モリト(9837) 営業利益は通期予想の81%到達、上方修正後も第4四半期は減益想定
本記事をお読みになる前に
本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。
生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。
モリト株式会社
2026/10/13 時点
株価
1,833円
時価総額
491億円
配当利回り
3.93%
年間72円
PER
15.1倍
PBR
1.12倍
ROE
7.6%
ROA
6.8%
経常利益ベース
自己資本比率
71.8%
配当性向
59.3%
有利子負債
27億円
D/Eレシオ
0.07倍
有利子負債÷自己資本
※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。
この記事の結論
- 2026年11月期3Q累計は売上高493億5百万円(前年同期比+21.5%)・営業利益29億17百万円(同+22.7%)・経常利益31億9百万円(同+17.7%)で、会社は四半期開示開始以来の過去最高と説明している。一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は23億66百万円(同-21.6%)で、前期に計上された負ののれん発生益11億5百万円の反動が主因という構図は中間期から変わらない。
- 通期予想は売上高660億円・営業利益36億円・経常利益38億円・純利益30億5,000万円へ上方修正された。ただし3Q累計の営業利益は修正後の通期予想の81.0%に達しており、逆算した第4四半期の営業利益は6億83百万円と、前期第4四半期(9億56百万円、当サイト算出)を下回る。会社が余力を残した保守的な予想と見るか、下期の失速(第3四半期の営業利益率は約5.3%、上期は6.2%)を織り込んだ予想と見るかで、上方修正の意味が変わる。
- 決算と同時に、2027年11月期から配当の基本方針を「DOE4.0%基準」から「累進配当・DOE5.0%基準」へ引き上げ、2031年11月期にはDOE6.0%を目指すと公表された。配当性向50%以上の基準は残る。2026年11月期の会社予想72円(DOE4.6%)が据え置かれたまま、来期以降の配当額の下限が自己資本に連動して切り上がる設計になった。
- DOEは自己資本に対する配当総額の比率なので、自己資本が約404億円のまま、配当対象株数が約2,478万株のままと仮定すれば、DOE5%は1株あたり約81円に相当する(当サイトの仮定計算であり、会社予想ではない)。ただし自己資本の2割強(82億円)はその他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定などで、利益の積み上げではない。配当が評価益や円安で膨らんだ純資産に引っ張られる面と、特殊要因による純利益の変動時には会社が配当額を調整するという但し書きの両方を見る必要がある。
目次11項目
1. 概要
モリト(9837)は、2026年10月13日終値1,833円(決算発表前)時点で、予想PER15.10倍・実績PBR1.12倍・予想ROE7.6%・予想配当利回り3.93%という水準にあります。自己資本比率は2026年8月末で71.8%です。
2026年11月期第3四半期累計(2025年12月1日〜2026年8月31日)は、売上高493億5百万円(前年同期比+21.5%)・営業利益29億17百万円(同+22.7%)・経常利益31億9百万円(同+17.7%)で、会社は売上高・営業利益・経常利益が「四半期開示が始まって以来、過去最高」と説明しています。親会社株主に帰属する四半期純利益は23億66百万円(同-21.6%)で、前期の負ののれん発生益の反動という中間期からの構図は変わりません(中間期の記事で扱いました)。
今回の決算で新しく動いたのは次の2点です。1つは通期予想の上方修正(営業利益35億円→36億円)ですが、逆算すると第4四半期の営業利益は前年を下回る水準です。もう1つは配当の基本方針の変更で、2027年11月期から「累進配当・DOE5.0%基準」を導入し、2031年11月期にDOE6.0%を目指すと公表されました。第4節でこの2点を順に整理します。
2. 会社概要とビジネスモデル
モリトは「パーツの総合商社」を掲げる純粋持株会社です。事業はアパレル関連、プロダクト関連、輸送関連の3分野に分かれます。
- アパレル関連:ファッションアパレル向け資材、シルバーアクセサリー、ユニフォーム関連資材、高級バッグ向け付属品、熊撃退スプレーなど。3Q累計の売上高は298億22百万円で、全体の約6割を占めます。
