TOKYO BASE(3415) 中間決算は増収+21.1%も営業増益+7.8%どまり。牽引役はインバウンド
本記事をお読みになる前に
本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。
生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。
株式会社TOKYO BASE
2026/09/14 時点
株価
346円
時価総額
152億円
配当利回り
2.02%
年間7円
PER
10.1倍
PBR
2.44倍
ROE
24.8%
ROA
9.8%
純利益ベース
自己資本比率
39.5%
配当性向
20.5%
有利子負債
55億円
D/Eレシオ
0.91倍
有利子負債÷自己資本
※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。
この記事の結論
- 2027年1月期中間期は売上高124億67百万円(前年同期比+21.1%)と大幅増収でしたが、営業利益は8億58百万円(+7.8%)にとどまり、営業利益率は7.7%から6.9%へ0.85ポイント低下しました。増収を上回るペースで利益が伸びなかった点が本記事の中心的な論点です。
- 増収の主因はインバウンド需要です。国内実店舗の免税売上高は前年同期比+42.4%で、実店舗売上高の増加額のうち72.0%を占めました。一方、主力の自社オリジナル業態(UNITED TOKYO・PUBLIC TOKYO・CITY)の既存店売上高はいずれも前年同期を下回っており、新業態・セレクト業態とインバウンドへの依存度が高まっています。
- 利益率低下の要因は、新業態KEY TIMEZの立ち上げコストと在庫適正化のためのZOZOTOWN販売による売上総利益率の低下(△0.4pt)、および出店拡大に伴う地代家賃・人件費・販売手数料の増加による販管費率の上昇(+0.4pt)の両方です。通期の会社予想(営業利益+26.8%)を達成するには、下期に上期を上回る利益率の改善が必要になります。
- 配当は2023年1月期の2円から2027年1月期予想7円まで5期連続の増配見込みで、修正も一度もありません。一方、有利子負債比率(D/Eレシオ)は2022年1月期の0.33倍から当中間期0.91倍まで上昇しており、出店投資と自己株式取得(当中間期に5億円)を借入で下支えしている構図です。
目次11項目
1. 概要
TOKYO BASEは2026年9月14日15:30、2027年1月期第2四半期(中間期、2026年2月1日〜2026年7月31日)の決算短信を開示しました。開示は東証の通常取引終了(15:00)後のため、以下の株価指標は同日の終値346円(前日比+3円、+0.87%)にもとづくもので、今回の決算内容はまだ株価に反映されていません。
この株価をもとに計算すると、PER(会社予想ベース)は10.14倍、PBRは2.44倍、予想配当利回り(会社予想ベース)は2.02%、自己資本比率は39.5%です。
決算の中身を見ると、当中間期の売上高は124億67百万円で前年同期比+21.1%という大幅な増収でした。一方、営業利益は8億58百万円で+7.8%にとどまり、増収率を大きく下回るペースでしか増益できていません。売上はこれだけ伸びているのに、なぜ利益はそこまで伸びないのか。 この決算の中心的な論点です(第4節で詳しく扱います)。
2. 会社概要とビジネスモデル
TOKYO BASEは「日本発を世界へ」を企業理念に掲げるアパレルSPA(製造小売)企業です。セレクトショップ「STUDIOUS」を中核に、オリジナルブランドの「UNITED TOKYO」「PUBLIC TOKYO」「CITY」、比較的高価格帯の「THE TOKYO」、その他の小型業態「CONZ」「RITAN」「JAPAN EDITION」、そして当中間期に立ち上げた新業態「KEY TIMEZ」を展開しています。事業区分は衣料品販売の単一セグメントで、事業別の詳細な利益開示はありません。
店舗数は前連結会計年度末の104店舗から116店舗へ12店舗増加しました(新規出店20店舗、退店8店舗)。実店舗は国内87店舗・海外16店舗の計103店舗、残り13店舗はEC専業です。海外は香港で新規出店を進める一方、中国事業は不採算店舗の退店を終え、上海・北京・深圳・広州の一級都市に経営資源を集約しています。
