%

配当性向

25.8%

有利子負債

31億円

D/Eレシオ

0.24倍

有利子負債÷自己資本

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 9か月累計は売上高155億10百万円(前年同期比+21.8%)、営業利益19億89百万円(同+22.9%)、経常利益22億27百万円(同+25.1%)、純利益15億45百万円(同+12.0%)と、数字だけを見れば増収増益です。ただし、増収の主因を受注動向まで遡ると、話は単純ではありません。
  • 9か月累計の受注高は170億02百万円で前年同期比+0.1%とほぼ横ばいです。今期の増収は主に受注残高16,955百万円(前期末比+6.7%)の取り崩しによるもので、新規受注が伸びているわけではありません。Aと見るなら「厚い受注残があるので当面の売上は下支えされる」、Bと見るなら「新規受注の勢いが止まっており、受注残を食い尽くした後の反動が懸念される」となります。
  • 各四半期の累計開示を差分計算すると、第3四半期(2026年4〜6月)単体は営業利益△16.5%、経常利益△34.4%、純利益△55.4%と、前年同期を下回っています。9か月累計の好調な数字は主に第1・第2四半期の実績に支えられており、直近四半期の勢いはむしろ鈍化しています。
  • 通期予想は据え置き(売上高200億円、営業利益24億円、経常利益24億円、純利益18億50百万円)ですが、9か月累計の実績から逆算すると、残る第4四半期は前年同期比で大幅な減益を織り込んだ形になります。一方で同社は前期(2025年9月期)も第3四半期時点で通期予想を据え置いたまま、実際には売上・利益とも大きく上振れて着地した実績があります。今回も同じパターンを繰り返すのか、今度こそ据え置きの水準に着地するのかは、現時点の一次情報からは判別できません。
目次11項目
  1. 1. 概要
  2. 2. 会社概要とビジネスモデル
  3. 3. 業績の推移
  4. 4. 受注高は横ばい、直近四半期は減益——9か月累計の好調さをどう読むか
  5. 5. 配当の推移
  6. 6. 会社の現状と直近の動き
  7. 7. 業界とセクターの状況
  8. 8. 今後のスケジュール
  9. 9. 想定されるカタリスト
  10. 10. 想定されるリスク
  11. 11. まとめ:どう判断材料にするか

1. 概要

IMV(7760)は振動試験機・振動シミュレーションシステムの専業メーカーです。2026年9月期第3四半期(9か月累計、2025年10月〜2026年6月)は、売上高155億10百万円(前年同期比+21.8%)、営業利益19億89百万円(同+22.9%)、経常利益22億27百万円(同+25.1%)、純利益15億45百万円(同+12.0%)と、見た目には増収増益が続いています。

2026年9月17日時点の株価2,058円をもとにすると、PER17.70倍(会社予想EPS116.28円ベース)、PBR2.50倍(2026年6月末の1株当たり自己資本824.60円ベース)、予想配当利回り1.46%(会社予想の年間配当30.00円ベース)、自己資本比率51.8%です。

ただし、この9か月累計の好調さを鵜呑みにできない材料が2つあります。1つは受注高がほぼ横ばいで、増収の中身が受注残高の取り崩しに支えられていること。もう1つは、四半期ごとに分解すると直近の第3四半期単体は減益だったことです。第4節でこの2点を詳しく見ていきます。

2. 会社概要とビジネスモデル

IMVは振動試験機・振動シミュレーションシステムのメーカーです。有価証券報告書・決算短信のセグメント情報でも「振動に関する単一事業のためセグメント情報は記載せず」と明記されている、事業ドメインを振動に特化した専業メーカーですが、品目別に3つの区分を任意開示しています。

  1. 振動シミュレーションシステム(主力、9か月累計販売実績の75.4%)— 振動試験機本体。国内外の航空宇宙産業・自動車産業の次世代開発向け設備投資需要が中心の顧客層です。
  2. テスト&ソリューションサービス(19.5%)— 航空宇宙関連の振動試験・EMC試験の受託、既納入機の保守・修理サービス。
  3. メジャリングシステム(5.1%)— 防災関連の振動計・監視装置。