- プロダクト関連:ヘルスケア関連商品、文具・ゲーム関連商品、均一価格小売店向け商品、猛暑対策商品、厨房機器のレンタル・販売・清掃事業など。同144億81百万円。
- 輸送関連:日系自動車メーカー向けの自動車内装部品。同50億2百万円。
地域別の売上構成は日本73%・アジア15%・欧米12%です。M&Aで規模を広げてきた会社で、2024年12月にMs.ID、2025年4月にミツボシコーポレーションを連結し、今期は久永製作所が第3四半期(6〜8月)から連結に加わりました(決算補足資料の注記による)。決算後の2026年10月1日には、帽子のODM・OEM生産を手がける坂商を子会社化しています。
強みと弱みの整理
強み
本業の利益が過去最高水準
3Q累計の営業利益は前年同期比+22.7%、売上総利益率は30.6%(前年30.7%)。会社は、販売条件の見直しなどで調達コスト上昇に対応しつつ、売上総利益率の水準を維持できていると説明しています。M&A2社の連結を除く既存事業でも売上総利益率は高い水準を維持している、という説明です。
財務の余力と株主還元の拡充姿勢
自己資本比率71.8%、有利子負債27億36百万円に対しD/Eレシオ0.07倍。この財務を背景に、自己株式の取得(3Q累計で約15億円)と、DOE5%への配当方針の引き上げを同時に打ち出しています。
事業と地域の分散
3Q累計の売上高はプロダクト関連が+11.4%、輸送関連が+7.5%と、アパレル関連の伸び(+30.0%)以外にも広がっています。地域別のセグメント利益も、日本+15.0%・アジア+29.2%・欧米+56.5%とそろって増益です。
弱み
第3四半期で伸びが鈍化
売上高の伸びは上期の+28.1%から、第3四半期単独では約+10%(当サイト算出)に低下しました。会社自身も、下期はEC・空調服を中心としたファッションアパレル向け販売が停滞したと述べています。
純利益の振れやすさ
負ののれん発生益や投資有価証券売却益といった特別損益が、期ごとに純利益の伸び率を大きく動かします。3Q累計の特別利益3億72百万円のうち、投資有価証券売却益が3億61百万円を占めます。
利益の積み上がりより評価益・為替で膨らむ純資産
自己資本は期初から5億70百万円増えましたが、増加分の内訳はその他の包括利益累計額(+16億7百万円)が中心で、株主資本はむしろ10億36百万円減っています(自己株式取得の影響)。DOEを基準にする配当方針では、この質の違いに注意が要ります(第4節)。
3. 業績の推移
数値で確認する
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021/11 | 43,636 | 1,619 | 1,834 | 1,407 | 73.7% |
| 2022/11 | 48,478 | 2,116 | 2,342 | 1,674 | 72.9% |
| 2023/11 | 48,529 | 2,464 | 2,771 | 2,217 | 74.7% |
| 2024/11 | 48,537 | 2,868 | 3,003 | 2,572 | 74.8% |
| 2025/11 | 56,867 | 3,333 | 3,624 | 2,916 | 71.8% |
| 2026/11会社予想 | 66,000 | 3,600 | 3,800 | 3,050 | — |
読み取れることは3つあります。
第一に、売上高は2022年11月期から2024年11月期まで485億円前後で横ばいでしたが、2025年11月期に568億67百万円(前期比+17.2%)へ跳ね上がりました。M&Aの連結効果です。2026年11月期の会社予想は660億円(同+16.1%)まで引き上げられ、新中期経営計画の2031年11月期目標(売上高1,000億円)への出発点になります。
第二に、営業利益の伸びは売上高の伸びほど大きくありません。2026年11月期の会社予想は営業利益36億円(前期比+8.0%)で、売上高営業利益率は5.5%。2025年11月期の5.9%から低下する計算です。3Q累計では5.9%を保っていますが、予想が示す通期の水準はそれより低く、この差が第4節の論点になります。
第三に、1株当たり純利益(EPS)は2021年11月期の51.41円から2025年11月期の111.88円へ倍増しました。2026年11月期の会社予想は121.38円です。自己株式の取得が進んでいるため、純利益の伸び(+4.6%)より1株あたりの伸び(+8.5%)のほうが大きくなります。
