四半期分析化学・素材2027/3期 Q1

日本触媒(4114) Q1営業利益2.8倍でも会社予想はQ2単独で約4億円、配当140円は性向100%

2026/10/20 公開2026/10/20 更新6分で読了対象決算:2027年3月期 第1四半期

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

株式会社日本触媒

東証 4114 ・ 3月期決算

2026/10/20 時点

株価

2,621円

時価総額

3,931億円

配当利回り

5.34%

年間140円

PER

18.8倍

PBR

0.96倍

ROE

5.1%

ROA

3.4%

純利益ベース

自己資本比率

65.8%

配当性向

100.2%

有利子負債

670億円

D/Eレシオ

0.17倍

有利子負債÷自己資本

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 2027年3月期第1四半期の営業利益は121億42百万円(前年同期比+182.7%)。ただし前年同期が42億95百万円と低く、IR BANKで確認できる2024年3月期以降の四半期では最大の水準。増益の内訳は短信本文に無く「決算補足説明資料参照」とされており、在庫評価・スプレッド・数量のどれが主因かは、今回の資料では特定できない。
  • 会社予想は急減速を前提にしている。第2四半期累計の営業利益125億円からQ1実績を引くとQ2単独は約3.6億円(Q1の約3%)、下期は85億円。国産ナフサ前提は上期101,000円から下期75,000円へ約26%下がる。Q1の利益を「持続する水準」と見るか、「原料価格の上昇局面の追い風」と見るかで、通期予想21,000百万円の受け止めが分かれる。
  • 配当予想は前期実績113円から140円へ引き上げ。予想EPS139.71円とほぼ同額(性向約100%)で、方針は「配当性向100%またはDOE2.0%の大きい方」。利益が減れば配当も連動して減る設計で、予想利回り5.34%は予想純利益205億円が実現する前提の数字。DOE2.0%はBPSベースの概算で約54円が下限の目安になるが、約束ではない。
  • 営業利益が約78億円増えたのに、営業CFは131億円と前年同期から約16億円減った。キャッシュ・フロー計算書ベースで、営業債権・棚卸資産の増加(合計約217億円)を営業債務の増加(約141億円)が部分的に相殺し、運転資本で約75億円を吸収した。借入金は587億円から670億円へ+83億円、親会社所有者帰属持分比率は68.4%から65.8%へ低下した。
目次11項目
  1. 1. 概要
  2. 2. 会社概要とビジネスモデル
  3. 3. 業績の推移
  4. 4. Q1の営業利益2.8倍は、続く利益なのか
  5. 5. 配当の推移
  6. 6. 会社の現状と直近の動き
  7. 7. 業界とセクターの状況
  8. 8. 今後のスケジュール
  9. 9. 想定されるカタリスト
  10. 10. 想定されるリスク
  11. 11. まとめ:どう判断材料にするか

1. 概要

2026年10月19日の終値2,621円で見ると、PERは18.76倍(2027年3月期の会社予想EPS139.71円ベース)、PBRは0.96倍(2026年6月末のBPS2,718.26円ベース)、予想配当利回りは5.34%(会社予想の年間配当140円ベース)です。ROEは会社予想ベースで5.10%、親会社所有者帰属持分比率は2026年6月末で65.8%、借入金は670億円でD/Eレシオ(借入金÷自己資本)は0.17倍です。

2026年8月7日に発表された第1四半期(2026年4〜6月)の営業利益は121億42百万円で、前年同期の42億95百万円から+182.7%でした。売上収益は+19.8%の1,213億円、営業利益率は4.2%から10.0%に上がっています。ただし、会社自身の予想はここからの急減速を前提にしています。 第2四半期累計の営業利益予想125億円からQ1実績を引くと、Q2単独は約3.6億円、下期は85億円です。

第4節では次の4点を、強気材料と弱気材料の両面から整理します。

  1. Q1の増益は、前年が低水準であったことと、直近の四半期のなかでも際立った水準であることの両面を持つ
  2. 会社予想はQ2以降の急減速を置いており、ナフサ前提も上期101,000円から下期75,000円へ下げている
  3. 配当140円は予想EPSと同水準で、「利益に連動する」設計であることの意味
  4. 営業利益が増えた四半期に営業CFが減り、借入金が増えた理由

なお、PERとROEは参考値です。PER18.76倍は、当サイトで同期に取り上げた東ソー(13.67倍)などと比べると高めですが、ROEが5%台と低いことと表裏の関係にあり(PBR=ROE×PERで0.96倍)、第2節・第3節で理由を整理します。同じ会社でも、5月時点では通期予想が「未定」で、8月に初めて開示された予想の上に立つ数字である点にも注意が必要です。

2. 会社概要とビジネスモデル

日本触媒は、2つのセグメントを持つ化学メーカーです。

  • マテリアルズ:アクリル酸・アクリル酸エステル・高吸水性樹脂・酸化エチレンなど
  • ソリューションズ:コンクリート混和剤用ポリマー・電子情報材料・電池材料など