本体販売が主力である一方、保守・修理や試験受託のサービス収入も一定の比率を占めており、本体販売ほど需要変動を受けにくい収益源になっています。

強みと弱みの整理

強み

  • 振動試験機という専門分野での高いシェア

    国内外の航空宇宙産業・自動車産業の次世代開発投資という、景気循環だけでなく技術革新にも連動する需要を取り込んでいます。2022年9月期から2025年9月期にかけて売上高は118億88百万円から179億41百万円まで4期で約1.5倍に伸びました。

  • 受注残高が売上のほぼ1年分

    2026年6月末の受注残高は169億55百万円で、直近9か月累計の売上高155億10百万円とほぼ同水準です。新規受注がすぐに止まったとしても、当面の売上は受注残高で下支えされます。

  • 保守・修理サービスの積み上げ

    テスト&ソリューションサービスは9か月累計で前年同期比+513百万円と伸びており、既納入機の保守・修理需要は本体販売ほど大きく崩れにくい性格を持ちます。

弱み

  • 受注高の伸びがほぼ止まっている

    9か月累計の受注高は170億02百万円で前年同期比+0.1%とほぼ横ばいです。売上の伸び+21.8%との差は、受注残高の取り崩しによるところが大きく、新規需要の勢い自体は弱まっています。

  • 直近四半期は減益

    各四半期の累計開示を差分計算すると、第3四半期(2026年4〜6月)単体は営業利益△16.5%、経常利益△34.4%、純利益△55.4%と、前年同期を下回っています。

  • 顧客・品目が航空宇宙・自動車産業に集中

    これら業界の設備投資サイクルに業績が連動するため、景気後退局面や大型投資の一巡局面では受注が一気に鈍る可能性があります。単一事業ゆえに他分野での分散が効きません。

3. 業績の推移

売上高(左軸) 営業利益(右軸) 会社予想
005,00075010,0001,50015,0002,25020,0003,0002022/092023/092024/092025/092026/09単位:百万円
自己資本比率(%)30456048.853.553.051.0
数値で確認する
決算期売上高営業利益経常利益純利益営業CF自己資本比率
2022/0911,8888251,2371,06574248.8%
2023/0913,7271,2661,5741,12610353.5%
2024/0915,3401,8471,8531,4282,00653.0%
2025/0917,9412,3152,5691,9353,84851.0%
2026/09会社予想20,0002,4002,4001,850——
単位:百万円。出典:決算短信(2022年9月期〜2026年9月期予想)

過去5期の推移から読み取れることは3つあります。

  1. 売上・利益とも右肩上がりが続いてきた。 2022年9月期の売上高118億88百万円・営業利益8億25百万円から、2025年9月期には売上高179億41百万円・営業利益23億15百万円まで拡大しています。
  2. なお、2023年9月期の売上高は遡及修正されている。 公表当初は138億68百万円でしたが、2024年9月期決算短信では137億27百万円として比較掲載されています(訂正理由は開示上明記されていませんが、営業利益以下の各段階は修正されていません)。本記事では系列の一貫性を優先し、後年の開示にもとづく137億27百万円を採用しています。
  3. 2026年9月期の会社予想は、売上高こそ4期連続の増収(200億円、+11.5%)を見込む一方、営業利益はわずか+3.6%、経常利益は△6.6%、純利益は△4.4%と、増収と利益成長の足並みが揃っていない。 これは後述する9か月累計と残り四半期の逆算からも整合的な予想です。

4. 受注高は横ばい、直近四半期は減益——9か月累計の好調さをどう読むか

9か月累計の数字だけを見ると、IMVは増収増益基調にあります。ですが、この数字を受注と四半期単位の2つの角度で分解すると、見え方が変わります。

受注高はほぼ横ばい、増収は受注残高の取り崩しが主因

決算短信「生産、受注及び販売の状況」によると、9か月累計の受注高実績は170億02百万円で、前年同期(169億85百万円)比+0.1%とほぼ横ばいです。一方、9か月累計の販売実績(売上高)は155億10百万円で前年同期比+21.8%と大きく伸びています。

品目別の受注高では、主力の振動シミュレーションシステムが+0.8%(133億81百万円 vs 132億79百万円)、テスト&ソリューションサービスが△4.5%(27億16百万円 vs 28億44百万円)、メジャリングシステムが+5.0%(9億04百万円 vs 8億61百万円)と、主力品目でもほぼ横ばいにとどまっています。

