四半期分析機械2027/3期 Q1

日本アビオニクス(6946) 売上高+64.9%は受注残の取り崩しか、新規受注の実力か

2026/09/21 公開2026/09/21 更新6分で読了対象決算:2027年3月期 第1四半期

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

日本アビオニクス株式会社

東証スタンダード 6946 ・ 3月期決算

2026/09/18 時点

株価

7,300円

時価総額

1,224億円

配当利回り

0.21%

年間15円

PER

25.7倍

PBR

6.32倍

ROE

25.4%

ROA

17.0%

経常利益ベース

自己資本比率

42.2%

配当性向

5.3%

有利子負債

155億円

D/Eレシオ

0.91倍

有利子負債÷自己資本

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 2027年3月期第1四半期は売上高83億4百万円(前年同期比+64.9%)・営業利益17億27百万円(同+196.7%)の大幅増益だった。牽引役は情報システムセグメント(外部売上+80.1%、セグメント利益+214.4%)で、期末受注残高は381億2百万円(前期末比+28.5%)まで積み上がっている。受注高−売上のブリッジ計算では、受注残高は取り崩されておらず、新規受注が売上計上ペースを上回り続けている状態が続いている。
  • 一方で、情報システムセグメントの当期受注高自体は前年同期比-3.5%とわずかに減少しており、現在の成長ペースがそのまま続くかどうかは、今後の受注高の推移次第という留保が付く。
  • 短期借入金が95億10百万円から146億80百万円へ急増したことで、自己資本比率は44.6%から42.2%へ低下し、D/Eレシオも0.65倍から0.91倍へ上昇した。増加は受取手形・売掛金及び契約資産の41億15百万円の増加に対応する運転資金の調達とみられ、事業拡大に伴う一時的な資金需要と、財務レバレッジの上昇のどちらとして見るかで評価が分かれる。
  • 電子機器セグメントは外部売上+4.6%の増収にもかかわらず、15百万円の損失(前年同期は27百万円の利益)に転落した。情報システムセグメントの好調さの陰で、もう一方の事業の収益力低下が進んでいる点は見落とせない。
目次11項目
  1. 1. 概要
  2. 2. 会社概要とビジネスモデル
  3. 3. 業績の推移
  4. 4. 売上高+64.9%は受注残の取り崩しか、新規受注の実力か
  5. 5. 配当の推移
  6. 6. 会社の現状と直近の動き
  7. 7. 業界とセクターの状況
  8. 8. 今後のスケジュール
  9. 9. 想定されるカタリスト
  10. 10. 想定されるリスク
  11. 11. まとめ:どう判断材料にするか

1. 概要

日本アビオニクスは、2026年9月18日終値7,300円時点でPER25.7倍(会社予想EPS284.00円ベース)・PBR6.32倍・ROE25.4%(2026年3月期実績、自己資本当期純利益率)・ROA17.0%(2026年3月期実績、経常利益ベース)、予想配当利回り0.21%(会社が開示した2027年3月期の年間配当予想15.00円を株価7,300円で割った値)という水準にあります。

2026年7月30日に開示された2027年3月期第1四半期の決算短信を見ると、売上高83億4百万円(前年同期比+64.9%)・営業利益17億27百万円(同+196.7%)と、指標のスナップショット以上に急激な増収増益が目を引きます。牽引役は、防衛予算の拡大を背景に急拡大している情報システムセグメント(外部売上+80.1%)です。

ただし、急拡大にはいくつかの留保が必要です。同セグメントの当期受注高自体は前年同期比でわずかに減少しており、売上急増の裏側で受注残高がどう動いているのかを確認しないと、需要が先食いされているだけなのか、本物の拡大なのかを判断できません。また、総資産の急増を支える短期借入金の増加によって自己資本比率が低下しています。この2点を中心に、第4節と第6節で詳しく見ていきます。

2. 会社概要とビジネスモデル

日本アビオニクスは横浜市に本社を置く電子機器メーカーです。事業セグメントは大きく2つに分かれます。

1つ目は情報システムセグメントで、防衛用システム製品・宇宙用電子部品・産業用電子機器を手がけ、売上の8割超を占める主力事業です。受注生産が中心で、受注高・受注残高の推移が業績の先行指標になります。防衛予算の拡大を背景に、近年急速に規模が拡大しています。

