スマレジ(4431) 1Q営業利益+73.3%、広告宣伝費最適化は続くか
本記事をお読みになる前に
本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。
生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。
株式会社スマレジ
2026/09/11 時点
株価
3,265円
時価総額
643億円
配当利回り
0.89%
年間29円
PER
22.6倍
PBR
6.40倍
ROE
28.3%
ROA
20.1%
純利益ベース
自己資本比率
71.0%
配当性向
20.1%
有利子負債
1億円
D/Eレシオ
0.01倍
有利子負債÷自己資本
※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。
この記事の結論
- 2027年4月期第1四半期(2026年5月〜7月)は売上高36億08百万円(前年同期比+19.7%)に対し、営業利益は10億27百万円(同+73.3%)と、増収率を大きく上回るペースで増益しました。営業利益率は28.5%まで上昇しています。
- 決算短信の定性的情報によれば、増益の主因は①利益率の高い月額利用料等(ストック収益)への構成比シフト、②キャッシュレス決済事業の内製化によるコスト低減、③テレビCM放映の最適化による広告宣伝費の抑制、の3点です。この改善を構造的なものと見るか、広告宣伝費の抑制という一過性の要素が大きいと見るかで、来期以降の評価は分かれます。
- 通期の会社予想(営業利益+24.5%)に対する当第1四半期の進捗率は25.6%で、単純な4分の1(25%)をやや上回るペースです。ただし通期業績予想は今回の決算でも据え置かれており、会社自身が上振れを織り込んでいるわけではありません。
- 配当は2025年4月期に15円で開始し、2027年4月期は29円を予想(期初予想を据え置き)。PER(予想ベース)22.61倍・PBR6.40倍という水準は、同業比較の材料に乏しく、この記事単体で割高・割安を判定できるものではありません。
目次11項目
1. 概要
スマレジは2026年9月14日、2027年4月期第1四半期(2026年5月1日〜7月31日)の決算短信を開示しました。以下の株価指標は前営業日である2026年9月11日の終値3,265円にもとづくもので、今回の決算内容はまだ株価に反映されていません。
この株価で計算すると、PER(2027年4月期の会社予想EPS144.38円ベース)は22.61倍、PBR(当第1四半期末BPS510.5円ベース)は6.40倍、予想配当利回り(2027年4月期の会社予想配当29円ベース)は0.89%、自己資本比率は71.0%です。
決算短信の中身を見ると、当第1四半期の売上高は36億08百万円で前年同期比+19.7%の増収でした。一方、営業利益は10億27百万円で同+73.3%と、増収率を大きく上回るペースで伸びています。なぜ増収率の3倍以上のペースで営業利益が伸びたのか。 これが本記事の中心的な論点です(4節で詳しく扱います)。あわせて、単一セグメント企業であるため、ARR(年間経常収益)の内訳や販売内訳の構成変化から「どこで稼いでいるか」を確認します。
2. 会社概要とビジネスモデル
スマレジは、クラウドPOSレジ「スマレジ」を主力とするSaaS企業です。中小・チェーン展開する小売店・飲食店向けに、POSレジ本体の月額利用料に加えて、決済代行(スマレジペイメント)・在庫管理・キャッシュレス決済端末などの周辺サービスをセットで販売するマルチプロダクト展開をとっています。事業区分は「クラウドサービス事業」の単一セグメントで、セグメント別の利益開示はありません。
連結範囲にはこの1年で2つの変化がありました。2026年5月1日付で、それまで連結子会社だった株式会社ネットショップ支援室(EC支援)を吸収合併し、親会社に統合しています(連結子会社ではなくなりました)。一方、当第1四半期(2026年5月〜7月)からは株式会社スマレジペイメントを新たに連結範囲に含めています。決算短信の定性的情報では、POSレジを起点に店舗の基幹システムへ機能を広げ、関連サービスをM&Aも交えて組み込んでいく「お店のOS」という方向性が述べられています。
強みと弱みの整理
強み
収益性が急速に改善している
当第1四半期の営業利益率は28.5%(10億27百万円÷36億08百万円)まで上昇しました。有料プラン登録店舗数は2026年4月期末48,297店舗から当第1四半期末49,952店舗へ拡大し、ARR(年間経常収益)は115億89百万円まで積み上がっています。
ストック型収益(月額利用料等)の構成比が上昇している
当第1四半期の販売内訳のうち、月額利用料等が28億63百万円で全体の79.4%を占めます(前年同期は77.4%)。機器販売等(売り切り型)の伸び+7.1%に対し、月額利用料等は+22.7%と伸びが速く、継続課金の比重が高まっています。