4. 上方修正後も残る第4四半期の減益想定と、DOE5%への方針転換
4-1. 営業利益は通期予想の81%、第4四半期の逆算値は前年を下回る
会社は2026年10月14日、通期予想を次のように修正しました(単位:百万円)。
| 項目 | 期初予想(2026年1月) | 修正後 | 増減率 | 前期実績 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 63,000 | 66,000 | +4.8% | 56,867 |
| 営業利益 | 3,500 | 3,600 | +2.9% | 3,333 |
| 経常利益 | 3,700 | 3,800 | +2.7% | 3,624 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,000 | 3,050 | +1.7% | 2,916 |
売上高は+30億円(+4.8%)引き上げられた一方、営業利益の上積みは+1億円にとどまります。理由として会社は、中東情勢で調達コストが増えているが、流行に左右されにくい既存事業が堅調で、販売条件の見直しや生産効率の向上といった収益性改善施策が奏功したと説明しています。
ここで、3Q累計の実績を通期予想から引いて、第4四半期(9〜11月)に会社が見込んでいる数字を逆算します(当サイト算出、単位:百万円)。
| 項目 | 第4四半期の逆算値 | 前期第4四半期 | 差 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 16,695 | 16,272 | +2.6% |
| 営業利益 | 683 | 956 | -28.5% |
| 売上高営業利益率 | 約4.1% | 約5.9% | 約-1.8pt |
前期第4四半期は、前期の通期実績から前期3Q累計を引いて求めています。前期3Q累計は、企業結合の暫定的な会計処理の確定後の数値に置き換わっているため、厳密な比較ではなく目安です。それでも、売上高は前年並みなのに営業利益だけが3割近く減る、という形は動きません。
3Q累計が通期予想に対してどこまで進んだかを、過去2期と並べるとより明確です。
| 3Q累計の進捗率(通期実績または予想に対して) | 2024年11月期 | 2025年11月期 | 2026年11月期(修正後予想) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 73.4% | 71.4% | 74.7% |
| 営業利益 | 75.1% | 71.3% | 81.0% |
| 経常利益 | 76.1% | 72.9% | 81.8% |
売上高の進捗は例年並みなのに、営業利益と経常利益の進捗率だけが過去2期より約6〜10ポイント高い。これは、第4四半期に利益の取りこぼしを見込んでいる予想であることを意味します。読み方は二つに分かれます。
- 保守的な予想と見る場合:会社は過去も期初予想を控えめに置き、期中に引き上げる傾向があります(配当の期初予想も毎期実績が上回っています)。今回の修正幅も営業利益で+1億円と小さく、3Q累計の水準をほぼそのまま通期に伸ばしたに過ぎないとも読めます。この場合、第4四半期の実績が逆算値を上回って着地する余地があります。
- 下期の失速を織り込んだ予想と見る場合:第3四半期単独の売上高は約162億円(当サイト算出、決算補足資料の事業別四半期売上でも約162億円)で、前年同期比約+10%。上期の+28.1%から大きく鈍化しています。営業利益率も、上期の6.2%から第3四半期は約5.3%(同じく当サイト算出)、第4四半期の逆算値は約4.1%と階段状に低下します。会社は下期にEC・空調服を中心としたファッションアパレル向け販売が停滞したと述べており、アパレル関連の第3四半期の売上高は98億円で、第2四半期(102億円)から減っています。前年M&A2社の連結効果が一巡する中で、中東情勢に伴う調達コスト上昇が重なる、という見立てです。
どちらの読みが当たるかは、第4四半期に営業利益が6億83百万円を上回るかで答え合わせができます。
4-2. 配当方針の転換:DOE4%→5%、累進配当、2031年にDOE6%
決算補足資料では、2027年11月期からの利益配分に関する基本方針の変更も公表されました。
| 従来 | 2027年11月期以降 | |
|---|---|---|
| 配当の考え方 | 安定的かつ継続的配当 | 安定的かつ継続的配当、累進配当 |
| DOE基準 | 4.0% | 5.0%(2031年11月期には6.0%を目標) |