2027年3月期第1四半期の売上収益1,213億円は、マテリアルズ879億円(約72%)、ソリューションズ334億円(約28%)です。営業利益はマテリアルズ84億円、ソリューションズ37億円で、利益の約7割をマテリアルズが占めます。前年同期の営業利益率はマテリアルズ3.3%、ソリューションズ5.9%でしたが、当期は9.6%と10.9%になりました。増益の幅は、市況の影響を受けやすいと考えられるマテリアルズの方が大きく(営業利益は3.6倍、ソリューションズは約2.0倍)、その分、利益の振れも大きい構造です。

会計基準はIFRSです。日本基準にある「経常利益」の開示は無く、損益は営業利益から金融収益・金融費用と持分法投資損益を経て税引前利益に至ります(Q1は金融収益9億円-金融費用2億円+持分法投資損益13億円で、営業利益と税引前利益の差は約20億円)。本記事の業績表も、売上収益・営業利益・親会社の所有者に帰属する当期利益の3段階で、経常利益は省いています。

強みと弱みの整理

強み

  • 厚い自己資本と低いD/Eレシオ

    親会社所有者帰属持分比率は68.4%(2026年3月末)から65.8%(2026年6月末)に下がったものの、依然として高水準です。借入金は670億円で、D/Eレシオは0.17倍。現金及び現金同等物は502億円あり、借入金から差し引いた実質的な借入超過は約168億円にとどまります。

  • 2セグメントとも利益が改善した

    Q1の営業利益は、マテリアルズが23億円から84億円、ソリューションズが19億円から37億円に増えました。片方だけが伸びた増益ではありません。全社の売上総利益率も18.0%から22.2%に上がっています(セグメント別の売上総利益率は短信本文では確認していません)。

  • 還元方針が明文化されている

    2024年5月に「配当性向100%またはDOE2.0%の大きい方」を目安とする方針へ変更し、2025年3月期114円、2026年3月期113円、今期予想140円と、3期連続で1株当たり利益と同水準の配当を出しています。2026年3月期は70億円の自己株式取得も実施しました。

弱み

  • 利益率が低く、ROEが構造的に低い

    営業利益率は2022年3月期の7.9%から2026年3月期の4.4%に低下し、ROEは2022年3月期以降3.0〜7.2%の範囲(2026年3月期は4.3%)です。自己資本比率が65.8%と厚いことと、営業利益率が4〜5%台にとどまることの両方が、ROEを押し下げています。

  • 四半期の利益の振れが大きい

    IR BANKで見る四半期の営業利益は、2026年3月期だけでも第3四半期61.7億円、第4四半期23.5億円と振れ、今期Q1は121億円でした。直前の四半期(23.5億円)の約5倍です。通期予想もQ2単独で約3.6億円と置かれており、四半期の実績だけで水準を判断しにくい会社です。

  • 配当性向100%は利益の下振れがそのまま配当に出る

    配当の目安が利益と同額なので、利益が減る年は配当も減ります。また配当を利益と同額まで出す分、内部留保は積み上がりにくく、設備投資や運転資本は営業CFと借入に依存します。Q1は営業CF131億円に対し、投資CFが△128億円、配当支払が約99億円(非支配持分への配当含む)でした。

3. 業績の推移

売上高(左軸) 営業利益(右軸) 会社予想
00125,0007,500250,00015,000375,00022,500500,00030,0002021/032022/032023/032024/032025/032026/032027/03単位:百万円
自己資本比率(%)50658067.366.469.270.570.568.4
数値で確認する
決算期売上高営業利益経常利益純利益営業CF自己資本比率
2021/03273,163-15,921—-10,89935,27767.3%
2022/03369,29329,062—23,72035,05866.4%
2023/03419,56823,528—19,39241,44769.2%
2024/03392,00916,562—11,00857,88070.5%
2025/03409,34619,062—17,39446,97470.5%
2026/03399,89817,530—16,76453,54468.4%
2027/03会社予想455,00021,000—20,500——
単位:百万円。出典:2022〜2026年3月期の各決算短信(IFRS・連結、EPSは2024年4月の株式分割後に換算)、2027年3月期は2026年8月7日開示の会社予想

この表から読み取れることは4つあります。

1つ目は、売上は伸びたのに営業利益は戻っていないことです。 売上収益は2022年3月期の3,693億円から2026年3月期の3,999億円へ約8%増えましたが、営業利益は291億円から175億円へ△39.7%減りました。営業利益率は7.9%から4.4%に下がっています。この間の利益率低下の要因は、今回確認した資料の範囲では特定できていません。

2つ目は、2021年3月期の赤字から2022年3月期に急回復したことです。 2021年3月期は営業損失159億円、純損失109億円でした。2022年3月期は営業利益291億円、純利益237億円と黒字転換し、売上収益は前期比+35.2%でした。その後は2023年3月期に営業利益△19.0%、2024年3月期に△29.6%と2期連続で減り、2025年3月期に+15.1%、2026年3月期に△8.0%と動いています。市況に連動する利益の振れ方です。

