グローブライド(7990) 営業増益でも経常減益という2027年3月期予想の読み方
本記事をお読みになる前に
本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。
生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。
グローブライド株式会社
2026/07/28 時点
株価
2,476円
時価総額
565億円
配当利回り
4.04%
年間100円
PER
10.3倍
PBR
0.83倍
ROE
8.6%
ROA
6.2%
経常利益ベース
自己資本比率
54.1%
配当性向
37.5%
※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。
この記事の結論
- 2026年3月期は売上高1,269億56百万円(前期比+2.4%)・営業利益65億01百万円(同-0.1%)・経常利益71億84百万円(同+10.7%)・純利益54億09百万円(同+13.1%)で着地した。前期(2025年3月期)は営業利益-13.2%・経常利益-22.5%と大きく落ち込んでいたため、2026年3月期は経常利益・純利益を中心に回復した年だったと言える。
- 2027年3月期について会社は、売上高1,340億円(+5.5%)・営業利益70億円(+7.7%)への増益を見込む一方、経常利益は64億円(-10.9%)への減益を予想している。営業利益は2026年3月期実績から+4億99百万円増える計画なのに、経常利益は逆に-7億84百万円減る計画で、両者の差である営業外損益が前期の+6億83百万円(経常が営業を上回っていた分)から-6億円(経常が営業を下回る計画)へ、約12億83百万円悪化する前提になっている。
- この営業外損益の悪化について、決算短信の主要数値からは為替差損益・支払利息のどちらが主因かを特定できない。海外売上比率が47.6%(2026年3月期)に達し、有利子負債も285億円ある同社にとって、どちらも起こりうる要因であり、本記事では断定せず両論併記で扱う。
- 純利益+13.1%に対しEPSは+15.4%(208.10円→240.06円)と伸びが大きい。期中平均株式数が22,984,996株から22,533,783株へ減少しており、2026年3月期に27.7億円(前期0.03億円)の自己株式取得が実施されたこと、期末発行済株式数が2,400万株から2,280万株へ減ったことと符合する。
- 配当は2026年3月期実績90.00円(前期80.00円)、2027年3月期は会社予想100.00円。株価2,476円に対する利回りは4.04%になる。PERは実績ベースで10.31倍、PBRは0.83倍。営業外損益の悪化を一過性と見るか構造的な変化の兆しと見るかが、この銘柄を判断するうえでの分かれ目になる。
目次11項目
1. 概要
グローブライドは、2026年7月28日時点でPBR0.83倍・PER10.31倍・ROE8.6%・ROA6.2%(経常利益ベース)という水準にあります。会社が開示している2027年3月期の年間配当予想は100.00円で、株価2,476円に対する利回りは4.04%です。
2026年3月期の実績は、売上高1,269億56百万円(前期比+2.4%)・経常利益71億84百万円(同+10.7%)・純利益54億09百万円(同+13.1%)と、前期の落ち込みから回復した1年でした。ところが営業利益は65億01百万円(同-0.1%)とほぼ横ばいで、経常利益の伸びは営業外損益の改善によるところが大きかったことがうかがえます。
この記事でいちばん掘り下げたいのは、2027年3月期の会社予想が営業利益と経常利益で逆方向を向いていることです。 会社は営業利益を+7.7%の増益と見込む一方、経常利益は-10.9%の減益を予想しています。この「ねじれ」がどこから生まれているのか、第4節で整理します。
2. 会社概要とビジネスモデル
グローブライドは釣具を中心とするスポーツ用品メーカーで、Daiwaブランドの釣具のほか、ゴルフ用品や自転車など複数のスポーツ・レジャー用品を手がけています。決算短信では地域別に米州・欧州・日本・アジア・オセアニアの4セグメントで業績を開示しており、単純な内需企業ではなく海外展開を前提とした事業構造です。
2026年3月期の外部顧客への売上高は1,269億56百万円で、地域別の内訳(IR BANK集計、外部顧客ベース)は米州137億円・欧州170億円・日本666億円・アジア・オセアニア297億円です。海外3地域(米州・欧州・アジア・オセアニア)の合計は604億円で、連結売上高の47.6%を占めます。
