四半期分析ネットメディア・比較送客2027/1期 Q2

鎌倉新書(6184) 中間決算は増収鈍化でも大幅増益。効率化かミックス改善か

2026/09/10 公開2026/09/10 更新6分で読了対象決算:2027年1月期 第2四半期(中間期)(2026年2月1日〜2026年7月31日)

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

株式会社鎌倉新書

東証プライム 6184 ・ 1月期決算

2026/09/09 時点

株価

562円

時価総額

231億円

配当利回り

3.56%

年間20円

PER

21.1倍

PBR

4.00倍

ROE

19.0%

ROA

14.3%

純利益ベース

自己資本比率

75.1%

配当性向

74.9%

有利子負債

1億円

D/Eレシオ

0.01倍

有利子負債÷自己資本

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 2027年1月期中間期は売上高45億96百万円(前年同期比+14.4%)に対し、営業利益7億99百万円(+35.3%)・純利益5億31百万円(+38.4%)と、増収率を大きく上回るペースで増益しました。営業利益率は14.7%から17.4%へ改善しています。
  • この増益率の高さが広告宣伝費など集客コストの効率化によるものか、粗利率の高い介護・官民協働事業の構成比が上がった「ミックス改善」によるものかは、費目別の開示が無いため今回の決算短信だけでは特定できません。開示のある葬祭事業(+20.8%)・介護事業(+59.2%)・官民協働事業(+34.1%)はいずれも全社成長率+14.4%を上回っており、非開示の事業(お墓・仏壇・相続等)の伸びが相対的に鈍い可能性が示唆されますが、会社は明言しておらず断定はできません。
  • 配当は2025年1月期に「期初無配予定」から年20円へ転換して以降、3期連続で20円を据え置く方針です。EPSは伸びているため配当性向は107.8%→97.6%→74.9%(予想)へ低下しており、内部留保を成長投資・M&Aに振り向けている可能性がありますが、会社はその方針を明言していません。
  • 財務は自己資本比率75.1%、有利子負債62百万円、D/Eレシオ0.01倍と、実質無借金に近い状態です。一方で2026年1月期中に発行済株式数が1割程度増加しており、希薄化がEPSの伸びを抑えている面もあります。
目次11項目
  1. 1. 概要
  2. 2. 会社概要とビジネスモデル
  3. 3. 業績の推移
  4. 4. 増収率の鈍化と増益率の加速は何を意味するか
  5. 5. 配当の推移
  6. 6. 会社の現状と直近の動き
  7. 7. 業界とセクターの状況
  8. 8. 今後のスケジュール
  9. 9. 想定されるカタリスト
  10. 10. 想定されるリスク
  11. 11. まとめ:どう判断材料にするか

1. 概要

鎌倉新書は2026年9月10日、2027年1月期第2四半期(中間期、2026年2月1日〜2026年7月31日)の決算短信を開示しました。取引時間終了後の開示のため、以下の株価指標は前日2026年9月9日終値の562円にもとづくもので、今回の決算内容はまだ反映されていません。

この株価をもとに計算すると、PER(会社予想ベース)は21.05倍、PBRは4.00倍、予想配当利回り(会社予想ベース)は3.56%、自己資本比率は75.1%です。ROE18.99%・ROA14.27%(いずれも会社予想の純利益にもとづく)と、資本効率の高さがうかがえる水準になっています。

決算の中身を見ると、当中間期の売上高は45億96百万円で前年同期比+14.4%でした。一方、営業利益は7億99百万円で+35.3%、親会社株主に帰属する中間純利益は5億31百万円で+38.4%と、増収率を大きく上回るペースで増益しています。売上の伸びより利益の伸びの方がはるかに大きいという、この決算の特徴をどう読むかが本記事の中心的な論点です(第4節で詳しく扱います)。

