四半期分析化学・素材2027/3期 Q1

三和油化工業(4125) 営業利益+210.1%、通期予想の4割を1Qで稼いだ中身

2026/09/22 公開2026/09/22 更新6分で読了対象決算:2027年3月期 第1四半期

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

三和油化工業株式会社

東証スタンダード・名証メイン 4125 ・ 3月期決算

2026/09/22 時点

株価

3,625円

時価総額

157億円

配当利回り

1.38%

年間50円

PER

14.2倍

PBR

1.13倍

ROE

8.4%

ROA

7.3%

経常利益ベース

自己資本比率

49.0%

配当性向

19.6%

有利子負債

98億円

D/Eレシオ

0.71倍

有利子負債÷自己資本

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 2027年3月期第1四半期は売上高64億83百万円(前年同期比+61.7%)・営業利益6億91百万円(同+210.1%)・経常利益6億94百万円(同+183.7%)・親会社株主に帰属する四半期純利益4億35百万円(同+215.3%)と大幅増収増益。
  • 会社は8月7日の1Q発表時点で通期予想(売上高235億円・営業利益17億円・純利益11億円)を5月15日公表のまま据え置いたが、1Qだけで通期営業利益予想の40.6%・純利益予想の39.5%を稼いでおり、前年同期の1Q進捗率(営業利益14.4%)より大きく高い。
  • 増収の主因はリユース事業(前年同期比+173.2%、全社増収額の7割弱を占める)で、2025年10月に子会社化したエー・アンド・エイチ・ジャパン(貴金属・レアメタル再資源化)の通期寄与と、中東情勢緊迫化によるナフサ価格上昇に伴う再生溶剤の販売価格上昇が重なった。両要因の金額別の寄与度は決算短信の開示範囲では分からない。
  • 1Qの利益前倒しを「この勢いが年間を通じて続く」と見るか、「通期予想が据え置かれている以上、Q2以降は反動で伸びが鈍化する」と見るかが、この記事の中心的な論点。
目次11項目
  1. 1. 概要
  2. 2. 会社概要とビジネスモデル
  3. 3. 業績の推移
  4. 4. 営業利益+210.1%、通期予想の4割を1Qで稼いだ中身
  5. 5. 配当の推移
  6. 6. 会社の現状と直近の動き
  7. 7. 業界とセクターの状況
  8. 8. 今後のスケジュール
  9. 9. 想定されるカタリスト
  10. 10. 想定されるリスク
  11. 11. まとめ:どう判断材料にするか

1. 概要

2026年9月18日終値(3,625円、直近営業日)を基準にすると、PER14.24倍(2027年3月期の会社予想EPS254.61円ベース)・PBR1.13倍(2026年6月末実績BPS3,200.23円ベース)・予想配当利回り1.38%(会社予想の年間配当50.00円ベース)・ROE8.4%・ROA7.3%(いずれも2026年3月期実績、ROAは総資産経常利益率ベース)・自己資本比率49.0%(2026年6月末実績)という水準です。

2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は、売上高64億83百万円(前年同期比+61.7%)・営業利益6億91百万円(同+210.1%)・経常利益6億94百万円(同+183.7%)・親会社株主に帰属する四半期純利益4億35百万円(同+215.3%)と大幅増収増益でした。ここで目を引くのは伸び率そのものより、通期会社予想(営業利益17億円)に対する進捗率です。1Qだけで通期予想の40.6%を稼いでおり、前年同期の進捗率14.4%を大きく上回ります。それでも会社は通期予想を5月15日公表時点から据え置いています。この「1Qで進捗率が急上昇したのに予想は据え置き」という組み合わせが何を意味するのかを、第4節で整理します。

2. 会社概要とビジネスモデル

三和油化工業は、愛知県豊田市に本社を置く環境関連の化学メーカーです。公式のセグメント区分は「環境関連事業」の単一セグメントですが、事業種類別に5つの業績区分を開示しています。

