四半期分析電子部品・電線2027/3期 Q1

ニッポン高度紙工業(3891) 営業利益107.6%増、AIサーバー需要が支える通期上方修正の中身

2026/09/24 公開2026/09/24 更新6分で読了対象決算:2027年3月期 第1四半期

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

ニッポン高度紙工業株式会社

東証スタンダード 3891 ・ 3月期決算

2026/09/24 時点

株価

6,800円

時価総額

727億円

配当利回り

1.62%

年間110円

PER

17.1倍

PBR

2.65倍

ROE

10.5%

ROA

10.5%

経常利益ベース

自己資本比率

75.3%

有利子負債

56億円

D/Eレシオ

0.21倍

有利子負債÷自己資本

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 2027年3月期第1四半期は、売上高が前年同期比30.3%増の60億53百万円、営業利益が同107.6%増の17億77百万円、経常利益が同118.4%増の18億26百万円、純利益が同112.1%増の12億67百万円と、4段階すべてで大幅な増収増益になった。主因はアルミ電解コンデンサ用セパレータ(AIサーバー関連需要、+21.5%)と機能材(電気二重層キャパシタ用セパレータ等、生成AI普及に伴う電力需要増加、+56.4%)の両方が好調だったこと。
  • この決算と同じ2026年7月31日、会社は2027年3月期の通期業績予想を上方修正した(営業利益4,400百万円→6,000百万円、+36.4%)。修正理由として、主力製品の需要が前回予想を上回ったことに加え、原材料費の高騰はあるものの売上高増加に伴う稼働率向上で原価率が低減したことを挙げている。Q1は通期予想(修正後)に対して営業利益で29.6%の進捗となっており、四半期の増益と会社自身の通期見通しの方向は一致している。
  • 配当予想は年間110.00円(中間55.00円・期末55.00円)で、2026年4月24日の期初予想から一度も変更されていない。年間配当は2023年3月期50.00円→2024年3月期50.00円→2025年3月期60.00円→2026年3月期90.00円→2027年3月期110.00円(予想)と増加傾向にあり、配当性向も30%台前半から36%前後まで上昇してきた。
  • 財政状態は当第1四半期末に短期借入金4億円が新規に生じたが、長期借入金の約定返済が上回ったため有利子負債は前期末57億90百万円→当第1四半期末56億15百万円へ減少し、D/Eレシオも0.22倍→0.21倍へ低下した。自己資本比率は73.6%→75.3%へ上昇している。単一セグメント(セパレータ事業)であるため、この好調がAI関連需要という単一のドライバーにどこまで依存しているかは、次の決算での確認が必要。
目次11項目
  1. 1. 概要
  2. 2. 会社概要とビジネスモデル
  3. 3. 業績の推移
  4. 4. Q1営業利益107.6%増と通期上方修正、どこまで整合しているか
  5. 5. 配当の推移
  6. 6. 会社の現状と直近の動き
  7. 7. 業界とセクターの状況
  8. 8. 今後のスケジュール
  9. 9. 想定されるカタリスト
  10. 10. 想定されるリスク
  11. 11. まとめ:どう判断材料にするか

1. 概要

ニッポン高度紙工業は、2026年9月24日時点で株価6,800円・PER17.08倍(会社予想EPS398.23円ベース)・PBR2.65倍(実績BPS2,570.61円ベース)・予想配当利回り1.62%(会社予想110.00円ベース)という水準にあります。自己資本比率は当第1四半期末(2026年6月30日)時点で75.3%、ROEは直近通期(2026年3月期)実績で10.5%です。

2026年7月31日に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)決算は、売上高が前年同期比30.3%増、営業利益が同107.6%増、経常利益が同118.4%増、純利益が同112.1%増と、4段階すべてで大幅な増収増益になりました。会社は同じ日に、2027年3月期の通期業績予想(営業利益)を44億円から60億円へ上方修正しています。四半期の好調と会社自身の通期見通しがどちらも同じ方向を向いているのはなぜか、その内訳を第4節で整理します。

あわせて、配当は2026年4月24日の期初予想(年間110.00円)から一度も変更されておらず、2023年3月期以降5期連続で増加傾向にあります(第5節)。財政状態では当第1四半期に短期借入金4億円が新規に生じましたが、有利子負債全体は減少しており、この点は第6節で扱います。

