成長株ITコンサルティング・DX支援2026/5期 通期

グロービング(277A) 増収増益の主役はコンサル部門の増員、AI事業は+856.8%でも全体の3.5%程度

2026/08/26 公開2026/08/26 更新6分で読了対象決算:2026年5月期 通期

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

グロービング株式会社

東証グロース市場 277A ・ 5月期決算

2026/08/26 時点

株価

1,816円

時価総額

522億円

配当利回り

1.96%

年間35.6円

PER

18.0倍

PBR

6.79倍

ROE

43.2%

ROA

27.1%

純利益ベース

自己資本比率

63.5%

配当性向

30.0%

有利子負債

13億円

D/Eレシオ

0.17倍

有利子負債÷自己資本

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 2026年5月期は売上収益11,513百万円(前期比+39.4%)・営業利益4,003百万円(同+53.6%)・親会社所有者帰属当期利益2,876百万円(同+81.7%)で、増収率を上回る増益率が続いた。
  • コンサルティング事業(売上収益の96.5%)は外部売上収益11,108百万円・セグメント利益4,938百万円(同+33.5%)で、会社は中途採用による増員と戦略アカウント中心のJI(Joint Initiative)案件拡大を増収増益の要因に挙げている。
  • AI事業は外部売上収益405百万円・セグメント利益233百万円(前期はセグメント損失207百万円)へ伸びたが、全社売上に占める比率は3.5%にとどまり、規模としてはまだ小さい。
  • 連結営業利益率が31.6%から34.8%へ3.2ポイント上がった内訳をセグメント情報から分解すると、AI事業が損失から黒字へ転じたこと(寄与+4.5ポイント)と全社共通費用の伸びが売上収益の伸びより緩やかだったこと(寄与+0.6ポイント)が主因で、コンサルティング事業自体のセグメント利益率はむしろ45.0%から44.5%へ0.5ポイント下がっている。
  • 2027年5月期の会社予想は売上収益16,100百万円(+39.8%)に対し営業利益4,830百万円(+20.6%)にとどまり、営業利益率は34.8%から30.0%へ4.8ポイント下がる計画になっている。この着地を招く具体的な費目についての会社コメントは、本記事で確認できた開示の範囲には含まれていなかった。
目次11項目
  1. 1. 概要 — 何をしている会社で、なぜ伸びているか
  2. 2. ビジネスモデルと収益構造
  3. 3. 成長の実績
  4. 4. ★成長は何に支えられているか
  5. 5. 黒字化・利益率のシナリオ
  6. 6. 財務とキャッシュ
  7. 7. 競合と参入障壁 — この成長を誰が止めうるか
  8. 8. バリュエーションの前提
  9. 9. 経営陣と株主構成
  10. 10. リスク
  11. 11. まとめ — 何を追跡すれば見立ての正否がわかるか

1. 概要 — 何をしている会社で、なぜ伸びているか

グロービング(277A)は、DX(デジタルトランスフォーメーション)・生成AI活用のコンサルティングを手がける会社です。2024年11月29日に東証グロース市場へ上場し、本日(2026年8月26日)15:30に2026年5月期(2025年6月〜2026年5月)の決算短信を開示しました。事業はコンサルティング事業(DX戦略の立案から実行までの伴走支援)とAI事業(AIプロダクトの共同開発)の2セグメントで、2026年5月期の売上収益11,513百万円のうちコンサルティング事業が96.5%を占めます。

2026年5月期は売上収益11,513百万円(前期比+39.4%)・営業利益4,003百万円(同+53.6%)・親会社所有者帰属当期利益2,876百万円(同+81.7%)と、増収率を上回るペースで増益しました。会社は増収増益の要因として、コンサルタントの中途採用による増員と、長期的関係構築を狙う戦略アカウントを中心としたJI(Joint Initiative)案件の拡大を挙げています。

同時に目を引くのが、AI事業の外部売上収益が42百万円から405百万円へ、+856.8%伸びたことです。ただし前期の売上収益がほぼゼロに近かったための伸び率で、2026年5月期時点でも全社売上に占める比率は3.5%にとどまります。この記事は、増収増益の中身がどこまでコンサルティング事業の地に足のついた成長で説明でき、AI事業がどこまで実質的な成長ドライバーになっているのかを、セグメント情報から検証します。