3つ目は、営業CFが営業利益を大きく上回り続けていることです。 2026年3月期の営業CFは535億円で、営業利益175億円の約3倍あります。営業CFは2021年3月期から2026年3月期まで、いずれの期も350億円以上です。減価償却費が大きい設備産業であることが背景にあると考えられます(Q1の減価償却費は81億円)。一方、2026年3月期は投資CFが△483億円と大きく、営業CFと投資CFを足したフリーCFは+52億円まで縮みました(2025年3月期は+165億円、2024年3月期は+422億円)。

4つ目は、2027年3月期の会社予想が史上最高の売上高を置いていることです。 売上収益4,550億円(前期比+13.8%)は、この表で最大だった2023年3月期の4,196億円を上回ります。営業利益は210億円(同+19.8%)、純利益は205億円(同+22.3%)。営業利益率は4.6%で、前期の4.4%から0.2ポイントしか上がらず、Q1の10.0%とは大きく乖離しています。つまり通期予想は、Q1の利益率が続くとは置いていません。

4. Q1の営業利益2.8倍は、続く利益なのか

この記事の論点は、Q1の営業利益121億円を「通期の出発点」と見るのか、「原料価格の上昇局面の一時的な追い風」と見るのかです。会社自身の予想がどちらに寄っているかを手がかりに、4つの観点で整理します。

観点1:Q1の121億円は、前年が低く、直近でも最大の水準

営業利益は42億95百万円から121億42百万円へ、78億円増えました。売上総利益は182億8百万円から269億94百万円へ+87億86百万円(+48.3%)、販売費及び一般管理費は141億45百万円から150億54百万円へ+9億9百万円(+6.4%)で、売上高に対する売上総利益率は18.0%から22.2%に上がっています。増益のほぼ全部が、売上総利益の改善によるものです。

2つの見方ができます。

  • 強気に読む場合: 前年同期は42億95百万円と低い水準で、そこからの上昇率には「低い基準」の効果が含まれます。それでも、IR BANKで確認できる2024年3月期以降の四半期営業利益(第1四半期67.2億円、第2四半期32.9億円など)と比べても、今期Q1の121億円は最大です。2026年3月期の通期営業利益175億円の約7割を、1四半期で稼いだことになります。
  • 弱気に読む場合: 直前の2026年3月期第4四半期の営業利益は23.5億円でした。1四半期で約5倍に跳ね上がった事実は、実力の向上というより、外部環境の変化が短期間に利益に出た可能性を示します。短信は、営業債権・棚卸資産の増加の理由として「販売価格および原料価格の上昇」を挙げています。

増益の内訳(在庫評価の影響・製品と原料のスプレッド・数量)は、短信本文に記載がありません。 「在庫評価・受払差の影響額などは決算補足説明資料を参照」とされており、本記事執筆時点で補足説明資料(2026年8月7日開示『2026年度第1四半期決算及び通期予想の概要』)は確認できていません。したがって、増益の主因を在庫要因とも、スプレッド改善とも断定しません。次の宿題は、補足説明資料でこの内訳を確認することです。

セグメント別には、営業利益の増加7,847百万円のうち、マテリアルズが6,084百万円(約78%)、ソリューションズが1,802百万円(約23%)、調整額が△39百万円です。マテリアルズは売上が+25.9%(698億円→879億円)で、営業利益は23億円から84億円、ソリューションズは売上が+6.3%(314億円→334億円)で、営業利益は19億円から37億円になりました。売上の伸びの差(+25.9%と+6.3%)が、利益の伸びの差(3.6倍と約2.0倍)と同じ向きに出ています。

観点2:会社予想は、Q2以降の急減速を置いている

通期予想は5月13日の期初時点では「未定」でした。会社は理由を、中東情勢の緊迫化の影響を合理的に算出することが非常に困難なためと説明しています。8月7日に初めて開示された予想と前提は次のとおりです。

項目上期(第2四半期累計)下期通期
国産ナフサ(円/KL)101,00075,00088,000
為替(円/米ドル)159158158
為替(円/ユーロ)183180181

営業利益予想は、第2四半期累計が125億円、通期が210億円です。ここからQ1実績(121億42百万円)を引いて、四半期ごとの姿を逆算すると次のようになります。

Q1(実績)Q2単独(逆算)下期(会社予想)
売上収益1,213億円約1,137億円2,200億円
営業利益121億42百万円約3.6億円85億円
営業利益率10.0%約0.3%約3.9%

売上収益はQ1から約6%しか減らない一方、営業利益はQ1の約3%まで減る計算です。売上がほぼ維持されたまま利益がほぼ消える形は、会社がQ1の利益の一部を、売上の規模や数量ではなく、価格・原料・在庫評価といった要因によるものと見ている可能性を示唆します。 ただし、これは数値からの推測で、会社がそう説明しているわけではありません。

セグメント別の上期予想(営業利益、億円)から逆算すると、さらに特徴が見えます。

億円Q1実績上期予想Q2単独(逆算)下期予想
マテリアルズ84.163約△2160
ソリューションズ36.658約+2124
合計(調整額込み)121.4125約3.685