2. 会社概要とビジネスモデル

ニッポン高度紙工業は、電解コンデンサ用セパレータ(絶縁材料)を主力とする特殊紙・機能材メーカーです。事業は「セパレータ事業」の単一セグメントで、決算短信では製品を大きく2つに分けて説明しています。

  • アルミ電解コンデンサ用セパレータ:電解コンデンサの電極間を絶縁する紙状の材料。2027年3月期第1四半期の売上高は42億27百万円(全体の約70%)で、AIサーバー関連等の需要が好調に推移。
  • 機能材:主に電気二重層キャパシタ(EDLC)用セパレータ。同18億25百万円(全体の約30%)で、生成AI普及に伴う電力需要の増加により、電力安定化用途で伸びている。

単一セグメントであるため、セグメント別の利益は開示されていませんが、両製品ともAIサーバー・データセンターや生成AI関連の電力需要という共通のドライバーで需要が伸びている点が、この四半期の特徴です。

強みと弱みの整理

強み

  • AIサーバー・生成AI関連需要という強い追い風

    主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータはAIサーバー関連等の需要好調で売上高+21.5%、機能材(EDLC用セパレータ等)は生成AI普及に伴う電力需要増加で売上高+56.4%と、2つの製品がそれぞれ異なる経路でAI関連需要の拡大から利益を得ています。

  • 通期業績予想の上方修正という会社側の見通し

    2026年7月31日、会社は2027年3月期の営業利益予想を44億円から60億円へ上方修正しました(+36.4%)。Q1の増益を受けて会社自身も通期でより強気の見通しを示しており、四半期の好調が一時的ではないという会社の判断が読み取れます。

  • 有利子負債の減少と自己資本比率の上昇

    当第1四半期に短期借入金4億円が新規に生じたものの、長期借入金の約定返済がそれを上回り、有利子負債は前期末57億90百万円から当第1四半期末56億15百万円へ減少しました。自己資本比率も73.6%から75.3%へ上昇しており、増収増益局面でも財務体質はむしろ改善しています。

弱み

  • 単一セグメントでAI関連需要への依存度が高い

    「セパレータ事業」の単一セグメントであり、主力2製品(アルミ電解コンデンサ用セパレータ・機能材)がいずれもAIサーバーや生成AI関連の電力需要という共通のテーマに支えられています。この需要サイクルが反転した場合、事業全体が同時に影響を受けるリスクがあります。

  • 原材料費の高騰という明示されたコスト圧力

    2026年7月31日の業績予想修正のお知らせで、会社は「原材料費の高騰等のコスト上昇はあるものの」と明記しています。当第1四半期は売上高増加に伴う稼働率向上でこれを吸収できましたが、原材料価格がさらに上昇し、稼働率の伸びが鈍化すれば、利益率の圧迫要因になります。

  • 時価総額727億円という規模

    時価総額727億円(2026年9月24日時点)は東証スタンダード市場の中でも中堅規模で、大企業と比べて株価の値動きが大きくなりやすく、需給の影響を受けやすい面があります。

3. 業績の推移

売上高(左軸) 営業利益(右軸) 会社予想
007,5001,50015,0003,00022,5004,50030,0006,0002023/032024/032025/032026/032027/03単位:百万円
自己資本比率(%)50658070.465.867.873.6
数値で確認する
決算期売上高営業利益経常利益純利益営業CF自己資本比率
2023/0317,5863,3273,5322,468—70.4%
2024/0314,8281,7192,0211,4791,91065.8%
2025/0316,0332,4602,4451,7813,80167.8%
2026/0318,6243,5333,7072,6425,24073.6%
2027/03会社予想24,0006,0006,0004,200——
単位:百万円。出典:決算短信(2023年3月期・2024年3月期・2026年3月期)。2027年3月期は会社予想(forecast: true)

過去4期の通期実績と会社予想を並べると、読み取れることは3つあります。

1つ目は、2024年3月期が業績の谷だったことです。 2023年3月期の売上高175億86百万円・営業利益33億27百万円に対し、2024年3月期は売上高148億28百万円(前期比△15.7%)・営業利益17億19百万円(同△48.3%)と大きく落ち込みました。自己資本比率も70.4%から65.8%へ低下しています。