| 配当性向 | 50%以上を基準 | 50%以上を基準(変更なし) |
| 自己株式 | 機動的な取得と適切な消却を引き続き検討 | 同左 |
会社はこの変更を、新中期経営計画「ACTION 1000」(2027年〜2031年11月期)の資本政策の一環と位置づけています。中計の2031年11月期目標は、売上高1,000億円、営業利益60億円(売上高営業利益率6%以上)、ROE12%です。
DOEは「配当総額÷自己資本」で、ROE×配当性向と等しくなります。この関係式を使うと、新方針の意味が数字で見えます。
- 2026年11月期の会社予想では、DOEは4.6%(会社資料)、予想ROEは約7.6%、配当性向は59.3%で、7.6%×約60%≒4.6%と整合します。
- DOE5%を、予想ROE7.6%のままで実現するには、配当性向が約66%必要です。会社の基準(50%以上)の範囲内ではあるものの、現在の水準(59.3%)より高い負担になります。
- 一方、2031年のROE12%目標が実現すれば、DOE6%は配当性向50%で届きます。新方針は、ROEが上がるほど配当性向に余裕が生まれる設計になっており、前半は性向が上がり、後半は業績で追いつく順番です。
仮に自己資本が現在の404億円のまま、配当対象株数も約2,478万株(発行済株式数2,680万株から自己株式201万株を除いた値)のままだとすると、DOE5%は配当総額で約20億円、1株あたり約81円に相当します(当サイトの仮定計算であり、会社予想ではありません)。2026年11月期の会社予想72円に対して約1割の上乗せです。
注意したい点が2つあります。
1つ目は、自己資本の中身です。 2026年8月末の自己資本404億円のうち、その他の包括利益累計額が82億円(約2割)あります。内訳は、その他有価証券評価差額金が35億円、為替換算調整勘定が43億円などです。3Q累計では、この包括利益累計額が16億円増えた一方、利益剰余金は5億円しか増えておらず、株主資本は自己株式の取得(約15億円)で10億円減りました。純資産全体の増加(+5億70百万円)は、保有株の含み益と円安による換算差額に支えられた面が大きい、ということです。DOE基準は、評価益や為替で純資産が膨らむと配当額の下限が上がる設計なので、本業の利益の伸びとは別の要因で配当が動きうる、という性質を持ちます。
2つ目は、但し書きです。 会社は「特別な損益等の特殊要因により、税引後の親会社株主に帰属する当期純利益が大きく変動する事業年度については、その影響を考慮し配当額を決定する」としています。今期のように負ののれん発生益の反動で純利益が大きく動く年は、この条項で配当額が調整されうる、ということです。「累進配当」の言葉だけを根拠に、減配はないと決めつけられる設計ではありません。
なお、2026年11月期の配当予想は今回の決算でも修正されておらず(72円、中間36円・期末36円)、新方針が最初に効くのは2027年11月期の配当予想が出る2027年1月中旬ごろの通期決算になります。
5. 配当の推移
| 決算期 | 期初予想 | 年間配当 | 期初比 | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|
| 2021/11 | — | 26円 | — | 50.6% |
| 2022/11 | 27円 | 32円 | +5円 | 51.4% |
| 2023/11 | 54円 | 55円 | +1円 | 66.2% |
| 2024/11 | 58円 | 63円 | +5円 | 64.9% |
| 2025/11 | 67円 | 70円 | +3円 | 62.6% |
| 2026/11会社予想 | 72円 | 72円 | — | 59.3% |
- 2026/11:2026年10月14日の第3四半期決算発表時点でも、配当予想の修正は「無」。通期業績予想は上方修正されたが、期末36円は据え置き。中間36円は支払済み(2026年8月6日支払開始予定)。
配当は2020年11月期の18円から、実績ベースで2025年11月期の70円まで5期連続で増配が続きました(2021年11月期26円→2022年11月期32円→2023年11月期55円→2024年11月期63円→2025年11月期70円)。2026年11月期は会社予想72円で、実現すれば6期連続の増配です。
2022年11月期以降は、期初予想より実績が上回る期が続きました(2023年11月期は54円→55円、2024年11月期は58円→63円、2025年11月期は67円→70円)。一方、2026年11月期は期初予想72円のまま、上方修正後も据え置かれています。過去の傾向どおりなら期末で上積みされる余地がありますが、今回の上方修正の営業利益の増額が+1億円と小さいことを考えると、期待しすぎるのは禁物です。