2. 会社概要とビジネスモデル

鎌倉新書は「終活インフラ」の構築をミッションに掲げる、比較・送客型のプラットフォーム事業者です。比較サイト「いいお墓」「いい仏壇」「いい葬儀」の運営を中核に、相続・不動産分野の「シニア相続」などのアセットマネジメント事業、介護施設あっせん事業(子会社アシスト)、地方自治体と連携する官民協働事業を展開しています。単一セグメント(終活事業)として開示しており、事業区分ごとの売上構成比は公表されていません。

ビジネスモデルは、比較サイトへの資料請求・問い合わせ(反響)を葬儀社・石材店・仏壇店・専門家(弁護士等)に送客し、成約時に紹介手数料を得るというアセットライト型です。在庫や大規模な設備投資を伴わないため、粗利率が高くなりやすい構造を持ちます。

近年はM&Aによる事業領域の拡大を続けています。2026年7月6日には樹木葬・納骨堂事業を営む株式会社366を、現金168千円という実質ゼロに近い対価で完全子会社化しました(既存のお墓事業とのシナジーが取得目的とされています)。また2026年2月1日には、連結子会社エイジプラスが孫会社ユウテル(いずれも介護施設あっせん事業)を吸収合併しており、こちらはグループ内の効率化を目的とした共通支配下取引で、損益への新規貢献はありません。

強みと弱みの整理

強み

  • 粗利率の高いアセットライトモデル

    在庫や大きな設備投資を伴わない送客型ビジネスのため、当中間期の営業利益率は17.4%、調整後EBITDAマージンは21.6%まで改善しています。景気変動の影響を受けにくい紹介手数料モデルです。

  • M&Aによる周辺領域への展開

    介護事業(+59.2%)・官民協働事業(+34.1%)は全社成長率+14.4%を大きく上回るペースで伸びており、従前からのお墓・仏壇・葬儀に加えて成長領域を積み増しています。2026年7月には株式会社366を子会社化し、樹木葬・納骨堂事業にも参入しました。

  • 厚い財務基盤

    自己資本比率は75.1%、有利子負債は62百万円、D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)は0.01倍と、実質無借金に近い状態です。

弱み

  • セグメント別開示が無く、成長の中身を外部から検証しにくい

    単一セグメントのため、開示されている葬祭・介護・官民協働以外の事業(お墓・仏壇・相続等)がどの程度伸びているかは、決算短信の定性的な説明からしか推測できません。全社成長率+14.4%を、開示のある3事業がいずれも上回っていることから、非開示の事業の伸びが相対的に鈍い可能性が示唆されますが、断定はできません。

  • 広告宣伝費に依存した集客モデル

    検索エンジン経由の集客効率に業績が左右されますが、決算短信は広告宣伝費の絶対額や対売上比率を開示していません。集客コストが今回どう動いたのかを外部から確認する手段が限られています。

  • 配当実績の蓄積が浅い

    継続的な配当は2025年1月期に年20円を実施して以降であり、まだ3期分の実績しかありません。景気後退局面での配当の継続性を判断する材料は、他の老舗企業に比べて少ない状態です。

3. 業績の推移

売上高(左軸) 営業利益(右軸) 会社予想
005,00050010,0001,00015,0001,50020,0002,0002023/012024/012025/012026/012027/01単位:百万円
自己資本比率(%)50658078.277.868.575.1
数値で確認する
決算期売上高営業利益経常利益純利益自己資本比率
2023/015,00068768345478.2%
2024/015,86081681253177.8%
2025/017,06091190768768.5%
2026/018,3401,1601,17076575.1%
2027/01会社予想10,5001,7001,6901,100—
単位:百万円。出典:決算短信(2027年1月期第2四半期)、およびIR BANK集計による過年度実績

読み取れることは3つあります。

売上は4期連続で伸び続けている。 2023年1月期の50億円から2026年1月期には83億40百万円まで拡大しました。2027年1月期は会社予想で105億円まで伸びる計画です。