売上の伸びと受注の伸びがこれだけ乖離している以上、今期の増収は新規受注の伸びではなく、過去に積み上がった受注残高を取り崩して売上に転換したことが主因と考えられます。受注残高は169億55百万円(前期末比+6.7%)で、9か月累計の売上高にほぼ匹敵する水準にあり、当面の売上の下支えにはなります。ただし、新規受注の勢いが弱いまま受注残高の取り崩しが進めば、数四半期後に売上の伸びが鈍化する可能性があります。

第3四半期単体は営業減益・経常減益・純利益半減

もう1つの切り口は、四半期単位への分解です。決算短信は累計開示のみで四半期単体の数値を直接示していないため、以下は各四半期の累計開示(第1四半期・中間期・9か月累計)の差分から当サイトが計算したものであり、会社が直接開示した数値ではない点に留意してください。

項目第3四半期単体(2026年4〜6月)前年同期(2025年4〜6月)増減率
売上高3,999百万円3,212百万円+24.5%
営業利益116百万円139百万円△16.5%
経常利益139百万円212百万円△34.4%
純利益83百万円186百万円△55.4%

売上高は前年同期を上回っていますが、営業利益・経常利益・純利益はいずれも前年同期を下回っています。 9か月累計の好調さは、主に第1・第2四半期の実績に支えられており、直近の第3四半期では利益の勢いが明確に鈍化しています。

会社は定性的情報のなかで「研究開発投資や人的資本への投資への積極的な投資に伴うコストの増加があったものの生産設備及び試験設備の投資等による増収の影響に加えて既存製品のブラッシュアップや生産効率化を通じた採算性の向上に努めた」と説明していますが、この投資先行の説明が第3四半期単体の減益とどこまで直接結びつくかは、短信の記載からは断定できません。

通期予想は据え置き——残り四半期は大幅減益を織り込む計算に

2026年8月5日開示の第3四半期決算短信では、通期業績予想について「直近に公表されている業績予想からの修正の有無:無」とされており、通期予想(売上高200億円・営業利益24億円・経常利益24億円・純利益18億50百万円)は据え置かれています。

9か月累計の実績からこの通期予想を差し引くと、残る第4四半期(2026年7〜9月)は次のような計算になります(これも当サイトによる逆算です)。

項目第4四半期の計算値前年同期(2025年7〜9月)増減率
売上高4,490百万円5,204百万円△13.7%
営業利益411百万円697百万円△41.0%
経常利益173百万円790百万円△78.1%
純利益305百万円555百万円△45.0%

通期予想を据え置いたままだと、第4四半期は前年同期比で大幅な減益を織り込んだ計算になります。

過去の実績: 据え置き予想からの大幅上振れ

ここで無視できないのが、この会社の過去の着地パターンです。前期(2025年9月期)も、第3四半期時点(2025年8月8日開示)の通期予想は売上高165億円のまま据え置かれていましたが、実際の通期実績は179億41百万円(+8.7%の上振れ)でした。純利益も予想18億50百万円に対し実績19億35百万円(+29.0%の上振れ)となり、配当も期初予想24.00円に対し実績30.00円(+6円の増配)で着地しています。

つまり、通期予想の据え置きは「第4四半期の減速を見込んだ保守的な着地予想」なのか、それとも前期同様「期中は据え置いたまま、期末に上振れさせる」というこの会社の癖の繰り返しにすぎないのか、現時点の一次情報だけでは判別できません。次回の通期決算(2026年11月中旬予定)で、この2つの仮説のどちらが正しかったかが明らかになります。

純利益の伸びが経常利益の伸びより鈍い理由

もう1点、9か月累計の数字で気になるのは、経常利益の伸び(+25.1%)に対して純利益の伸び(+12.0%)が鈍いことです。

損益計算書を確認すると、税金等調整前四半期純利益は22億21百万円(前年17億96百万円)に対し、法人税等合計は6億75百万円(前年4億15百万円)でした。実効税率は今期30.4%、前年23.1%です。法人税等調整額は今期△151百万円(税負担を減らす方向)、前年+30百万円(税負担を増やす方向)と符号は逆ですが、それでも実効税率は前年より高くなっています。加えて、前年は補助金収入1億円(特別利益)がありましたが、今期は特別利益がゼロ(特別損失6百万円のみ)です。これらが重なり、経常利益の伸びに対して純利益の伸びが鈍くなっています。