強みと弱みの整理
強み
インバウンド需要の取り込みが進んでいる
当中間期の国内実店舗の免税売上高は33億97百万円(前年同期比+42.4%)で、実店舗売上高に占める比率は30.1%から36.4%へ上昇しました。実店舗売上高の増加額のうち72.0%を免税売上の増加が占めており、訪日客需要を業績に取り込む力があります。
新業態・セレクト業態が既存店ベースでも強い
THE TOKYO業態(既存店119.2%)・CONZ業態(同118.9%)・STUDIOUS業態(同111.9%)は、いずれも全社既存店前年同期比105.7%を上回っています。新業態KEY TIMEZも立ち上げ初期から3億72百万円を売上に計上しました。
増配・自己株式取得による株主還元の継続
2023年1月期の2円から2027年1月期予想7円まで5期連続で増配見込みです。当中間期には自己株式1,341,100株(取得額499百万円)を取得しており、配当と自社株買いの両方で株主還元を続けています。
弱み
主力の自社オリジナル業態は既存店で前年割れ
UNITED TOKYO(既存店101.1%)・PUBLIC TOKYO(同89.0%)・CITY(同90.3%)は、全社の既存店前年同期比105.7%を下回っています。増収の中身は新業態とインバウンドへの依存度が高く、主力ブランドそのものの集客力は伸び悩んでいます。
増収に利益がついてこない構造
売上総利益率は53.6%(前年同期比△0.4pt)、営業利益率は6.9%(同△0.85pt)とそれぞれ低下しました。新業態の立ち上げコストと出店拡大に伴う固定費増加が、増収分を利益に転換しきれていません。
有利子負債への依存が強まっている
有利子負債比率(D/Eレシオ)は2022年1月期の0.33倍から当中間期0.91倍まで上昇し、自己資本比率は51.1%から39.5%へ低下しました。出店投資と自己株式取得を借入で下支えする構図が続いています。
3. 業績の推移
数値で確認する
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022/01 | 17,618 | 947 | 1,082 | 763 | 51.1% |
| 2023/01 | 19,182 | 215 | 265 | -540 | 47.9% |
| 2024/01 | 19,986 | 881 | 1,122 | 335 | 46.5% |
| 2025/01 | 20,208 | 1,473 | 1,476 | 777 | 44.5% |
| 2026/01 | 23,734 | 1,956 | 1,890 | 1,209 | 42.0% |
| 2027/01会社予想 | 28,000 | 2,500 | 2,200 | 1,500 | — |
読み取れることは3つあります。
売上は増減を経ながらも2024年1月期以降は伸びが加速している。 2022年1月期176億円から2023年1月期192億円へ増収も、営業利益・純利益は大きく落ち込みました(新型コロナ後の店舗拡大が先行した時期)。2024年1月期に黒字転換し、2026年1月期は237億円(前期比+17.4%)まで拡大、2027年1月期は会社予想で280億円(同+17.9%)を見込みます。
利益は2023年1月期に赤字転落するほど振れが大きい。 2023年1月期は純利益5億40百万円の赤字でしたが、2024年1月期に黒字転換(3億35百万円)、2025年1月期・2026年1月期と2期連続で伸びが加速し、2026年1月期の営業利益は19億56百万円まで回復しました。当中間期はこの回復基調の中で増益率が鈍化した局面にあたります。
自己資本比率は2022年1月期の51.1%から一貫して低下している。 2023年1月期47.9%→2024年1月期46.5%→2025年1月期44.5%→2026年1月期42.0%→当中間期39.5%と、5期連続で低下しました。同じ期間に有利子負債比率(D/Eレシオ)は0.33倍から0.91倍まで上昇しており、店舗拡大や自己株式取得を借入で支えていることがうかがえます。