強みと弱みの整理
強み
アジア・オセアニア地域が高い利益率で稼ぐ構造
2026年3月期のアジア・オセアニア地域は売上高297億円・営業利益48億50百万円で、営業利益率は16.3%に達します。連結営業利益65億01百万円の大半をこの地域が稼いでおり、他地域が伸び悩むなかでの支えになっています。
自己株式取得と株数の減少により、純利益以上にEPSが伸びる構造
2026年3月期に27.7億円(前期0.03億円)の自己株式取得を実施し、期末発行済株式数は2,400万株から2,280万株へ減少しました。この結果、純利益の伸び(+13.1%)よりもEPSの伸び(+15.4%、208.10円→240.06円)の方が大きくなっています。
配当は4期連続で期初予想どおりに着地している
2023年3月期以降、年間配当は期初予想と実績が一致し続けています(60円→70円→80円→90円)。2027年3月期の予想100.00円についても、この安定性がそのまま当てはまるかが注目点になります。詳細は第5節で扱います。
弱み
米州セグメントが2026年3月期に営業赤字へ転落
米州の営業利益は2025年3月期の39百万円の黒字から、2026年3月期は-1億69百万円の赤字に転落しました。海外3地域のうち唯一赤字の地域であり、海外展開が一様にうまくいっているわけではないことを示しています。
日本セグメントで減損損失513百万円を計上
2026年3月期は日本セグメントで513百万円(前期6百万円)の減損損失を計上しました。国内の一部資産の収益性が計画を下回っていることを示唆しますが、対象資産の詳細は本記事で参照した資料からは確認できません。
2027年3月期は経常利益が減益予想で、営業外損益の悪化を織り込んでいる
会社は2027年3月期の経常利益を-10.9%の減益と予想しています。海外売上比率47.6%・有利子負債285億円という構造のなかで、為替差損益や支払利息の悪化を織り込んだ計画になっていますが、内訳は特定できません。詳細は第4節で扱います。
3. 業績の推移
数値で確認する
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 営業CF | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2018/03 | 85,800 | 3,770 | 3,600 | 2,500 | — | — |
| 2019/03 | 87,800 | 3,820 | 3,270 | 2,960 | — | — |
| 2020/03 | 88,300 | 3,610 | 3,090 | 1,120 | — | — |
| 2021/03 | 100,300 | 7,410 | 7,150 | 4,800 | — | — |
| 2022/03 | 120,700 | 12,300 | 13,000 | 9,570 | — | — |
| 2023/03 | 134,600 | 12,100 | 12,700 | 9,190 | — | — |
| 2024/03 | 126,000 | 7,500 | 8,380 | 5,580 | — | — |
| 2025/03 | 123,983 | 6,508 | 6,492 | 4,783 | 2,042 | 53.5% |
| 2026/03 | 126,956 | 6,501 | 7,184 | 5,409 | 8,033 | 54.1% |
| 2027/03会社予想 | 134,000 | 7,000 | 6,400 | 5,500 | — | — |
読み取れることは3つあります。
2022年3月期をピークに、業績は一段落ちてから再び持ち直す動きをたどっている。 売上高は2021年3月期の1,003億円から2022年3月期1,207億円、2023年3月期1,346億円まで拡大しましたが、2024年3月期は1,260億円(前期比-6.4%)、2025年3月期は1,239億83百万円(同-1.6%)と2期連続で減少しました。純利益も2022年3月期の95億70百万円をピークに、2023年3月期91億90百万円、2024年3月期55億80百万円(同-39.3%)、2025年3月期47億83百万円(同-14.3%)まで落ち込んでいます。