2つ目は、2025年3月期以降、2期連続で増収増益が続いていることです。 2025年3月期は売上高160億33百万円(前期比+8.1%)・営業利益24億60百万円(同+43.1%)、2026年3月期は売上高186億24百万円(同+16.2%)・営業利益35億33百万円(同+43.6%)と、2期にわたって営業利益が40%超のペースで拡大しています。自己資本比率も65.8%→67.8%→73.6%と回復基調です。

3つ目は、2027年3月期の会社予想が、この増益ペースをさらに上回る水準に置かれていることです。 予想営業利益60億円は前期実績35億33百万円比+69.8%で、2025年3月期・2026年3月期の+40%台からさらに加速する見通しです。この会社予想の強気度合いと、実際のQ1進捗(後述)がどこまで整合しているかが第4節の論点です。

4. Q1営業利益107.6%増と通期上方修正、どこまで整合しているか

当第1四半期の決算は、見出しの数字も会社自身の通期見通しも、同じ方向(好調)を向いています。まず数値を確認します。

項目前第1四半期(2025/4-6)当第1四半期(2026/4-6)前年同期比
売上高4,646百万円6,053百万円+30.3%
営業利益856百万円1,777百万円+107.6%
経常利益836百万円1,826百万円+118.4%
親会社株主に帰属する四半期純利益597百万円1,267百万円+112.1%
1株当たり四半期純利益56.72円120.14円ー

出典:2027年3月期第1四半期決算短信(2026年7月31日)

増益の中身は2つの製品がそれぞれ伸びた結果

決算短信の「経営成績の概況」によれば、増収の内訳は次のとおりです。

  • アルミ電解コンデンサ用セパレータ:当第1四半期の売上高42億27百万円(前年同期比+748百万円、+21.5%)。AIサーバー関連等の需要が好調に推移。
  • 機能材(主に電気二重層キャパシタ用セパレータ):当第1四半期の売上高18億25百万円(同+658百万円、+56.4%)。生成AI普及に伴う電力需要の増加により、電力安定化用途で好調。

この結果、当第1四半期の売上高は60億53百万円(同+1,406百万円、+30.3%)となり、売上高の増加に伴う稼働率向上により、営業利益は売上高の伸びを上回るペース(+107.6%)で増加しました。

通期予想は同じ日に上方修正されている

この決算と同じ2026年7月31日、会社は2027年3月期の通期業績予想を次のとおり上方修正しています。

売上高営業利益経常利益純利益EPS
修正前予想(2026年4月24日時点)21,000百万円4,400百万円4,400百万円3,200百万円303.41円
修正後予想(2026年7月31日)24,000百万円6,000百万円6,000百万円4,200百万円398.23円
前期実績(2026年3月期)18,624百万円3,533百万円3,707百万円2,642百万円250.67円

出典:2027年3月期第2四半期(中間期)連結業績予想および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ(2026年7月31日)

修正理由として会社は、主力製品(アルミ電解コンデンサ用セパレータ)の需要がAIサーバー関連等で好調に推移し前回予想を上回る見込みとなったこと、また原材料費の高騰等のコスト上昇はあるものの、売上高増加に伴う稼働率向上による原価率の低減もあり、前回予想の各利益を上回る見込みとなったことを挙げています。

Q1の実績(営業利益17億77百万円)は、上方修正後の通期予想60億円に対して29.6%の進捗です。四半期を単純に4分割した場合の目安(25%)を上回るペースで、四半期の増益と会社自身が示す通期の方向は一致しています。もっとも、これは第1四半期1期分の実績であり、原材料費のさらなる上昇やAIサーバー関連需要の減速が生じれば、この進捗ペースが維持できるとは限りません。

財政状態:短期借入金が新規に生じたが、有利子負債全体は減少

当第1四半期末の財政状態にも変化がありました。前期末はゼロだった短期借入金が4億円計上されています。一方で、1年内返済予定の長期借入金は前期末22億99百万円から当第1四半期末22億79百万円、固定負債の長期借入金は34億90百万円から29億35百万円へと、約定返済により減少しました。

この結果、有利子負債の合計(短期借入金+1年内返済予定の長期借入金+長期借入金)は前期末57億90百万円から当第1四半期末56億15百万円へ減少し、D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)は0.22倍から0.21倍へわずかに改善しています。自己資本比率も73.6%から75.3%へ上昇しました。増収増益局面で新規の短期借入が生じた点は変化として押さえておく必要がありますが、財務体質そのものは悪化していません。