  • リユース: 廃溶剤・リン酸・貴金属等のマテリアルリサイクル。2027年3月期第1四半期の売上構成比は約4割で最大区分。
  • リサイクル: 産業廃棄物(廃酸・廃アルカリ等)の収集・処理。
  • ファインケミカル: 半導体・電池・電子部品向けの高純度化学品(2026年3月期まで「化学品」事業に含まれていたエレクトロニクス向け製品を今期から独立区分に)。
  • ベーシックケミカル: 汎用化学品と自動車向け油剤・洗浄剤(2026年3月期までの「化学品」「自動車」事業を今期から統合)。
  • エンジニアリング: 化学プラントの解体・清掃、PCB廃棄物処理。処理期限は2027年3月まで。

2025年10月に貴金属・レアメタルリサイクルを手掛けるエー・アンド・エイチ・ジャパン株式会社(大阪市)を完全子会社化し、リユース事業の規模を拡大しました。また、北九州市に再資源化工場を建設中で、2027年度からの稼働開始を目指しています。なお、事業種類別の区分は今期からファインケミカル・ベーシックケミカルに再編されており、前年同期の「化学品」「自動車」との単純比較はできない点に注意が必要です(決算短信には旧区分ベースの前年同期換算値が注記されています)。

強みと弱みの整理

強み

  • 通期予想に対する1Q進捗率が異例に高い

    2027年3月期第1四半期は営業利益6億91百万円で、通期会社予想17億円の40.6%に達しました。前年同期の進捗率14.4%(2026年3月期の1Q営業利益2億23百万円÷通期実績15億43百万円)と比べて大きく上振れています。

  • M&Aと再資源化需要の取り込みで事業規模が拡大

    2025年10月のエー・アンド・エイチ・ジャパン子会社化により、リユース事業の売上高は2027年3月期第1四半期に前年同期比+173.2%。半導体・電池分野の拡大を見込み、北九州市で再資源化工場を建設中(2027年度稼働予定)です。

  • 増配基調が続いている

    年間配当は2023年3月期36.00円→2026年3月期50.00円へ4期連続増配。配当性向は11.7%→20.1%まで緩やかに上昇していますが、まだ余力を残す水準です。

弱み

  • 増収の中身がM&Aと原材料市況に依存

    リユース事業の増収は、エー・アンド・エイチ・ジャパンの連結寄与と、中東情勢緊迫化によるナフサ価格上昇という2つの外部・一時的要因が重なった結果です。両者の金額別の寄与度は決算短信の開示範囲では分かりません。

  • 有利子負債が1四半期で18億円超増加

    有利子負債は2026年3月期末の79億85百万円から2027年3月期第1四半期末には98億47百万円へ増加。自己資本比率は51.2%から49.0%へ低下しました。北九州工場建設が本格化する局面で、この増加ペースが続くかが焦点です。

  • 通期予想は据え置きで、Q2以降の減速リスクを内包

    通期予想(営業利益17億円)を据え置いたまま1Qで40.6%を消化した以上、単純計算ではQ2〜Q4の営業利益は合計10億9百万円(四半期平均3億6百万円)にとどまる計画になり、1Qの水準(6億91百万円)から大きく減速する前提になっています。

3. 業績の推移

売上高(左軸) 営業利益(右軸) 会社予想
007,50050015,0001,00022,5001,50030,0002,0002022/032023/032024/032025/032026/032027/03単位:百万円
自己資本比率(%)40506051.2
数値で確認する
決算期売上高営業利益経常利益純利益営業CF自己資本比率
2022/0315,5371,6291,6291,259——
2023/0317,3671,8851,9361,325——
2024/0315,6331,2791,3601,041——
2025/0316,040836897591——
2026/0320,2631,5431,7011,0711,94451.2%
2027/03会社予想23,5001,7001,6201,100——
単位:百万円。出典:決算短信の実額(2022年3月期〜2026年3月期は実績、2027年3月期は会社予想)

読み取れることは3つあります。

1つ目は、2024年3月期・2025年3月期の2期連続減益(営業利益は2023年3月期の18億85百万円から2025年3月期には8億36百万円まで半減以下)を経て、2026年3月期に営業利益15億43百万円(前期比+84.6%)まで急回復したことです。2026年3月期はエー・アンド・エイチ・ジャパンの連結が2025年10月から半年分含まれる期でした。