利益は売上以上のペースで伸びている。 営業利益は2023年1月期の6億87百万円から2026年1月期には11億60百万円まで、4期でおよそ1.7倍になりました。営業利益率も上昇基調にあります。

自己資本比率は2025年1月期にだけ一時的に低下している。 78.2%(2023年1月期)→77.8%(2024年1月期)→68.5%(2025年1月期)→75.1%(2026年1月期)という推移で、2025年1月期だけ落ち込んでいます。同じ時期に純資産が大きく積み上がっていること、期中平均株式数が前年中間期37,075,474株から当中間期41,194,972株へ1割ほど増えていることから、2026年1月期にかけて何らかの資本調達(増資)があったことがうかがえます。ただし、その具体的な時期・目的・手法は今回の決算短信からは特定できません。

4. 増収率の鈍化と増益率の加速は何を意味するか

ここが本記事の中心です。当中間期の各利益の伸び率を、売上高と並べます。

項目前年中間期当中間期前年同期比
売上高40億17百万円45億96百万円+14.4%
調整後EBITDA7億26百万円9億95百万円+37.0%
営業利益5億90百万円7億99百万円+35.3%
経常利益5億90百万円8億08百万円+37.0%
中間純利益3億84百万円5億31百万円+38.4%

出典:2027年1月期 第2四半期決算短信

売上の伸び(+14.4%)に対して、利益の伸びはその2倍以上(+35〜38%)あります。 これは営業利益率の改善によるもので、前年中間期の14.7%(590/4017)から当中間期は17.4%(799/4596)へ、2.7ポイント上がっています。調整後EBITDAマージンも18.1%から21.6%へ改善しました。

この改善が何から生まれているかについて、考えられる説明は大きく2通りあります。

ひとつは、広告宣伝費など集客コストの効率化です。 送客型のビジネスモデルでは、反響(資料請求・問い合わせ)1件あたりの獲得コストが下がれば、増収を伴わなくても利益率は上がります。

もうひとつは、事業構成の変化(ミックス改善)です。 決算短信の定性的な説明によれば、葬祭事業の売上は前年同期比+20.8%、介護事業は+59.2%、官民協働事業は+34.1%と、いずれも全社の伸び率+14.4%を上回っています。これらの事業の粗利率が従前からのお墓・仏壇事業より高いのであれば、構成比が上がるだけで全体の利益率は改善します。逆に言えば、開示されていないお墓・仏壇・相続等の事業の伸びは、全社平均より鈍いか、横ばい・減収の可能性も否定できません。

この決算短信だけでは、どちらが主因かを特定できません。 費目別の販管費内訳(広告宣伝費の絶対額の増減)も、セグメント別の売上・利益も開示されていないためです。通期の会社予想は売上高105億円、営業利益17億円、経常利益16億90百万円、純利益11億円で、対前期の変化はそれぞれ+26.0%、+46.3%、+45.0%、+43.8%です。中間期の進捗率は売上高43.8%(4,596/10,500)にとどまる一方、営業利益は47.0%(799/1,700)、純利益は48.3%(531/1,100)と、利益の方が計画に対して先行しています。下期にかけて売上の伸びが計画どおり加速するのか、それとも利益率の改善が先行したまま売上の伸びが鈍いままなのかは、次の第3四半期決算で確認できる材料になります。

5. 配当の推移

決算期期初予想年間配当期初比配当性向
2023/01—2.5円—21.1%
2024/01—4円—28.4%
2025/010円20円+20円107.8%
2026/0120円20円0円97.6%
2027/01会社予想20円20円—74.9%
  • 2023/01:中間配当の設定は無く、期末のみの配当方針(以降の期も同じ)。
  • 2025/01:期初は無配予定だったが、期中に20円へ修正し、その水準で着地した。
  • 2026/01:期初予想20円のまま、修正なしで着地。
  • 2027/01:今回の中間決算(2026年9月10日開示)でも据え置きで修正なし。実現すれば3期連続の年20円据え置きとなる。
1株当たり。「期初比」は期初予想に対する着地の差。 出典:決算短信「配当の状況」、およびIR BANK集計による過年度の予想・修正・実績

