四半期分析衣料品・アパレル2027/2期 Q1

しまむら(8227) 海外比率1.4%の国内特化モデル、自己資本比率85%の守りの強さ

2026/08/06 公開2026/08/06 更新6分で読了対象決算:2027年2月期 第1四半期

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

株式会社しまむら

東証プライム 8227 ・ 2月期決算

2026/08/05 時点

株価

3,308円

時価総額

7,326.55億円

配当利回り

2.42%

年間80円

PER

14.5倍

PBR

1.39倍

ROE

9.6%

ROA

8.2%

純利益ベース

自己資本比率

85.4%

配当性向

35.1%

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 2027年2月期第1四半期(2026年2月21日〜5月20日)は売上高181,663百万円(前年同期比+7.9%)、営業利益17,890百万円(+16.8%)、純利益12,857百万円(+19.0%)の増収増益でした。主力PB「FIBER DRY」「超COOL」が5月後半の猛暑を追い風に伸び、通期業績予想は変更されていません。
  • 海外売上(台湾・思夢樂)は2,520百万円で連結売上の1.4%にすぎず、日本国内が98.6%を占めます。海外ユニクロ事業が牽引するファーストリテイリングとは対照的に、海外成長というアップサイドをほぼ持たない一方、為替や地政学リスクにもほぼ晒されない構造です。
  • 自己資本比率は85.4%(前期末88.1%)と極めて高い水準を保っていますが、有価証券投資への資金シフトで現金及び現金同等物は前年同期末145,514百万円から41,717百万円へ大きく減少しました。財務の安全性は高いものの、資産構成は変化しています。
  • 2026年2月21日付の1:3株式分割により、2027年2月期予想配当80円は前期実績215円と額面上は大きく見劣りしますが、分割調整後(215÷3=71.67円)で比較すると実質+11.6%の増配です。PER14.52倍・PBR1.39倍という水準は、成長期待より財務健全性と国内シェアの安定性を評価する銘柄として妥当かどうかが判断の分かれ目になります。
目次11項目
  1. 1. 概要
  2. 2. 会社概要とビジネスモデル
  3. 3. 業績の推移
  4. 4. 国内特化モデルとファーストリテイリングとの対比
  5. 5. 配当の推移
  6. 6. 会社の現状と直近の動き
  7. 7. 業界とセクターの状況
  8. 8. 今後のスケジュール
  9. 9. 想定されるカタリスト
  10. 10. 想定されるリスク
  11. 11. まとめ:どう判断材料にするか

1. 概要

しまむらの2027年2月期第1四半期(2026年2月21日〜5月20日)は、売上高181,663百万円(前年同期比+7.9%)、営業利益17,890百万円(同+16.8%)、経常利益18,794百万円(同+18.9%)、親会社株主に帰属する四半期純利益12,857百万円(同+19.0%)でした。前年同期(2026年2月期第1四半期)は売上高+2.4%・純利益+3.5%にとどまっていたため、伸び率が明確に加速しています。会社は通期業績予想(売上高729,193百万円、営業利益66,842百万円)を据え置いています。

2026年8月5日終値3,308円に対して、PER14.52倍(会社予想EPS227.92円ベース)・PBR1.39倍(BPS2,372.57円ベース)・予想配当利回り2.42%(会社予想配当80円ベース)という水準です。自己資本比率は当第1四半期末で85.4%、ROE9.61%(予想)・ROA8.2%(予想、純利益÷総資産ベース)となっています。

指標だけを見ると、増収増益・高い財務健全性を備えた堅実な会社に見えます。実際、その評価はおおむね妥当です。ただしこの会社を理解するうえで欠かせないのは、売上の98.6%が国内、海外(台湾・思夢樂)は1.4%にすぎないという構造です。海外ユニクロ事業が業績を牽引するファーストリテイリング(9983)とは対照的に、しまむらは海外成長というアップサイドをほぼ持たない代わりに、為替や地政学リスクにもほぼ晒されません。この対比を軸に、国内特化モデルの強みと限界を整理します(詳細は4節)。