2つ目は、経常利益と営業利益がほぼ同水準で推移していることです(2026年3月期は営業利益15億43百万円に対し経常利益17億1百万円)。営業外損益の影響が小さく、段階利益の質を見るうえで経常利益と純利益の乖離のほうが目立ちます。

3つ目は、2027年3月期の会社予想が売上高235億円(前期比+16.0%)・営業利益17億円(同+10.1%)・経常利益16億20百万円(同△4.8%)・純利益11億円(同+2.6%)と、増収は続く一方で増益率は大きく鈍化する計画になっていることです。とりわけ経常利益は減益予想であり、1Qの経常利益+183.7%という実績の伸びとは対照的です。この「期初計画の鈍化シナリオ」と「1Qの実績の伸び」のギャップが、次節のテーマです。

4. 営業利益+210.1%、通期予想の4割を1Qで稼いだ中身

通期予想に対する進捗率が前年より大きく高い

項目1Q実績通期会社予想進捗率前年同期の進捗率
売上高64億83百万円235億円27.6%19.8%(2026年3月期1Q40億9百万円÷同期実績202億63百万円)
営業利益6億91百万円17億円40.6%14.4%
経常利益6億94百万円16億20百万円42.8%14.4%
親会社株主に帰属する四半期純利益4億35百万円11億円39.5%12.9%

いずれの項目も進捗率は前年同期より上昇していますが、上昇幅には差があります。売上高の進捗率は19.8%→27.6%(約1.4倍)にとどまる一方、営業利益は14.4%→40.6%(約2.8倍)、経常利益は14.4%→42.8%(約3.0倍)、純利益は12.9%→39.5%(約3.1倍)と、利益側の進捗率が売上高より大きく跳ね上がっています。これは第1四半期に売上の伸び以上に利益率が改善したことを意味し、次の「営業利益率がほぼ倍増」で詳しく見ます。会社はこの1Q決算発表(2026年8月7日)と同時に、通期業績予想について「前回発表(2026年5月15日)の連結業績予想からの変更はありません」と明記しています。つまり、この高い進捗率を認識したうえでなお据え置いたのか、単に据え置きが機械的な処理(毎四半期見直すわけではない)なのかは、この開示だけでは判断できません。仮に据え置きが会社の実感を反映したものだとすれば、会社自身がQ2以降の大幅な減速(営業利益で言えば残り3四半期合計10億9百万円、四半期平均3億6百万円ペースへの減速)を織り込んでいることになります。

増収の7割弱はリユース事業――中身はM&Aと原油高

事業区分1Q売上高前年同期比全社増収額に占める寄与度(概算)
リユース26億37百万円+173.2%約68%
エンジニアリング5億13百万円+154.6%約13%
ファインケミカル10億34百万円+31.1%(旧区分換算)約10%
ベーシックケミカル7億99百万円+21.4%(旧区分換算)約6%
リサイクル14億97百万円+7.3%約4%

(寄与度は各事業の前年同期比増減額を全社増収額24億74百万円で割った概算値。ファインケミカル・ベーシックケミカルは決算短信注記の旧区分換算による前年同期比。)

全社増収額24億74百万円のうち、7割近くをリユース事業(前年同期比+173.2%)が占めています。決算短信によれば、この伸びは2つの要因の合算です。1つは2025年10月に完全子会社化したエー・アンド・エイチ・ジャパン(貴金属・レアメタル再資源化)の連結寄与で、前年同期(2025年4〜6月)はまだ子会社化前のため寄与ゼロでした。もう1つは、中東情勢緊迫化によるナフサ価格上昇に伴う再生溶剤の販売価格上昇です。決算短信の記載範囲では、この2つの要因それぞれの金額規模は分かりません。

エンジニアリング事業(+154.6%)も大きく伸びていますが、決算短信は「処理期限の迫っているPCB処理案件の獲得が大きく増加」と説明しており、2027年3月に処理期限を迎えるPCB廃棄物処理の駆け込み需要という性格が強く、期限後も同水準が続くとは限りません。