配当の履歴には明確な転換点があります。2023年1月期(2.50円)・2024年1月期(4円)と小額の期末配当が続いたあと、2025年1月期は期初に無配予定としながら、期中に20円へ修正して実施しました。 それ以降、2026年1月期・2027年1月期(会社予想)ともに年20円で据え置かれており、今回の中間決算(2026年9月10日開示)でも修正はありませんでした。実現すれば3期連続の据え置きです。中間配当の設定は無く、年1回・期末のみの配当方針です。

注目すべきは配当性向の推移です。EPSが18.55円(2025年1月期)→20.49円(2026年1月期)→26.70円(2027年1月期予想)と伸びる一方、配当は20円で固定されているため、配当性向は107.8%→97.6%→74.9%(予想)へ低下しています。利益の伸びに対して配当を増やさず、内部留保を厚くする方向に見えます。 これは成長投資やM&A資金への充当を意識した動きとも解釈できますが、会社が配当方針の考え方を明示的に説明した箇所は今回の決算短信からは見当たらず、断定はできません。

もう一つ、配当の実質的な価値を考えるうえで見ておきたいのが希薄化です。当中間期の中間純利益は前年同期比+38.4%でしたが、1株当たり中間純利益(EPS)の伸びは+24.5%(10.36円→12.90円)にとどまっています。第3節で触れたとおり、2026年1月期にかけて期中平均株式数が1割ほど増えており、これが1株当たりの指標の伸びを利益の伸びより低く抑えています。

6. 会社の現状と直近の動き

当中間期の財務諸表をもう少し分解します。

貸借対照表では、純資産合計が前期末63億49百万円から当中間期末60億79百万円へ、2億70百万円減少しました。主因は利益剰余金の減少(2億92百万円減)です。中間純利益5億31百万円を計上したにもかかわらず純資産が減ったのは、2026年4月の定時株主総会で決議・支払った前期分の配当金8億23百万円(20円/株)が上回ったためです。

有利子負債は前期末54百万円から当中間期末62百万円へわずかに増加しました。内訳を見ると、1年内返済予定の長期借入金が54百万円から24百万円へ減った一方、新たに長期借入金39百万円が計上されています。借り換えに近い動きに見えますが、増加の具体的な使途は決算短信からは特定できません。金額自体は自己資本58億円に対してごくわずかで、D/Eレシオは0.01倍と実質無借金の状態に変わりはありません。

キャッシュ・フロー計算書では、営業活動によるCFが前年中間期6億63百万円から当中間期4億73百万円へ減少しました。主因は法人税等の支払額の増加(1億63百万円→2億33百万円)です。投資活動によるCFは前年中間期5億13百万円の支出から当中間期1億72百万円の支出へ縮小しています。前年同期にあった事業譲受による支出3億07百万円が今回は無く、代わりにソフトウェア(無形固定資産)取得2億43百万円が主な支出になりました。

M&Aについては、2026年7月6日に取得した株式会社366(樹木葬・納骨堂事業)の業績は、当中間期の連結損益に2026年7月の1か月分しか含まれていません。取得対価は現金168千円と実質ゼロに近い水準で、のれん66百万円が発生し5年間で均等償却されます。下期以降、通期での連結寄与が本格化します。

通期業績予想(売上高105億円・営業利益17億円・経常利益16億90百万円・純利益11億円)は、2026年3月12日の公表から今回の中間決算でも修正されていません。

7. 業界とセクターの状況

鎌倉新書が属する比較・送客型ネットメディアのセクターには、構造的に決まっていることがいくつかあります。

需要の土台は人口動態にある。 葬儀・お墓・仏壇・相続といった領域の需要は、高齢化と死亡者数の増加という、個社の努力では動かせない人口動態にほぼ連動します。景気変動よりも構造的な要因が需要を規定するという点で、他の消費関連セクターとは性格が異なります。