2026年3月期は増収に転じ、経常利益・純利益は2桁増益で回復した。 売上高126,956百万円(前期比+2.4%)・経常利益7,184百万円(同+10.7%)・純利益5,409百万円(同+13.1%)と回復しましたが、営業利益は6,501百万円(同-0.1%)とほぼ横ばいにとどまりました。経常利益の伸びが純利益・売上高の伸びを上回っている点は、営業外損益(営業外収益が営業外費用を上回る幅)が前期から拡大したことを示しています。
2027年3月期は会社が増収増益(売上高+5.5%・営業利益+7.7%)を計画する一方、経常利益だけは-10.9%の減益予想になっている。 売上高・営業利益ベースでは回復基調の継続に見えますが、経常利益の段階でこれまでと逆方向の動きが計画されています。この点を次の第4節で詳しく見ます。
4. 営業増益・経常減益というねじれた次期予想をどう読むか
これがこの記事でいちばん整理したい論点です。会社が発表した2027年3月期の連結業績予想を、2026年3月期実績と並べます。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,269億56百万円 | 1,340億円 | +5.5% |
| 営業利益 | 65億01百万円 | 70億円 | +7.7% |
| 経常利益 | 71億84百万円 | 64億円 | -10.9% |
| 純利益 | 54億09百万円 | 55億円 | +1.7% |
| EPS | 240.06円 | 252.31円 | — |
出典:2026年3月期 決算短信
営業利益は+7.7%の増益予想なのに、経常利益は-10.9%の減益予想です。 営業利益と経常利益の差(営業外損益)を計算すると、この逆転がはっきり見えます。2026年3月期実績では経常利益(71億84百万円)が営業利益(65億01百万円)を6億83百万円上回っていました。つまり営業外収益が営業外費用を上回る状態です。ところが2027年3月期予想では、経常利益(64億円)が営業利益(70億円)を6億円下回る計画になっています。この2つを比べると、会社は営業外損益が前期から約12億83百万円悪化するという前提を置いていることになります。営業利益の増加幅(+4億99百万円)を打ち消してなお余りある大きさです。
なぜこれほどの営業外損益の悪化を見込んでいるのか。同社の事業構造を踏まえると、候補として考えられる要因は主に2つあります。1つは為替差損益です。海外売上比率は47.6%(2026年3月期)に達しており、円相場の前提次第で為替差損益は大きく振れます。もう1つは支払利息です。有利子負債は285億円(IR BANK集計、2026年3月期末)あり、金利水準の変化は利払い負担に直結します。
ただし、決算短信の主要数値からは、この2つのどちらが主因なのか、あるいは両方が影響しているのかを特定することはできません。 為替差損益・支払利息の内訳は、本記事で参照した範囲の資料には示されていないためです。断定せずに両論を並べるなら、次のようになります。
- 為替差益の剥落を織り込んだと見る場合: 2026年3月期に発生していた為替差益が2027年3月期には見込めなくなる、あるいは反対に為替差損が発生するという前提であれば、これは一時的な要因であり、翌々期以降に円相場が戻れば経常利益も回復しうると考えられます。
- それ以外の要因(支払利息の増加や持分法投資損益の悪化など)を織り込んだと見る場合: 有利子負債285億円という水準を踏まえると、金利上昇局面では支払利息の増加が構造的に続く可能性があり、その場合は一時的な要因では片付けられません。
第2四半期(累計)の会社予想も、営業利益+2.2%に対し経常利益-5.8%という同じ形になっており、これは通期だけの一過性の計画ではなく、期を通じた前提であることを示しています。
言い換えると、この銘柄を検討するうえでの論点は「この営業外損益の悪化を一時的な為替要因と見るか、金利負担のように構造的に続きうる要因と見るか」という一点に集約されます。どちらであるかは、2026年8月上旬に予定される第1四半期決算で、営業外損益の実際の動きがどちらの姿に近いかを確認することで、ある程度判別できると考えられます。
5. 配当の推移
| 決算期 | 期初予想 | 年間配当 | 期初比 | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|
| 2023/03 | 60円 | 60円 | 0円 | 15.0% |
| 2024/03 | 70円 | 70円 | 0円 | 28.8% |
| 2025/03 | 80円 | 80円 | 0円 | 38.4% |
