四半期分析化学・素材2026/12期 Q2

日本カーボン(5302) 中間決算で進捗率は正常化、純利益△40.5%の内訳と据え置かれた通期予想

2026/08/10 公開2026/08/10 更新6分で読了対象決算:2026年12月期 第2四半期(中間)

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

日本カーボン株式会社

東証プライム 5302 ・ 12月期決算

2026/08/10 時点

株価

5,040円

時価総額

596億円

配当利回り

3.97%

年間200円

PER

20.6倍

PBR

1.00倍

ROE

8.9%

ROA

5.6%

純利益ベース

自己資本比率

64.2%

配当性向

81.9%

有利子負債

104億円

D/Eレシオ

0.19倍

有利子負債÷自己資本

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 2026年12月期中間期(1〜6月)の経常利益は2,341百万円(前年同期比△14.0%)、純利益は1,365百万円(△40.5%)。ただし進捗率で見ると経常50.89%・純利益50.56%で、いずれも過去の例年レンジ(経常40.2〜59.8%、純利益36.6〜55.4%)に収まっており、第1四半期時点(経常進捗率18.09%)で見えた鈍化はQ2で解消した。
  • 純利益△40.5%のうち相当部分は、2025年中間期に計上されていた投資有価証券売却益(1,052百万円)の反動とみられる。税効果を無視した単純計算では、この一時益を除いた2025年中間期の純利益は2026年中間期の実績を下回る水準になる。
  • 経常利益がさらに悪化した主因として決算短信は「休止設備関連費用等の計上」を挙げている。2025年8月の富山工場火災に関連する設備休止コストの可能性があるが、短信に社名の明記はなく推測にとどまる。この費用が下期も続くかどうかは未確認。
  • 通期の会社業績予想(純利益2,700百万円、△44.1%、EPS244.19円)は今回の中間決算でも修正されず、実績PER11.5倍・予想PER20.6倍という大きな乖離が残っている。中間決算の内容は「大幅未達」のシグナルではないが、44%減益予想そのものを覆す材料も出ていない。
目次11項目
  1. 1. 概要
  2. 2. 会社概要とビジネスモデル
  3. 3. 業績の推移
  4. 4. Q1の鈍化はQ2で解消。ただし純利益△40.5%の中身には前年の一時益の反動が混じる
  5. 5. 配当の推移
  6. 6. 会社の現状と直近の動き
  7. 7. 業界とセクターの状況
  8. 8. 今後のスケジュール
  9. 9. 想定されるカタリスト
  10. 10. 想定されるリスク
  11. 11. まとめ:どう判断材料にするか

1. 概要

2026年8月10日時点で、株価5,040円に対して予想PER20.64倍・PBR1.00倍・ROE8.88%・自己資本比率64.2%・予想配当利回り3.97%という水準です。

このPER20.64倍は、会社が予想している2026年12月期の1株当たり純利益244.19円を前提にした数字です。一方、直近実績(2025年12月期)のEPS436.83円を使うと、実績PERは11.54倍まで下がります。同じ株価に対して、実績ベースと予想ベースでPERが2倍近く違う、これがこの銘柄の最大の論点です。

背景には、会社が2026年12月期の純利益を前期比44.1%減(2,700百万円)と大きく落ち込む見通しで出していることがあります。2026年8月10日に発表された中間決算では、この通期予想は修正されませんでした。中間決算の中身を見ると、第1四半期時点で見えていた鈍化はいったん解消しており、「未達に向かっている」という単純な話ではありません。ただし、純利益の減り方には前期の一時的な利益の反動が混じっており、通期予想を据え置いた理由も完全には晴れていません。この整理を第4節でおこないます。

2. 会社概要とビジネスモデル

日本カーボンは、黒鉛電極を中核とする炭素製品メーカーです。黒鉛電極は、電気炉(電炉)で鉄スクラップを溶かして鋼を作る際に使う消耗品で、電炉製鋼の稼働率と黒鉛電極の国際市況(主原料であるニードルコークスの価格や、中国勢の生産・輸出動向を含む)に業績が大きく左右される市況産業です。

事業は大きく3つのセグメントに分かれます。2026年12月期中間期の実績は以下のとおりです。

セグメント売上高前年同期比セグメント利益前年同期比
炭素製品関連(ファインカーボン・電極材)16,028百万円+2.1%1,295百万円△23.1%
炭化けい素製品関連(SiC連続繊維など)2,414百万円+15.2%953百万円+19.4%
その他(産業用機械等)580百万円+12.4%222百万円+81.9%