2つ目は電子機器セグメントで、接合機器(溶接関連機器)と赤外線機器(サーモグラフィ等)を扱います。売上比率は1〜2割にとどまり、直近は薄利〜赤字で推移しています。

強みと弱みの整理

強み

  • 防衛予算を追い風にした情報システムセグメントの急拡大

    2027年3月期第1四半期の情報システムセグメントは外部売上72億40百万円(前年同期比+80.1%)、セグメント利益17億42百万円(前年同期5億54百万円、+214.4%)と大幅に拡大しました。会社は「高水準の防衛予算を背景として」好調が続いていると説明しています。

  • 受注残高は取り崩されておらず積み上がっている

    期末受注残高は381億2百万円(前期末比+28.5%)まで積み上がりました。期首受注残高296億57百万円に当期受注高156億84百万円を加え、当期売上高72億40百万円を差し引くとほぼ一致し、受注残高を切り崩して売上を計上しているわけではないことが数値で確認できます。詳細は第4節で扱います。

  • 営業レバレッジによる大幅増益

    売上高が前年同期比+64.9%だったのに対し、販管費は+10.2%(9億35百万円→10億30百万円)の増加にとどまりました。粗利率も30.1%から33.2%へ改善し、結果として営業利益は+196.7%と売上の伸びを大きく上回りました。

弱み

  • 情報システムセグメントの当期受注高自体は減少している

    期末受注残高は積み上がっている一方、2027年3月期第1四半期(累計)の受注高は156億84百万円(前年同期162億49百万円、-3.5%)とわずかに減少しました。現在の成長ペースがそのまま続くかどうかは、今後の受注高の推移次第です。

  • 電子機器セグメントが赤字に転落

    外部売上は10億64百万円(前年同期比+4.6%)と増収でしたが、セグメント損益は15百万円の損失(前年同期は27百万円の利益)に転落しました。情報システムセグメントの好調の陰で、もう一方の事業の収益力は低下しています。

  • 短期借入金の急増による自己資本比率の低下

    短期借入金が95億10百万円から146億80百万円へ51億70百万円増加したことなどにより、自己資本比率は44.6%から42.2%へ低下しました。詳細は第6節で扱います。

3. 業績の推移

売上高(左軸) 営業利益(右軸) 会社予想
0010,0001,75020,0003,50030,0005,25040,0007,0002021/032022/032023/032024/032025/032026/032027/03単位:百万円
自己資本比率(%)20406039.346.750.852.051.944.6
数値で確認する
決算期売上高営業利益経常利益純利益営業CF自己資本比率
2021/0320,1951,3631,2891,03085939.3%
2022/0319,2301,8501,8051,6253,35246.7%
2023/0317,7541,9511,9251,820-86050.8%
2024/0318,0552,1782,1522,149-20652.0%
2025/0320,1222,7962,7111,9642,15051.9%
2026/0329,1945,5155,3583,820-3,62144.6%
2027/03会社予想32,0006,1005,9004,200——
単位:百万円。出典:決算短信(2021年3月期〜2027年3月期予想)。EPSは2024年10月1日付の株式分割(1株→5株)を踏まえ、分割前の期は当サイトで分割後の株数ベースに換算した。

読み取れることは3つあります。

2021年3月期から2024年3月期にかけては、緩やかな回復基調だった。 売上高は201億95百万円(2021年3月期)から192億30百万円、177億54百万円と一旦落ち込んだのち、180億55百万円(2024年3月期)まで戻しました。この間、営業利益は13億63百万円から21億78百万円へと、売上高以上のペースで拡大しています。

2025年3月期は増収増益にもかかわらず純利益だけが減益だった。 売上高201億22百万円(+11.4%)・営業利益27億96百万円(+28.4%)・経常利益27億11百万円(+26.0%)といずれも増加した一方、純利益は19億64百万円(前期比-8.6%)と減益になりました。営業段階・経常段階の利益は伸びているのに純利益だけが落ちる動きは、特別損益や税負担率の変動が影響した可能性がありますが、その内訳は今回参照した資料からは特定できませんでした。