| 2026/03 | 90円 | 90円 | 0円 | 37.5% |
| 2027/03会社予想 | 100円 | 100円 | — | 39.6% |
- 2025/03:中間40.00円・期末40.00円(決算短信)。
- 2026/03:中間45.00円・期末45.00円(決算短信)。同時に自己株式取得を27.7億円実施(前期0.03億円から急増、IR BANK集計)。配当と自己株式取得を合わせた総還元性向は38.5%から88.8%へ上昇した。
- 2027/03:中間50.00円・期末50.00円の予想(決算短信)。
配当は着実に増加してきました。2023年3月期の60.00円から、2024年3月期70.00円、2025年3月期80.00円、2026年3月期90.00円と、4期連続の増配です。
注目すべきは、この4期がいずれも期初予想どおりに着地していることです。 2023年3月期以降、期初予想と実績が一致しない期はありません(予想60→実績60、予想70→実績70、予想80→実績80、予想90→実績90)。同時期に増額修正を行った実績はなく、保守的に予想を出して期中に積み増すタイプの会社ではないことが分かります。
2027年3月期は、会社が中間50.00円・期末50.00円の合計100.00円を予想しています。株価2,476円に対する利回りは4.04%で、これは会社が明示的に開示した予想にもとづく数値です。配当性向は2026年3月期実績の37.5%から2027年3月期予想では39.6%へ上昇する計画で、純利益の伸び(+1.7%)をやや上回るペースで配当を積み増す計画になっています。
なお、2026年3月期には配当とは別に27.7億円の自己株式取得が実施されました(前期は0.03億円)。配当と自己株式取得を合わせた総還元性向は38.5%から88.8%へ大きく上昇しています。配当の推移だけを見ていると、この年の株主還元姿勢の変化を見落とすことになります。
6. 会社の現状と直近の動き
2026年3月期の決算では、利益の中身と株式数の変化に注目すべき点がいくつかあります。
まず、純利益の伸び(+13.1%)よりもEPSの伸び(208.10円→240.06円、+15.4%)の方が大きくなっています。 期中平均株式数は22,984,996株から22,533,783株へ減少し、期末発行済株式数も2,400万株から2,280万株へ1,200,000株(-5.0%)減っています。これは前節で触れた27.7億円の自己株式取得と符合する動きです。決算短信の主要数値からは自己株式の消却が行われた事実そのものまでは確認できますが、実施時期や金額の明細は本記事で参照した範囲の資料からは分かりません。
セグメント別に見ると、地域間で明暗がはっきり分かれています。 アジア・オセアニアは売上297億円・営業利益48億50百万円(営業利益率16.3%)と、連結営業利益65億01百万円の大半をこの地域が稼いでいます。日本は売上666億円・営業利益56億30百万円(同+24.8%)と回復しましたが、513百万円の減損損失を計上しました。欧州は売上170億円・営業利益6億83百万円(同+2.7%)で堅調です。一方、米州は売上137億円に対し営業利益は-1億69百万円と、前期の39百万円の黒字から赤字に転落しました。
キャッシュ・フローは大きく改善しました。 営業キャッシュ・フローは2025年3月期の20億42百万円から2026年3月期は80億33百万円へ増加しています。投資キャッシュ・フローは-41億86百万円から-29億92百万円へ縮小し、設備投資額も36億06百万円から26億27百万円へ減少しました。財務キャッシュ・フローは+10億11百万円から-46億17百万円へ転じており、これは配当支払いの増加に加えて自己株式取得(27.7億円)の影響が大きいと考えられます。現金及び現金同等物の期末残高は114億70百万円から118億50百万円へ増加しました。
7. 業界とセクターの状況
グローブライドは当サイトの「sporting-goods(スポーツ用品)」セクターの1本目の記事です。同業他社との詳細な指標比較は、今後同セクターの記事が増えてから可能になります。
このセクターで構造的に決まっていることとして、次の点が挙げられます。
- 需要は生活必需品ではなく余暇支出に属する。 釣具・ゴルフ用品・自転車といった製品は、景気動向や家計の余裕度に需要が左右されやすい性質を持ちます。
- 海外の余暇市場の成長度合いが業績を左右する。 2026年3月期のアジア・オセアニア地域が営業利益率16.3%と最も高い収益性を示していることは、この地域の余暇市場の拡大が業績への寄与度を高めていることを示唆しますが、その持続性や国別の内訳までは本記事で参照した資料からは確認できません。