2026年5月期に上場後初めての配当(期末16.10円)を実施した一方、2027年5月期の会社予想では営業利益率が34.8%から30.0%へ4.8ポイント下がる計画になっている点も、あわせて見ていきます。

2. ビジネスモデルと収益構造

決算短信によれば、コンサルティング事業は企業のDX戦略の立案から実行までを人的なコンサルティングで支援する労働集約型のビジネスです。売上はコンサルタントの人員数と稼働率にほぼ比例して動く構造で、会社が増収増益の要因として「中途採用を進め、新規案件の獲得や既存案件の規模拡大を図る」ことを挙げているのは、この構造と整合します。

もう一方のAI事業は、AIプロダクトの共同開発を手がけるセグメントです。2026年5月期の外部売上収益は405百万円で、コンサルティング事業(11,108百万円)と比べるとまだ小さい規模にとどまります。

連結の売上総利益率(売上収益に対する売上総利益の比率)は、2025年5月期の67.3%から2026年5月期は66.6%へ0.7ポイント下がっています。決算短信は原価の内訳(人件費比率など)を開示していないため、この低下の要因までは特定できませんでした。

3. 成長の実績

決算短信および二次情報(IR BANK)から取った通期業績の推移です。単位は百万円です。

会計基準売上高営業利益経常利益純利益営業利益率
2024年5月期日本基準4,1753693782608.8%
2025年5月期IFRS(遡及修正後)8,2562,6071,58331.6%
2026年5月期IFRS11,5134,0032,87634.8%
2027年5月期(会社予想)IFRS16,1004,8303,38130.0%

注意が必要なのは、2024年5月期と2025年5月期の間に会計基準の断絶があることです。 グロービングは2026年5月期の有価証券報告書から、従来の日本基準に替えてIFRSを任意適用しました。2024年5月期の数値は日本基準(IR BANK掲載、原本の決算短信は本記事では未確認)、2025年5月期以降はIFRS(遡及修正後)のため、両者を単純に前期比で比較することはできません。またIFRSを採用しているため、2025年5月期以降は経常利益の開示がありません。 上表で「—」としているのはそのためです。

会計基準が揃っている2025年5月期から2026年5月期にかけては、売上収益+39.4%・営業利益+53.6%・純利益+81.7%と、増収率を上回るペースで増益・増収益が進みました。2027年5月期の会社予想は売上収益+39.8%とほぼ同じ増収ペースを見込む一方、営業利益は+20.6%にとどまり、営業利益率は34.8%から30.0%へ下がる計画です。この点は§5で詳しく見ます。

株式分割にも注意が必要です。同社は2024年9月20日付・2025年3月1日付でそれぞれ1株を5株にする株式分割を行っており(合計25倍)、決算短信のEPS・BPSは分割考慮後で遡及修正済みです。2025年5月期・2026年5月期のEPS(57.74円・100.98円)はそのまま比較できます。

4. ★成長は何に支えられているか

伸びのほぼ全量はコンサルティング事業

セグメント情報から、2つの事業の伸びを並べます。単位は百万円です。

コンサルティング事業AI事業
外部売上収益(2025年5月期)8,21442
外部売上収益(2026年5月期)11,108405
伸び+35.2%+856.8%
セグメント利益(2025年5月期)3,698△207(赤字)
セグメント利益(2026年5月期)4,938233(黒字転換)

2つのセグメントの外部売上収益を足すと、いずれの期も連結の売上収益とほぼ一致します。つまり全社の増収11,513百万円のうち、コンサルティング事業の伸び(+2,894百万円)が大半を占め、AI事業の伸び(+363百万円)は増収額全体の1割強にとどまります。 会社が挙げている増収要因(中途採用による増員、戦略アカウント中心のJI案件拡大)は、規模から見てもコンサルティング事業の話としてそのまま読めます。

AI事業の+856.8%という伸び率は、前期の売上収益がわずか42百万円だったことによる基準の低さが主因です。2026年5月期時点でもAI事業の売上構成比は3.5%にとどまり、「AI事業が急成長している」という見出しだけを取り出すと、全社に対する実質的な影響力を過大に見せることになります。 ただし、赤字だったセグメントが黒字に転じたこと自体は、次の項目で見るように連結営業利益率の押し上げに一定の役割を果たしています。