2. 会社概要とビジネスモデル

しまむらは、郊外・ロードサイド中心に低価格帯の衣料品・生活雑貨を展開するチェーンストアです。自社工場を持たず、仕入と在庫回転の効率を武器に低価格を維持するモデルで、主力の「しまむら」事業に加え、子育て世帯向けの「バースデイ」、若年層向けの「アベイル」、インテリア雑貨の「シャンブル」、ペット用品の「ディバロ」の国内5事業、そして海外唯一の拠点である台湾の「思夢樂(Shimamura Taiwan)」で構成されます。

当第1四半期累計のセグメント別売上高は次のとおりです。

事業売上高前年同期比店舗数
しまむら事業130,827百万円+7.3%1,422店
アベイル事業18,917百万円+9.6%323店
バースデイ事業23,863百万円+6.2%343店
シャンブル事業5,254百万円+19.4%125店
ディバロ事業279百万円+6.8%19店
思夢樂事業(台湾)2,520百万円+17.3%45店
連結合計181,663百万円+7.9%

出典:2027年2月期 第1四半期決算短信セグメント情報

しまむら事業単体で連結売上の72.0%を占め、バースデイ・アベイルを合わせた国内3事業で連結売上の97.0%に達します。海外の思夢樂は伸び率こそ+17.3%と高いものの、金額では連結の1.4%にすぎません。

強みと弱みの整理

強み

  • 国内特化・低価格帯での圧倒的な店舗網

    当第1四半期は売上高+7.9%・純利益+19.0%と増収増益が加速しました。しまむら・アベイル・バースデイ・シャンブルの国内4事業合計で1,893店舗を展開し、節約志向が強まる局面で低価格帯の需要を確実に捕捉しています。

  • 極めて高い財務健全性

    当第1四半期末の自己資本比率は85.4%です。過去5期を通じて85%を下回ったことがなく、有利子負債への依存がほぼ無い財務基盤を持ちます。

  • 主力PBの天候追い風での好調

    「FIBER DRY」「超COOL」といった主力プライベートブランドが、5月後半の記録的猛暑を追い風に伸びました。世相を反映した「活き活きラボ」「ラクっと!」などの企画型PBも堅調で、商品開発力の裏付けになっています。

弱み

  • 海外成長ドライバーをほぼ持たない

    海外売上(台湾・思夢樂)は連結売上の1.4%にすぎません。海外展開による上振れ余地が乏しく、業績は事実上、国内衣料品市場の動向だけで決まります。国内市場は人口減少という構造的な逆風を抱えています(詳細は7節)。

  • 自己資本比率の低下と現金の大幅な減少

    自己資本比率は前期末88.1%から当第1四半期末85.4%へ2.7ポイント低下しました。有価証券取得に168,000百万円を投じたことが主因で、現金及び現金同等物の期末残高は前年同期末145,514百万円から41,717百万円へ大きく減少しています。財務の安全性自体は依然高水準ですが、資産構成の変化は注視が必要です。

  • 天候依存度の高さ

    当第1四半期の増収率+7.9%は、5月後半の猛暑という天候要因の寄与が大きいと決算短信自身が説明しています。平年並みの気温に戻れば、この伸び率がそのまま続く保証はありません。

3. 業績の推移

過去5期の実績と、会社が示す2027年2月期の予想です。

売上高(左軸) 営業利益(右軸) 会社予想
00200,00017,500400,00035,000600,00052,500800,00070,0002022/022023/022024/022025/022026/022027/02単位:百万円
数値で確認する
決算期売上高営業利益経常利益純利益
2022/02583,61849,42050,56735,428
2023/02616,12553,30254,38338,021
2024/02635,09155,30856,71640,084
2025/02665,35859,24060,59641,885
2026/02700,03461,48363,67244,460
2027/02会社予想729,19366,84268,82547,321
単位:百万円。出典:決算短信、およびIR BANK集計による過年度実績