億円丸めの予想値から逆算した概算ですが、マテリアルズはQ2単独で営業赤字になる計算で、ソリューションズはQ2で+21億円と、Q1の37億円の約6割の水準が置かれています。下期はマテリアルズが60億円(Q2からは回復)、ソリューションズが24億円(上期58億円から急減)です。セグメントごとに減速の時期と深さが異なる予想で、その理由は短信から読み取れません。 在庫評価の反転、スプレッドの縮小、定期修繕などの時期の差、といった複数の可能性がありますが、今回確認した資料には、どれが該当するかを示す記述はありません。

通期営業利益210億円は、前期の175億円から+34.7億円(+19.8%)です。Q1だけで前年から+78億円増えているため、Q2〜Q4の合計は、前年同期の約133億円から約89億円へ約33%減るという置き方になっています。

  • 強気に読む場合: 会社予想は、すでにQ2以降の大幅な減速を織り込んでいる。前期(2026年3月期)も、期初予想の営業利益17,000百万円に対し着地は17,530百万円(+3.1%)、純利益は15,000百万円に対し16,764百万円(+11.8%)、配当は100円に対し113円と、いずれも期初予想を上回りました。今回も、予想より実績が上振れる余地があるという見方はできる。
  • 弱気に読む場合: 前期の上振れは1回の事例にすぎず、今回の予想は5月時点で算出不能としていた予想を、Q1実績が出た後の8月に置いたものである(期初予想と同じ性質ではない)。ナフサ前提を下期に約26%下げているのは、会社が原料価格の下落を見込んでいるからで、価格が下がる局面で利益がどう動くかは、短信からは確認できない。中東情勢が会社予想を算出しにくくしていたという前提も、5月から変わったのかどうかは今回の資料では読み取れない。

観点3:配当140円は利益と同額、という設計をどう読むか

2027年3月期の配当予想は、前期実績113円から140円へ+27円(+23.9%)の引き上げで、予想EPS139.71円とほぼ同額です(配当性向100.2%)。5月時点の配当予想は「未定」だったため、期初予想からの上振れではなく、8月に初めて開示された金額です。方針は、2024年5月13日に変更した「配当性向100%またはDOE(株主資本配当率)2.0%のいずれか大きい金額を目安に配当を実施する」です。

この方針の読み方は2つあります。

  • 利益に連動する: 配当性向100%の目安なので、純利益が前期並みの16,764百万円(EPS112.15円)にとどまれば、配当も約112円に下がる計算です。2,621円に対する利回りは、会社予想の140円なら5.34%ですが、112円なら約4.3%になります。予想利回り5.34%は、予想純利益205億円の実現を前提にした数字です。
  • DOEが下限の目安になる: 利益がさらに大きく減っても、DOE2.0%が大きい方の基準として残ります。2026年6月末のBPS2,718.26円に2.0%を掛けると約54円(概算。会社の定義するDOEの分母とは異なる可能性があります)で、前期実績の113円の約5割、今期予想の140円の約4割です。仮にこの水準まで下がれば、2,621円に対する利回りは約2.1%です。ただしこれはあくまで「目安」で、約束された下限ではありません。

この方針は3期連続で運用されています(2025年3月期114円、性向100.1%、2026年3月期113円、同100.8%)。2026年3月期は、配当約168億円に加えて70億円の自己株式取得を行い、総還元性向は141.6%でした。この水準は、純利益を超える還元を行ったことを意味します。同じ年のフリーCFは+52億円で、財務CFは△98億円にとどまりました。配当と自己株式取得の合計約238億円との差(約140億円)は、借入などの収入で埋めた形とみられます(財務CFの内訳は今回は確認していません)。

観点4:営業利益は増えたのに、営業CFは減った

Q1の営業CFは131億41百万円で、前年同期の147億62百万円から約16億円減りました。営業利益が約78億円増えたにもかかわらずです。内訳を見ると、税引前利益141億58百万円と減価償却費81億43百万円で約223億円のプラスに対し、運転資本の変動が次のように効いています。

項目(百万円)当期Q1
営業債権の増減△12,286
棚卸資産の増減△9,375
営業債務の増減+14,137
(運転資本の合計)約△7,524
法人所得税等の支払△1,048(前年同期△3,562)

営業債権は912億円から1,041億円へ、棚卸資産は858億円から956億円へ、営業債務は517億円から661億円へ増えました。短信は「販売価格および原料価格の上昇等により営業債権や棚卸資産が増加」「原料価格の上昇により営業債務が増加」と説明しており、原料価格の上昇が、仕入と販売の両方で資金を膨らませたという説明です。運転資本で約75億円を吸収したことになります。法人所得税の支払が前年より約25億円少なかったことを除くと、営業CFの減少はさらに大きかったと言えます。

投資CFは△128億円(有形固定資産の取得△133億円。減価償却費81億円の約1.6倍)、財務CFは△24億円(配当支払△93億円、非支配持分への配当△6億円、短期借入純増+48億円、長期借入+31億円)で、現金は518億円から502億円に減りました。営業CFと投資CFを足したフリーCFは+3億円でした。