営業利益率がほぼ倍増――1Qだけで判断するのは早い

1Qの営業利益率は10.7%(前年同期5.6%)とほぼ倍増しました。売上原価率は70.7%から72.4%へやや上昇した一方、販管費比率は23.8%から16.9%へ低下しており、増収に対して販管費が比例して増えなかった「操業度の効果」が利益率押し上げの一因と考えられます。ただし、リユース事業の製品構成(貴金属リサイクルは一般に取扱高あたりの粗利が厚いとされる)の変化がどの程度寄与したかは、決算短信の開示範囲では特定できません。1四半期だけでは季節性やタイミングの偏りを排除できないため、この利益率水準がQ2以降も続くかどうかは次の四半期で確認する必要があります。

5. 配当の推移

決算期期初予想年間配当配当性向
2023/03—36円11.7%
2024/03—40円16.6%
2025/03—43円31.4%
2026/03—50円20.1%
2027/03会社予想—50円19.6%
  • 2027/03:2026年5月15日公表の期初予想のまま。2026年8月7日の第1四半期決算発表でも修正なし。
1株当たり。「期初比」は期初予想に対する着地の差。 出典:決算短信「配当の状況」(2023年3月期〜2026年3月期は実績、2027年3月期は会社予想)

配当は中間配当を出さず期末一括で支払う方針で、2023年3月期の36.00円から2026年3月期の50.00円まで4期連続で増配しています。配当性向は11.7%→16.6%→31.4%→20.1%という順で推移しています。このうち直近の上昇は、当期純利益が5億91百万円(前期比△43.2%)へ落ち込んだ2025年3月期に、配当額を維持・増額したことによる一時的なものでした。2026年3月期は純利益が10億71百万円(前期比+81.2%)へ回復しており、これに伴って性向は再び低下しています。

2027年3月期は年間50.00円(前期と同額)を会社が予想しており、この予想は2026年5月15日の期初公表から1Q決算時点でも修正されていません。会社予想EPS254.61円に対する配当性向は19.6%相当で、直近5期で最も低い水準の計画です。予想配当利回りは1.38%(3,625円に対して)です。

なお、2021年6月18日に1株を20株とする株式分割を実施しています。この記事のfinancialsは分割後ベースで統一していますが、分割前の配当実績(2021年3月期の年間380.00円)は分割の影響を受けない金額のため、年度をまたいだ単純な金額比較はできません。

6. 会社の現状と直近の動き

2027年3月期第1四半期の連結損益を段階別に見ると、売上原価は46億96百万円(前年同期28億33百万円)、売上総利益は17億86百万円(同11億76百万円)、販管費は10億95百万円(同9億53百万円)でした。

財政状態は、総資産282億15百万円(前期末260億24百万円)、純資産139億64百万円(前期末134億80百万円)、自己資本比率49.0%(前期末51.2%)です。有利子負債は98億47百万円で、前期末の79億85百万円から18億62百万円増加しました。内訳は短期借入金10億円の新規調達と長期借入金の積み増しで、金融収支面では支払利息が前年同期の7百万円から30百万円へ増加しています(金額自体は小さいものの、増加率としては4倍超)。D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)は0.71倍で、前期末(0.60倍)から上昇しています。

キャッシュ・フローは、1Qだけで営業活動によるキャッシュ・フローが29億59百万円のプラス、投資活動によるキャッシュ・フローが32億17百万円のマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローが13億9百万円のプラスでした。投資活動の内訳(何に32億円超を投じたか)は、今回参照した決算短信(四半期版はキャッシュ・フロー計算書の明細を作成していません)の記載範囲では確認できませんでした。中間決算での開示を待つ必要があります。