読み取れることは3つあります。

増収増益が6期連続で続いている。 2022年2月期から2026年2月期まで、売上高・営業利益・純利益のいずれも前期を下回った期がありません。2027年2月期予想も含めて増収増益基調が続いています。

営業利益率はおおむね8.6〜9.2%のレンジで安定している。 2023年2月期8.65%から2027年2月期予想9.17%まで、大きな崩れも急激な改善もなく、緩やかに水準を切り上げています。急拡大でも急収縮でもない、地に足のついた成長です。

純利益の伸びが経常利益の伸びを上回る期が続いている。 2025年2月期から2026年2月期にかけて経常利益+5.1%に対し純利益+6.2%、当第1四半期も経常利益+18.9%に対し純利益+19.0%とわずかに純利益の伸びが上回っています。特別損益や税負担率が大きく利益の質を歪めている様子はなく、経常段階の増益がそのまま最終利益に反映されている状態です。

4. 国内特化モデルとファーストリテイリングとの対比

しまむらの海外展開は、台湾の「思夢樂」1事業に限られます。当第1四半期の連結売上高181,663百万円のうち、海外(思夢樂)は2,520百万円、比率にして1.4%にすぎません。残る98.6%(179,142百万円)はすべて日本国内です。

この構造は、直前に公開したファーストリテイリング(9983)の記事で扱った論点と対照的です。ファーストリテイリングは海外ユニクロ事業が連結売上収益の6割近くを占め、成長も収益性改善もその1事業に集中しています。裏を返せば、グレーターチャイナを中心とした地域集中リスクと、海外売上比率7割超に伴う為替感応度の高さを抱えています。

しまむらはこの対極にあります。海外成長というアップサイドをほぼ持たない代わりに、地域集中リスクも為替リスクもほとんど負っていないという構造です。当第1四半期の日本国内事業だけを見ると、売上高179,142百万円(+7.7%)・営業利益17,722百万円(+16.0%)・経常利益18,647百万円(+17.9%)・純利益12,739百万円(+17.9%)と、連結全体とほぼ同じ伸び率で推移しており、業績の実態はほぼイコール国内事業の実態です。

この国内集中と、2節で見た自己資本比率85.4%という財務健全性を重ねると、しまむらの経営スタイルが見えてきます。海外という成長機会を積極的に取りに行くのではなく、国内の節約志向・価格競争という「単独で受け止めるしかない土俵」の中で、財務の余力を厚く保ちながら戦うという構えです。攻めの成長ドライバーは限定的ですが、その分、天候要因を除けば読みやすい業績構造になっています。

5. 配当の推移

決算期期初予想年間配当期初比配当性向
2023/02250円260円+10円
2024/02270円280円+10円
2025/02190円200円+10円35.1%
2026/02205円215円+10円35.4%
2027/02会社予想80円80円35.1%
  • 2026/02:2026年2月21日付で普通株式1株を3株にする株式分割を実施。この期の実績215円は分割前基準の数字。
  • 2027/02:株式分割後(1:3)基準の予想。前期実績215円を分割調整すると215÷3=71.67円となり、予想80円は実質+11.6%の増配にあたる。額面だけを比較すると「215円→80円」で大幅減配に見えるが、これは分割の影響であり実態ではない。
1株当たり。「期初比」は期初予想に対する着地の差。 出典:決算短信「配当の状況」、およびIR BANK集計による過年度の予想・実績

2026年2月21日付で、しまむらは普通株式1株につき3株の株式分割を実施しました。これにより、2027年2月期予想配当(年間80円)は分割後ベースの数字である一方、前期(2026年2月期)実績215円は分割前ベースです。額面だけを比較すると「215円→80円」で大幅な減配に見えますが、これは分割の影響であり実態ではありません。215円を分割調整すると215÷3=71.67円となり、予想80円は実質+11.6%の増配です。単純な前年比較をする際は、この分割調整を忘れないことが重要です。