連結営業利益率が上がった内訳

連結営業利益率は2025年5月期の31.6%から2026年5月期は34.8%へ、3.2ポイント上がりました。この内訳を、セグメント利益と全社共通費用(調整額)から分解します(本記事による計算。売上収益に対する寄与度ベース)。

2025年5月期の寄与度2026年5月期の寄与度寄与度の変化
コンサルティング事業+44.8pt+42.9pt△1.9pt
AI事業△2.5pt+2.0pt+4.5pt
全社共通費用(調整額)△10.7pt△10.2pt+0.6pt
連結営業利益率31.6%34.8%+3.2pt

連結営業利益率の上昇3.2ポイントのほとんどは、AI事業が赤字から黒字へ転じたこと(寄与+4.5ポイント)で説明できます。 全社共通費用の伸びが売上収益の伸びより緩やかだったこと(寄与+0.6ポイント)もわずかにプラスに働きました。一方で、主力であるコンサルティング事業自体の寄与度はむしろ1.9ポイント下がっています。 これは、コンサルティング事業のセグメント利益率が45.0%(2025年5月期)から44.5%(2026年5月期)へ0.5ポイント下がったことと、AI事業の伸びによってコンサルティング事業の売上構成比がわずかに薄まったこと(99.5%→96.5%)の両方が効いています。

つまり、「利益率が上がった」という結果だけを見ると好調に見えますが、その中身はコンサルティング事業自体の収益性がやや低下する一方を、規模はまだ小さいAI事業の黒字転換が補っている構図です。AI事業の黒字転換が一過性でないかどうか、コンサルティング事業の利益率低下が採用先行コストによる一時的なものかどうかは、次の四半期以降で確認する必要があります。

全社共通費用の伸び

全社共通費用(セグメント調整額)は884百万円から1,168百万円へ+32.0%増加しました。売上収益の伸び+39.4%を下回っており、現時点では規模の拡大に対してコーポレート機能の費用が先行して膨らんではいません。この関係が崩れていないかを watchpoints に置いています。

5. 黒字化・利益率のシナリオ

同社は営業黒字であり、営業赤字を許容する枠(/method の成長株の基準における例外条件)には該当しません。したがって黒字化のタイムラインという論点はなく、論点は利益率の水準です。

§4で見たとおり、2026年5月期の連結営業利益率34.8%は、コンサルティング事業自体の収益性がやや下がる一方をAI事業の黒字転換が補って達成されたものでした。ここで注意すべきは、2027年5月期の会社予想が、この34.8%から30.0%へ4.8ポイント下がる計画になっていることです。

  • 会社予想: 売上収益16,100百万円(+39.8%)、営業利益4,830百万円(+20.6%)
  • implied営業利益率: 4,830 ÷ 16,100 = 30.0%(2026年5月期実績34.8%から4.8ポイント低下)

増収ペースはほぼ変わらない一方、増益率は増収率を大きく下回る計画です。この着地を招く具体的な費目(採用計画、AI事業への投資規模など)についての会社コメントは、本記事で確認できた開示の範囲には含まれていませんでした。 日本企業の期初計画には保守的に見積もる傾向があることが一般に知られていますが、それが今回に当てはまるかどうかは、次の四半期以降の実績でしか確認できません。§4で見たコンサルティング事業自体の利益率低下(45.0%→44.5%)が続けば、この会社予想の水準はむしろ現実的な見立てだった、ということになります。この点をwatchpointsの中心に置いています。

6. 財務とキャッシュ

決算短信の連結財政状態計算書から、財政状態の推移です。単位は百万円です。

移行日(2024/6/1)2025年5月31日2026年5月31日
資産合計3,1239,18712,017
負債合計1,5953,3894,384
資本合計(親会社所有者帰属持分)1,5275,6807,633
親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率61.8%63.5%

