四半期分析電気機器・建設資材2027/3期 Q1

遠藤照明(6932) 営業増益なのに経常減益・純利益減益、為替差損と実効税率上昇の中身

2026/09/03 公開2026/09/03 更新6分で読了対象決算:2027年3月期 第1四半期

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

株式会社遠藤照明

東証スタンダード 6932 ・ 3月期決算

2026/09/02 時点

株価

2,509円

時価総額

370億円

配当利回り

3.51%

年間88円

PER

8.4倍

PBR

0.73倍

ROE

8.7%

ROA

5.8%

純利益ベース

自己資本比率

66.8%

配当性向

29.5%

有利子負債

147億円

D/Eレシオ

0.29倍

有利子負債÷自己資本

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 2027年3月期第1四半期は売上高129億84百万円(前年同期比+3.8%)、営業利益9億83百万円(同+16.8%)と増収以上の増益だったが、経常利益は9億69百万円(同-0.8%)、純利益は5億55百万円(同-4.9%)とどちらも減益に転じた。営業利益と経常利益の伸びがねじれた主因は、為替差益27百万円から為替差損106百万円への転換(133百万円のマイナス影響)である。
  • 税引前利益は9億92百万円(前年同期比+7.2%)と増益だったにもかかわらず、実効税率が36.8%から43.9%へ上昇したことで、純利益は税引前の伸び以上に落ち込んだ。営業増益・税引前増益・純利益減益という3段階のねじれが、この四半期の実態である。
  • 財務は引き続き健全化が進んでいる。自己資本比率は66.8%(前期末65.3%)、有利子負債147億10百万円に対しD/Eレシオは0.29倍。通期の業績予想・配当予想(年間88円、配当性向29.54%)はいずれも据え置かれた。
  • 売上構成比は照明器具関連事業80.7%・環境関連事業17.6%・インテリア家具事業1.7%(当第1四半期)。照明器具・インテリア家具の売上高(環境関連のレンタル収益を除く)のうち41.1%が海外(英国・アジア・欧州)で、海外比率の高さが為替変動の影響を受けやすい財務構造の背景にある。
目次11項目
  1. 1. 概要
  2. 2. 会社概要とビジネスモデル
  3. 3. 業績の推移
  4. 4. 営業増益・経常減益・純利益減益という3段階のねじれ
  5. 5. 配当の推移
  6. 6. 会社の現状と直近の動き
  7. 7. 業界とセクターの状況
  8. 8. 今後のスケジュール
  9. 9. 想定されるカタリスト
  10. 10. 想定されるリスク
  11. 11. まとめ:どう判断材料にするか

1. 概要

2026年9月2日時点で、株価2,509円・PER8.42倍(2027年3月期会社予想EPS297.93円ベース)・PBR0.73倍(第1四半期末実績BPS3,432.55円ベース)・予想配当利回り3.51%(会社予想の年間88円ベース)・自己資本比率66.8%(第1四半期末実績)という水準です。ROE8.68%・ROA5.80%(純利益ベース)は会社予想ベースの値です。ROAは純利益÷総資産で計算しており、経常利益ベースで計算すると数値は変わります。他サイトの数値と比較する際は、どちらの利益を使っているかを確認してください。

2026年7月31日に開示された2027年3月期第1四半期(2026年4-6月)決算は、売上高129億84百万円(前年同期比+3.8%)、営業利益9億83百万円(同+16.8%)と増収以上の増益でした。ところがその下の経常利益は9億69百万円(同-0.8%)、純利益は5億55百万円(同-4.9%)とどちらも減益に転じています。営業利益が増えたのに、その下の利益段階が減っていく――この「ねじれ」がどこで生まれたのかを第4節で分解します。