会社は同じ2026年8月7日、通期業績予想について「前回発表(2026年5月15日)の連結業績予想からの変更はありません」としています。

7. 業界とセクターの状況

三和油化工業が属する化学・素材セクターは、ナフサ・原油などの原料市況や為替の影響を受けやすく、単年の数字だけで割安・割高を判断しにくい業種です。この銘柄の場合、一般的な化学メーカーとは逆方向の効果が働く場面があります。一般的な化学メーカーは原料高が製品価格への転嫁ラグで利益を圧迫しやすいのに対し、三和油化工業のリユース事業は使用済み化学薬品(廃棄物)を原料として再生品を製造・販売するため、ナフサ価格上昇はむしろ再生溶剤の販売価格上昇という追い風になり得ます。ただし、この価格転嫁の速さや持続性についての定量的な開示はなく、原油価格が反落した場合に同じ幅で価格が下がるリスクも当然あります。

もう一つの構造的要因はM&Aです。今回のエー・アンド・エイチ・ジャパン子会社化のように、リサイクル業界では事業拡大の手段としてM&Aが使われやすく、連結範囲の変化が前年同期比の解釈を難しくします。連結初年度・2年目は「既存事業の実力」と「M&Aによる寄与」を分けて見る必要があります。

半導体・電池関連の中長期的な需要拡大を見込んだ再資源化ニーズの高まりは業界共通の追い風ですが、化学プラントの改廃・PCB処理案件のように処理期限が定められた特需(エンジニアリング事業の駆け込み増加はその一例)は、期限後の反動減にも注意が必要です。

8. 今後のスケジュール

2026年11月上旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 第2四半期(中間) 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年2月上旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 第3四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年5月中旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 通期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年8月上旬(予定)当サイト推定

2028年3月期 第1四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

次回の決算発表(2027年3月期第2四半期・中間決算)は、過去の発表時期からの推定で2026年11月上旬頃です(会社の正式な発表日はまだ確認できていません)。ここで、①通期予想が上方修正されるか、②リユース事業の高い伸びがM&Aの連結タイミング効果一巡後も続くか、③1Qの高い営業利益率(10.7%)が維持されるか、の3点を確認することになります。

9. 想定されるカタリスト

本記事では、個別のカタリストの一覧は作成していません。直近の確認ポイントは前節のスケジュールの通りで、2026年11月上旬(予定)の第2四半期決算で通期予想の修正有無と利益率の持続性を確認することになります。

10. 想定されるリスク

通期予想の据え置きに内包される減速シナリオのリスク。 1Qで営業利益予想の40.6%を消化したにもかかわらず予想は据え置かれており、単純計算ではQ2〜Q4の営業利益は四半期平均3億6百万円ペースへ大きく減速する計画です。この減速が実際に起きるのか、それとも据え置き自体が保守的すぎる予想の反映なのかは、次の決算まで分かりません。

M&Aと原材料市況という一時的・外部要因への依存リスク。 リユース事業の増収(+173.2%)は、エー・アンド・エイチ・ジャパンの連結寄与とナフサ価格上昇という2つの要因が重なった結果で、どちらも会社の本業の実力とは独立した外部要因です。原油価格が反落すれば、価格転嫁の効果は剥落する可能性があります。

財務レバレッジ上昇のリスク。 有利子負債は1四半期で18億62百万円増加し、自己資本比率は51.2%から49.0%へ低下しました。北九州の再資源化工場建設が本格化する局面で、このペースの資金調達が続けば財務健全性への影響が拡大する可能性があります。

特需的な需要への依存リスク。 エンジニアリング事業の伸び(+154.6%)は、2027年3月に処理期限を迎えるPCB廃棄物処理の駆け込み需要という性格が強く、期限後は反動減が見込まれます。

11. まとめ:どう判断材料にするか

三和油化工業は、2025年10月のエー・アンド・エイチ・ジャパン子会社化と、中東情勢緊迫化によるナフサ価格上昇を追い風に、2027年3月期第1四半期に営業利益+210.1%という大幅増益を記録しました。売上高進捗率(27.6%)は前年並みですが、利益進捗率(営業利益40.6%)は前年(14.4%)から大きく上昇しています。

判断の分かれ目は、この1Qの利益前倒しをどう評価するかです。会社が通期予想を据え置いている以上、額面通りに受け取るなら「Q2以降は四半期平均3億6百万円ペースへ大きく減速する」計画だということになります。一方で、期初予想を保守的に出して期末に上方修正する企業行動(本記事の配当セクションで触れた通り、この会社は配当でも期初据え置き→期末上振れのパターンが見られます)だと考えるなら、11月の中間決算で上方修正される可能性も相応にあります。