配当性向は2021年11月期の50.6%から2023年11月期の66.2%まで上昇し、以降は62〜65%台で推移してきました。2026年11月期の会社予想は59.3%(EPS121.38円に対し72円)です。
予想配当利回り3.93%(2026年10月13日終値1,833円、会社予想72円ベース)は会社予想にもとづく数字です。来期以降は第4節のとおり、DOE5%に相当する額(自己資本が現状並みなら1株約81円)が基準になるため、利回りの前提そのものが変わる可能性があります。
6. 会社の現状と直近の動き
3Q累計のセグメント別(地域別)の実績は次のとおりです。
| 地域 | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 361億22百万円 | +24.6% | 20億29百万円 | +15.0% |
| アジア | 72億63百万円 | +18.0% | 7億65百万円 | +29.2% |
| 欧米 | 59億20百万円 | +8.7% | 5億11百万円 | +56.5% |
出典:決算短信 セグメント情報(報告セグメントの区分変更後の前年同期との比較)
日本の売上高は、Ms.ID・ミツボシコーポレーションの通期連結に加え、ヘルスケア関連商品、文具・ゲーム関連商品、猛暑対策商品、厨房機器レンタル・販売・清掃事業が伸びました。アジアは、中国のカジュアルウェア向け付属品とベトナムの日系スポーツメーカー向けシューズ付属品が増加し、香港のキッズ・ベビーウェア向け付属品と自動車内装部品(中国)が減少しました。欧米は、米国のメディカルウェア・マリンレジャー向け付属品が増えた一方、米国の一部日系自動車メーカー向け自動車内装部品が減っています。
営業利益の前年同期比+5億40百万円の内訳(決算補足資料)は、M&A2社(前期連結分)の売上総利益増加が+15億38百万円、既存事業の売上総利益増加が+8億64百万円で、人件費増加(-10億14百万円)、ミツボシコーポレーションの経費増加(-4億14百万円)、Ms.IDの販売関連経費(-2億22百万円)、その他経費(-2億61百万円)を吸収した形です。M&A2社の寄与が既存事業の寄与より大きく、増益の質を見るときは、既存事業の+8億64百万円がこの先も続くかが焦点になります。
財政状態では、総資産が562億92百万円(期初比+7億93百万円)。棚卸資産が12億23百万円(+17.2%)増えた一方、受取手形・売掛金と電子記録債権の合計は26億29百万円減りました。棚卸資産の増加には久永製作所の連結が含まれます。短期借入金は3億75百万円増えて9億75百万円になり、支払利息は前年同期の16百万円から35百万円に増えましたが、有利子負債27億36百万円は自己資本の0.07倍にとどまります。
7. 業界とセクターの状況
当サイトではモリトを便宜上「衣料品・アパレル」セクターに分類していますが、この分類は実態を正確には表していません。当サイトのアパレルセクターが想定しているのは、素材調達から店舗販売までを自社で手がけるSPA型の小売企業で、既存店売上高や天候といった小売特有の指標が業績を動かします。
モリトの主力はアパレルメーカー向けの副資材を卸・製造するB2B事業で、消費者への直接販売はありません。業績を左右するのは納入先であるアパレルメーカーの生産・販売動向と、原材料価格・為替です。今回の決算でも、EC・空調服を中心としたファッションアパレル向け販売の停滞が下期の減速要因として挙がっており、小売の既存店売上のような月次指標は無く、納入先の在庫調整や商品サイクルの影響を決算でしか確認できません。
さらに、輸送関連(自動車内装部品)とプロダクト関連(ヘルスケア・文具・ゲーム関連商品・厨房機器サービス)を持つ多角化企業でもあります。輸送関連は日系自動車メーカーの生産動向に左右され、3Q累計では欧州・日本が増加、米国の一部メーカー向けと中国が減少と地域差が出ています。為替は円安が進み(米ドル156.85円、前年同期149.78円)、海外子会社の換算を通じて売上高と純資産を押し上げました。
8. 今後のスケジュール
2026年11月期 通期 決算発表
過去の発表時期からの推定。上方修正後の通期予想(営業利益36億円)の達成度と、期末配当、2027年11月期の配当予想(新方針の初年度)が最大の焦点。
2027年11月期 第1四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定。