自己資本比率は61.8%から63.5%へ上がっており、成長株の基準(40%以上)に対して十分な水準です。

有利子負債について。 グロービングは銀行借入金を持たず、決算短信で有利子負債に近い項目として括れるのはリース負債(流動+非流動)です。このリース負債は移行日の462百万円から2025年5月31日には345百万円へ一度減った後、2026年5月31日には1,291百万円へ大きく増えています。負債資本比率D/Eレシオ=リース負債÷資本合計)で見ると、0.30倍→0.06倍→0.17倍という推移です。リース負債が345百万円から1,291百万円へ増えた理由は、決算短信の開示からは特定できませんでした。

なお、個別(単体)の自己資本比率は2026年5月期に74.2%で、連結の63.5%との間に10.7ポイントの差があります。この差が何によって生じているかについて、決算短信の本文には説明が無く、本記事では特定できませんでした。 差の存在自体は事実として記録しておきます。

キャッシュ・フローは、2026年5月期の営業キャッシュ・フローが+3,334百万円(前期+3,255百万円)で2期連続の黒字です。投資キャッシュ・フローは△2,552百万円で、内訳は定期預金の預入2,000百万円、有形固定資産の取得223百万円などです。財務キャッシュ・フローは△1,711百万円で、自己株式の取得901百万円、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の追加取得411百万円が含まれます。現金及び現金同等物の期末残高は5,694百万円です。

7. 競合と参入障壁 — この成長を誰が止めうるか

DX・生成AI活用のコンサルティングは、大手コンサルティングファームやSIer(システムインテグレーター)、独立系コンサルティング会社が入り乱れる領域です。このビジネスの参入障壁は本質的に薄く、必要なのは資本ではなく人材です。 大手が採用と報酬水準で対抗すれば、同規模の中途採用競争に直接さらされます。

決算短信・本記事で確認できた範囲では、グロービングが挙げている優位性は、戦略アカウントを中心としたJI(Joint Initiative)案件による長期的な顧客関係の構築です。単発の案件ではなく継続的な関係を築くことで、案件ごとの営業コストを抑えられる可能性があります。

競合他社の詳細な市場シェアについては、本記事の一次情報からは確認できていません。 労働集約型のビジネスであることから、コンサルタントの採用単価・平均年収の上昇が最大の外部コスト変動要因になります(/sectors/consulting 参照)。

8. バリュエーションの前提

2026年8月26日終値1,816円、時価総額約522億円を前提にした指標です。決算発表は同日15:30の取引終了後のため、この株価には当日開示された決算内容はまだ織り込まれていません。

  • 実績PER:17.99倍(2026年5月期基本的EPS 100.98円)
  • PBR:6.79倍(2026年5月31日BPS 267.67円)
  • 予想配当利回り:1.96%(2027年5月期予想配当35.60円)

実績PER17.99倍は、2026年5月期の純利益成長率+81.7%と比べると低い水準に見えますが、この伸び率には先述のとおりAI事業の黒字転換という一過性の要素が含まれています。2027年5月期の会社予想EPS(118.55円)を基準にすると、予想PERは1,816 ÷ 118.55 ≒ 15.3倍まで下がります。会社予想の純利益成長率+17.6%と比べると、こちらのほうが素直な水準です。

本記事は株価の到達水準を予想しません。 判断材料として、増益率の高さの中身(コンサルティング事業自体の利益率はやや下がっている)と、2027年5月期の会社予想が示す利益率低下(34.8%→30.0%)という2つの事実を提示するにとどめます。

9. 経営陣と株主構成

決算短信の表紙によれば、代表者は代表取締役社長CEOの田中耕平氏です。

大株主構成・創業者の持株比率については、本記事では確認できていません。 2026年5月期の有価証券報告書は本日(2026年8月26日)提出予定ですが、本セッションでは取得手段が無く、参照できませんでした。創業者が筆頭株主付近に残っているかどうかは成長株を見るうえで重要な項目ですが、確認できていない以上、ここでは判断材料として提示しません。

10. リスク

コンサルティング事業自体の利益率低下が続く可能性。 §4で見たとおり、セグメント利益率は45.0%から44.5%へ下がっています。中途採用による増員が先行コストとして続けば、この低下がさらに進む可能性があります。

2027年5月期の会社予想が示す利益率低下の理由が不明であること。 34.8%から30.0%への4.8ポイントの低下について、会社の具体的な説明は本記事で確認できた開示の範囲にはありませんでした。保守的な期初計画なのか、構造的な変化なのかを見極めるには次の四半期以降の実績を待つ必要があります。