収益性は集客コストの効率に左右される。 在庫や設備を持たないアセットライトモデルのため、売上原価そのものは小さく、広告宣伝費などの集客コストが実質的な変動費として機能します。検索エンジンのアルゴリズム変動や、指名検索の強さ(ブランド認知)が短期の反響数、ひいては売上を左右します。

セグメント別の開示が薄い企業が多く、成長の中身を外部から検証しにくい。 第4節で見たとおり、鎌倉新書も単一セグメントでの開示にとどまっており、どの事業がどれだけ伸びているかを費目やセグメントの数字だけで裏付けることはできません。

M&Aによる事業領域の拡大が起きやすい。 アセットライトで現金が積み上がりやすいため、周辺領域の比較サイト・送客プラットフォームを買収して事業領域を広げる動きが業界内で見られます。のれんの計上と、その後の減損リスクは、この業態に共通して注意すべき点です。

同業他社との指標比較は、比較対象となる上場企業が限られるため本記事では扱っていません。PER21.05倍・PBR4.00倍という水準は、同業他社や同社自身の過去のレンジと比較して初めて割高・割安を判断できるものです。

8. 今後のスケジュール

2026年12月上旬(予定)当サイト推定

2027年1月期 第3四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年3月中旬(予定)当サイト推定

2027年1月期 通期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年6月上旬(予定)当サイト推定

2028年1月期 第1四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年9月上旬(予定)当サイト推定

2028年1月期 第2四半期(中間) 決算発表

過去の発表時期からの推定

いずれも過去の発表時期からの推定です。確定日は会社のIRサイトで確認してください。

9. 想定されるカタリスト

時期想定イベント蓋然性方向
2026年12月上旬(予定)2027年1月期 第3四半期決算の発表高両面

営業利益率17.4%への改善が続くか、売上高の伸びが通期計画(対前期+26.0%)に近づく形で加速するかを確認できる最初の機会。

随時株式会社366(樹木葬・納骨堂事業)とのシナジー進捗中上振れ

当中間期は2026年7月の1か月分しか連結損益に反映されていない。下期以降、通期での連結寄与が本格化する。

随時広告宣伝費の投下水準と反響(資料請求・問い合わせ)効率の変化中両面

決算短信は費用の内訳を開示していない。次回以降の開示(本決算・有価証券報告書の販管費内訳)で、今回の増益がコスト効率化かミックス改善かを見極める材料が出る可能性がある。

2027年3月中旬(予定)2027年1月期 通期決算・期末配当の確定中両面

3期連続で年20円の据え置きが続くか、それとも純利益の伸びにあわせて増配に転じるかを確認できる。

10. 想定されるリスク

強みの裏返しになる点を中心に整理します。

利益率改善が一時的である可能性。 第4節のとおり、今回の増益率の高さがコスト効率化によるものかミックス改善によるものかは特定できていません。もし広告宣伝費を抑制した結果の一時的な利益率改善だとすれば、将来の反響数や売上の伸びを犠牲にしている可能性があります。

セグメント非開示による検証の難しさ。 単一セグメント開示のため、お墓・仏壇・相続といった従前からの事業の実際の成長率は、外部からは推測の域を出ません。好調な事業の陰で不調な事業が隠れている可能性を否定できません。

連続M&Aによるのれん減損リスク。 株式会社366の取得でのれん66百万円が発生しました。買収規模自体は小さいものの、こうしたM&Aを積み重ねる経営スタイルは、将来的にのれんの減損リスクを積み上げることにもつながります。

配当実績の蓄積が浅いこと。 現在の年20円という配当水準の実績は、2025年1月期からの3期分しかありません。景気後退局面や業績悪化局面でこの水準が維持されるかどうかを判断する材料は、他の老舗企業に比べて限られています。