4. 増収率+21.1%に対して営業増益率が+7.8%にとどまる理由
ここが本記事の中心です。当中間期の売上・利益の内訳を、前年同期と並べます。
| 項目 | 前年同期 | 当中間期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 102億93百万円 | 124億67百万円 | +21.1% |
| 売上総利益 | 55億59百万円 | 66億80百万円 | +20.2% |
| (売上総利益率) | 54.0% | 53.6% | △0.4pt |
| 販売費及び一般管理費 | 47億63百万円 | 58億22百万円 | +22.2% |
| (販管費率) | 46.3% | 46.7% | +0.4pt |
| 営業利益 | 7億96百万円 | 8億58百万円 | +7.8% |
| (営業利益率) | 7.7% | 6.9% | △0.85pt |
出典:2027年1月期 第2四半期決算短信
売上総利益率と販管費率が両方とも悪化方向に動いたため、営業利益率は0.85ポイント低下しました。 決算短信の説明によれば、売上総利益率の低下は「新業態の立ち上げに伴う導入期の販売及び出店拡大に伴う業態構成の変化」に加え、「前期までに積み上がった在庫の適正化を目的として、一部商品をZOZOTOWNにおいて販売した」ことが要因です。一方、販管費率の上昇は、新規出店に伴う地代家賃(+3億46百万円)、人的リソース確保による給料及び手当(+1億85百万円)、出店拡大に伴う販売手数料(+93百万円)が主因です。
増収の中身を見ると、インバウンド(免税売上)への依存度が高まっています。 当中間期の実店舗売上高は91億85百万円(前年同期比+17.5%)でしたが、このうち免税売上高が33億97百万円(同+42.4%)と急拡大し、当中間期の実店舗売上高の増加額(14億67百万円)の72.0%を免税売上の増加が占めました。実店舗売上高に占める免税比率は30.1%から36.4%へ6.3ポイント上昇しています。月次でも当中間期の全ての月で前年同月を上回り、5月は+52.2%、6月は+55.0%という高い伸びを記録しました。
一方、主力の自社オリジナル業態(UNITED TOKYO・PUBLIC TOKYO・CITY)の既存店売上高は前年同期を下回っています(それぞれ101.1%・89.0%・90.3%)。全社の既存店前年同期比105.7%を牽引したのは、THE TOKYO(119.2%)・CONZ(118.9%)・STUDIOUS(111.9%)といった新業態・セレクト業態です。つまり今回の増収は、①インバウンド需要、②新業態・セレクト業態、この2つに支えられており、主力の自社オリジナルブランドそのものの集客力は伸び悩んでいる可能性があります。
通期の会社予想は据え置きで、売上高280億円(+17.9%)・営業利益25億円(+26.8%)です。 中間期の進捗率は売上高44.5%(1,246,667/2,800,000千円)に対し、営業利益は34.3%(85,780/250,000千円)と、利益の進捗が売上の進捗を大きく下回っています。下期にかけて営業利益率が上期の6.9%から回復し、通期計画の伸び率(+26.8%)に近づくかどうかが、次の第3四半期決算で確認すべき最大のポイントです。
5. 配当の推移
| 決算期 | 期初予想 | 年間配当 | 期初比 | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|
| 2023/01 | 2円 | 2円 | 0円 | 12.5% |
| 2024/01 | 4円 | 4円 | 0円 | 54.8% |
| 2025/01 | 5円 | 5円 | 0円 | 28.0% |
| 2026/01 | 6円 | 6円 | 0円 | 21.8% |
| 2027/01会社予想 | 7円 | 7円 | — | 20.5% |
- 2023/01:実質的に配当を開始した期(それ以前は無配)。
- 2027/01:今回の中間決算(2026年9月14日開示)でも期初予想7円から修正なし。中間配当は設定されておらず、年1回・期末のみの配当方針。