過去の期を見ると、期初予想に対して実績がやや上振れて着地するパターンが続いています。2023年2月期は期初予想250円に対し実績260円、2024年2月期は期初予想270円に対し実績280円、2026年2月期は期初予想205円に対し実績215円でした。いずれも10円前後の上振れであり、ファーストリテイリングのような大幅な期中増額とは異なる、小幅で安定した上振れです。配当性向は2025年2月期35.1%、2026年2月期35.4%、2027年2月期予想35.1%と、35%前後で安定しています。

予想配当利回り2.42%は会社が開示した2027年2月期予想配当80円(分割後ベース)を基準にした数字で、当サイトが扱う高配当銘柄の目安(3%以上)にはやや届きません。ただし配当性向が安定して35%前後に保たれている点は、無理な株主還元ではないことを示しています。

6. 会社の現状と直近の動き

当第1四半期の内容をもう一段分解します。

しまむら事業は当第1四半期の売上高130,827百万円(前年同期比+7.3%)で、店舗数は1,422店です。主力PB「FIBER DRY」「超COOL」が5月後半の記録的猛暑を追い風に好調でした。世相を反映した「活き活きラボ」「ラクっと!」などのPBも堅調に推移しています。オンラインストアでは店舗受取・あわせ買いが都市部で好調で、実店舗とオンラインの相互送客が進展していると決算短信は説明しています。

アベイル事業(+9.6%)、バースデイ事業(+6.2%)、シャンブル事業(+19.4%)はいずれも増収でした。特にシャンブル事業は125店という小規模な店舗網ながら、二桁の伸び率を確保しています。

思夢樂事業(台湾)は502百万NT$(円換算2,520百万円、前年同期比+17.3%)で、45店舗まで拡大しています。金額は小さいものの、海外唯一の橋頭堡として伸び率は国内各事業を上回っています。

キャッシュ・フローの状況(当第1四半期累計)は次のとおりです。営業活動によるキャッシュ・フローは+3,771百万円(前年同期比+7,230百万円)、投資活動によるキャッシュ・フローは-81,356百万円で、有価証券の取得(-168,000百万円)と有形固定資産の取得(-16,961百万円)が主な内訳です。財務活動によるキャッシュ・フローは-7,902百万円で、配当金の支払い(-7,900百万円)が中心です。現金及び現金同等物の期末残高は41,717百万円(前年同期末145,514百万円から減少)で、主因は有価証券への資金シフトです。

財政状態は次のとおりです。

項目2026年2月末2026年5月末
総資産554,667百万円576,855百万円
純資産488,545百万円492,636百万円
自己資本比率88.1%85.4%

出典:2027年2月期 第1四半期決算短信「財政状態」

会社は通期業績予想を据え置いています(売上高729,193百万円・営業利益66,842百万円、いずれも変更なし)。当第1四半期の売上高は通期予想の24.9%、上期(第2四半期累計)予想359,887百万円に対しては50.5%にあたる進捗です。

7. 業界とセクターの状況

アパレル・チェーンストア業界には、個社の努力では変えられない構造的な制約があります。

天候リスクを避けられない。 季節商品の販売計画は、猛暑・暖冬といった気象条件に直接左右されます。しまむらの当第1四半期も、5月後半の猛暑がFIBER DRYなど機能性衣料の販売を押し上げたと会社自身が説明しており、この依存関係は今後も変わりません。

原材料・物流コストの変動を吸収する必要がある。 綿花など原材料価格や、海外生産委託先の人件費・物流コストの上昇は、価格転嫁できるまでの間、粗利益率を圧迫します。

国内衣料品市場は人口減少という構造的な逆風の中にある。 少子高齢化が続く日本では、衣料品市場全体のパイが大きく拡大することは見込みにくく、各社は限られた需要の奪い合いという条件下で戦っています。節約志向が強まる局面では低価格帯が相対的に有利になりますが、それは市場全体の拡大ではなく、シェアの奪い合いの結果です。

このセクターの中でのしまむらの位置づけを見ると、海外展開でパイの拡大を取りに行くファーストリテイリングとは異なり、しまむらは国内という縮小含みの市場の中でシェアを守り伸ばす戦い方を選んでいます。為替や地政学リスクへのエクスポージャーが小さい分、業績変動の主因は天候と国内消費者の財布のひもに集約される、という違いです。