財務の面では、借入金(流動+非流動)が587億円から670億円へ+83億円(+14.1%)増えました。流動分が231億円から331億円に増えたのに対し、非流動分は356億円から339億円に減っており、短期借入が増えた構造です。資産合計は5,802億円から6,106億円へ+304億円増え、親会社所有者帰属持分比率は68.4%から65.8%へ2.6ポイント低下しました。D/Eレシオ(借入金÷自己資本)は約0.15倍(2026年3月末、概算)から0.17倍に上がっています。借入増の使途は、運転資本の増加と配当の支払が重なった時期と一致しますが、短信は使途を明示していません。

  • 強気に読む場合: 営業CFの減少の主因が原料価格の上昇に伴う運転資本の膨らみなら、その分は売掛金の回収と在庫の減少で戻る。D/Eレシオ0.17倍、持分比率65.8%という水準は、借入が増えた後でも財務の余裕を示している。
  • 弱気に読む場合: 営業利益が約2.8倍になった四半期に、現金は増えていない。「配当性向100%」の方針と設備投資(減価償却の約1.6倍)が同時に走る間、営業CFが頭打ちなら、借入への依存が続く。配当約99億円を払いながらフリーCFが+3億円では、配当を賄うのに手元現金と借入を使うことになる。

5. 配当の推移

決算期期初予想年間配当期初比配当性向
2022/03—45円—30.3%
2023/0345円45円0円36.9%
2024/0345円45円0円63.9%
2025/03—114円—100.1%
2026/03100円113円+13円100.8%
2027/03会社予想—140円—100.2%
  • 2022/03:分割前の実額は中間80円・期末100円・年間180円(普通配当170円+創立80周年記念配当10円)。ここでは分割後に換算。期初予想は短信で確認できなかったため記載しない。
  • 2023/03:分割前の実額は中間90円・期末90円・年間180円(期初予想も分割前180円)。期初予想のまま着地。
  • 2024/03:分割前の実額は中間90円・期末90円・年間180円(期初予想も分割前180円)。期初予想のまま着地。純利益が前期比で減ったため、配当性向は36.9%から63.9%に上昇。
  • 2025/03:2024年5月13日に株主還元方針を「配当性向100%またはDOE2.0%のいずれか大きい金額」に変更した最初の期。前期の45円から114円へ引き上げ。期初予想は、短信の予想欄の分割前後の扱いを確認できなかったため記載しない。
  • 2026/03:期初予想100円(中間50円・期末50円)から、期末を63円とする113円で着地。70億円(3,807,800株)の自己株式取得も実施し、総還元性向は141.6%。
  • 2027/03:5月13日の通期決算時点では業績予想・配当予想とも「未定」で、8月7日の第1四半期決算で初めて開示。前期実績113円から+27円。配当性向は予想EPS139.71円に対する値。
1株当たり。「期初比」は期初予想に対する着地の差。 出典:各期の決算短信「配当の状況」、2026年8月7日開示の第1四半期決算短信(2027年3月期予想)。2022〜2024年3月期は2024年4月の株式分割後に換算

配当の動きは3つあります。

1つ目は、2025年3月期に配当水準が一段変わったことです。 2024年3月期の45円から2025年3月期は114円へ+153%増えました。2024年5月13日の株主還元方針の変更(配当性向100%またはDOE2.0%の大きい方)を受けたもので、純利益は+58.0%(110億円→174億円)しか増えていないため、配当の増え方は純利益の増え方より大きく、配当性向は63.9%から100.1%に上がっています。なお2022〜2024年3月期の配当は分割前の180円(分割後45円)で、これは減配ではなく表示を分割後に揃えた結果です。

2つ目は、期初予想から上振れる癖が、直近1期しか確認できないことです。 2023年3月期と2024年3月期は期初予想(分割前180円)のまま着地しました。2026年3月期は期初予想100円に対し113円で着地しました。2025年3月期の期初予想は、短信の予想欄の分割前後の扱いを確認できなかったため扱っていません。2027年3月期は5月時点で配当予想が「未定」で、期初予想がありません。上振れの癖を語れる実績は1期分にとどまります。

3つ目は、配当予想の信頼度が、純利益予想の信頼度に等しいことです。 配当性向100%の方針では、配当は利益に連動します。今期の140円は、予想EPS139.71円に対する値で、この予想はQ1実績を踏まえて置いたもの(観点2)です。前期実績113円との比較では、予想利回りは5.34%と、前期実績ベースの利回り4.31%(113円÷2,621円)より1ポイント高いのですが、この差は増配予想27円の分で、利益の予想が達成されて初めて実現します。なお内訳は中間70円・期末70円で、中間配当が前期の50円から20円上がります。

6. 会社の現状と直近の動き

直近の決算の分解

損益は次のとおりです(百万円)。

項目前年同期(2025年4〜6月)当期(2026年4〜6月)増減
売上収益101,247121,318+19.8%
売上総利益18,20826,994+48.3%
販売費及び一般管理費14,14515,054+6.4%
営業利益4,29512,142+182.7%
持分法による投資損益1,2381,348
税引前四半期利益6,28314,158+125.3%
四半期利益(親会社帰属)4,43410,378+134.0%
基本的1株当たり四半期利益(円)29.2770.24