出典:2026年12月期第2四半期(中間期)決算短信

主力の炭素製品関連が売上の約8割を占めますが、セグメント利益は減益です。一方でSiC(炭化けい素)製品関連は、航空機エンジン用途を中心に増収増益が続いています。

強みと弱みの整理

強み

  • SiC(炭化けい素)事業が明確な成長ドライバー

    中間期のセグメント利益は前年同期比+19.4%。航空機エンジン用途を中心に需要が拡大しており、主力の炭素製品関連が減益のなかで全体を下支えしている。

  • 安定配当を長年維持している

    年間配当は2019年12月期以降200円で横ばい。2026年12月期も、業績の減益予想にもかかわらず200円の会社予想が据え置かれている。中間配当100円はすでに支払が確定している。

  • 財務は健全で有利子負債は小さい

    自己資本比率は64.2%(2026年6月末)。有利子負債10,365百万円に対して自己資本は54,589百万円あり、負債資本比率(D/Eレシオ)は0.19倍にとどまる。

弱み

  • 主力の炭素製品事業は市況・コスト増の影響を受けやすい

    中間期のファインカーボン関連製品は需要自体は堅調だが、製造設備の増強投資により製造コストが増加し、収益性が低下したと決算短信に明記されている。電極材関連製品は増収だが炭素製品全体ではセグメント利益が△23.1%。

  • 休止設備関連費用とみられるコストが利益を圧迫

    中間期の経常利益は「休止設備関連費用等の計上」により営業利益以上に落ち込んだ。2025年8月に富山工場で発生した火災(同月鎮火、2026年3月に最終報公表)に関連するコストの可能性があるが、短信に直接の明記はなく推測にとどまる。

  • 配当性向が予想ベースで約82%まで上昇

    2026年12月期の会社予想純利益2,700百万円に対し、年間配当200円を維持すると配当性向は約82%になる。2025年12月期の45.8%から大きく上昇しており、減益が長期化した場合の配当維持の余地は狭くなっている。

3. 業績の推移

売上高(左軸) 営業利益(右軸) 会社予想
0012,5001,75025,0003,50037,5005,25050,0007,0002021/122022/122023/122024/122025/122026/12単位:百万円
自己資本比率(%)50607061.961.463.063.263.5
数値で確認する
決算期売上高営業利益経常利益純利益営業CF自己資本比率
2021/1231,6003,7104,4302,7307,55061.9%
2022/1235,8004,7905,0403,1905,80061.4%
2023/1237,9006,5707,1204,0503,19063.0%
2024/1238,0006,3206,6904,0805,23063.2%
2025/1237,7004,8105,1034,8306,32063.5%
2026/12会社予想41,0004,3004,6002,700
単位:百万円。出典:決算短信、およびIR BANK集計による過年度実績

過去5期と会社予想を並べると、読み取れることは3つあります。

2021年12月期から2023年12月期にかけて、営業利益は3,710百万円から6,570百万円まで大きく伸びた。 黒鉛電極市況の好調が業績を押し上げた局面です。その後2024年12月期・2025年12月期と2期連続で営業利益・経常利益が減少しており、市況の反動が出ています。

2025年12月期は、営業利益・経常利益が2桁の減益だったにもかかわらず、純利益はむしろ増えている。 営業利益は前期比△23.9%、経常利益は△23.7%と大きく落ち込んだ一方、純利益は+18.4%でした。経常利益から純利益にかけて、通常とは逆方向の動きが起きています。これは何らかの特別利益が経常段階より下で計上されたことを示唆しており、第4節で扱う中間決算の論点と同じ根を持っています。

2026年12月期の会社予想は、増収でも大幅な減益という組み合わせ。 売上高は+8.7%の増収予想である一方、営業利益△10.6%、経常利益△9.9%、純利益に至っては△44.1%という予想です。利益の段階が下がるほど減益幅が拡大しており、この構図が予想PER20.64倍という水準を生んでいます。

4. Q1の鈍化はQ2で解消。ただし純利益△40.5%の中身には前年の一時益の反動が混じる

ここが本記事の中心です。

2026年12月期第1四半期(単独)の経常利益は832百万円で、前年同期比△31.2%。通期予想に対する進捗率は18.09%で、例年この時点で20〜26%程度あったことを踏まえると、明らかに鈍い出だしでした。この時点では「下期偏重の予想なのか、それとも通期予想の未達シグナルなのか」が判然としない状態でした。