なお、経常利益の伸び(+4億47百万円)は営業利益の伸び(+3億70百万円)を上回っており、その差は主に営業外収支の改善によるものです。営業外収益のうち為替差益は今期2億44百万円(前年1億70百万円)で、営業外収益合計3億00百万円の大半を占めています。

5. 配当の推移

決算期期初予想年間配当期初比配当性向
2022/0910円10円0円15.3%
2023/0910円12円+2円17.4%
2024/0912円20円+8円22.5%
2025/0924円30円+6円24.7%
2026/09会社予想30円30円—25.8%
1株当たり。「期初比」は期初予想に対する着地の差。 出典:決算短信「配当の状況」

配当は年1回(期末のみ、中間配当なし)で、2022年9月期の10.00円から2025年9月期の30.00円まで3期連続で増配しており、3年でほぼ3倍になりました。2026年9月期は期初から30.00円で据え置きの予想です。

注目したいのは、期初予想からの上方修正が常態化していることです。2023年9月期は期初10.00円→着地12.00円、2024年9月期は期初12.00円→着地20.00円、2025年9月期は期初24.00円→着地30.00円と、いずれも期中〜期末に増額されています。2026年9月期の予想配当30.00円は期初段階の数字であり、前述の通り通期業績予想自体も過去に何度か上振れて着地しているため、この予想利回り1.46%(会社予想ベース)は増配の余地を織り込んでいない可能性があります。一方で、第4節で見たとおり9か月累計の受注高は伸び悩んでおり、業績の上振れが今期も続くとは限らない点には注意が必要です。

配当性向は15.3%(2022年9月期)から24.7%(2025年9月期)へ緩やかに切り上がっており、2026年9月期予想では25.8%です。増益が続けば配当性向にはまだ余裕があります。

6. 会社の現状と直近の動き

2026年6月末(第3四半期末)時点のバランスシートは、総資産253億99百万円、負債122億52百万円、純資産131億46百万円、自己資本比率51.8%です。前期末(2025年9月末)の自己資本比率51.0%からやや改善しています。

現金及び預金は72億26百万円で、前期末の48億76百万円から23億49百万円増加しました。契約負債(受注に伴う前受金の性格)も43億60百万円で、前期末の35億04百万円から8億55百万円増えています。

有利子負債は31億円(短期借入金21億60百万円、1年内返済予定の長期借入金3億35百万円、長期借入金6億05百万円の合計、2026年6月末時点)で、自己資本131億46百万円に対する負債資本比率(D/Eレシオ)は0.236倍です。前期末の有利子負債・D/Eレシオの詳細な増減理由は決算短信からは特定できませんでしたが、自己資本比率が51%台で安定的に推移していることから、大きな追加借入や自己株買いによる急変動は生じていないとみられます。

品目別の9か月累計販売実績は、振動シミュレーションシステムが116億92百万円(前年同期比+23億95百万円、構成比75.4%)、テスト&ソリューションサービスが30億20百万円(同+5億13百万円、19.5%)、メジャリングシステムが7億98百万円(同△1億35百万円、5.1%)でした。メジャリングシステムは、防災意識の高まりによる振動計・監視装置の需要は伸びた一方、振動監視システムの需要が一服したことで前年同期を下回っています。

7. 業界とセクターの状況

振動試験機を含む機械セクターは、国内外の設備投資サイクル(工場の新設・更新投資など)に業績が連動しやすく、受注から売上計上までにタイムラグが生じやすいという構造上の特徴があります。単年度・単四半期の業績だけでは需要の強弱を判断しにくく、受注高と受注残高を合わせて見る必要があるのはこのためです。

IMVはまさにこの構造が当てはまる典型例です。第4節で見たとおり、9か月累計の売上高は+21.8%と大きく伸びている一方、受注高は+0.1%とほぼ横ばいでした。売上だけを見ていると好調に見えますが、需要の転換点は売上より先に受注に現れるという機械セクターの一般的な性質に照らせば、今回の受注の伸び悩みは注視すべきシグナルです。