- 原材料・部材の多くを輸入に頼るため、為替の影響を受けやすい。 海外売上比率が47.6%に達する一方、生産・調達面でも海外への依存があると考えられ、為替相場の変動が売上・費用の両面に影響しうる構造です。第4節で扱った2027年3月期の営業外損益悪化も、この構造と無関係ではないと考えられます。
- 完成品メーカーとして価格決定力を一定程度持つ一方、素材価格の変動は避けられない。 カーボンやアルミといった素材コストの動向は、個社の努力だけでは吸収しきれない場合があります。
8. 今後のスケジュール
2027年3月期 第1四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年3月期 第2四半期(中間) 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年3月期 第3四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年3月期 通期 決算発表
過去の発表時期からの推定
決算発表日はいずれも会社のIRカレンダーが「月旬」までしか公表していないための推定です。確定日は同社のIRサイトで確認してください。
9. 想定されるカタリスト
会社は通期で経常利益64億円(-10.9%)という減益を計画している。四半期の進捗から、営業外損益の悪化が計画どおりのペースで進んでいるか、それとも為替や金利の動きで想定より大きく(または小さく)ぶれているかを確認できる最初の機会になる。
会社は第2四半期累計で営業利益+2.2%に対し経常利益-5.8%という、通期と同じ形の予想を出している。上期の段階で同じ「営業増益・経常減益」のねじれが実際に確認できるかが焦点になる。
海外売上比率は47.6%(2026年3月期)に達する。2027年3月期の営業外損益悪化の一因として為替差損益の変動が考えられるが、決算短信の主要数値だけでは断定できない。今後の為替動向が計画の達成度を左右しうる。
2026年3月期は27.7億円の自己株式取得を実施し、期末発行済株式数が1,200,000株(-5.0%)減少した。同水準の取得が2027年3月期も続くかどうかで、純利益の伸び以上にEPSが伸びる構図が継続するかが決まる。
10. 想定されるリスク
第2節の強みと同じ分量で、弱気材料を整理します。
営業外損益の悪化が構造的に続くリスク。 第4節で述べたとおり、2027年3月期の会社予想は営業外損益が前期から約12億83百万円悪化する前提です。これが為替の一時的な変動ではなく、有利子負債285億円に対する金利負担の増加のような構造的な要因であれば、翌期以降も経常利益の下押しが続く可能性があります。
米州セグメントの赤字転落が続くリスク。 2026年3月期に営業利益が-1億69百万円へ赤字転落しました。この地域の収益性が改善しないまま拡大が続けば、連結全体の利益率を押し下げる要因になります。
日本セグメントでの減損が繰り返されるリスク。 2026年3月期に513百万円の減損損失を計上しました。対象資産の詳細は確認できませんが、国内の一部事業・資産の収益性が計画を下回っている可能性があり、同様の減損が今後も発生するリスクがあります。
自己株式取得のペースが減速するリスク。 2026年3月期の純利益の伸び以上にEPSが伸びた背景には27.7億円の自己株式取得がありました。同水準の取得が2027年3月期も続く保証はなく、取得ペースが鈍化すれば、純利益の伸び率とEPSの伸び率の差は縮小すると考えられます。
11. まとめ:どう判断材料にするか
2026年3月期のグローブライドは、売上高1,269億56百万円(前期比+2.4%)・経常利益71億84百万円(同+10.7%)・純利益54億09百万円(同+13.1%)と、前期の落ち込みから回復しました。一方で営業利益は65億01百万円(同-0.1%)とほぼ横ばいで、経常利益の伸びは営業外損益の改善によるところが大きかったと考えられます。指標面ではPER10.31倍・PBR0.83倍・ROE8.6%・ROA6.2%(経常利益ベース)という水準です。