2. 会社概要とビジネスモデル

株式会社遠藤照明は1972年設立、大阪市に本社を置き、東京証券取引所スタンダード市場に上場する照明器具メーカーです(連結従業員数1,648名、2026年3月末現在)。業務用LED照明器具・照明制御システムを主力に、国内では新設の商業施設・オフィス向けと既存照明の取換需要を、海外では英国・アジア・欧州で展開しています。

報告セグメントは3つで、当第1四半期の売上構成比は照明器具関連事業80.7%(129億84百万円中104億76百万円)・環境関連事業17.6%(22億90百万円)・インテリア家具事業1.7%(2億17百万円)です。環境関連事業は照明・省エネ機器のレンタルが中心で、スーパーマーケットやホームセンター向けに電気代削減提案を行っています。インテリア家具事業は屋外家具「COUTURE Jardin」を展開しますが、規模は全体の2%未満です。

照明器具・インテリア家具事業の売上高(環境関連のレンタル収益を除く)119億15百万円のうち、英国36億56百万円・アジア7億16百万円・欧州5億18百万円の合計48億92百万円(41.1%)が海外向けで、特に英国が海外売上の75%を占めます。この海外比率の高さが、第4節で扱う為替感応度の背景です。

強みと弱みの整理

強み

  • 5期連続で改善している財務健全性

    自己資本比率は2022年3月期末50.8%から2027年3月期第1四半期末66.8%へ、5期強で16ポイント上昇しました。有利子負債147億10百万円に対しD/Eレシオは0.29倍と、借入依存度は低い水準です。

  • 配当性向30%の目安に接近した増配基調

    会社は連結配当性向30%を目安に掲げています。2022年3月期の配当性向は10.0%にとどまっていましたが、2026年3月期は29.9%、2027年3月期予想も29.54%と、目安に近い水準まで増配が進みました。

  • 照明器具事業の利益率が改善している

    主力の照明器具関連事業のセグメント利益率は、前年同期8.9%(995百万円÷11,235百万円)から当第1四半期10.2%(1,202百万円÷11,788百万円)へ改善しました。

弱み

  • 為替差損益に経常利益が左右される

    海外売上比率が4割を超えるため、為替差損益の振れが経常利益に直接影響します。当第1四半期は為替差益27百万円から為替差損106百万円への転換だけで133百万円のマイナス影響が生じました。

  • 実効税率の変動が純利益をさらに振らせる

    当第1四半期の実効税率は43.9%(前年同期36.8%)へ上昇しました。税引前利益は増益(+7.2%)でも、税負担の増加で純利益は減益(-4.9%)になっています。

  • インテリア家具事業は縮小基調

    当第1四半期の売上高は217百万円(前年同期比-26.6%)、セグメント利益は1百万円(同-88.9%)まで落ち込みました。全体に占める規模は小さいものの、事業として苦戦が続いています。

3. 業績の推移

売上高(左軸) 営業利益(右軸) 会社予想
0015,0001,50030,0003,00045,0004,50060,0006,0002022/032023/032024/032025/032026/032027/03単位:百万円
自己資本比率(%)40557050.855.061.565.165.3
数値で確認する
決算期売上高営業利益経常利益純利益営業CF自己資本比率
2022/0340,6443,8274,2493,3305,03450.8%
2023/0345,7313,0923,6302,9623,90155.0%
2024/0351,7065,2035,7244,64910,15261.5%
2025/0353,7354,9305,4114,7992,91665.1%
2026/0355,4735,7425,9354,34210,27865.3%
2027/03会社予想59,5006,0006,2004,400
単位:百万円。出典:各期の決算短信(2022年3月期〜2027年3月期予想)

読み取れることは3つあります。

売上高は5期連続で増収が続いてきた。 406億44百万円(2022年3月期)から554億73百万円(2026年3月期)まで4期で36.5%増加し、2027年3月期は会社予想でも595億円(前期比+7.3%)とさらなる増収を見込んでいます。ただし増収率は2022年3月期+14.8%・2023年3月期+12.5%から、2024年3月期以降+13.1%→+3.9%→+3.2%と鈍化傾向にあり、成長ペースは減速しています。