実質無借金で財務が厚い
有利子負債は前期末・当第1四半期末とも1億円(短期借入金のみ)で、長期借入金・社債・リース債務はありません。D/Eレシオは0.01倍、自己資本比率は71.0%です。
弱み
成長株としての高いバリュエーション
PER(予想ベース)22.61倍・PBR6.40倍は、成長率が鈍化した場合に調整を受けやすい水準です。当サイトのSaaS・クラウドサービスセクターに属する銘柄は現時点でスマレジのみで、直接比較できる同業データがありません。
広告宣伝費の抑制が来期以降の成長率に影響する可能性
当第1四半期の増益要因の一つはテレビCM放映の最適化による広告宣伝費の減少です。新規契約の獲得を支える販促投資を絞った結果だとすれば、有料プラン登録店舗数の増加ペースが今後鈍る可能性があります(4節で詳述)。
配当実績が浅い
配当を開始したのは2025年4月期(15円)からで、増配実績はまだ2期分(24円、29円予想)しかありません。景気後退局面や成長投資局面で配当方針がどう扱われるかの実績はまだ確認できません。
3. 業績の推移
数値で確認する
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 営業CF | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022/04 | 4,296 | 636 | 592 | 557 | 222 | 80.5% |
| 2023/04 | 5,914 | 893 | 896 | 887 | 986 | 76.0% |
| 2024/04 | 8,385 | 1,735 | 1,696 | 1,212 | 1,711 | 75.1% |
| 2025/04 | 11,066 | 2,380 | 2,362 | 1,645 | 2,465 | 70.3% |
| 2026/04 | 13,345 | 3,216 | 3,186 | 2,228 | 3,120 | 68.3% |
| 2027/04会社予想 | 15,387 | 4,004 | 4,004 | 2,781 | — | — |
読み取れることは3つあります。
まず、連結・非連結の切り替えと、2025年4月期の遡及修正に注意が必要です。 2022年4月期は連結でしたが、2022年7月に連結子会社を吸収合併して非連結に移行したため、2023・2024年4月期は非連結の数値です。2025年4月期にネットショップ支援室を新たに子会社化して再び連結に戻り、以降は連結ベースが続いています。連結範囲が3回入れ替わっているため、この間の売上高・利益の増減率をそのまま経年比較すると、連結範囲の変化の影響が混ざります。 さらに2025年4月期の数値は、企業結合(ネットショップ支援室取得)に伴う「暫定的な会計処理の確定」(取得原価の配分の確定)により、2026年4月期決算短信で遡及修正されています。修正前は売上高110億66百万円・営業利益23億75百万円・純利益16億39百万円でしたが、修正後は売上高110億66百万円・営業利益23億80百万円・純利益16億45百万円です。上のグラフと本記事の各数値はすべて修正後の値を採用しています。
次に、営業利益率は6期を通じて一貫して上昇しています。 2022年4月期14.8%→2023年4月期15.1%→2024年4月期20.7%→2025年4月期21.5%→2026年4月期24.1%→2027年4月期(会社予想)26.0%と、連結・非連結の切り替えをまたいでも右肩上がりです。当第1四半期の28.5%は、この上昇トレンドがさらに加速した形になっています。
最後に、自己資本比率は中期的には低下傾向にありますが、直近で反発しています。 2022年4月期の80.5%から2026年4月期の68.3%まで一貫して低下した後、当第1四半期末は71.0%まで戻しました。有利子負債は前期末・当第1四半期末とも1億円(短期借入金のみ)で変動がなく、長期借入金・社債・リース債務はありません。D/Eレシオは0.01倍で、実質的に無借金経営です。当第1四半期の自己資本比率の反発は、総資産が前期末140億80百万円から138億56百万円へ、純資産が前期末96億12百万円から98億33百万円へと、総資産がわずかに減少する一方で純資産が増加したことによるものです(詳細は6節)。中期的な自己資本比率の低下自体は、M&Aや事業拡大に伴って総資産が拡大してきたことの裏返しと見られますが、有利子負債でそれを賄った形跡はなく、財務レバレッジをほとんど使っていない点は一貫しています。
4. 営業利益+73.3%急伸の中身 — 構造的な収益性改善か、広告費抑制の一過性か