5. 配当の推移

決算期期初予想年間配当期初比配当性向
2023/03—50円—21.8%
2024/03—50円—36.0%
2025/03—60円—35.8%
2026/0380円90円+10円35.9%
2027/03会社予想110円110円—36.3%
  • 2026/03:期初予想は中間40.00円・期末40.00円の合計80.00円だったが、2026年4月24日の決算発表と同時に期末配当を直近予想から10円増額し、期末50.00円・合計90.00円で確定した。
  • 2027/03:2026年4月24日の期初予想(中間55.00円・期末55.00円・合計110.00円)から、2026年7月31日の通期業績予想の上方修正時点でも据え置かれている。
1株当たり。「期初比」は期初予想に対する着地の差。 出典:決算短信「配当の状況」(2023年3月期・2024年3月期・2026年3月期・2027年3月期第1四半期)

2027年3月期の配当予想は中間55.00円・期末55.00円の合計110.00円です。この予想は2026年4月24日の期初予想時点から一度も変更されておらず、2026年7月31日の通期業績予想の上方修正時点でも据え置かれています。株価6,800円に対する予想配当利回りは1.62%です。

年間配当の推移を見ると、2023年3月期50.00円→2024年3月期50.00円→2025年3月期60.00円→2026年3月期90.00円→2027年3月期110.00円(予想)と、5期連続で減配がなく、直近3期は明確な増配傾向にあります。配当性向も2023年3月期21.8%→2024年3月期36.0%→2025年3月期35.8%→2026年3月期35.9%と、30%台半ばの水準で安定してきました。

2026年3月期は、期初予想(中間40.00円・期末40.00円の合計80.00円)に対し、2026年4月24日の決算発表と同時に期末配当を直近予想から10円増額し、期末50.00円・合計90.00円で確定しています。期中の増額を伴いながら増配を続けてきた実績があるため、2027年3月期についても、上方修正された業績予想(純利益+31.3%)が実際に達成されれば、期末時点でさらに上乗せされる可能性は残ります。ただし、7月31日の業績予想修正時点でも配当予想自体は据え置かれており、増額を前提に利回りを見積もるのは時期尚早です。

6. 会社の現状と直近の動き

当第1四半期の財政状態を確認すると、総資産は前期末35,609百万円から当第1四半期末36,023百万円へ413百万円増加しました。

流動資産は売掛金の増加等により472百万円増加し18,212百万円、固定資産は有形固定資産の取得・減価償却実施等により58百万円減少し17,810百万円となっています。売掛金の増加(49億75百万円→60億62百万円)は、当第1四半期の売上高が前年同期比+30.3%と大きく伸びたことに対応した動きです。

純資産は、剰余金の配当実施と四半期純利益の計上による利益剰余金の増加等により、前期末に比べ904百万円増加し27,111百万円となりました。包括利益は当第1四半期に14億32百万円(前年同期比+161.1%)で、四半期純利益(12億67百万円)を上回っており、その他有価証券評価差額金の増加(1億77百万円→3億24百万円)も純資産の押し上げに寄与しています。

セグメント情報については、当社グループは「セパレータ事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の売上高・利益は開示されていません。決算短信の「経営成績の概況」で示された製品別の売上高(アルミ電解コンデンサ用セパレータ、機能材)が、事業の内訳を把握できる唯一の情報です。

7. 業界とセクターの状況

電解コンデンサ用セパレータ・機能材のメーカーには、個社の努力だけでは動かせない構造的な特徴があります。

最終需要(電解コンデンサ・EDLCの用途)の投資サイクルに業績が連動する。 当第1四半期の増収は、AIサーバー関連の需要好調と、生成AI普及に伴う電力需要増加という、いずれも会社の外部にある投資トレンドが起点になっています。この種の需要はデータセンター投資やAI関連の設備投資サイクルと密接に関わり、会社自身がコントロールできるものではありません。

単一セグメント・少数の製品ラインに業績が集中しやすい。 「セパレータ事業」という単一セグメントで、主力製品もアルミ電解コンデンサ用セパレータと機能材の2つに集約されています。事業の多角化が進んだ会社と比べると、特定の需要テーマへの依存度は相対的に高くなります。