また、機械セクターの企業は本体販売と、納入後に継続して発生する保守・部品・消耗品収入の比率が業績の振れ方を決めます。IMVのテスト&ソリューションサービス(保守・修理・試験受託)は9か月累計で前年同期を上回っており、本体販売ほど需要変動を受けにくい収益源として一定の下支えになっています。

8. 今後のスケジュール

2026年11月中旬(予定)当サイト推定

2026年9月期 通期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年2月上旬(予定)当サイト推定

2027年9月期 第1四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年5月上旬(予定)当サイト推定

2027年9月期 第2四半期(中間) 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年8月上旬(予定)当サイト推定

2027年9月期 第3四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

9. 想定されるカタリスト

時期想定イベント蓋然性方向
2026年11月中旬(予定)2026年9月期 通期決算の発表高両面

通期予想(売上高200億円・営業利益24億円)に対して実績がどう着地するか。前期は据え置き予想から大幅に上振れて着地しており、同じパターンが繰り返されるかが焦点。

随時受注高の回復(前年同期比プラス転換)中上振れ

9か月累計の受注高は前年同期比+0.1%とほぼ横ばい。ここが明確なプラスに転じれば、受注残高の取り崩しに頼らない増収基調が続く根拠になる。

中長期航空宇宙・自動車業界の次世代開発投資の継続中両面

主力の振動シミュレーションシステムは、国内外の航空宇宙・自動車メーカーの次世代開発向け設備投資に連動する。投資サイクルが続くかどうかが受注の先行指標になる。

10. 想定されるリスク

受注鈍化が売上に波及するリスク。 9か月累計の受注高はほぼ横ばいで、増収は受注残高の取り崩しに支えられています。新規受注の停滞が続けば、受注残高を使い切った後の四半期で売上が伸び悩む可能性があります。

直近四半期の減益トレンドが続くリスク。 第3四半期単体は営業利益・経常利益・純利益のいずれも前年同期を下回りました。この傾向が第4四半期以降も続けば、通期予想(据え置き)を下回って着地する可能性も否定できません。

顧客業界への依存リスク。 主力の振動シミュレーションシステムは航空宇宙・自動車産業の次世代開発投資に連動しており、これら業界の設備投資が減速すれば受注に直接影響します。単一事業のため、他分野での分散が効きません。

為替変動リスク。 経常利益の押し上げ要因の一つが為替差益(9か月累計2億44百万円)でした。為替が逆方向に動けば、この押し上げ効果は剥落し、経常利益の伸びが今期より鈍る可能性があります。

11. まとめ:どう判断材料にするか

IMVの2026年9月期第3四半期累計は、数字の上では増収増益が続いています。しかし、その中身を受注高と四半期単位で分解すると、受注の伸びはほぼ止まっており、直近の第3四半期単体は減益という、headlineの数字とは異なる姿が見えてきます。

判断の分かれ目は、この会社の過去の着地パターンをどう評価するかです。強気に見るなら、過去3期連続で期初予想を上回って着地してきた実績と、売上のほぼ1年分に相当する受注残高の厚さが根拠になります。 前期も第3四半期時点で通期予想を据え置いたまま、実際には売上・純利益とも大きく上振れて着地しました。今回も同じパターンが繰り返されれば、通期予想(売上高200億円・純利益18億50百万円)は保守的な数字にすぎない可能性があります。

弱気に見るなら、9か月累計の受注高が前年同期比+0.1%とほぼ横ばいであること、そして直近の第3四半期単体で営業利益・経常利益・純利益がいずれも前年同期を下回ったことが根拠になります。 増収の中身が新規受注ではなく受注残高の取り崩しである以上、この勢いがいつまでも続くとは限りません。

次の確認ポイントは、2026年11月中旬に予定される通期決算です。受注高が前年同期比でプラスに転じるか、そして通期実績が予想を上回って着地するかどうかで、どちらの見方が妥当だったかが明らかになります。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 2026年9月期通期決算(2026年11月中旬予定)で、受注高が前年同期比で明確なプラスに転じ、受注残高も引き続き積み上がった場合。受注の伸び止まりという弱気材料が解消したことになる。
  • 通期の営業利益・経常利益・純利益が会社予想(それぞれ24億円・24億円・18億50百万円)を上回って着地した場合。前期(2025年9月期)と同様の「期中据え置き→期末上振れ」パターンが繰り返されたことになり、第3四半期単体の減益は一時的な足踏みだったと評価できる。
  • 逆に、次の四半期以降も営業利益・経常利益の前年割れが続き、かつ受注残高が減少に転じた場合。受注の取り崩しが一巡し、売上の下支えが弱まる局面に入った可能性が高まる。
  • 2027年9月期の期初会社予想で、通期配当予想が2026年9月期の30.00円を下回る形で出された場合。3期連続増配のトレンドが途切れたことになり、業績の実勢がこれまでの想定より弱いことを示唆する。