2026年3月期は売上高・各利益とも過去最高水準へ跳ね上がり、2027年3月期も増益計画が続く。 2026年3月期は売上高291億94百万円(+45.1%)・営業利益55億15百万円(+97.2%)・経常利益53億58百万円(+97.6%)・純利益38億20百万円(+94.5%)と急拡大し、2027年3月期の会社予想も売上高320億円(+9.6%)・営業利益61億円(+10.6%)・経常利益59億円(+10.1%)・純利益42億円(+9.9%)とさらなる増益を見込んでいます。第1四半期はこの通期計画に対して、売上高25.9%・営業利益28.3%・経常利益28.5%・純利益27.3%の進捗率で、単純な4分の1(25%)基準を上回るペースで進んでいます。

4. 売上高+64.9%は受注残の取り崩しか、新規受注の実力か

これが今回の決算でいちばん検証したい論点です。2027年3月期第1四半期(累計)の情報システムセグメントの受注動向を整理します。

項目金額前年同期比
期首受注残高(2026年3月期末)296億57百万円—
当期受注高156億84百万円-3.5%
当期売上高(外部売上)72億40百万円+80.1%
期末受注残高381億2百万円+28.5%

出典:2027年3月期第1四半期決算短信

期首受注残高296億57百万円に当期受注高156億84百万円を加え、当期売上高72億40百万円を差し引くと381億1百万円となり、実際の期末受注残高381億2百万円とほぼ一致します。 これは、今回の売上急増が受注残高を取り崩して実現したものではなく、新規受注が売上計上のペースを上回り続けている結果として受注残高が積み上がっている最中であることを示しています。仮に受注残の先食いであれば期末受注残高は減少しているはずですが、実際には前期末比+28.5%とむしろ増加しています。

売上急増の直接の要因は、2026年3月期を通じて情報システムセグメントの受注高(332億75百万円)が売上高(238億58百万円)を大きく上回るペースで積み上がってきた過去の受注残高を、今期に入って消化し始めたタイミングと、当期の新規受注が重なったことにあると整理できます。

一方で、公平に見ておくべき点もあります。当期の受注高自体は前年同期比-3.5%とわずかに減少しました。 水準としては当期売上高(72億40百万円)を大きく上回っているため、直ちに需要減速と結論づけるのは早計ですが、この先も受注高が同水準かそれ以上で推移しなければ、いずれ受注残高の伸びは鈍化します。会社の定性的なコメントでは、情報システムは「高水準の防衛予算を背景として」好調とされており、受注高の減少については具体的な理由の言及は今回参照した決算短信からは確認できませんでした。

もう一つ、営業利益の伸び率(+196.7%)が売上高の伸び率(+64.9%)を大きく上回った理由も、この節で確認しておきます。販管費は9億35百万円から10億30百万円へ+10.2%の増加にとどまり、売上原価率の低下により粗利率も30.1%から33.2%へ改善しました。固定費に近い性格の販管費の伸びを売上高の伸びが大きく上回ったことで、増収分の多くが営業利益に直結する営業レバレッジが働いています。

この銘柄を検討するうえでの論点は「受注残高381億2百万円という積み上がりを、今後の売上を先取りで裏付ける資産と見るか、それとも当期受注高の-3.5%という減少を、成長ペース鈍化の予兆と見るか」という一点に集約されます。 どちらであるかは、2026年11月に予定される第2四半期(中間)決算での受注高の推移で確認できます。

5. 配当の推移

決算期期初予想年間配当配当性向
2021/03—0円—
2022/03—0円—
2023/03—6円4.7%
2024/03—6円4.6%
2025/03—6円4.8%
2026/03—10円3.9%
2027/03会社予想15円15円5.3%
  • 2021/03:無配。
  • 2022/03:無配。
  • 2023/03:期末配当のみ。分割前の実額は30.00円(2024年10月1日付の1株→5株の株式分割に伴い、当サイトで5分の1に換算)。
  • 2024/03:期末配当のみ。分割前の実額は30.00円(同上の換算)。
  • 2025/03:期末配当のみ。会社開示が既に分割後換算値(6.00円)として記載されている。
  • 2026/03:期末配当のみ。前期実績6.00円から10.00円へ増配。
  • 2027/03:期末配当のみの会社予想(2026年5月12日公表分から修正なし)。前期実績10.00円から15.00円への増配計画。配当性向5.3%は会社予想EPS284.00円を用いた当サイトの計算値であり、会社公表の性向数値ではない。
1株当たり。「期初比」は期初予想に対する着地の差。 出典:決算短信「配当の状況」。2024年10月1日付の株式分割(1株→5株)前の期は当サイトで分割後の株数ベースに換算した。