営業利益率は一本調子ではなく、2023年3月期に落ち込んでいる。 2022年3月期9.4%→2023年3月期6.8%→2024年3月期10.1%→2025年3月期9.2%→2026年3月期10.4%と、2023年3月期だけ大きく落ち込んだあと回復しました。2023年3月期は原材料価格の高騰や円安の影響を受けた時期に重なります。2027年3月期予想の営業利益率は10.1%です。

純利益の伸び方は経常利益と一致しない年がある。 2026年3月期は経常利益+9.7%に対し純利益-9.5%と、方向自体が逆でした。今回の2027年3月期第1四半期(経常利益-0.8%・純利益-4.9%)も同じ非対称のパターンで、第4節で見るとおり為替差損益と実効税率の両方が影響しています。

4. 営業増益・経常減益・純利益減益という3段階のねじれ

何が起きたか

2027年3月期第1四半期(2026年4-6月)の連結業績は、売上高129億84百万円(前年同期比+3.8%)、営業利益9億83百万円(同+16.8%)、経常利益9億69百万円(同-0.8%)、純利益5億55百万円(同-4.9%)でした。営業利益までは増収以上の増益でしたが、経常利益・純利益は減益に転じています。

経常利益がねじれた理由は、為替差損益の転換

営業利益から経常利益への橋渡しとなる営業外損益を、前年同期と比較します。

項目前第1四半期当第1四半期差額
営業外収益1億92百万円1億34百万円-58百万円
(うち為替差益)27百万円-(差損に転換)-
営業外費用57百万円1億47百万円+90百万円
(うち為替差損)-(差益だった)1億06百万円-
営業外損益(収益-費用)+1億35百万円-13百万円-148百万円

出典:2027年3月期第1四半期決算短信(四半期連結損益計算書)

営業外収益・費用を合わせた純額は、前年同期の+135百万円(利益の押し上げ)から当第1四半期は-13百万円(利益の押し下げ)へ、148百万円分マイナス方向に振れました。このうち133百万円は為替差益27百万円から為替差損106百万円への転換だけで説明できます。営業利益の増加額(141百万円)の大半が、この為替差損益の転換で経常利益段階では相殺された形です。決算短信からは、この為替差損がどの通貨(英ポンド・アジア通貨など)に起因するかまでは確認できませんが、海外売上比率が4割を超える事業構造(第2節)を踏まえると、海外での取引や外貨建て資産・負債の評価が影響した可能性があります。

純利益がさらにねじれた理由は、実効税率の上昇

税引前利益から純利益への段差も見ておきます。

項目前第1四半期当第1四半期
税金等調整前四半期純利益9億25百万円9億92百万円(+7.2%)
法人税等合計3億40百万円4億36百万円(+28.2%)
実効税率(法人税等÷税引前利益)36.8%43.9%
親会社株主に帰属する四半期純利益5億84百万円5億55百万円(-4.9%)

出典:2027年3月期第1四半期決算短信(四半期連結損益計算書)から算出

税引前利益は特別損益(前年同期の役員退職慰労金51百万円の計上がなくなり、投資有価証券売却益21百万円が加わったこと)の後押しもあって前年同期比+7.2%の増益でした。ところが実効税率が36.8%から43.9%へ7.1ポイント上昇したことで、税引前の増益分は税負担の増加に吸収され、純利益は555百万円(同-4.9%)まで押し下げられました。決算短信には税率上昇の具体的な要因(税効果会計の影響など)は説明されておらず、この四半期だけの一時的な変動か、通期でも続く傾向かは中間決算以降で確認する必要があります。