8. 今後のスケジュール

2026年10月上旬(予定)当サイト推定

2027年2月期 第2四半期(中間) 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年1月上旬(予定)当サイト推定

2027年2月期 第3四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年4月中旬(予定)当サイト推定

2027年2月期 通期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年7月上旬(予定)当サイト推定

2028年2月期 第1四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

会社は決算発表の予定日を公表していないため、いずれも過去の発表時期からの推定です。確定日は同社IRサイトで確認してください。

9. 想定されるカタリスト

時期想定イベント蓋然性方向
随時猛暑・季節商品(FIBER DRY、超COOLなど)の販売動向上振れ

当第1四半期は5月後半の記録的猛暑が季節商品の販売を押し上げた。猛暑が続く年は追い風になるが、裏を返せば天候依存度の高さでもある。

2026年10月上旬(予定)2027年2月期 第2四半期(中間) 決算発表両面

通期予想(営業利益66,842百万円、前期比+8.7%)に対する上期の進捗確認。当第1四半期の売上は通期予想の24.9%、上期予想の50.5%に相当する。

随時ASEAN生産比率拡大による原価率改善余地上振れ

低価格帯を維持しながら原価率を改善できれば、節約志向が強まる局面でも利益率を守りやすくなる。

随時オンラインストアと実店舗の相互送客拡大(都市部中心)上振れ

店舗受取・あわせ買いが都市部で好調と決算短信に記載があり、実店舗網を生かしたEC送客がもう一段の成長余地になり得る。

10. 想定されるリスク

天候依存によるぶれ。 当第1四半期の増収率加速は5月後半の猛暑が大きく寄与しています。平年並みの気温に戻れば、この伸び率が続く保証はありません。2節で挙げた強みの裏返しとして、最も業績を動かしやすい要因です。

国内市場の縮小基調。 海外成長ドライバーをほぼ持たないため、業績は事実上、人口減少が続く国内衣料品市場の動向だけで決まります。節約志向が続く間は追い風ですが、消費者の可処分所得が改善して低価格帯離れが進めば、成長率が鈍化するリスクがあります。

自己資本比率の低下トレンド。 前期末88.1%から当第1四半期末85.4%へ、2.7ポイント低下しました。依然として高水準ではあるものの、有価証券投資への資金シフトが今後も続くようであれば、財務健全性という強みの厚みが薄れていく可能性があります。

バリュエーションの停滞リスク。 海外成長という明確なアップサイドカタリストが乏しいため、PER14.52倍・PBR1.39倍という水準から株価が大きく再評価される材料に乏しい面があります。堅実さは評価されても、成長株としての評価は受けにくい構造です。

11. まとめ:どう判断材料にするか

事実として確定しているのは次の点です。2027年2月期第1四半期は増収増益で、伸び率は前年同期から明確に加速した。海外売上比率は1.4%にとどまり、業績は事実上、国内事業だけで決まる。自己資本比率は85.4%と高水準を保ちつつも、前期末から2.7ポイント低下し、有価証券投資への資金シフトが進んでいる。株式分割を調整すれば、2027年2月期予想配当は前期実績から実質+11.6%の増配である。

国内特化・高い財務健全性という守りの強さを重視するなら、PER14.52倍・PBR1.39倍という水準は、為替・地政学リスクをほぼ負わない銘柄として相応の評価に見えます。 天候要因を除けば読みやすい業績構造であることも、この見方を支えます。

一方、海外成長という明確なアップサイドカタリストの不在を重く見るなら、この株価は成長性ではなく安定性だけを織り込んだ水準にとどまり、大きな再評価は期待しにくいはずです。 人口減少が続く国内市場の中でシェアを守り続けられるかどうかが、成長率を左右する唯一の変数になります。