当第1四半期の増収率+19.7%に対し、営業利益は+73.3%、経常利益は+71.8%、純利益は+77.4%とそれぞれ増収率を大きく上回って伸びました。この乖離がどこから来ているのかを、決算短信の販売内訳と定性的情報から整理します。
まず、販売内訳の前年同期比を見ると、収益区分ごとに伸び率がはっきり分かれています。
| 区分 | 前第1四半期 | 当第1四半期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 月額利用料等 | 23億33百万円 | 28億63百万円 | +22.7% |
| 機器販売等 | 5億77百万円 | 6億18百万円 | +7.1% |
| その他 | 1億02百万円 | 1億25百万円 | +22.4% |
| 合計(売上高) | 30億13百万円 | 36億08百万円 | +19.7% |
出典:2027年4月期第1四半期決算短信
利益率の高いストック型収益である月額利用料等の伸び(+22.7%)が、売り切り型の機器販売等の伸び(+7.1%)を大きく上回っています。 この結果、月額利用料等が販売内訳全体に占める比率は、前年同期の77.4%(23億33百万円÷30億13百万円)から当第1四半期は79.4%(28億63百万円÷36億08百万円)へ上昇しました。売上構成の中で利益率の高い部分の比重が増えれば、増収率以上に利益が伸びやすくなります。
決算短信の定性的情報には、これに加えて2つの要因が挙げられています。ひとつは、キャッシュレス決済事業における内製化等によるコスト低減です。 決済処理にかかる外部委託コストを自社で内製化したことで、売上総利益率が前年同期を上回ったと説明されています(ただし、今回参照した決算短信の抜粋には売上総利益率そのものの具体的な数値は含まれておらず、正確な改善幅は本記事では特定できませんでした)。もうひとつは、テレビCM放映の最適化による広告宣伝費の抑制です。 人件費は組織拡大に伴って増加した一方、広告宣伝費の減少により、販管費全体の増加率が売上高の伸び率を下回りました。この販管費の抑制が、営業利益率を押し上げた直接的な要因です。
ここで弱気側の視点も併記します。 広告宣伝費の抑制は、来期以降の新規契約獲得を支える販促投資を削っている可能性を意味します。テレビCMは有料プラン登録店舗数の獲得チャネルの一つと考えられ、その放映を絞ったことが「今四半期だけの一過性の費用削減」なのか、「費用対効果を見直した結果としての構造的な最適化」なのかは、この1四半期の決算だけでは判別できません。また、当第1四半期からスマレジペイメントが新たに連結範囲に加わっており、単一セグメント企業のため同社単体の損益は開示されておらず、新規連結の寄与と既存事業の収益性改善を厳密に分離することもできません。ただし、販売内訳の伸び率格差(月額利用料等+22.7% > 機器販売等+7.1%)と、決算短信の定性的な説明が既存事業のミックスシフトを主因として挙げていることから、少なくとも新規連結だけで説明のつく増益ではないと見られます。
進捗率で見ると、当第1四半期の営業利益10億27百万円は、通期の会社予想40億04百万円(前期比+24.5%)に対して25.6%の進捗です。 単純な4分の1(25%)をやや上回るペースですが、通期業績予想は今回の決算でも据え置かれており、会社が上振れを織り込んでいるわけではありません。広告宣伝費が次四半期以降も低い水準で維持されるか、あるいは再び増加に転じるかが、この進捗ペースを維持できるかどうかの分かれ目になります。
5. 配当の推移
| 決算期 | 期初予想 | 年間配当 | 期初比 | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|
| 2022/04 | 0円 | 0円 | 0円 | — |
| 2023/04 | 0円 | 0円 | 0円 | — |
| 2024/04 | 0円 | 0円 | 0円 | — |
| 2025/04 | 0円 | 15円 | +15円 | 17.6% |
| 2026/04 | 20円 | 24円 | +4円 | 20.7% |
| 2027/04会社予想 | 29円 | 29円 | — | 20.1% |
- 2025/04:2025年4月期に実質的に配当を開始(期初は無配予想、期末に15円を実施)。それ以前(2022〜2024年4月期)は無配でした。
- 2026/04:期初20円予想から24円へ増額して着地。
- 2027/04:期初予想29円。今回(2027年4月期第1四半期)の決算でも修正なく据え置き。
スマレジは2022〜2024年4月期まで無配で、成長投資を優先する方針をとっていました。2025年4月期に、期初は無配予想だったところから期末に15円の配当を実施し、実質的に配当を開始しています。 以降、2026年4月期は期初20円予想から24円へ増額して着地し、2027年4月期は29円を予想(今回の第1四半期決算でも据え置き)と、2期連続の増配基調にあります。