11. まとめ:どう判断材料にするか

事業の成長そのものは数字に表れています。売上高は4期連続の増収で、2027年1月期は会社予想で105億円に達する計画です。営業利益率は17.4%まで改善し、自己資本比率75.1%・D/Eレシオ0.01倍と財務は健全です。

判断の分かれ目は、今回の増益率の高さをどう解釈するかです。 広告宣伝費などのコスト効率化が定着したものと見るなら、この利益率の水準は今後も維持されやすく、PER21.05倍という水準にも成長期待以上の裏付けがあると評価できます。一方で、利益率の高い介護・官民協働事業の構成比が一時的に上がっただけのミックス改善で、従前からのお墓・仏壇事業の成長が鈍化しているのだとすれば、全社の増収率が加速しない限り、現在の利益率がそのまま続くとは限りません。

配当についても同様に、3期連続の20円据え置きを「内部留保を成長投資に回す規律ある方針」と見るか、「利益の伸びに配当が追いついていない」と見るかで評価が変わります。

次の確認ポイントは、2026年12月上旬に予定される第3四半期決算です。売上高の伸びが通期計画(対前期+26.0%)に近づく形で加速しているか、営業利益率17.4%の水準が維持されているかを、あわせて確認してください。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 次回の第3四半期決算(2026年12月上旬予定)で、売上高の前年同期比の伸び率が10%を下回る、または営業利益率が17%を下回る水準まで悪化した場合。今回の増益がミックス改善による一時的なものだった可能性を示す。
  • 株式会社366の子会社化効果が2027年1月期の本決算で確認できず、発生したのれん66百万円について減損が計上された場合。
  • 通期業績予想(売上高105億円・営業利益17億円)に対して、第3四半期時点の累計進捗率が売上高・営業利益とも明らかに70%を下回るペースになった場合。
  • 2027年1月期の期末配当(2027年3月頃発表見込み)が20円から減配された場合。3期連続で20円を据え置いてきた前提が崩れる。

よくある質問

鎌倉新書の配当は100株でいくらになりますか?
2027年1月期の会社予想配当は年20円(期末のみ・年1回)です。中間配当は設定されていないため、100株を保有した場合、期末に2,000円(税引前)を受け取る計算になります。実績が確定するのは2027年3月頃の本決算発表時です。
鎌倉新書はなぜ増収率が鈍化しているのに大幅増益なのですか?
2027年1月期中間期の売上高は前年同期比+14.4%でしたが、営業利益は+35.3%・純利益は+38.4%と、売上の伸びを大きく上回って増益しました。営業利益率が14.7%から17.4%へ改善したことが直接の要因ですが、これが広告宣伝費などのコスト効率化によるものか、利益率の高い介護・官民協働事業の構成比が上がった「ミックス改善」によるものかは、今回の決算短信の開示だけでは特定できません。
鎌倉新書は減配したことがありますか?
2025年1月期に期初は無配予定としていましたが、期中に20円へ修正して配当を実施しました。それ以降は2026年1月期・2027年1月期(予想)ともに年20円で据え置いており、減配の実績はありません。

参考文献・引用元

  1. 01
    株式会社鎌倉新書「2027年1月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」

    2026年9月10日開示。連結業績(売上高・各利益・EPS)、中間連結貸借対照表、中間連結キャッシュ・フロー計算書、配当の状況、企業結合(株式会社366の取得)、通期業績予想を参照。 / 2026/09/10 開示

  2. 02
    株式会社鎌倉新書 コーポレートサイト

    事業内容(終活事業の区分)を参照。

  3. 03
    IR BANK「鎌倉新書(6184) 決算まとめ/配当金の推移」

    2023年1月期〜2026年1月期の通期業績・自己資本比率の時系列、および2026年9月9日時点の株価・PER・PBR・ROE・ROAのスナップショットを二次情報として参照した。同サイトの表示単位(億円)を百万円に換算しており、四捨五入により決算短信の実額と若干の誤差がある可能性がある。