配当は2023年1月期に2円(当時個別ベース)で実質的に開始して以降、4円(2024年1月期)→5円(2025年1月期)→6円(2026年1月期)→7円(2027年1月期・会社予想)と、5期連続の増配基調にあります。いずれの期も期初予想からの修正はありませんでした。中間配当の設定は無く、年1回・期末のみの配当方針です。
配当性向は54.8%(2024年1月期)→28.0%(2025年1月期)→21.8%(2026年1月期)→20.5%(2027年1月期・予想)と低下傾向にあります。利益の伸びに対して配当の増額ペースは緩やかで、内部留保を出店投資に振り向けていると見られますが、会社が配当方針の考え方を明示的に説明した箇所は今回の決算短信からは見当たりません。
もう一つの株主還元策として、当中間期に自己株式1,341,100株(取得額4億99百万円)を取得しました。発行済株式数(自己株式を含む)は43,959,482株、当中間期末の自己株式数は1,341,113株です。配当と自己株式取得を合わせた総還元額は、2026年1月期には2億17百万円(配当のみ)でしたが、当中間期だけで自己株式取得(4億99百万円)が配当実績を上回る規模になっています。
6. 会社の現状と直近の動き
当中間期の財務諸表をもう少し分解します。
貸借対照表では、資産合計が前連結会計年度末148億64百万円から当中間期末152億94百万円へ4億30百万円増加しました。現金及び預金が8億73百万円減少した一方、商品(棚卸資産)が5億36百万円、有形固定資産が3億95百万円、差入保証金が2億68百万円それぞれ増加しています。負債合計は6億37百万円増加し、純資産は当中間期の中間純利益5億18百万円の計上と剰余金の配当2億63百万円の実施により利益剰余金が増えた一方、自己株式の取得により純資産の控除項目である自己株式が4億99百万円増加したことで、純資産全体としては2億07百万円の減少(62億66百万円→60億59百万円)となりました。
有利子負債(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・長期借入金の合計)は前期末53億15百万円から当中間期末55億12百万円へ増加しました。長期借入金の返済(13億03百万円)を行う一方、短期借入金を2億円積み増し、新たに長期借入れ13億円を実行しています。D/Eレシオは0.85倍(前期末)から0.91倍(当中間期末)へ上昇しました。
キャッシュ・フローは、営業活動によるCFが前年同期の△1億85百万円(マイナス)から当中間期5億46百万円(プラス)へ改善しました。前年同期は棚卸資産の積み増しが大きく響いていましたが、今回は棚卸資産の増加額が5億09百万円に縮小したことが主因です。投資活動によるCFは7億40百万円の支出(前年同期9億62百万円)、財務活動によるCFは自己株式取得や配当支払いにより7億11百万円の支出となりました。
特別損失として、池袋パルコの館内リニューアルに伴う店舗移転(PUBLIC TOKYO・CITY)にともなう減損損失6,780万円・固定資産除却損252万円が発生しています。海外では香港で新規4店舗(UNITED TOKYO・PUBLIC TOKYO・CONZ・KEY TIMEZの各香港店)を出店する一方、STUDIOUS香港店を退店しました。中国事業は前期までに不採算店舗の退店を終え、上海・北京・深圳・広州の一級都市への集約を進めています。
通期業績予想(売上高280億円・営業利益25億円・経常利益22億円・純利益15億円)は、2026年3月17日の公表から今回の中間決算でも修正されていません。
7. 業界とセクターの状況
TOKYO BASEが属するアパレル業界には、構造的に決まっていることがいくつかあります。
SPA(製造小売)モデルは、企画から販売まで自社で持つ分だけ粗利率が高く出る代わりに、売れ残りの在庫リスクを自社で負います。 当中間期に「在庫の適正化を目的として一部商品をZOZOTOWNで販売した」ことが売上総利益率をわずかに押し下げたのは、この在庫リスクが顕在化した一例です。