配当性向は17.6%(2025年4月期)→20.7%(2026年4月期)→20.1%(2027年4月期予想)と、20%前後で推移しています。会社が配当性向のレンジを明文化しているわけではなく、成長投資とのバランスを見ながら裁量的に配当額を決めている段階と見られます。配当実績がまだ2期分しかない点には注意が必要です。 未来工業や愛知時計電機のように長期の増配実績を持つ企業と異なり、景気後退局面や大型投資局面で配当がどう扱われるかは、まだ実績として確認できていません。
6. 会社の現状と直近の動き
当第1四半期末の貸借対照表を見ると、総資産は前期末140億80百万円から138億56百万円へ2億24百万円減少した一方、純資産は96億12百万円から98億33百万円へ2億21百万円増加しました。純資産の増加は、当第1四半期純利益6億83百万円の計上が主因と見られます。総資産が減少しつつ純資産が増加した結果、自己資本比率は68.3%から71.0%へ上昇しています。
単一セグメント企業のため、セグメント別の利益分解はできません。代わりに、ARR(年間経常収益)の内訳から「どこで稼いでいるか」を確認します。
| 区分(ARR、百万円) | 2023/4期末 | 2024/4期末 | 2025/4期末 | 2026/4期末 | 2026/7(当1Q末) |
|---|---|---|---|---|---|
| スマレジ利用料関連 | 3,243 | 4,209 | 5,534 | 6,901 | 7,203 |
| キャッシュレス決済 | 624 | 1,175 | 1,794 | 2,567 | 2,754 |
| タイムカード | 436 | 548 | 676 | 831 | 863 |
| EC関連(ネットショップ支援室) | — | — | 675 | 756 | 769 |
| ARR合計 | 4,303 | 5,932 | 8,679 | 11,055 | 11,589 |
出典:各期決算短信。2025年4月期以降は連結子会社の数値を含む。また2026年4月期より「スマレジ保守サービス料」を機器販売等から月額利用料等(スマレジ利用料関連ARR)へ振替済みのため、それ以前の期との単純比較には注意が必要です。
ARR合計に占めるキャッシュレス決済の比率は、2023年4月期末の14.5%から当第1四半期末には23.8%まで上昇しています。 スマレジ利用料関連の比率は75.4%から62.2%へ低下しており、POSレジ本体の月額利用料に加えてキャッシュレス決済を中心としたクロスセルが進んでいることが、ARRの内訳からも確認できます。これは4節で触れた「月額利用料等の構成比上昇」の背景の一つと見られます。
有料プラン登録店舗数は、2023年4月期末29,410店舗→2024年4月期末36,006店舗→2025年4月期末42,016店舗→2026年4月期末48,297店舗→当第1四半期末49,952店舗と拡大が続いています。直近1四半期だけで3.4%(48,297→49,952)増加しました。
なお、決算短信ではGMV(POSシステムを通じた取扱金額)も開示されていますが、集計方法に変更がありました。2026年4月期までは会社設立以来の累計ベースで開示されていましたが、2027年4月期からは各会計期間ごとの取扱高に変更されています。 当第1四半期のGMVは932,173百万円(単一四半期の金額)で、2026年4月期までの累計値(3,372,371百万円)とは性質の異なる数値のため、単純に並べて比較することはできません。この集計方法の変更を踏まえずに前期以前の数値と比較すると、伸び率を見誤ります。
外部環境としては、軽減税率制度の見直しに関する議論が報じられており、決算短信でも言及されています。仮に制度が変更されれば、対応するPOSシステムの改修需要が生じる可能性がありますが、具体的な時期や業績への影響の規模は、今回参照した決算短信からは確認できません。
7. 業界とセクターの状況
スマレジが属するSaaS・クラウドサービスというセクターには、構造的に決まっていることがいくつかあります。
収益の柱は契約数(アカウント数・店舗数)×ARPU(顧客単価)の拡大で、これは個社の努力だけでなく、対象業界(小売・飲食など)の店舗数増減やキャッシュレス化の普及ペースといった外部要因にも左右されます。 スマレジの場合、顧客基盤は中小・チェーン展開する小売店・飲食店に広く分散しており、特定の大口取引先に依存する構造ではありませんが、景気後退局面で小規模店舗の廃業が増えれば、契約数の伸びが鈍る、あるいは解約が増える可能性があります。