日本アビオニクスは2021年3月期・2022年3月期は無配でしたが、2023年3月期から期末配当のみの有配に転じ、6.00円(分割前の実額は30.00円)を2025年3月期まで3期連続で維持しました。2026年3月期は10.00円へ増配し、2027年3月期の会社予想はさらに15.00円へと増配する計画です。いずれの期も中間配当は0円で、期末配当のみの年1回配当という方針は変わっていません。

配当性向は、2023年3月期4.7%・2024年3月期4.6%・2025年3月期4.8%・2026年3月期3.9%、2027年3月期予想5.3%と、一貫して10%を大きく下回る低水準で推移しています。利益の急拡大に対して配当の伸びは緩やかで、増配は続いているものの、還元姿勢そのものが積極化しているとまでは言えません。この予想配当利回り0.21%という水準は、配当を主目的に検討する銘柄としては低いことを踏まえておく必要があります。

6. 会社の現状と直近の動き

セグメント別の内訳をもう少し詳しく見ます。

区分外部売上高前年同期比セグメント損益受注高受注残高(前期末比)
情報システム72億40百万円+80.1%17億42百万円(+11億88百万円)156億84百万円(-3.5%)381億2百万円(+28.5%)
電子機器10億64百万円+4.6%-15百万円(前年同期+27百万円)18億75百万円(+36.5%)22億74百万円(+21.7%)

出典:2027年3月期第1四半期決算短信

情報システムセグメントの海外売上は93百万円(前年同期1億87百万円)と縮小した一方、電子機器セグメントの海外売上は5億46百万円(前年同期5億4百万円)と拡大しました。電子機器セグメントは受注高・受注残高とも二桁の伸びを示していますが、セグメント損益は赤字に転落しており、受注の増加が収益にはまだ結びついていません。

財政状態にも大きな変化がありました。総資産は前期末360億77百万円から404億89百万円へ44億12百万円増加し、純資産も161億4百万円から170億81百万円へ9億77百万円増加しました。資産増加の主因は受取手形・売掛金及び契約資産の41億15百万円の増加で、売上急拡大に伴う運転資本の膨張と見られます。

この運転資本の膨張を支えたのが借入金です。短期借入金は95億10百万円から146億80百万円へ51億70百万円増加した一方、長期借入金は9億80百万円から8億10百万円へ減少しました。有利子負債(短期借入金・長期借入金の合計、当サイト算定)は前期末104億90百万円から当四半期末154億90百万円へ50億円増加し、自己資本(170億81百万円)に対するD/Eレシオは0.65倍から0.91倍へ上昇しました。自己資本比率は44.6%から42.2%へ低下しています。増加の理由として、今回参照した決算短信からは、売上急拡大に伴う売上債権の増加を短期借入金で手当てしたという運転資金需要の説明が妥当ですが、それ以外の使途(設備投資やM&A等)は確認できませんでした。あわせて、支払利息は前年同期の15百万円から51百万円へ+240%増加しており、借入金の増加が財務費用の負担としても表れ始めています。

7. 業界とセクターの状況

機械セクターは一般に、建設・食品など特定の産業向けに生産設備や機器を供給する受注生産型の産業で、国内外の設備投資サイクルに業績が連動しやすいという特徴があります。日本アビオニクスにも「受注生産・受注残高が業績の先行指標になる」という点は共通して当てはまり、第4節で見た受注残高のブリッジ計算はその典型例です。

一方で、最終需要の性格は当サイトが機械セクターで扱ってきた他の銘柄(建設機械のオカダアイヨン、食品機械のレオン自動機など)とは大きく異なります。日本アビオニクスの主力である情報システムセグメントは、民間の設備投資サイクルではなく防衛予算という政策要因に業績が左右されます。景気循環に連動する一般的な機械セクターの見方(設備投資の増減、住宅着工や工場新設の動向を見る)は、この会社の情報システムセグメントにはあまり当てはまりません。むしろ、防衛関連予算の規模・執行ペースという単一の外部要因への感応度が高い点が、この会社固有の構造的な特徴です。電子機器セグメント(接合機器・赤外線機器)についてはより一般的な設備投資・産業機器の需要動向に左右される性格が強いとみられますが、直近は赤字であり、拡販の効果はまだ確認できていません。