AI事業の黒字転換が一過性である可能性。 233百万円という利益額はまだ小さく、コンサルタントの一部を案件間で融通しているなど、コンサルティング事業側のリソース配分の結果として一時的に黒字化している可能性も排除できません。

単一事業(コンサルティング)への高い依存。 売上収益の96.5%をコンサルティング事業が占めます。DX・生成AI活用への企業投資意欲は景気に連動しやすく、案件は景気後退期に真っ先に絞られやすい性質があります。

リース負債の増加理由が特定できていないこと。 345百万円から1,291百万円への増加の背景(オフィス増床、システム関連のリース契約など)は、決算短信からは確認できませんでした。今後も同様のペースで増え続ける場合、財務の耐久力への影響を注視する必要があります。

株主構成が未確認であること。 大株主・創業者の持株比率を確認できていないため、経営の意思決定における長期的な視点の有無を判断する材料が現時点ではありません。

上場から日が浅く、開示の蓄積が少ないこと。 2024年11月の上場から2年に満たず、複数期にわたる季節性・景気敏感度の検証がまだできていません。

11. まとめ — 何を追跡すれば見立ての正否がわかるか

この記事の見立ては次のとおりです。グロービングの2026年5月期の増収増益は、会社が説明するとおりコンサルティング事業の中途採用による増員と戦略アカウント中心のJI案件拡大でほぼ説明でき、外部から煽られやすいAI事業の+856.8%という伸び率は、全社売上に対してはまだ3.5%程度の寄与にとどまります。一方で、連結営業利益率が上がったという結果の中身を分解すると、主力のコンサルティング事業自体の利益率はむしろわずかに下がっており、上昇分の大半はAI事業の赤字から黒字への転換で説明できます。そして2027年5月期の会社予想は、この利益率が34.8%から30.0%へさらに下がる計画になっています。

答え合わせをするための追跡項目は、frontmatter の watchpoints に5件置いています。要点は次の3つです。

  1. コンサルティング事業のセグメント利益率が44%台を維持できるか。 2027年5月期に43%台まで下がれば、増員コストが構造的な下押し要因になっていると判断します。
  2. 2027年5月期の連結営業利益率が会社予想の30.0%どおりに着地するか。 会社予想を大きく下回れば、保守的な期初計画ではなく実際の収益性低下が進んでいることになります。
  3. AI事業の売上構成比が5%を超えてくるか。 超えなければ、AI事業はなお実験的な位置づけにとどまっていると判断します。

最初の答え合わせは2026年10月上旬(予定)の2027年5月期第1四半期決算です。本格的な判定は2027年5月期の通期決算になります。

本記事は判断材料の提示であり、売買の推奨ではありません。銘柄の選び方と本記事が使った基準は /method に掲載しています。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 売上収益の成長率が3期連続で20%を下回った場合。2026年5月期は+39.4%、2027年5月期の会社予想は+39.8%だが、この水準が保てなくなれば「コンサルタント増員による成長」という説明の勢いが失われたことになる。
  • コンサルティング事業のセグメント利益率が2期連続で低下した場合。2025年5月期の45.0%から2026年5月期は44.5%へ下がっており、2027年5月期も続けて下がれば増員コストが構造的に利益率を圧迫していると判断する。
  • AI事業が3期連続でセグメント損失に転落した場合。2026年5月期にセグメント損失207百万円から黒字233百万円へ転じたが、これが一過性であれば「AI事業も黒字基調に入った」という材料は失われる。
  • 全社共通費用(セグメント調整額)の増加率が売上収益の成長率を上回る状態が続いた場合。2026年5月期は調整額+32.0%に対し売上収益+39.4%だったが、この関係が逆転すればコーポレート費用の増加が利益を圧迫する。
  • 大型の希薄化(新株予約権の大量行使・公募増資・第三者割当増資)が発生した場合。2026年5月期の基本的EPS100.98円に対し希薄化後EPSは91.43円で潜在株式の影響は9.4%あるが、これを大きく上回る新規発行が起きれば1株価値の前提が崩れる。
  • 連結自己資本比率が50%を大きく割り込んだ場合。2026年5月期末の63.5%から大幅に低下すれば、財務の耐久力についての前提が崩れる。