5. 配当の推移

決算期期初予想年間配当期初比配当性向
2022/0315円22.5円+7.5円10.0%
2023/0330円30円0円15.0%
2024/0335円40円+5円12.7%
2025/0340円50円+10円15.4%
2026/0384円88円+4円29.9%
2027/03会社予想88円88円29.5%
  • 2022/03:期初予想(中間7.50円・期末7.50円の合計15円)に対し、期末配当を15円に増額し合計22.50円で着地。
  • 2024/03:期初予想(合計35円)に対し、期末配当を22.50円に増額し合計40円で着地。
  • 2025/03:期初予想(合計40円)に対し、期末配当を30円に増額し合計50円で着地。
  • 2026/03:期初予想(中間40円・期末44円の合計84円)に対し、期末配当をさらに48円へ増額し合計88円(期初予想比+4.8%)で着地。純利益は前期比-9.5%の減益だったが増配。
  • 2027/03:2026年4月30日公表の予想(中間40円・期末48円・合計88円)から、2026年7月31日の第1四半期決算時点で修正なし。
1株当たり。「期初比」は期初予想に対する着地の差。 出典:決算短信「配当の状況」(2022年3月期〜2027年3月期予想)

過去6期を見ると、配当は一貫して増配基調です。特に2026年3月期は、期初予想84円(中間40円・期末44円)から期末配当をさらに増額し、合計88円(期初予想比+4.8%)で着地しました。この期は純利益が前期比-9.5%の減益だったにもかかわらず増配しており、会社が掲げる「安定的な配当の維持」という方針(公式サイト「配当・株主還元方針」)が、単年度の利益変動よりも優先されたことがうかがえます。

配当性向は2022年3月期の10.0%から段階的に上昇し、2026年3月期に29.9%、2027年3月期予想も29.54%と、会社が目安とする連結配当性向30%にほぼ到達しています。予想配当利回り3.51%は会社が明示した予想に基づく数値であり、そのまま使えます。 ただし配当性向がすでに目安の30%近辺にあるため、これまでのような大幅な期中増額の余地は、前期までと比べて小さくなっている可能性があります。2027年3月期については、2026年4月30日公表の予想から、2026年7月31日の第1四半期決算時点でも修正はありません。

6. 会社の現状と直近の動き

セグメント別の詳細は第2節・第4節のとおりです。財政状態では、総資産が前期末765億89百万円から758億85百万円へ7億04百万円減少しました。主因は、有形固定資産の増加8億70百万円・棚卸資産の増加8億39百万円がある一方、現金及び預金が14億69百万円、受取手形及び売掛金が12億76百万円それぞれ減少したことです。

負債は前期末から13億72百万円減少し251億91百万円となりました。主因は賞与引当金の減少6億84百万円と有利子負債の減少6億02百万円です。純資産は前期末から6億68百万円増加し506億94百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益5億55百万円の計上、為替換算調整勘定の増加8億25百万円がある一方、配当金の支払いにより7億08百万円減少しています。

有利子負債は短期借入金5億50百万円・1年内返済予定の長期借入金30億75百万円・社債10億00百万円・転換社債型新株予約権付社債50億17百万円・長期借入金48億35百万円・リース債務(流動75百万円+固定1億58百万円の合計2億33百万円)の合計147億10百万円で、前期末から6億02百万円減少しました。 自己資本(506億94百万円)に対するD/Eレシオは0.29倍で、財務健全性は引き続き高い水準にあります。自己資本比率は66.8%(前期末65.3%)とさらに上昇しました。

なお、当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていません(日本基準の四半期決算では一般的な扱いです)。年間ベースでは、2026年3月期の営業キャッシュフローは102億78百万円でした。

7. 業界とセクターの状況

遠藤照明が属する電気機器セクターのうち、建設・設備投資に業績が連動する銘柄群では、公共・民間の建設投資サイクルが構造的な需要要因になります(当サイトの未来工業(7931)・愛知時計(7723)と共通する論点)。遠藤照明の場合は、これに加えて「LED照明への更新需要」という業界特有のドライバーがあります。2027年末に予定される蛍光灯の製造・輸出入禁止は、既存の蛍光灯照明を持つ施設にとって強制的な更新要因になり、決算短信でも取換需要の追い風として言及されています。