今回発表された中間決算(1〜6月累計)を見ると、状況は変わっています。

指標中間期累計進捗率例年のレンジ
経常利益2,341百万円50.89%40.2〜59.8%
純利益1,365百万円50.56%36.6〜55.4%

出典:決算短信、IR BANK四半期進捗率データ

いずれも例年のレンジに収まっています。第2四半期(4〜6月)単独の経常利益を逆算すると1,509百万円で、前年の同じ第2四半期単独(1,513百万円)とほぼ同水準です。つまり、第1四半期に見えた鈍化は、通期予想に対する未達シグナルというより、第1四半期固有の弱さがQ2で解消した結果と読むのが素直です。

経常利益△14.0%の主因は「休止設備関連費用等」

ただし、中間期累計で見ても経常利益は前年同期比△14.0%(2,722百万円→2,341百万円)で、営業利益の△5.1%より落ち込み幅が大きくなっています。決算短信はこの要因として「休止設備関連費用等の計上」を挙げています。

日本カーボンは2025年8月29日、富山工場(人造黒鉛電極の製造工程で使う黒鉛化炉)で火災を起こしており、同日鎮火、2026年3月31日に最終報が公表されています。決算短信の本文にこの火災との直接的な因果関係の記載はありませんが、時期と内容(設備の休止に関連する費用)が符合するため、この火災に関連する設備休止コストが経常利益を押し下げた一因である可能性は高いと考えられます。ただしこれは決算短信に明記された事実ではなく、開示履歴との突き合わせによる推測であることを明記しておきます。

純利益△40.5%の中身 — 前年の一時益の反動

より大きな落ち込みは純利益です。中間期累計の純利益は1,365百万円で、前年同期の2,296百万円から40.5%(931百万円)減っています。経常利益の減少幅(△381百万円)よりも、純利益の減少幅(△931百万円)のほうがはるかに大きく、経常利益から下の段階で何かが起きていることが分かります。

手がかりは、2025年中間期の連結キャッシュ・フロー計算書の注記にあります。そこには「投資有価証券売却損益(△は益)1,052百万円」という項目があり、これは政策保有株式などの売却益とみられる特別利益です。2026年中間期のキャッシュ・フロー計算書には、この項目に相当する計上がありません。

税効果を無視した単純な計算にはなりますが、2025年中間期の純利益2,296百万円からこの一時益1,052百万円を除くと1,244百万円になります。これは2026年中間期の純利益1,365百万円をむしろ下回る水準です。実際には法人税等の影響があるため、この引き算がそのまま「実力ベースの比較」になるわけではありません。しかし、△40.5%という減益幅の相当部分が、前年に計上されていた一時的な利益の反動によるものである可能性は高いと見ています。

通期予想は据え置き。PERの乖離は残ったまま

以上を踏まえると、中間決算の内容は「大幅未達に向かっている」というシグナルではありません。進捗率は例年並みに戻り、純利益の大幅減にも一時要因の反動という説明がつきます。

一方で、会社は2026年2月10日公表の通期予想(純利益2,700百万円、△44.1%、EPS244.19円)を、今回の中間決算でも修正していません。上期の進捗が想定線に戻ったのであれば増額修正の余地もありそうですが、会社はそうしませんでした。休止設備関連とみられる費用が下期も続く可能性を織り込んでいるのか、単に保守的な運用なのかは、この中間決算からは判断できません。

結果として、実績PER11.54倍と予想PER20.64倍という乖離は解消されないまま残っています。 中間決算を「未達シグナルではなかった」と受け止めるか、「44%減益予想そのものが据え置かれた以上、予想ベースの水準を軸に考えるべきだ」と受け止めるかで、この銘柄の見え方は変わります。

5. 配当の推移

決算期期初予想年間配当期初比配当性向
2021/12200円200円0円81.0%
2022/12200円200円0円69.1%
2023/12200円200円0円54.5%
2024/12200円200円0円54.2%
2025/12200円200円0円45.8%
2026/12会社予想200円200円81.9%
  • 2026/12:中間配当100円は実績確定(支払開始2026年9月7日)。期末100円をあわせた合計200円の予想は、今回の中間決算でも修正されなかった。会社予想純利益2,700百万円に対する配当性向は約82%まで上昇する見込み。
1株当たり。「期初比」は期初予想に対する着地の差。 出典:決算短信「配当の状況」、およびIR BANK集計による過年度の予想・実績

日本カーボンの配当は、他の当サイト掲載銘柄と比べても特徴的です。2021年12月期以降、年間配当は一貫して200円で、期初予想と実績の差(期初比)がほとんど生まれていません。増配・減配のどちらの方向にも動かさず、水準を固定する「安定配当」型の運営です。