ストック型ビジネスであるため、売上の増減だけでなく、契約数・解約率・ARPUといった非財務KPIの開示が判断材料として重要になります。 今回の決算短信ではARRと有料プラン登録店舗数が開示されていますが、解約率(チャーンレート)そのものの開示は今回参照した資料からは確認できませんでした。
上場から日が浅い成長企業に共通する傾向として、成長投資を優先して無配を続けるか、黒字化後に配当を開始するかは会社ごとに方針が分かれ、増配ペースの予測可能性が高くありません。 スマレジも2025年4月期に配当を開始したばかりで、配当方針のレンジは明文化されていません。
また、利益成長率が高い局面ではPERが高止まりしやすく、絶対水準だけでは割高・割安を判断できません。 現時点で当サイトのSaaS・クラウドサービスセクターに属する銘柄はスマレジのみのため、同業他社との指標比較は本記事では扱っていません。PER22.61倍・PBR6.40倍という水準は、同社自身の過去のレンジや、今後このセクターに他銘柄が加わった際の比較を通じて、初めて割高・割安を判断できるものです。
8. 今後のスケジュール
2027年4月期 第2四半期(中間) 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年4月期 第3四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年4月期 通期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2028年4月期 第1四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
いずれも過去の発表時期からの推定です。確定日は会社のIRサイトで確認してください。
9. 想定されるカタリスト
当第1四半期の営業利益進捗率25.6%が維持されているか、広告宣伝費が再び増加していないかを確認できる最初の機会。
決算短信で毎回開示されるKPI。月額利用料等の構成比上昇や、キャッシュレス決済ARRの伸びが継続しているかを確認できる。
決算短信の定性的情報で言及されている中期的な方向性。周辺サービスの追加投入は顧客単価(ARPU)を押し上げる可能性がある。
制度が変更されればPOSシステムの改修需要が生じうるが、具体的な時期・規模は今回参照した決算短信からは確認できない。
10. 想定されるリスク
強みの裏返しになる点を中心に整理します。
広告宣伝費抑制の持続性リスク。 4節で見たとおり、当第1四半期の増益にはテレビCM放映の最適化による広告宣伝費の減少が寄与しています。これが新規契約獲得のための販促投資を削った結果であれば、有料プラン登録店舗数の増加ペースが今後鈍化するリスクがあります。
成長株としてのバリュエーション調整リスク。 PER22.61倍・PBR6.40倍という水準は、成長率が市場の期待を下回った場合に株価が大きく調整されやすい水準です。当第1四半期の営業利益進捗率25.6%が今後鈍化すれば、この評価は見直される可能性があります。
連結範囲の変化による比較可能性の低下。 ネットショップ支援室の吸収合併とスマレジペイメントの新規連結により、単一セグメント開示の中で既存事業の収益性改善と新規連結の寄与を分離することが難しくなっています。GMVの集計方法変更(累計ベースから四半期ベースへ)も同様に、期間比較を難しくしています。
配当実績の浅さ。 配当を開始してからまだ2期分(15円→24円)で、2027年4月期は29円を予想していますが、景気後退局面や大型投資局面での配当方針は実績として確認できていません。
11. まとめ:どう判断材料にするか
当第1四半期の決算は、増収率+19.7%に対して営業利益+73.3%という、増収を大きく上回るペースの増益でした。決算短信の説明を素直に読めば、月額利用料等(ストック収益)への構成比シフト、キャッシュレス決済事業の内製化によるコスト低減、広告宣伝費の最適化という3つの要因が重なった結果です。財務面でも実質無借金・自己資本比率71.0%と健全で、ARRと有料プラン登録店舗数の拡大も続いています。
判断の分かれ目は、この収益性改善をどう評価するかです。 月額利用料等への構成比シフトとキャッシュレス決済の内製化を、事業構造そのものが変わりつつある兆しと見るなら、通期計画(営業利益+24.5%)を上回るペースが続く余地があると評価できます。一方、広告宣伝費の抑制を新規契約獲得のための投資を削った一過性の効果と見るなら、次四半期以降に有料プラン登録店舗数の増加ペースが鈍り、この収益性の高さは長続きしないという見方になります。PER22.61倍・PBR6.40倍という株価は、どちらの見方を前提にするかで割高・割安の印象が変わる水準です。
次の確認ポイントは、2026年12月上旬に予定される第2四半期(中間)決算です。営業利益の進捗率が25.6%の水準を維持しているか、広告宣伝費が再び増加していないか、有料プラン登録店舗数の増加ペースに変化がないかを、あわせて確認してください。