もう1つの分かれ目は、リユース事業の増収をどう見るかです。M&Aと原油高という2つの外部要因が重なった結果と見るなら、要因が剥落した後の反動減を警戒すべきです。逆に、貴金属・レアメタルリサイクルという成長分野への布石が本格的に効き始めたと見るなら、通期・来期以降も高い伸びが続く可能性があります。

次の確認ポイントは、2026年11月上旬(予定)の第2四半期決算です。通期予想が修正されるか、リユース事業の伸びとQ1の高い営業利益率が維持されるかを確認してください。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 2027年3月期第2四半期(中間)決算で、通期予想(営業利益17億円・純利益11億円)が上方修正され、1Qの高い進捗率が「据え置き予想の保守性」ではなく「実力の伸び」だったことが裏付けられた場合。逆に、修正なしで据え置かれ続け、Q2以降の営業利益が前年並みに減速した場合は、1Qが一時的な押し上げだったことを意味する。
  • リユース事業の増収がエー・アンド・エイチ・ジャパンの通期連結効果一巡後(2026年10月以降、前年同期との比較が本格的に平年化した後)も高い伸び率を維持できるか。もし2026年度後半にリユース事業の伸び率が大きく鈍化した場合、1Qの伸びはM&Aの連結タイミング効果が中心だったことになる。
  • ナフサ・原油価格が中東情勢の落ち着き等で反落した場合、再生溶剤の販売価格上昇という追い風が剥落し、リユース事業の増収率・全社の営業利益率(1Qは10.7%、前年同期5.6%)が前年同期並みに戻る可能性がある。
  • 有利子負債が2026年3月期末の79億85百万円から2027年3月期第1四半期末の98億47百万円へ1四半期で18億62百万円増加しており、北九州の再資源化工場建設(2027年度稼働予定)に伴う投資が今後も続き、自己資本比率が1Q末の49.0%からさらに大きく低下した場合。

よくある質問

三和油化工業の配当は100株でいくらになりますか?
2027年3月期の会社予想は年間50.00円(期末一括、中間配当なし)で、100株保有で年間5,000円です。2026年3月期の実績も50.00円でした。予想配当利回りは2026年9月18日終値3,625円に対して1.38%です。
営業利益+210.1%は今後も続きますか?
会社は2026年8月7日の第1四半期決算発表時点で、通期の営業利益予想(17億円、前期比+10.1%)を5月15日公表時点から据え置いています。1Qだけで通期予想の40.6%を稼いでいる計算になり、この水準が続くなら通期は上振れ余地がありますが、据え置かれている以上、会社自身がQ2以降の伸び率鈍化を織り込んでいる(または単にQ1実績の反映が追いついていない)可能性があります。詳細は第4節で扱います。

参考文献・引用元

  1. 01
    三和油化工業 2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

    2026年8月7日開示。連結経営成績・財政状態・事業種類別(5区分)の業績・配当の状況・通期業績予想の据え置き・貸借対照表及び損益計算書の実額を参照。

  2. 02
    三和油化工業 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

    2026年5月15日開示。通期の連結経営成績・財政状態・事業種類別業績・配当の状況・2027年3月期業績予想(期初計画)・貸借対照表の実額を参照。

  3. 03
    三和油化工業 2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

    2024年5月14日開示。2023年3月期・2024年3月期の連結経営成績(financials の当該2期)を参照。

  4. 04
    三和油化工業 2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

    2022年5月13日開示。2022年3月期の連結経営成績(financials の当該期)と、2021年6月18日付株式分割(1株→20株)の記載を参照。

  5. 05
    Yahoo!ファイナンス 三和油化工業(4125)株価

    2026年9月18日終値(直近営業日、9月19〜22日は土日・敬老の日・秋分の日で休場)。株価・時価総額・発行済株式数・PER/PBR(会社予想・実績ベース)を参照。