2026年12月期も期初から200円(中間100円・期末100円)の予想で、中間配当100円はすでに実績として確定しています(支払開始予定日2026年9月7日)。期末分を含めた通期200円の予想も、今回の中間決算で修正されませんでした。

注目すべきは配当性向です。純利益が2,730〜4,830百万円で推移していた2021〜2025年12月期は、配当性向は45.8〜81.0%のレンジでした。ところが2026年12月期は、会社予想純利益2,700百万円に対して200円を維持すると配当性向は約82%まで上がります。利益水準が下がっても配当額そのものは動かさない、という方針の強さがうかがえる一方で、この状態が何期も続けば維持の余地は狭くなります。

6. 会社の現状と直近の動き

財政状態と有利子負債

2026年6月末の総資産は85,032百万円(2025年12月末85,607百万円)、純資産は64,113百万円(同63,607百万円)、自己資本比率は64.2%(同63.5%)です。半年でわずかに自己資本比率が上がっています。

有利子負債(短期借入金+長期借入金)は10,365百万円(2026年6月末)で、2025年12月末の10,331百万円からほぼ横ばいです。自己資本54,589百万円に対する負債資本比率D/Eレシオ)は0.19倍で、こちらも前期末とほぼ変わりません。大型投資やM&Aによって有利子負債が積み上がった形跡はなく、短期借入金が中心であることから運転資金性の借入とみられますが、具体的な使途は決算短信からは特定できませんでした。

自己株式の取得

2026年2月10日の取締役会決議にもとづき、中間期累計で自己株式1,078百万円(2,280百株)を取得しています。発行済株式数11,832,504株のうち、2026年6月末時点の自己株式は1,003,913株です。純資産の増加は、この自己株式取得を差し引いてもなお、利益の積み上げが上回った結果と読めます。

キャッシュ・フロー

中間期累計の営業キャッシュ・フローは4,674百万円(前年同期3,770百万円)で、純利益の落ち込みとは対照的に前年より増えています。投資キャッシュ・フローは△1,392百万円(前年同期△2,914百万円)で、有形固定資産の取得支出が減少しました。財務キャッシュ・フローは△2,187百万円(前年同期△864百万円)で、自己株式取得(△1,079百万円)と配当金支払(△1,102百万円)が主因です。現金及び現金同等物の期末残高は16,160百万円(前期末15,035百万円)まで積み上がっています。

7. 業界とセクターの状況

黒鉛電極を含む炭素製品業界の業績は、個社の努力だけでは動かせない構造的な要因に強く左右されます。

電炉製鋼の稼働率が需要の源泉です。 世界的な鉄鋼需給、特に電炉法によるリサイクル鋼材の生産動向が、黒鉛電極の需要そのものを決めます。景気変動の影響を受けやすい業界です。

主原料ニードルコークスの価格変動が原価を左右します。 石油精製やコールタールの副産物であるニードルコークスの価格は、原油市況や他用途(リチウムイオン電池の負極材など)との競合によって変動し、コスト構造に直接影響します。

中国勢の生産・輸出動向が国際市況を動かします。 世界最大の黒鉛電極生産国である中国の生産調整・輸出政策の変化は、国際市況を大きく揺らす要因です。

こうした市況産業としての性格がある一方、日本カーボンはSiC連続繊維など機能材料事業への展開によって、電炉市況への依存度を下げる方向にあります。中間期時点でSiC関連セグメントが増収増益を続けていることは、この分散が実際に効き始めている証拠と見ることができます。

8. 今後のスケジュール

2026年11月上旬(予定)当サイト推定

2026年12月期 第3四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年2月中旬(予定)当サイト推定

2026年12月期 通期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年5月上旬(予定)当サイト推定

2027年12月期 第1四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年8月上旬(予定)当サイト推定

2027年12月期 第2四半期(中間) 決算発表

過去の発表時期からの推定

いずれも過去の発表時期からの推定であり、確定日は同社IRサイトで確認してください。

9. 想定されるカタリスト

時期想定イベント蓋然性方向
2026年11月上旬(予定)2026年12月期 第3四半期決算両面

経常利益の累計進捗率が例年並みの水準を維持できるか、また「休止設備関連費用等」が引き続き計上されているかを確認する最初の機会。

随時黒鉛電極の国際市況とニードルコークス価格の動向両面

電炉製鋼の稼働と主原料コストに業績が連動する市況産業のため、市況の変化はどちらの方向にも業績を動かしうる。

随時SiC(炭化けい素)製品の航空機エンジン向け需要拡大上振れ

中間期のセグメント利益は前年同期比+19.4%と大きく伸びており、炭素製品事業の落ち込みを補う成長ドライバーになりうる。

2027年2月中旬(予定)2027年12月期の会社業績予想の公表両面

2026年12月期の減益(純利益△44.1%予想)が一過性の要因を含むのか、翌期以降も水準が続くのかが、この時点でより明確になる。

10. 想定されるリスク

市況産業としてのリスク。 電炉製鋼の稼働率、ニードルコークス価格、中国勢の生産・輸出動向という、個社では動かせない外部要因に業績が左右されます。2024年12月期・2025年12月期の2期連続減益は、この市況反動の実例です。