営業利益の増加(+78億円)に対し、税引前利益の増加は+79億円(63億円→142億円)で、ほぼ同じ幅です。法人所得税は16億35百万円から35億11百万円に増え、税負担率は26.0%から24.8%に下がりました。純利益の伸び(親会社帰属+134.0%)は営業利益の伸び(+182.7%)より小さくなっています。営業利益と税引前利益の差(金融収益・費用と持分法投資損益の純額)は前年同期が約20億円、当期も約20億円とほぼ同額で、営業利益が小さかった前年ほど、その比重が大きかったためです。Q1のEPS70.24円は、通期予想EPS139.71円の約50%です。

財政状態

資産合計は5,802億円から6,106億円へ+304億円(+5.2%)増えました。増加の中心は、営業債権(+128億円)、棚卸資産(+98億円)で、その裏側で営業債務(+144億円)と借入金(+83億円)が増えています。BPSは2,684.47円から2,718.26円へ増え、親会社所有者帰属持分比率は68.4%から65.8%に下がりました。

前期(2026年3月期)の振り返り

2026年3月期は営業利益が△8.0%(175億円)、純利益が△3.6%(168億円)と減益でしたが、営業CFは535億円と前期(470億円)より増え、期初予想(営業利益170億円、純利益150億円)は上回りました。期初予想を営業利益で3.1%、純利益で11.8%上回って着地した点は、今回の「5月時点では未定、8月に初めて開示」という流れの比較対象になります。

7. 業界とセクターの状況

化学メーカーに共通する構造的な制約を、日本触媒の数字に引き寄せて整理します。

原料価格と製品価格のずれが利益を動かす。 ナフサなどの原料価格が動くと、製品価格に転嫁されるまでに時間差が生じ、その間は在庫の評価や原料と製品のスプレッドが利益に出ます。Q1の売上総利益率が18.0%から22.2%に上がった背景に、この構造が関与している可能性は否定できませんが、日本触媒について、その寄与の大きさは今回の資料では特定できていません。会社が下期のナフサを75,000円(上期101,000円の約74%)と置いているのは、この構造の影響を会社自身が強く意識していることを示します。

市況品と機能品で利益の安定度が異なる。 一般に、汎用品は市況で価格が決まり、用途と顧客が限られる機能材料は価格が相対的に安定します。日本触媒では、マテリアルズ(アクリル酸系など)の営業利益が3.6倍、ソリューションズ(コンクリート混和剤用ポリマー、電子情報材料、電池材料など)が約2.0倍と、増益の幅に差が出ました。ただし、どの製品がどの程度市況に連動するかは、今回の資料では確認していません。

設備が重く、投資が先行する。 Q1の有形固定資産取得は133億円で、減価償却費81億円の約1.6倍です。売上総利益が改善している間にも、設備投資と配当(配当性向100%の目安)が営業CFを使う構造です。設備の稼働率や定期修繕の時期によっても、四半期ごとの利益は動きます。

為替と地政学リスク。 会社の前提は1ドル158〜159円、1ユーロ180〜183円です。会社は5月時点で、中東情勢の緊迫化の影響を合理的に算出することが非常に困難として、通期予想の開示を見送りました。原料調達・輸出入の両方に影響するため、個社の努力では変えられない外部要因です。

PERとROEの読み方。 化学セクターでは、市況のピークでPERが低く、ボトムで高く出ます。日本触媒のPER18.76倍は、会社予想の純利益205億円(前期比+22.3%)を前提にしたもので、前期実績EPS112.15円で計算すると約23.4倍です。ROEは2022年3月期以降3.0〜7.2%と低く、営業利益率の低さ(4〜5%台)と厚い自己資本(持分比率65.8%)の両方に由来します。PBRが0.96倍なのは、このROEの水準と整合した結果と読むのが自然で、PBR1倍割れだけで割安とは言えません。IR BANKで見る2010年以降のPBRレンジは0.52〜1.54倍で、現在の0.96倍はそのほぼ中間(下から約4割)です。

8. 今後のスケジュール

2026年11月上旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 第2四半期(中間) 決算発表

通期予想は5月時点で未定、8/7のQ1で初開示。第2四半期累計の営業利益予想125億円に対するQ1実績は121億円で、Q2単独の予想は約3.6億円。最初の答え合わせになる(日付は過去の発表時期からの推定)。

2027年2月上旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 第3四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年5月中旬(予定)当サイト推定

2027年3月期 通期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年8月上旬(予定)当サイト推定

2028年3月期 第1四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

9. 想定されるカタリスト

時期想定イベント蓋然性方向
2026年11月上旬(予定)2027年3月期 第2四半期(中間)決算高両面

第2四半期累計の営業利益予想125億円からQ1実績121億42百万円を引くと、Q2単独は約3.6億円。ここが大きく上振れれば「Q1の水準が一部持続している」、予想どおりなら「急減速は会社の織り込みどおり」、下回れば「会社予想も楽観的」という判断材料になる。

2026年11月上旬(予定)決算補足説明資料での増益要因の内訳高両面

8月7日開示の補足説明資料『2026年度第1四半期決算及び通期予想の概要』に在庫評価・受払差の影響額などが載っている可能性がある(本記事執筆時点では未確認)。在庫要因の比率が大きいほどQ1の増益は一時的、小さいほどスプレッド改善や数量増の比重が高いと読める。