既存店売上高を客数×客単価に分解しないと、増収の質は読めません。 今回は業態別の既存店前年同期比が開示されているため検証できましたが、主力の自社オリジナル業態(UNITED TOKYO・PUBLIC TOKYO・CITY)が前年割れである一方、新業態・セレクト業態とインバウンドが全社を牽引するという構図が明確に見えました。
インバウンド消費は、当社のような都市部・観光地立地の実店舗を持つ企業にとって、天候や為替と並ぶ外部要因になりつつあります。 免税売上高の比率が実店舗売上の36.4%まで高まっている状況は、為替(円高進行)や訪日客数の増減に業績が左右されやすくなっていることも意味します。
海外事業(香港・中国)を持つため、為替差損益が営業外損益に出やすい構造です。 当中間期は為替差益9,158万円を計上した一方、前年同期は為替差損1億03百万円を計上しており、営業外損益の振れの一因になっています。
同業他社との指標比較は、比較対象となる上場SPA企業が限られるため本記事では扱っていません。PER10.05倍・PBR2.42倍という水準は、同社自身の過去のレンジや同業他社と比較して初めて割高・割安を判断できるものです。
8. 今後のスケジュール
2027年1月期 第3四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年1月期 通期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2028年1月期 第1四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2028年1月期 第2四半期(中間) 決算発表
過去の発表時期からの推定
いずれも過去の発表時期からの推定です。確定日は会社のIRサイトで確認してください。
9. 想定されるカタリスト
営業利益率が下期にかけて回復し、通期計画(営業利益+26.8%)に近づくペースになっているかを確認できる最初の機会。
会社は月次で既存店売上高を開示しており、四半期決算を待たずに免税売上・インバウンド動向の強弱を追える。
当中間期に8店舗を新規出店したばかりで、当中間期の売上寄与3億72百万円に対する採算性(黒字化時期)は決算短信からはまだ確認できない。
5期連続増配(7円)が実現するか、通期営業利益+26.8%の計画を達成できるかを確認できる。
10. 想定されるリスク
強みの裏返しになる点を中心に整理します。
インバウンド依存度の高まり。 実店舗売上高の増加の72.0%を免税売上の増加が占めており、為替の円高進行や訪日客数の減少、インバウンド消費動向の変化があれば、増収ペースが大きく鈍化するリスクがあります。
主力ブランドの既存店不振。 UNITED TOKYO・PUBLIC TOKYO・CITYの既存店売上高がいずれも前年割れとなっており、新業態・インバウンドの伸びがなければ、全社の既存店売上高もマイナスに転じていた可能性があります。
利益率改善が下期に実現するかどうかの不確実性。 通期計画(営業利益+26.8%)に対し、中間期の進捗率は34.3%にとどまっています。下期に計画通りの利益率改善が実現しなければ、通期計画の未達リスクが高まります。
財務レバレッジの上昇。 D/Eレシオは0.33倍(2022年1月期)から0.91倍(当中間期)まで上昇し、自己資本比率は51.1%から39.5%へ低下しました。店舗拡大や自己株式取得を借入で支える構図が続けば、金利上昇局面での財務負担が相対的に重くなります。
11. まとめ:どう判断材料にするか
売上そのものは力強く伸びています。当中間期は前年同期比+21.1%、通期でも会社予想+17.9%を見込み、店舗数も104店舗から116店舗へ拡大しました。配当も5期連続の増配見込みで、自己株式取得も継続しています。
判断の分かれ目は、今回の増収の中身と、下期の利益率回復が実現するかどうかです。 インバウンド需要と新業態・セレクト業態が牽引する増収を「新しい成長ドライバーの確立」と見るなら、訪日客数が拡大基調を続ける限りこの成長は持続しやすいと評価できます。一方、主力の自社オリジナルブランドの既存店売上高が前年割れという事実を重く見るなら、インバウンドという外部要因への依存度の高さがリスクとして意識されます。通期計画が求める下期の利益率改善(営業利益進捗率34.3%→通期100%達成に必要なペース)が実現するかどうかも、現時点では未確認です。