よくある質問

グロービングはどんな会社ですか?
DX(デジタルトランスフォーメーション)・生成AI活用のコンサルティングを手がける会社で、2024年11月29日に東証グロース市場へ上場しました。事業はコンサルティング事業(2026年5月期の売上収益の96.5%)とAI事業(AIプロダクトの共同開発、同3.5%)の2セグメントで、決算期は毎年6月1日〜翌年5月31日です。2026年5月期から会計基準を日本基準からIFRSへ任意適用しています。
グロービングのAI事業は伸びているのですか?
2026年5月期のAI事業は外部売上収益が42百万円から405百万円へ+856.8%伸び、セグメント利益も233百万円(前期はセグメント損失207百万円)と黒字に転じました。ただし前期の売上収益がほぼゼロに近かったための伸び率で、2026年5月期時点でも全社売上に占める比率は3.5%にとどまります。増収増益のほぼ全量は、引き続きコンサルティング事業(中途採用による増員と戦略アカウント中心のJI案件拡大)が担っています。
グロービングの配当はいくらですか?
2026年5月期に上場後初めて配当を実施し、期末16.10円(配当性向15.9%)でした。2027年5月期の会社予想は中間14.20円・期末21.40円の合計35.60円(予想配当性向30.0%)で、累進的に増配する計画が読み取れます。2026年8月26日終値1,816円に対する予想配当利回りは1.96%です。

参考文献・引用元

  1. 01

    グロービング株式会社「2026年5月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」

    2026年8月26日15:30公表(TDnet開示、直接のURLは未取得)。連結損益計算書(2025年5月期・2026年5月期の売上収益・売上原価・売上総利益・販管費・営業利益・税引前利益・当期利益、基本的EPS・希薄化後EPS)、 2027年5月期の会社業績予想、セグメント情報(コンサルティング事業・AI事業の外部売上収益・セグメント利益、調整額)、連結財政状態計算書(移行日2024年6月1日・2025年5月31日・2026年5月31日の資産合計・負債合計・リース負債・資本合計、親会社所有者帰属持分比率、BPS、ROE、資産合計税引前利益率、売上収益営業利益率)、 連結キャッシュ・フロー計算書、配当の状況(2025年5月期無配、2026年5月期16.10円・配当性向15.9%・DOE6.9%、2027年5月期予想35.60円・配当性向予想30.0%)、株式分割(2024年9月20日付・2025年3月1日付でそれぞれ1株→5株)、期末発行済株式数28,728,000株・期末自己株式数211,408株・期中平均株式数28,475,680株、IFRS任意適用(2026年5月期有価証券報告書から)を参照。 / 2026/08/26 開示

  2. 02
    IR BANK「グロービング(277A)」

    二次情報。2024年5月期(日本基準、IFRS移行前)の実績(売上高41億7,532万円・営業利益3億6,900万円・経常利益3億7,800万円・当期純利益2億6,000万円)の参照に使用。 この期は2025年7月15日開示の決算短信(日本基準)の要約数値としてIR BANKに掲載されているもので、本記事では原本PDFを直接確認できていない。EPSは分割調整の有無が不明で信頼性が低いため本記事には記載していない。

  3. 03
    グロービング株式会社 コーポレートサイト

    上場市場(東証グロース市場。株探・Yahoo!ファイナンス等の一部サイトの「東証P」表示は誤りで、会社公式サイト・決算短信の双方でグロース市場と明記されていることを確認)、株主優待の有無(無し)、代表者(代表取締役社長CEO 田中耕平)の確認に参照。

  4. 04

    株探・Yahoo!ファイナンス「グロービング(277A)」

    二次情報。2026年8月26日終値1,816円(前日比-38円)、発行済株式数28,728,000株、時価総額約522億円、次期予想配当利回り1.96%(会社予想配当35.60円ベース)の確認に使用。 決算発表は同日15:30の取引終了後のため、この株価には当日の決算内容は織り込まれていない。本記事の財務数値は決算短信を優先し、この情報源からは株価と時価総額のみを取っている。