もう一つの構造的な特徴が、海外売上比率の高さです。第2節で見たとおり、照明器具・インテリア家具事業の売上高の4割超が英国・アジア・欧州向けで、国内需要中心の電気機器メーカーと比べて為替変動の影響を受けやすい収益構造になっています。第4節で見た経常利益・純利益の減益は、まさにこの構造が四半期ごとの業績を振れやすくする一例です。

配当政策については、会社が「安定的な配当の維持および適正な利益還元を行うこと」を基本方針とし、連結配当性向30%を目安に掲げています(公式サイト「配当・株主還元方針」)。2026年3月期に純利益が減益でも増配した実績は、この方針が単年度の業績変動に対して一定の緩衝材になっていることを示しています。

8. 今後のスケジュール

2026年11月上旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 第2四半期(中間) 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年2月上旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 第3四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年5月中旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 通期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年8月上旬(予定)当サイト推定

2028年3月期 第1四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

次の中間決算(2026年11月上旬予定)で、第4節で見た為替差損益の振れと実効税率の上昇が一時的なものだったか、中間期以降も続く傾向かを確認できます。発表日はいずれも過去の傾向からの推定で、確定日は同社IRサイトで確認が必要です。

9. 想定されるカタリスト

時期想定イベント蓋然性方向
2026年11月上旬2027年3月期 第2四半期(中間)決算両面

為替差損益の振れが中間期でも続くか、実効税率が第1四半期の43.9%から平常化するかを確認する最初の機会。

2027年3月期中通期業績予想の修正有無両面

第1四半期の進捗率は売上高21.8%・営業利益16.4%・経常利益15.6%・純利益12.6%。売上高は順調だが利益の進捗はやや控えめで、為替次第で下期に上下どちらの修正もあり得る。

2027年3月期中2027年末の蛍光灯製造・輸出入禁止に伴う照明器具の入れ替え需要上振れ

決算短信で既存照明の取換需要の追い風として言及されている規制イベント。国内の照明器具関連事業の下支え要因になりうる。

2027年3月期中配当性向30%目安への接近の持続両面

会社は配当性向30%を目安に掲げており、2026年3月期実績(29.9%)・2027年3月期予想(29.54%)とも目安に近い水準まで来ている。純利益が計画を下回れば減配、上回れば増配の両方があり得る。

10. 想定されるリスク

為替差損益の振れが経常利益・純利益を左右するリスク。 海外売上比率が4割を超えるため、当第1四半期のような為替差損益の転換(133百万円のマイナス影響)が今後も四半期ごとの利益をぶらす可能性があります。

実効税率の変動リスク。 当第1四半期の実効税率は43.9%(前年同期36.8%)へ上昇しました。要因は決算短信からは特定できず、この水準が続けば税引前の増益が純利益の増益に結びつきにくくなります。

増収ペースの鈍化。 売上高の増収率は2022年3月期+14.8%から2026年3月期+3.2%まで段階的に鈍化しています。国内の更新需要と海外展開が今後もこのペースを維持できるかは不透明です。

インテリア家具事業の縮小。 当第1四半期のセグメント利益は1百万円(前年同期比-88.9%)まで落ち込みました。規模は小さいものの、事業としての存続意義が問われる水準です。

11. まとめ:どう判断材料にするか

2027年3月期第1四半期は、営業利益までは増収以上の増益という強気材料に見えましたが、その下の経常利益・純利益は為替差損益の転換と実効税率の上昇という2つの要因が重なって減益に転じました。財務健全性(自己資本比率66.8%、D/Eレシオ0.29倍)と配当方針(配当性向30%を目安にした増配基調)は引き続き良好です。