当サイトにはまだ防衛関連の電子機器メーカーの記事がなく、直接の同業比較はできません。

8. 今後のスケジュール

2026年11月上旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 第2四半期(中間) 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年2月上旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 第3四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年5月中旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 通期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年8月上旬(予定)当サイト推定

2028年3月期 第1四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

決算発表日はいずれも過去の発表時期からの推定です。確定日は同社のIRサイトで確認してください。

9. 想定されるカタリスト

時期想定イベント蓋然性方向
2026年11月上旬(予定)2027年3月期 第2四半期(中間)決算発表・情報システムセグメントの受注高動向の確認高両面

情報システムセグメントの当期受注高は前年同期比-3.5%だった。中間決算で受注高が反発するか、減少が続くかによって、受注残高の積み上がりが今後も続くかどうかの見立てが変わる。

随時防衛関連予算の規模・執行ペースの動向中両面

情報システムセグメントの拡大は「高水準の防衛予算」を背景としており、会社固有の努力だけでなく政策動向に業績が左右される構造にある。

随時電子機器セグメント(接合機器・赤外線機器)の拡販活動の進捗低上振れ

同セグメントは「ターゲット市場への拡販活動」中としながら15百万円の損失を計上している。拡販が実を結べば黒字転換の可能性がある一方、現状では確認できていない。

随時短期借入金への依存度と自己資本比率の推移中両面

短期借入金が四半期で51億70百万円増加し、自己資本比率が44.6%から42.2%へ低下した。売上拡大に伴う運転資金の一時的な膨張なのか、財務レバレッジの上昇が続くのかは、次回以降の決算で確認できる。

10. 想定されるリスク

第2節の強みと同じ分量で、弱気材料を整理します。

防衛予算という単一の外部要因への依存度が高いリスク。 情報システムセグメントの拡大は「高水準の防衛予算を背景として」実現しており、会社固有の営業努力だけでなく、政策動向という個社の努力で変えられない要因に業績が左右されます。防衛関連予算の規模や執行ペースが変化すれば、成長の前提そのものが変わります。

当期受注高がわずかに減少しているリスク。 情報システムセグメントの当期受注高は156億84百万円(前年同期比-3.5%)と減少しました。水準としては売上高を上回っているため直ちに問題視する必要はありませんが、この減少が今後も続けば、受注残高の積み上がりペースは鈍化し、いずれ売上の伸びにも影響します。

電子機器セグメントの赤字転落リスク。 同セグメントは外部売上+4.6%の増収にもかかわらず15百万円の損失に転落しました。受注高・受注残高は伸びているものの収益化には至っておらず、拡販活動が実を結ばなければ赤字が継続・拡大する可能性があります。

短期借入金依存による財務負担のリスク。 短期借入金が四半期で51億70百万円増加し、自己資本比率は44.6%から42.2%へ、D/Eレシオは0.65倍から0.91倍へと、財務レバレッジが上昇する方向に動きました。支払利息も前年同期比+240%(15百万円→51百万円)に増えています。売上拡大に伴う一時的な運転資金需要であれば売上債権の回収とともに解消しますが、この傾向が続けば財務体質の悪化として評価が変わります。

11. まとめ:どう判断材料にするか

2027年3月期第1四半期の日本アビオニクスは、売上高83億4百万円(前年同期比+64.9%)・営業利益17億27百万円(同+196.7%)と大幅な増収増益になりました。情報システムセグメントの受注高−売上のブリッジ計算からは、この急拡大が受注残高の取り崩しではなく、新規受注が売上計上ペースを上回り続けている結果であることが確認できます。指標面ではPER25.7倍・PBR6.32倍・予想配当利回り0.21%という水準です。

一方で、当期の受注高自体は前年同期比-3.5%とわずかに減少しており、電子機器セグメントは赤字に転落し、短期借入金への依存増加で自己資本比率・D/Eレシオともに財務レバレッジが上昇する方向に動いています。防衛予算という単一の外部要因への依存度の高さも変わりません。

判断の分かれ目は、期末受注残高381億2百万円の積み上がりを「今後の売上を先取りで裏付ける資産」と見るか、当期受注高-3.5%という減少を「成長ペース鈍化の予兆」と見るかです。 前者であれば、現在の急拡大は当面続く余地があり、割高に見える指標水準もその成長を織り込んだものとして評価できます。後者であれば、受注残高の伸びはいずれ鈍化し、現在の高い進捗率も一時的なものにとどまる可能性があります。