この記事の見立てが外れたと判断する条件
以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。
- 次四半期(2027年4月期第2四半期、2026年12月上旬発表予定)の累計営業利益進捗率が、通期計画40億04百万円に対して当第1四半期の25.6%から明確に低下した場合(直線進捗なら50%が目安)。
- 広告宣伝費が再び増加に転じ、当第1四半期の営業利益率28.5%(10億27百万円÷36億08百万円)を大きく下回る四半期が出た場合。テレビCM等の広告宣伝費の抑制が一過性だったことを示唆する。
- 月額利用料等の構成比上昇が止まった場合。当第1四半期は販売内訳の79.4%(28億63百万円÷36億08百万円)を占めるが、これが低下に転じればストック型収益へのシフトという本記事の見立てが崩れる。
- ARR合計の四半期末比の伸びが明確に鈍化した場合(2026年4月期末110億55百万円→当第1四半期末115億89百万円で+4.8%)。特にキャッシュレス決済ARR(当第1四半期末27億54百万円)の伸びが止まれば、クロスセル戦略の効果が見立てと異なる。
- 2027年4月期の期末配当が期初予想の29円から減配された場合。配当実績は2025年4月期に始まったばかりで、増配の連続性を評価するにはまだ早い段階にある。
よくある質問
- スマレジの配当は100株あたりいくらになりますか?
- 2027年4月期の会社予想配当は年29円(期末のみ・年1回)です。100株を保有した場合、期末に2,900円(税引前)を受け取る計算になります。2025年4月期に15円で配当を開始し、2026年4月期は24円、2027年4月期は29円を予想しており、今回の第1四半期決算でも据え置かれました。
- なぜスマレジは増収率+19.7%に対して営業利益が+73.3%も伸びたのですか?
- 決算短信によれば、利益率の高い月額利用料等(ストック型収益)への構成比シフト、キャッシュレス決済事業の内製化によるコスト低減、広告宣伝費の最適化による販管費の抑制が主な要因です。ただし広告宣伝費の抑制が一過性か構造的かは、次四半期以降の決算で確認する必要があります(本文4節)。
- スマレジのPERやPBRは同業他社と比べて割高ですか?
- 2026年9月11日終値ベースでPER(予想)22.61倍・PBR6.40倍です。現時点で当サイトの「SaaS・クラウドサービス」セクターに属する銘柄はスマレジのみのため、直接比較できる同業他社データを持っておらず、この記事だけでは割高・割安の判定はできません。
参考文献・引用元
- 01株式会社スマレジ「2027年4月期 第1四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
2026年9月14日開示。連結経営成績(売上高・各利益・EPS)、販売内訳、ARR・有料プラン登録店舗数等のKPI、貸借対照表、キャッシュレス決済事業・広告宣伝費に関する定性的情報、通期業績予想を参照。 / 2026/09/14 開示
- 02
株式会社スマレジ「2026年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
2026年6月12日開示。2025年4月期の遡及修正後の数値(企業結合に伴う暫定的な会計処理の確定)、通期業績・配当の状況を参照。 / 2026/06/12 開示
- 03
株式会社スマレジ「2025年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
2025年6月12日開示。2025年4月期の期初開示時点(修正前)の数値を参照。 / 2025/06/12 開示
- 04
株式会社スマレジ「2024年4月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」
2024年6月13日開示。通期業績・配当の状況を参照。 / 2024/06/13 開示
- 05
株式会社スマレジ「2023年4月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」
2023年6月13日開示。通期業績・配当の状況を参照。 / 2023/06/13 開示
- 06
株式会社スマレジ「2022年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
2022年6月13日開示。通期業績・配当の状況を参照。 / 2022/06/13 開示
- 07IR BANK「スマレジ(4431) 株式情報」
二次情報。株価のみを参照した(2026年9月11日終値時点のスナップショット)。通期業績・配当・KPIの実額はすべて上記の各期決算短信を一次情報として用いている。