次の確認ポイントは、2026年12月上旬に予定される第3四半期決算です。免税売上高の伸びが続いているか、営業利益率が上期の6.9%から回復しているかを、あわせて確認してください。
この記事の見立てが外れたと判断する条件
以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。
- 次回の第3四半期決算(2026年12月上旬予定)で、営業利益率が当中間期の6.9%からさらに悪化し、通期計画(営業利益+26.8%)の進捗が明らかに遅れている場合。
- 国内実店舗の免税売上高の伸びが急減速した場合(為替の円高進行・訪日客数の減少・インバウンド消費動向の変化など)。増収の7割超を免税売上の増加が支えている状態が崩れる。
- 自社オリジナル業態(UNITED TOKYO・PUBLIC TOKYO・CITY)の既存店売上高不振が新業態・インバウンドの伸びで隠しきれなくなり、全社の既存店売上高が前年を下回った場合。
- 2027年1月期の期末配当(2027年3月頃発表見込み)が予想の7円から減配された場合。2023年1月期以降、一度も減配や下方修正がない実績が途切れる。
- 有利子負債比率(D/Eレシオ)がさらに上昇し、自己資本比率が当中間期の39.5%を大きく下回る水準まで低下した場合。
よくある質問
- TOKYO BASEの配当は100株あたりいくらになりますか?
- 2027年1月期の会社予想配当は年7円(期末のみ・年1回)です。中間配当は設定されていないため、100株を保有した場合、期末に700円(税引前)を受け取る計算になります。実績が確定するのは2027年3月頃の本決算発表時です。
- TOKYO BASEはなぜ増収なのに営業利益の伸びが小さいのですか?
- 2027年1月期中間期の売上高は前年同期比+21.1%でしたが、営業利益は+7.8%にとどまりました。新業態KEY TIMEZの立ち上げに伴う販売費・出店拡大に伴う地代家賃や人件費の増加、および在庫適正化のためのZOZOTOWN販売により、売上総利益率が53.6%(前年同期比△0.4pt)、営業利益率が6.9%(同△0.85pt)とそれぞれ低下したためです。
- TOKYO BASEの増収はインバウンド(訪日客)需要にどれくらい依存していますか?
- 当中間期の国内実店舗の免税売上高は33億97百万円(前年同期比+42.4%)で、実店舗売上高に占める比率は36.4%(前年同期30.1%)まで上昇しました。実店舗売上高の増加額のうち72.0%を免税売上の増加が占めており、増収の主なけん引役になっています。一方、主力の自社オリジナル業態の既存店売上高は前年を下回っており、インバウンド以外の成長ドライバーは相対的に弱い状態です。
参考文献・引用元
- 01株式会社TOKYO BASE「2027年1月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」
2026年9月14日開示。連結業績(売上高・各利益・EPS)、業態別売上高・既存店前年同期比、出退店・店舗数、免税売上高、中間連結貸借対照表、中間連結損益計算書、中間連結キャッシュ・フロー計算書、配当の状況、自己株式の取得、通期業績予想を参照。 / 2026/09/14 開示
- 02株式会社TOKYO BASE コーポレートサイト
事業内容・ブランド構成を参照。
- 03株探「TOKYO BASE【3415】株の基本情報」
2026年9月14日15:30時点の当日終値(346円、前日比+0.87%)と上場市場(東証プライム)を参照。
- 04IR BANK「TOKYO BASE(3415) 決算まとめ/配当金の推移/株式情報」
2022年1月期〜2026年1月期の通期業績・自己資本比率・有利子負債比率の時系列、配当の予想と実績(修正の有無)を二次情報として参照した。株価指標のスナップショットは2026年9月14日終値(決算発表当日の取引時間中終値)を用いて計算し直している。同サイトの表示単位(億円・万円)を百万円に換算しており、四捨五入により決算短信の実額と若干の誤差がある可能性がある。