休止設備コストが下期も続くリスク。 中間期の経常利益を押し下げた「休止設備関連費用等」が富山工場火災に関連するものだとすれば、設備の復旧状況次第で下期の収益にも影響が残る可能性があります。この点は決算短信からは確認できていません。

利益の質のリスク。 2025年12月期・2026年中間期のいずれも、経常利益と純利益の動きが乖離しています。特別損益の内訳が決算短信・有価証券報告書で毎回確認できるとは限らず、一時要因を見誤ると実力ベースの収益力を過大・過小評価するおそれがあります。

配当維持のリスク。 配当性向が会社予想ベースで約82%まで上昇しており、200円という水準を長年動かしていない分、利益がさらに落ち込んだ場合の柔軟性は乏しくなっています。

11. まとめ:どう判断材料にするか

事業面では、主力の炭素製品事業が市況とコスト増の影響で減益にある一方、SiC関連事業が増収増益で下支えするという構図が中間期にはっきり出ています。財務は自己資本比率64.2%・負債資本比率0.19倍と健全で、配当は200円を長年維持する安定配当型です。

判断の分かれ目は、PER11.54倍(実績ベース)とPER20.64倍(予想ベース)のどちらを軸に考えるかです。

中間決算の内容を「Q1の鈍化は一時的で、進捗率は例年並みに戻った」と読むなら、通期予想が今後上振れする余地を期待して実績PERに近い水準を意識する見方もできます。一方で「会社自身が44%減益予想を据え置いた以上、その判断を尊重すべきだ」と見るなら、予想PER20.64倍を軸に考えるのが妥当です。純利益の急減には前年の一時益の反動という説明がつく一方、経常利益を押し下げた休止設備関連費用が下期も続くかどうかは、今回の中間決算だけでは判断できません。

次の確認ポイントは、2026年11月上旬に予定される第3四半期決算です。経常利益の累計進捗率が例年並みの水準を保てているか、そして「休止設備関連費用等」の記載が引き続き出てくるかどうかを確認してください。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 2026年12月期第3四半期決算で、経常利益の累計進捗率が例年のレンジ(60〜80%台)を大きく下回る水準まで再び鈍化した場合。Q1の弱さがQ2で解消したという本記事の整理が崩れる。
  • 通期の会社業績予想(純利益2,700百万円、EPS244.19円)が上方修正され、実績PERとの乖離が縮小した場合。予想PER20.6倍という水準が保守的すぎたことを意味する。
  • 富山工場の休止設備に関連するとみられるコストが下期も継続し、通期の経常利益予想4,600百万円を下回って着地した場合。設備要因が一過性ではなく構造的な収益圧迫要因だったことになる。
  • 年間配当が200円から減額された場合。配当性向は会社予想ベースで約82%まで上昇しており、減益が長期化すれば200円の維持自体が難しくなる可能性がある。

参考文献・引用元

  1. 01
    日本カーボン株式会社「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」

    2026年8月10日開示。連結業績・セグメント情報・配当の状況・キャッシュ・フロー計算書(投資有価証券売却損益の注記を含む)・貸借対照表・通期業績予想を参照。 / 2026/08/10 開示

  2. 02
    IR BANK「日本カーボン(5302) 決算まとめ/配当金の推移/四半期進捗」

    2021年12月期〜2025年12月期の通期業績・財政状態・キャッシュ・フロー・配当性向、および四半期進捗率の過去レンジを、決算短信・有価証券報告書を集計した二次情報として参照した(2026年8月10日時点の表示)。

  3. 03
    株探「日本カーボン(5302)」株価情報

    2026年8月10日時点の株価(終値5,040円)・時価総額を参照した二次情報。

  4. 04
    日本カーボン株式会社 適時開示(富山工場に関する火災の最終報)

    2025年8月29日発生・8月31日鎮火の富山工場(人造黒鉛電極製造工程)火災に関する2026年3月31日付の最終報。決算短信本文には社名の明記は無いが、「休止設備関連費用等の計上」という記載と時期・内容が符合する背景情報として参照した。