よくある質問

IMV(7760)の配当は100株でいくらになりますか?
2026年9月期の会社予想配当は年間30.00円(期末のみ、中間配当なし)です。 100株保有の場合、税引前で3,000円になります。前期(2025年9月期)は期初予想24.00円から 実績30.00円へ増額されており、2026年9月期は期初から30.00円で据え置かれています。
なぜ9か月累計は増収増益なのに、直近四半期は減益なのですか?
各四半期の累計開示を差分計算すると、第3四半期(2026年4〜6月)単体は売上高こそ前年同期比+24.5%と 増収でしたが、営業利益は△16.5%、経常利益は△34.4%、純利益は△55.4%と減益でした。 9か月累計の好調さは主に第1・第2四半期の実績に支えられており、直近四半期では利益の伸びが 鈍化しています。なお、この四半期単体の数値は会社が直接開示したものではなく、当サイトが 累計開示から差分計算したものです。
IMVの受注は増えているのですか?
2026年9月期第3四半期累計の受注高は170億02百万円で、前年同期(169億85百万円)比+0.1%と ほぼ横ばいです。一方で9か月累計の売上高(販売実績)は+21.8%と大きく伸びており、この差は受注残高の 取り崩しによるものです。受注残高自体は169億55百万円(前期末比+6.7%)とほぼ1年分の売上に 相当する水準にありますが、新規受注の勢いが弱まっている点は注視が必要です。

参考文献・引用元

  1. 01
    IMV株式会社 2026年9月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

    2026年8月5日開示。1ページ目「連結経営成績」「連結財政状態」「配当の状況」「2026年9月期の連結業績予想」、4ページ目「経営成績に関する説明」(品目別営業概況)、6〜7ページ目「四半期連結貸借対照表」(有利子負債・自己資本)、8ページ目「四半期連結損益計算書」(営業外収支・特別損益・税金)、11ページ目「生産、受注及び販売の状況」(受注高・受注残高・販売実績)を参照。

  2. 02
    IMV株式会社 2026年9月期 第2四半期(中間期)決算短信

    2026年5月13日開示。中間期累計の売上高・営業利益・経常利益・純利益を、第3四半期単体の差分計算に使用。

  3. 03
    IMV株式会社 2026年9月期 第1四半期決算短信

    2026年2月10日開示。第1四半期累計の売上高・営業利益・経常利益・純利益を、第3四半期単体の差分計算に使用。

  4. 04
    IMV株式会社 2025年9月期 第3四半期決算短信

    2025年8月8日開示。前年同期(2025年4〜6月)の四半期単体差分計算、および前期の通期予想据え置き・実績上振れの比較に使用。

  5. 05
    IMV株式会社 2025年9月期 決算短信(本決算)

    2025年11月7日開示。1ページ目「連結経営成績」(ROE17.5%・総資産経常利益率12.1%・配当性向25.8%の会社予想を含む)を参照。

  6. 06
    IMV株式会社 2024年9月期 決算短信(本決算)

    2024年11月7日開示。2023年9月期売上高の遡及修正後の数値(137億27百万円)を比較掲載箇所から参照。

  7. 07
    IMV株式会社 2023年9月期 決算短信(本決算)

    2023年9月期の公表当初の売上高(138億68百万円、後年137億27百万円に遡及修正)・利益・配当実績を参照。

  8. 08
    IMV株式会社 2022年9月期 決算短信(本決算)

    2022年9月期の売上高・利益・配当実績を参照。

  9. 09
    IR BANK「IMV(7760)」株価・PER・PBR

    二次情報。2026年9月17日〜18日時点の株価終値(2,058円)、PER・PBRの検算に参照。metrics の指標は会社開示(決算短信)ベースで算出し、この二次情報は検算のみに使用した。