2027年11月期 第2四半期(中間) 決算発表
過去の発表時期からの推定。
2027年11月期 第3四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定。
次の通期決算では、上方修正後の予想(営業利益36億円)に対する第4四半期の着地、期末配当、2027年11月期の会社予想と配当予想が同時に出ます。発表日はいずれも過去の傾向からの推定です。確定日は同社IRサイトで確認してください。
9. 想定されるカタリスト
修正後の通期予想(営業利益36億円)に対し、第4四半期が逆算値の6億83百万円を上回るか。新方針(DOE5%)の初年度である2027年11月期の配当予想が、2026年11月期の72円からどこまで切り上がるかも同時に判明する。
帽子のODM・OEM生産を中核とする株式会社坂商を2026年10月1日に子会社化した。第4四半期の売上高に加わる可能性があるが、上方修正後の予想にどこまで織り込まれているかは開示資料からは読み取れなかった。
新方針でも「機動的な自己株式取得および適切な消却の実施を引き続き検討」とされている。2026年11月期の3Q累計では自己株式が約15億円増加(約81万株)しており、DOEを引き上げる局面では1株あたり配当を押し上げる方向に働く。
会社は調達コストの上昇に販売条件の見直しで対応しているとする。第4四半期の営業利益率が逆算値(約4.1%)に収まるかどうかは、この対応が下期も効くかにかかる。
10. 想定されるリスク
第4四半期の失速リスク。 売上高の伸びは上期+28.1%から第3四半期は約+10%に鈍化し、営業利益率も約6.2%→約5.3%と低下しました。ファッションアパレル向け販売の停滞が続けば、第4四半期の逆算値(営業利益6億83百万円)にも届かない可能性があります。
M&A依存と統合コストのリスク。 営業利益の増加要因は、前期連結2社の売上総利益(+15億38百万円)が既存事業(+8億64百万円)を上回ります。この寄与は2027年11月期に一巡し、人件費増加やM&A関連の経費増は残ります。久永製作所の連結で在庫に含まれる未実現利益の消去が売上総利益率を押し下げる要因にもなっています。
調達コスト・為替のリスク。 会社は中東情勢を背景とした調達コストの上昇を注視するとしています。円安は売上高と純資産を押し上げていますが、為替が円高に振れれば同じ経路で逆回転します。
配当方針の読み違いのリスク。 DOE5%は自己資本に連動するため、評価益や為替で膨らんだ純資産が配当の下限を引き上げる面があります。反対に、特殊要因で純利益が大きく変動した年は配当額を調整すると明記されています。「累進配当」と「特殊要因の但し書き」の両方が方針に書かれている点を、あわせて確認する必要があります。
財務レバレッジ上昇のリスク。 自己株式取得(3Q累計で約15億円)に加えて、買収と株主還元を並行して進めると、現在の自己資本比率71.8%・D/Eレシオ0.07倍の余力は徐々に使われていきます。
11. まとめ:どう判断材料にするか
3Q累計の営業利益は前年同期比+22.7%、経常利益は+17.7%で過去最高を更新しました。純利益は前期の負ののれん発生益の反動で-21.6%ですが、本業は増収増益を保っています。通期予想も上方修正されました。
判断が分かれるのは、修正後の予想が示す「第4四半期の営業利益6億83百万円(前年同期比-28.5%)」をどう読むかです。売上高の進捗は例年並みなのに営業利益の進捗だけが81.0%と突出している点を、控えめな予想の表れと見るなら、第4四半期の実績が上回る余地があり、通期の着地は修正後予想より良くなりえます。第3四半期に見えた売上の鈍化と利益率の低下の延長と見るなら、2027年11月期は、M&Aの連結効果が一巡する中で、増益のペースが落ちる前提で見る必要があります。
もう一つの判断軸は、配当方針の転換です。累進配当とDOE5%は、自己資本が現状並みなら1株約81円(仮定計算)という配当の下限の目安を示しますが、その水準は純資産が利益の積み上げではなく評価益と為替でも膨らむ構造を前提にしており、特殊要因の但し書きも付いています。2027年1月中旬ごろの通期決算で、第4四半期の着地と2027年11月期の配当予想が同時に出るため、ここが次の答え合わせです。
この記事の見立てが外れたと判断する条件
以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。