2027年3月期については、会社は売上高+5.5%・営業利益+7.7%の増収増益を見込む一方、経常利益だけは-10.9%の減益を予想しています。営業利益と経常利益の差(営業外損益)が前期から約12億83百万円悪化する前提であり、海外売上比率47.6%・有利子負債285億円という構造を踏まえると、為替差損益と支払利息の両方が候補として考えられますが、決算短信の主要数値だけではどちらが主因かを特定できません。配当は2026年3月期実績90.00円から2027年3月期予想100.00円へ増配が続く計画で、4期連続で期初予想どおりに着地してきた実績もあります。
判断の分かれ目は、この営業外損益の悪化を一時的な為替要因と見るか、金利負担のように構造的に続きうる要因と見るかです。 一時的な為替要因と見るなら、2027年3月期の経常減益は一過性であり、営業利益+7.7%という本業の改善傾向をより重視する評価になります。一方、金利負担の増加のような構造的な要因と見るなら、有利子負債285億円という水準が今後も収益を圧迫し続けるリスクを織り込んで評価する必要があります。
次に確認すべきは、2026年8月上旬に予定される2027年3月期第1四半期決算です。営業外損益の実際の悪化幅が会社計画に近いペースで進んでいるか、それとも想定より大きく(または小さく)ぶれているかが、この記事の見立てを検証する最初の材料になります。
この記事の見立てが外れたと判断する条件
以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。
- 2027年3月期の経常利益が会社予想64億円を大きく下回り、営業外損益の悪化が想定の約12億83百万円からさらに拡大した場合。為替差損益や支払利息の悪化が一過性ではなく、構造的に進んでいることを示唆する。
- 逆に2027年3月期の経常利益が営業利益の伸び(+7.7%)に近い水準まで回復して着地した場合。今回の-10.9%という減益予想が保守的な織り込みに過ぎなかったことになり、営業外損益の悪化を過度に懸念する見方は修正が必要になる。
- 米州セグメントの営業損益が2026年3月期の-1億69百万円(赤字転落)からさらに悪化し、赤字幅が拡大した場合。海外事業の収益構造そのものに問題が生じている可能性を示す。
- 2027年3月期の配当が会社予想100.00円を下回って着地した場合(減配)。2023年3月期以降4期続いた「期初予想=実績」という着地の安定性が崩れることを意味する。
- 自己資本比率が2026年3月期末の54.1%から大きく低下した場合(目安として40%を下回るなど)。大規模な自己株式取得や投資の拡大により、財務健全性が損なわれている可能性を示す。
よくある質問
- グローブライドの2027年3月期は増益予想ですか、減益予想ですか?
- 利益の段階によって向きが違います。会社予想は売上高1,340億円(+5.5%)・営業利益70億円(+7.7%)と増収増益である一方、経常利益は64億円(-10.9%)の減益を見込んでいます。営業利益が+4億99百万円増える計画なのに経常利益は-7億84百万円減る計画で、両者の差である営業外損益が約12億83百万円悪化する前提になっています。
- 営業外損益が悪化する理由は何ですか?
- 決算短信の主要数値からは、為替差損益と支払利息のどちらが主因かを特定できませんでした。海外売上比率が47.6%(2026年3月期)に達し、有利子負債も285億円あるため、どちらも起こりうる要因です。本記事では断定せず両論併記で扱っています。
- グローブライドの配当利回りはどのくらいですか?
- 2027年3月期の会社予想は1株100円(前期実績90円)で、2026年7月28日時点の株価2,476円に対する予想利回りは4.04%です。同時点のPERは実績ベースで10.31倍、PBRは0.83倍でした。指標はいずれもその時点のスナップショットです。
参考文献・引用元
- 01グローブライド「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
2026年5月13日開示。連結経営成績、連結財政状態、連結キャッシュ・フローの状況、配当の状況、2027年3月期の連結業績予想、セグメント情報(1〜2ページ目付近および添付資料)を参照。 / 2026/05/13 開示
- 02IR BANK「グローブライド(7990) 決算まとめ/配当金の推移/セグメント情報」
2018年3月期以降の通期業績(売上高・各利益・ROE・ROA等)、財務状況、キャッシュ・フロー、配当の期初予想・修正・実績の履歴、自己株式取得額、地域別セグメント情報を、有価証券報告書・決算短信を集計した二次情報として参照した(2026年7月31日時点の表示)。2024年3月期以前の業績数値は同サイトの表示値(億円単位に丸めた値)にもとづく。