判断の分かれ目は、国内衣料品市場での価格競争力とPB商品力を今後も維持できると見るか、それとも海外成長という選択肢を持たないことを構造的な限界と見るかです。次の確認ポイントは2026年10月上旬(予定)の第2四半期決算で、通期予想(営業利益66,842百万円、前期比+8.7%)への進捗と、天候要因の反動が出ていないかどうかが最初の材料になります。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 2026年10月上旬(予定)の第2四半期決算で、通期業績予想(営業利益66,842百万円、前期比+8.7%)が下方修正された場合。
  • 節約志向の悪化や衣料品の価格競争激化により、売上高営業利益率が9%を明確に下回った場合。当第1四半期は9.85%、通期予想でも9.17%であり、これを下回れば収益性の前提が崩れる。
  • 猛暑効果の反動で、翌四半期以降に夏物・季節商品の売上高伸び率が大きく鈍化した場合。当第1四半期の増収率+7.9%(前年同期は+2.4%)は天候要因の寄与が大きく、平年並みの気温に戻れば成長率は鈍化しうる。
  • 自己資本比率の低下(前期末88.1%→当第1四半期末85.4%)がさらに継続的に進んだ場合。有価証券投資への資金シフトのペースを次回開示で確認する必要がある。

よくある質問

しまむらの海外展開はどうなっていますか?
2027年2月期第1四半期の海外売上(台湾の思夢樂)は2,520百万円で、連結売上の1.4%にとどまります。国内が98.6%を占める国内特化モデルで、海外ユニクロ事業が牽引するファーストリテイリングとは対照的です。海外成長というアップサイドをほぼ持たない一方、為替や地政学リスクにもほぼ晒されない構造だと整理できます。
しまむらの自己資本比率はどのくらいですか?
2027年2月期第1四半期末で85.4%です(前期末は88.1%)。極めて高い水準ですが、現金及び現金同等物は前年同期末の145,514百万円から41,717百万円へ大きく減少しており、有価証券投資への資金シフトが進んでいます。財務の安全性は高いものの、資産の中身は変化しています。
しまむらは減配したのですか?
減配ではありません。2027年2月期の会社予想は1株80円(中間40円・期末40円)で、前期実績215円と比べると大きく減ったように見えますが、2026年2月21日付で1株を3株にする株式分割を実施したためです。分割調整後で比べると215÷3=71.67円に対して80円となり、実質では+11.6%の増配にあたります。

参考文献・引用元

  1. 01
    株式会社しまむら「2027年2月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」

    2026年6月29日開示。連結経営成績(累計)、財政状態、キャッシュ・フローの状況、配当の状況、通期業績予想、セグメント情報を参照した。会社ホームページのPDFは直接ダウンロードできなかったため、TDnet適時開示を全文転載しているミラーページ(BigGoファイナンス)経由で本文を確認した。 / 2026/06/29 開示

  2. 02
    株式会社しまむら「2026年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

    2026年3月30日開示。直近通期実績(売上高・利益・財政状態・配当性向・発行済株式数)の裏付けとして参照した。 / 2026/03/30 開示

  3. 03
    IR BANK「しまむら(8227) 決算まとめ」

    2022年2月期〜2027年2月期予の通期業績(売上高・営業利益・経常利益・純利益)、ROE・ROA・営業利益率、財務状況(総資産・純資産・自己資本比率・BPS)の時系列を、二次情報として参照した(2026年8月5日時点の表示)。決算短信の実績値と一致することを確認済み。ROAは純利益÷総資産ベース。

  4. 04
    IR BANK「しまむら(8227) 配当金の推移」

    2023年2月期〜2027年2月期の配当の期初予想・実績・配当性向、および株式分割を踏まえた分割調整後の配当額を、二次情報として参照した(2026年8月5日時点の表示)。

  5. 05
    IR BANK「しまむら(8227)」株式情報

    株価・時価総額・PER(実績/予想)・PBR・配当利回り・ROE・ROAの各予想値、およびPER・PBRの過去レンジ(2010年以降)を、二次情報として参照した(2026年8月5日終値時点の表示)。