- 2026年11月期の通期営業利益が、上方修正後の会社予想36億円(第4四半期の逆算値6億83百万円)を下回って着地した場合。上方修正が下期の失速に追いつけていなかったことになり、この記事の「保守的な予想」という読みは外れる。
- 2027年11月期の配当予想(2027年1月中旬ごろに判明)が、DOE5%基準に相当する水準(自己資本が現状並みなら1株約80円台)を大きく下回る、または2026年11月期の72円から減額された場合。累進配当の方針が実際の配当額に結びついていないことになる。
- 第3四半期(6〜8月)に約5.3%だった営業利益率が第4四半期にさらに低下し、逆算値の約4.1%を下回った場合。売上総利益率が30%台を割り込むなら、販売条件見直しによる値上げの効果が途切れたサインになる。
- 自己資本比率が現在の71.8%から70%を明確に割り込む、または有利子負債が自己資本の0.1倍を超えて膨らむ場合(買収・自己株式取得の資金を借入でまかなう局面)。無借金に近い財務を前提にした配当方針の読み方が変わる。
- 3Q累計で+22.7%だった営業利益の伸びが、前年M&A2社の連結効果が一巡する2027年11月期に入って1桁台まで低下した場合。増益の主因が既存事業の改善ではなくM&Aの寄与だったことになる。
よくある質問
- モリトの配当方針はどう変わりますか?
- 2026年10月14日の決算発表と同時に、2027年11月期から利益配分の基本方針を変更すると公表されました。従来の「DOE4.0%基準」から「累進配当・DOE5.0%基準」になり、2031年11月期にはDOE6.0%を目標とします。配当性向50%以上の基準と、機動的な自己株式取得の検討は引き続き掲げられています。2026年11月期の会社予想は72円で、今回は修正されていません。
- モリトの配当は100株でいくらになりますか?
- 2026年11月期の会社予想は年間72円(中間36円・期末36円)で、100株なら年間7,200円(税引前)が目安です。中間配当36円は2026年8月6日に支払開始の予定でした。期末配当36円は予想で、2027年1月中旬ごろの通期決算で確定します。
- モリトの純利益が前年より減っているのに、なぜ上方修正されたのですか?
- 3Q累計の純利益は前年同期比-21.6%ですが、これは前期に計上された負ののれん発生益11億5百万円の反動です。上方修正の対象は、売上高660億円・営業利益36億円・経常利益38億円・純利益30億5,000万円で、営業利益と経常利益が3Q累計で前年を2割前後上回っていることが背景です。会社は理由として、既存事業が堅調だったことと、販売条件の見直しや生産効率の向上といった収益性改善施策の効果を挙げています。
参考文献・引用元
- 01モリト株式会社「2026年11月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
2026年10月14日開示。1ページ目「連結経営成績」「配当の状況」「連結業績予想」、4〜5ページ目「経営成績等の概況」(セグメント別)、5〜6ページ目「四半期連結貸借対照表」、7ページ目「四半期連結損益計算書」を参照。 / 2026/10/14 開示
- 02モリト株式会社「2026年11月期 第3四半期決算概要」(決算補足資料)
2026年10月14日開示。四半期別・事業別の売上高、営業利益増減要因、「利益配分に関する基本方針の変更(2027年11月期〜)」、中期経営計画「ACTION 1000」、坂商の子会社化を参照。 / 2026/10/14 開示
- 03モリト株式会社「2026年11月期連結業績予想の修正に関するお知らせ」
2026年10月14日開示。修正前後の通期予想と修正理由を参照。 / 2026/10/14 開示
- 04モリト株式会社「2026年11月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」
2026年7月14日開示。中間期の累計値(第3四半期単独値の算出に使用)を参照。 / 2026/07/14 開示
- 05モリト株式会社「2025年11月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
2026年1月14日開示。連結経営成績の5期推移、配当の状況、期初の2026年11月期業績予想を参照。 / 2026/01/14 開示
- 06IR BANK「モリト(9837) 株価情報」
2026年10月13日終値1,833円(決算発表前)を、PER・PBR・配当利回り等の算定の基礎として参照した二次情報。当サイトで会社予想ベースに再計算している。 / 2026/10/13 開示