原材料費(特殊パルプ等)の価格変動が原価率を左右する。 会社自身が「原材料費の高騰等のコスト上昇はある」と明記しており、稼働率向上によるコスト吸収が続くかどうかが、今後の利益率を左右する構造的な要因です。

8. 今後のスケジュール

2026年11月上旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 第2四半期(中間) 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年2月上旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 第3四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年5月中旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 通期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年8月上旬(予定)当サイト推定

2028年3月期 第1四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

第2四半期(中間)決算の発表日は過去の傾向からの推定です。確定日は同社のIRサイトで確認してください。

9. 想定されるカタリスト

時期想定イベント蓋然性方向
2026年11月上旬(予定)2027年3月期 第2四半期(中間)決算発表高両面

通期予想(営業利益60億円)に対する中間期の進捗と、配当予想(年間110.00円)が維持・増額されるかどうかを確認できる最初の機会。

随時AIサーバー・データセンター投資の動向高両面

アルミ電解コンデンサ用セパレータの需要はAIサーバー関連の投資サイクルに連動している。投資が続けば増収増益の追い風、減速すれば主力製品の需要が反転するリスクになる。

随時原材料費(特殊パルプ等)の価格動向中下振れ

会社は2026年7月31日の業績予想修正で「原材料費の高騰等のコスト上昇はある」と明記している。稼働率向上による原価率低減で吸収できている間は問題ないが、原材料価格がさらに上昇すれば利益率を圧迫する。

中長期生成AI普及に伴う電力需要(EDLC用途)の拡大中上振れ

機能材(電気二重層キャパシタ用セパレータ)は当第1四半期に前年同期比56.4%増と、主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータより高い成長率だった。電力安定化用途の需要が続けば、事業構成の二本目の柱として拡大する可能性がある。

10. 想定されるリスク

強みと弱みを踏まえたうえで、判断材料として押さえておくべきリスクを整理します。

AIサーバー・生成AI関連需要が減速するリスク。 通期予想の上方修正は、アルミ電解コンデンサ用セパレータ・機能材の両方でAI関連需要が好調に推移することを前提にしています。データセンター投資やAI関連の設備投資サイクルが減速すれば、この前提が崩れます。

原材料費のさらなる上昇が原価率を圧迫するリスク。 当第1四半期は稼働率向上でコスト上昇を吸収できましたが、原材料価格の上昇ペースが売上高の伸びを上回れば、利益率が悪化する可能性があります。

単一セグメントであることによる集中リスク。 事業の多角化が進んでいないため、主力2製品への需要が同時に反転した場合、業績全体への影響を緩和する手段が限られます。

Q1の好調が通期を通じて持続するかどうかの不確実性。 営業利益の通期進捗率は29.6%と悪くないペースですが、これは第1四半期1期分の実績に基づく判断であり、残り3四半期の推移を見るまでは確定的な評価はできません。

11. まとめ:どう判断材料にするか

ニッポン高度紙工業の2027年3月期第1四半期は、売上高+30.3%・営業利益+107.6%という大幅な増収増益になりました。主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータ(AIサーバー関連需要、+21.5%)と機能材(生成AI普及に伴う電力需要増加、+56.4%)の両方が伸びた結果です。会社は同じ日に通期の営業利益予想を44億円から60億円へ上方修正し、Q1の進捗率(29.6%)は単純な四半期進捗の目安(25%)を上回っています。

判断の分かれ目は2つあります。1つは、この好調をAIサーバー・生成AI関連需要という構造的なトレンドの初期段階と見るか、単一セグメント企業が特定の需要テーマに強く依存している状態と見るかです。もう1つは、原材料費の高騰を稼働率向上で吸収し続けられると見るか、いずれ利益率を圧迫する要因になると見るかです。配当は5期連続で増加傾向にあり(2023年3月期50円→2027年3月期110円予想)、この2つの分かれ目にどちらの見方を取るかで、増配の持続性に対する評価も変わります。