2027年3月期下期国産ナフサ価格と為替の推移(会社前提:下期ナフサ75,000円/KL・1ドル158円)高両面

会社は上期101,000円から下期75,000円へ約26%の下落を置く。実勢がこの前提より高止まりするか下振れするかで、下期営業利益85億円の達成度が変わる。ナフサ下落が在庫評価に逆向きに働くかは、今回の資料では確認できていない。

2027年3月期中営業CFと借入金の動き中両面

Q1に膨らんだ営業債権・棚卸資産が回収され、営業CFが営業利益の増加に追いつくかどうか。借入金670億円(前期末587億円)が中間期末以降に減るかが、運転資本の一時的な膨らみだったかの確認材料になる。

2027年5月中旬(予定)2028年3月期の配当予想(通期決算時)中両面

今期は5月時点で配当予想が「未定」だった。性向100%またはDOE2.0%の方針が来期の予想にも使われるかが、方針の実効性を測る材料。

10. 想定されるリスク

増益の持続性が確認できていないリスク。 Q1の121億円の主因(在庫評価・スプレッド・数量)が、本記事執筆時点で特定できていません。主因が在庫評価やスプレッドの一時的な拡大であれば、会社予想どおり、あるいはそれ以上にQ2以降の利益が急減する可能性があります。

会社予想が高い不確実性の上に置かれているリスク。 会社は5月時点で中東情勢の影響を「合理的に算出することが非常に困難」として予想を出しませんでした。8月の予想はQ1実績を踏まえたものですが、ナフサ前提(上期101,000円、下期75,000円)が実現しなければ、予想の前提から崩れます。

配当が利益に連動するリスク。 配当性向100%の方針では、純利益が前期並みの168億円にとどまれば配当は約112円へ下がります。DOE2.0%(概算約54円)という下限の目安も、会社が約束したものではありません。予想利回り5.34%は、予想利益の実現を前提とした数字です。

営業CFが配当と設備投資を賄えないリスク。 Q1は営業CF131億円に対し、投資CF△128億円、配当支払約99億円で、現金は16億円減り、借入金は83億円増えました。この状態が続けば、借入への依存が高まります。D/Eレシオ0.17倍は低い水準ですが、短期借入が増える構造(流動分231億円→331億円)が続くかは確認が必要です。

運転資本の戻り方が不透明なリスク。 原料価格が下がる局面では、営業債権と棚卸資産の金額が縮み、資金が戻る方向に働く一方、営業債務も縮むため、純額でどちらに効くかは短信から読み取れません。

ROEが低い水準にとどまるリスク。 厚い自己資本と低い営業利益率の組み合わせは、業績が会社予想どおりに進んでもROEを5%台にとどめます。PBR1倍割れが是正されにくい理由であり、株主資本の使い方(配当性向100%と自己株式取得)がどこまで評価されるかは、今回の資料からは判断できません。

11. まとめ:どう判断材料にするか

2027年3月期第1四半期の営業利益+182.7%は、前年が低く、直近の四半期では最大という点で、数字の見え方が強い決算でした。一方、会社自身が置いた予想は、Q2単独の営業利益を約3.6億円、下期を85億円として、急減速を前提にしています。増益の内訳は短信本文に無く、補足説明資料での確認が残っています。

Q1の増益を「原料価格の上昇局面の一時的な追い風」と見るなら、会社予想の急減速は妥当で、予想配当140円・予想利回り5.34%は予想純利益205億円の実現にかかっているため、割安とは言い切れません。 PER18.76倍も、ROE5%台の会社としては標準的な水準です。一方、「前期のように、会社予想は保守的に置かれている」と見るなら、予想を上回る実績で配当の維持に余裕が生まれ、PBR0.96倍・D/Eレシオ0.17倍・持分比率65.8%という財務とあわせて、現在の水準は評価できる面があります。

判断の分かれ目は、2026年11月上旬(推定)の第2四半期決算で、Q2単独の営業利益が約3.6億円の予想にどこまで近づくか、あるいは上回るかです。あわせて、決算補足説明資料で増益の内訳(在庫評価・スプレッド・数量)が確認できるか、営業CFと借入金が運転資本の戻りとともに改善するかも、見立てを更新する材料になります。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 2027年3月期第2四半期決算で、Q2単独の営業利益が約50億円以上(上期累計で約170億円以上)になった場合。会社予想の約3.6億円を大きく上回ることになり、この記事の「Q1の水準は持続しにくいと会社自身が見ている」という整理が弱まる。
  • 同決算で、マテリアルズの上期営業利益が会社予想63億円を下回る(Q1の84億円からQ2単独で約21億円を超える赤字になる)、または通期営業利益予想210億円が引き下げられた場合。この記事は「会社予想はすでに急減速を織り込んでいる」と整理しているため、織り込み以上に早く剥落するなら、その整理が誤りになる。
  • 決算補足説明資料などで、Q1の増益のうち在庫評価・受払差の影響が小さく、スプレッド改善や数量増が主因と示された場合。「増益の内訳は特定できず、一時的な追い風の可能性を排除できない」という保留が不要になり、会社予想の置き方が保守的すぎるという方向へ見立てを改める必要がある。
  • 上期累計の営業CFがQ1実績の131億円を下回る(Q2単独で営業CFがマイナスになる)、または上期末の借入金がQ1末の670億円からさらに増えた場合。「Q1の営業CF減少は運転資本の一時的な膨らみ」という読み方が外れ、増益が現金化されにくいという弱気材料が強まる。
  • 配当予想140円が引き下げられた、または「配当性向100%またはDOE2.0%の大きい方」という方針の文言が変更された場合。配当を軸にした整理(利益に連動し、DOEが下限の目安になる)が前提から崩れる。