判断の分かれ目は、今回の為替差損益・実効税率の悪化を一時的な四半期の振れと見るか、それとも海外比率の高い事業構造に内在する構造的な変動要因と見るかです。前者と見るなら、営業利益ベースの増益基調(+16.8%)が経常利益・純利益にも波及する余地があり、PER8.42倍という水準は相対的に割安に映ります。後者と見るなら、会社予想EPS297.93円は為替次第で上下にぶれやすく、通期計画(経常利益62億円、純利益44億円)の達成にも為替動向が重要な変数になります。

次の確認ポイントは、2026年11月上旬に予定される中間決算です。為替差損益が中間期でも発生しているか、実効税率が平常化しているかを、まず確認してください。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 2026年11月上旬の中間決算で為替差損がさらに拡大し、経常利益の通期計画(62億円)に対する中間期時点の進捗率が、売上高の進捗ペースから大きく乖離した場合。
  • 連結売上の8割を占める照明器具関連事業のセグメント利益率が悪化を続け、増収でも増益に結びつかない状態が定着した場合(当第1四半期のセグメント利益率は10.2%で前年同期比+1.3ポイント改善しているため、悪化に転じたかどうかが判断材料になる)。
  • 配当予想(年間88円、配当性向29.54%)が期末に向けて減額修正された場合。2022年3月期以降5期連続で増配基調にあり、減額修正は株主還元姿勢の明確な転換を意味する。
  • 有利子負債・D/Eレシオが当第1四半期末の147億10百万円・0.29倍から継続的に上昇し、自己資本比率(66.8%)が悪化に転じた場合。

よくある質問

遠藤照明の配当は100株でいくらになりますか?
2027年3月期の会社予想配当は年間88円(中間40円・期末48円)です。100株保有の場合、 年間8,800円(税引前)が目安になります。この予想は2026年4月30日の公表以降、 2026年7月31日の第1四半期決算時点でも修正されていません。
なぜ営業利益が増えたのに経常利益・純利益は減ったのですか?
為替差損益が前年同期の27百万円の差益から106百万円の差損に転じ、133百万円のマイナス影響を 与えたためです。加えて、税引前利益は前年同期比+7.2%と増益だったにもかかわらず、実効税率が 36.8%から43.9%へ上昇したことで、純利益は555百万円(同-4.9%)まで落ち込みました。
遠藤照明の自己資本比率と有利子負債はどう推移していますか?
自己資本比率は2027年3月期第1四半期末で66.8%(前期末65.3%)と、2022年3月期末の50.8%から 一貫して上昇してきました。有利子負債は147億10百万円(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・ 社債・転換社債型新株予約権付社債・長期借入金・リース債務の合計)、D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本) は0.29倍で、財務健全性は高い水準にあります。

参考文献・引用元

  1. 01
    株式会社遠藤照明「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」

    2026年7月31日開示。連結経営成績、連結財政状態(四半期連結貸借対照表)、四半期連結損益計算書、セグメント情報等の注記、収益認識関係(地域別の売上高)、配当の状況、業績予想を参照。 / 2026/07/31 開示

  2. 02
    株式会社遠藤照明「決算短信〔日本基準〕(連結)」(2022年3月期〜2026年3月期、各期一次資料)

    過去5期分の連結経営成績(売上高・営業利益・経常利益・純利益)、連結財政状態(自己資本比率)、連結キャッシュ・フローの状況、配当の状況(期初予想・実績)を、各期の決算短信PDFから直接取得。代表として直近期のURLを掲載。 / 2026/04/30 開示

  3. 03
    株式会社遠藤照明「会社概要」(公式サイト)

    一次情報。設立年(1972年8月)、資本金(51億55百万円)、従業員数(連結1,648名、2026年3月末現在)、事業内容、上場市場区分(東証スタンダード)を参照。

  4. 04
    株式会社遠藤照明「配当・株主還元方針」(公式サイト)

    一次情報。配当の基本方針(「安定的な配当の維持および適正な利益還元を行うこと」)と配当性向の目安(連結配当性向30%)を参照。