次の確認ポイントは、2026年11月頃に予定される第2四半期(中間)決算です。通期予想60億円(営業利益)に対する累計進捗と、配当予想(年間110.00円)が維持・増額されるかどうかが、この記事で挙げた論点の答え合わせになります。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 2026年11月頃の第2四半期(中間)決算で、営業利益の通期予想(60億円)に対する累計進捗が第1四半期のペース(29.6%)から明確に減速し、7月31日の上方修正の前提(AIサーバー関連需要の好調)が確認できなかった場合。
  • アルミ電解コンデンサ用セパレータまたは機能材の売上高成長率が、当第1四半期(それぞれ+21.5%、+56.4%)から大きく鈍化し、一桁%台以下まで落ち込んだ場合。AIサーバー投資サイクルの減速を示すサインになる。
  • 配当予想(年間110.00円、2026年4月24日の期初予想から据え置き)が、中間決算時点で減額された場合。2023年3月期以降続いている年間配当の増加傾向(50円→50円→60円→90円→110円)が途切れることを意味する。
  • 有利子負債がさらに積み増され、D/Eレシオが当第1四半期末の0.21倍から明確に上昇する水準(例えば0.4倍超)まで悪化した場合、または自己資本比率が75.3%から60%台まで低下した場合。

よくある質問

ニッポン高度紙工業の配当はいくらですか?
2027年3月期の会社予想は、中間55.00円・期末55.00円の年間合計110.00円です(2026年4月24日の 期初予想から、2026年7月31日の通期業績予想の上方修正時点でも据え置き)。株価6,800円 (2026年9月24日時点)に対する予想配当利回りは1.62%です。年間配当は2023年3月期50.00円→ 2024年3月期50.00円→2025年3月期60.00円→2026年3月期90.00円と増加を続けており、2027年3月期 も前期比+22.2%の増配予想になっています。
営業利益が107.6%も増えたのはなぜですか?
主力製品のアルミ電解コンデンサ用セパレータが、AIサーバー関連等の需要好調により売上高 42億27百万円(前年同期比+21.5%)となったことに加え、機能材(主に電気二重層キャパシタ用 セパレータ)が生成AI普及に伴う電力需要の増加を背景に売上高18億25百万円(同+56.4%)と、 主力製品を上回るペースで伸びたことが主因です。売上高増加に伴う稼働率向上で原価率も 低減し、営業利益は売上高の伸び(+30.3%)を上回るペースで増加しました。
ニッポン高度紙工業はどんな会社ですか?
「セパレータ事業」の単一セグメントで、アルミ電解コンデンサ用セパレータ(絶縁材料)と、 電気二重層キャパシタ(EDLC)用などの機能材を製造する特殊紙・機能材メーカーです。 東証スタンダード市場に上場しており、2027年3月期第1四半期の売上高構成はアルミ電解 コンデンサ用セパレータが約7割、機能材が約3割です。

参考文献・引用元

  1. 01
    ニッポン高度紙工業株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」

    2026年7月31日開示。連結経営成績(累計)、財政状態、配当の状況、発行済株式数、四半期連結貸借対照表、セグメント情報(単一セグメント「セパレータ事業」)を参照。 / 2026/07/31 開示

  2. 02
    ニッポン高度紙工業株式会社「2027年3月期第2四半期(中間期)連結業績予想および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」

    2026年7月31日開示。通期業績予想の修正前後の数値(売上高・各利益・EPS)と修正理由(主力製品の需要好調、原材料費上昇はあるが稼働率向上で原価率低減)を参照。 / 2026/07/31 開示

  3. 03
    ニッポン高度紙工業株式会社「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

    2026年4月24日開示。2025年3月期・2026年3月期の通期経営成績、財政状態、配当の状況(期末配当を直近予想から10円増額)、2027年3月期期初業績予想・配当予想(配当性向36.3%)、発行済株式数を参照。 / 2026/04/24 開示

  4. 04
    ニッポン高度紙工業株式会社「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

    2024年4月24日開示。2023年3月期・2024年3月期の通期経営成績、財政状態、配当の状況(配当性向21.8%・36.0%)、2025年3月期期初業績予想を参照。 / 2024/04/24 開示

  5. 05
    Yahoo!ファイナンス「ニッポン高度紙工業(株)【3891】株価・株式情報」

    二次情報。2026年9月24日時点の株価6,800円、時価総額727億円(発行済株式数10,698,482株)、予想配当利回り1.62%・予想PER17.08倍・実績PBR2.65倍・実績ROE10.55%・実績自己資本比率73.6%を、本記事のmetricsの整合性確認に参照した(自己資本比率は当第1四半期末の75.3%を優先して採用)。 / 2026/09/24 開示