次に確認すべきは、2026年11月に予定される第2四半期(中間)決算です。情報システムセグメントの受注高が反発しているか、電子機器セグメントの赤字が解消に向かっているか、そして自己資本比率の低下傾向に歯止めがかかっているかが、この記事の見立てを検証する材料になります。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 情報システムセグメントの受注高が2027年3月期第2四半期以降も複数四半期にわたって前年同期比で減少を続け、期末受注残高(2027年3月期第1四半期末381億2百万円)が減少に転じた場合。今回の成長を支えている「受注残高の積み上がり」という前提が崩れる。
  • 防衛関連予算の縮小や防衛政策の転換など、情報システムセグメントの拡大を支えている外部要因そのものが変化した場合。
  • 電子機器セグメントの赤字(2027年3月期第1四半期は15百万円の損失)が拡大し、情報システムセグメントの増益を打ち消す規模に達した場合。
  • 短期借入金への依存が続き、自己資本比率が2027年3月期第1四半期末の42.2%からさらに低下を続けた場合。運転資金の一時的な膨張ではなく、財務構造の恒常的な悪化を示唆する。
  • 2027年3月期の通期業績予想(売上高320億円・営業利益61億円・経常利益59億円・純利益42億円)が下方修正された場合。

よくある質問

日本アビオニクス(6946)の配当はいくらですか?
2027年3月期の会社予想は年間15.00円(期末配当のみ、中間配当は0円)です。前期実績の10.00円から増配となる計画で、2026年5月12日の公表から修正はありません。過去の実績は2025年3月期6.00円、2024年3月期・2023年3月期は分割前換算で6.00円(分割前の実額は30.00円)でした。2024年10月1日付で1株を5株にする株式分割を実施しているため、分割前後の金額を比較する際は換算に注意が必要です。
2027年3月期第1四半期の売上高が前年同期比+64.9%と急増したのはなぜですか?
主因は防衛予算を背景とした情報システムセグメントの拡大です。同セグメントの期末受注残高は381億2百万円(前期末比+28.5%)まで積み上がっており、期首受注残高296億57百万円に当期受注高156億84百万円を加え、当期売上高72億40百万円を差し引くと期末受注残高とほぼ一致します。これは受注残高を取り崩しているのではなく、新規受注が売上計上ペースを上回り続けていることを示しています。ただし当期の受注高自体は前年同期比-3.5%とわずかに減少しており、このペースが今後も続くかは受注動向次第です。
自己資本比率が44.6%から42.2%に低下したのは経営が悪化しているからですか?
今回参照した決算短信からは、経営悪化というよりも、売上急拡大に伴う運転資金需要の一時的な増加という説明が妥当です。総資産の増加41億12百万円の主因は受取手形・売掛金及び契約資産の41億15百万円の増加で、これに対応する形で短期借入金が95億10百万円から146億80百万円へ51億70百万円増えました。この結果D/Eレシオは0.65倍から0.91倍へ上昇しており、財務面での負担が増していることは事実ですが、一時的な運転資金の膨張なのか、恒常的な変化なのかは今後の決算で確認する必要があります。

参考文献・引用元

  1. 01
    日本アビオニクス「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」

    連結経営成績(累計)、連結財政状態、配当の状況、通期業績予想、セグメント情報(情報システム・電子機器)を参照。有利子負債は短期借入金・長期借入金の合計として当サイトで算定した。 / 2026/07/30 開示

  2. 02
    日本アビオニクス「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

    通期業績・配当の状況・次期業績予想(2026年5月12日公表分)を参照。 / 2026/05/12 開示

  3. 03
    日本アビオニクス「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

    株式分割前のEPS・配当の実額を確認するために参照(2024年10月1日付の1株→5株の株式分割前の数値)。 / 2024/05/10 開示

  4. 04
    日本アビオニクス「2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

    株式分割前のEPS・配当の実額を確認するために参照。 / 2022/05/13 開示

  5. 05
    IR BANK「日本アビオニクス(6946) 決算まとめ」

    二次情報。2021年3月期以降の経常利益・純利益の時系列を決算短信の数値と突き合わせて照合した(完全一致を確認)。

  6. 06
    Kabutan「日本アビオニクス(6946)」

    二次情報。株価・時価総額・PER・PBR・発行済株式数・自己株式数・市場区分(東証スタンダード)の取得元(2026年9月18日終値時点)。 / 2026/09/18 開示