よくある質問

日本触媒の配当は100株でいくらになりますか?いつもらえますか?
2027年3月期の会社予想は中間70円・期末70円の年間140円なので、100株では年間14,000円(中間7,000円+期末7,000円)です。中間配当は第2四半期末(9月末)、期末配当は3月末を基準日とする区分です。前期実績の113円(100株で11,300円)から27円の増配予想です。予想利回りは2026年10月19日の終値2,621円で5.34%です。この配当予想は予想EPS139.71円とほぼ同額の配当性向約100%で置かれており、利益が予想を下回れば配当も連動して下がる方針(配当性向100%またはDOE2.0%の大きい方)です。将来の支払いを約束するものではありません。
日本触媒の2027年3月期第1四半期で営業利益が約2.8倍になったのはなぜですか?
営業利益は前年同期の42億95百万円から121億42百万円へ+182.7%増えました。売上総利益が182億8百万円から269億94百万円へ+87億86百万円増え、売上総利益率が18.0%から22.2%に上がったためです。短信は営業債権や棚卸資産の増加の理由として「販売価格および原料価格の上昇」を挙げています。増加額78億円のうちマテリアルズが約78%(61億円)、ソリューションズが約23%(18億円)を占めます。ただし、増益が在庫評価・スプレッド・数量のどれによるのかは短信本文に記載が無く(決算補足説明資料を参照とされています)、この記事では特定していません。
日本触媒の増益は続きますか?
断定はできません。会社予想では第2四半期累計の営業利益が125億円で、Q1実績が121億42百万円なので、Q2単独は約3.6億円です。下期は85億円、通期は210億円(前期比+19.8%)で、Q2〜Q4の合計は前年同期の約133億円から約89億円に減る前提です。会社は国産ナフサを上期101,000円・下期75,000円と置いており、原料価格の動きが利益を大きく左右します。Q1の増益のうちどこまでが持続する利益かは、今回確認した資料の範囲では特定できません。

参考文献・引用元

  1. 01
    株式会社日本触媒「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」

    2026年8月7日開示。1ページ目の連結経営成績・財政状態・配当の状況・通期および第2四半期累計の業績予想、P.2の経営成績・セグメント別・キャッシュ・フローの説明、P.3の業績予想の前提(ナフサ・為替)と半期別の見通し、四半期連結財政状態計算書・損益計算書・キャッシュ・フロー計算書を参照。 / 2026/08/07 開示

  2. 02
    株式会社日本触媒「2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」

    2026年5月13日開示。1ページ目の2026年3月期・2025年3月期の連結経営成績・キャッシュ・フロー・BPS・配当の状況、2027年3月期の業績予想・配当予想が「未定」であること、P.5の株主還元方針と自己株式取得を参照。 / 2026/05/13 開示

  3. 03
    株式会社日本触媒「2025年3月期 決算短信(連結)」

    2025年5月13日開示。2025年3月期および2024年3月期の連結経営成績・キャッシュ・フロー・配当の状況、2026年3月期の期初予想(売上収益405,000百万円・営業利益17,000百万円・親会社帰属当期利益15,000百万円・EPS99.95円)を参照。 / 2025/05/13 開示

  4. 04
    株式会社日本触媒「2024年3月期 決算短信(連結)」

    2024年5月13日開示。2024年3月期・2023年3月期の連結経営成績・キャッシュ・フロー・配当の状況を参照。2024年4月1日の株式分割(1株→4株)の前後でEPS・BPS・配当を揃えるために使用。 / 2024/05/13 開示

  5. 05
    株式会社日本触媒「2023年3月期 決算短信(連結)」

    2023年5月12日開示。2023年3月期・2022年3月期の連結経営成績・キャッシュ・フロー・配当の状況を参照。 / 2023/05/12 開示

  6. 06
    株式会社日本触媒「2022年3月期 決算短信(連結)」

    2022年5月12日開示。2022年3月期・2021年3月期の連結経営成績・キャッシュ・フロー・配当の状況を参照。 / 2022/05/12 開示

  7. 07
    IR BANK「日本触媒(4114) 四半期業績の推移・株価・指標」

    二次情報。2024年3月期以降の四半期ごとの営業利益(億円丸め)、2026年10月19日終値2,621円、時価総額、PBRの2010年以降のレンジ(0.52〜1.54倍)を参照。財務の数値は決算短信の実数を優先し、IR BANKの表示は使っていない。