恵和(4251) 通期予想を3割下方修正も、増配維持と自己株買いを同日発表
本記事をお読みになる前に
本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。
生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。
恵和株式会社
2026/08/24 時点
株価
1,263円
時価総額
244億円
配当利回り
3.96%
年間50円
PER
11.4倍
PBR
0.94倍
ROE
8.3%
ROA
9.6%
経常利益ベース
自己資本比率
80.1%
配当性向
45.0%
有利子負債
17億円
D/Eレシオ
0.07倍
有利子負債÷自己資本
※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。
この記事の結論
- 2026年12月期中間期(1〜6月)は売上高10,537百万円(前年同期比+6.3%)、営業利益1,898百万円(同△15.5%)、経常利益2,021百万円(同+3.1%)、純利益1,410百万円(同+103.3%)。純利益の急増は、前年中間期に計上されていた為替差損・事業撤退に伴う特別損失の反動によるもので、営業利益の減益とは矛盾しない。
- 2025年12月期実績のROA(総資産経常利益率)13.5%は、経常利益率20.7%×総資産回転率0.66回という高い利益率に支えられていた。2026年12月期の会社予想ではROAが9.6%まで下がる見込みだが、総資産回転率(0.67回)はほぼ変わらず、経常利益率(14.2%)の低下がほぼすべてで、資産効率の悪化ではなく採算の悪化が主因と読める。
- 通期の会社業績予想は2026年8月14日に大幅下方修正され、営業利益は前回予想比△35.5%、経常利益・純利益は同△32.7%の2,968百万円・2,055百万円になった。修正理由はノートPC向けメモリー不足による下期出荷鈍化と原油価格上昇で、下期の為替前提を1米ドル=150円から157円へ円安方向に見直した増益効果を打ち消している。
- 通期予想を下方修正したのと同じ日に、配当予想は50円で据え置き、上限65万株・10億円の自己株式取得(取得後全株消却予定)を発表した。据え置きの結果、会社予想ベースの配当性向は当初見込みの30.3%から45.0%程度まで切り上がる計算になる。業績悪化を一過性とみるか構造変化の兆しとみるかで、この組み合わせの評価は分かれる。
目次11項目
1. 概要
2026年8月24日時点で、恵和(4251)は株価1,263円に対して予想PER11.37倍・PBR0.94倍・ROE8.27%・自己資本比率80.1%・予想配当利回り3.96%という水準です。
このROE・ROA・PERは、2026年8月14日に大きく下方修正された通期の会社予想(純利益2,055百万円、EPS111.14円)を前提にしています。2025年12月期実績のROA(総資産経常利益率)は決算短信に明記された数値で13.5%と高水準でしたが、2026年12月期の会社予想ベースでは9.6%まで下がる見込みです。このROAの高さの源泉と、2026年12月期に何が変わったのかが、この記事の中心です。
もう一つ見逃せないのが、通期予想を約3割下方修正したのと同じ日に、会社が配当予想の据え置き(年間50円)と自己株式の取得・消却(上限65万株・10億円)を発表したことです。業績が大きく崩れる予想を出しながら株主還元を強化するという組み合わせをどう読むかを、第4節で詳しく扱います。
2. 会社概要とビジネスモデル
恵和株式会社は、ノートPC・タブレット・車載ディスプレイなどの液晶バックライト部材として使われる光拡散フィルムを中心とした、機能性フィルムのメーカーです。事業は2つのセグメントに分かれます。
| セグメント | 主な製品 | 2026年中間期売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 光学製品事業 | ノートPC・タブレット・車載ディスプレイ向け光拡散フィルム「オパルス」「オパスキ」等 | 8,655百万円 | +7.2% | 3,332百万円 | △8.3% |
| 機能製品事業 | クリーンエネルギー車向け特殊フィルム、防錆資材、農業資材、工程紙「A!Prog-UF」等 | 1,883百万円 | +2.4% | 193百万円 | +73.6% |
出典:2026年12月期第2四半期(中間期)決算短信
光学製品事業が売上の8割超・セグメント利益の94%超を占める中核事業です。機能製品事業は規模こそ小さいものの、工程紙の海外新規顧客獲得などで利益が急伸しています。2026年中間期には新規連結子会社としてKEIWA Germany GmbHが加わっており、海外展開も進めています。
強みと弱みの整理
強み
光学フィルム事業の高い採算性
2025年12月期実績の経常利益率は20.7%(経常利益4,240百万円÷売上高20,473百万円)。機能性フィルムという差別化された製品群への集中が、業界内でも目を引く高いROAの源泉になっている。
一貫して強まる財務体質
自己資本比率は2021年12月期の49.2%から2026年6月末は80.1%まで一貫して上昇。有利子負債は前期末2,070百万円から中間期末1,661百万円へさらに減少し、負債資本比率(D/Eレシオ)は0.09倍から0.07倍まで低下、無借金経営に近づいている。
業績下方修正と同時に強めた株主還元姿勢
通期予想を大幅下方修正した2026年8月14日に、配当予想(年間50円)を据え置き、上限65万株・10億円の自己株式取得(取得後全株消却予定)をあわせて発表した。
弱み
光学製品事業への高い依存度
売上の8割超・セグメント利益の94%超を光学製品事業に依存する。今回の通期予想下方修正はノートPC向けメモリー不足によるPC出荷鈍化が主因で、個社の努力では動かせない外部要因の影響を大きく受ける構造。
中間期純利益の急増は本業の改善ではない
2026年中間期の純利益は前年同期比+103.3%だが、営業利益は同△15.5%の減益。純利益の急増は前年中間期に計上されていた特別損失・営業外費用の反動によるもので、本業の収益力そのものは悪化している。
配当据え置きの結果、配当性向が切り上がる
通期純利益予想が3,052百万円から2,055百万円へ下方修正された一方、配当予想は50円のまま据え置かれたため、配当性向は会社が当初見込んでいた30.3%ではなく、45.0%程度まで切り上がる計算になる。
3. 業績の推移
数値で確認する
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 営業CF | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021/12 | 18,100 | 3,140 | 3,470 | 2,570 | — | 49.2% |
| 2022/12 | 21,100 | 5,570 | 6,200 | 4,860 | — | 64.5% |
| 2023/12 | 17,600 | 2,460 | 2,760 | 1,980 | — | 69.6% |
| 2024/12 | 21,130 | 4,739 | 5,210 | 2,790 | 5,916 | 71.7% |
| 2025/12 | 20,473 | 4,286 | 4,240 | 2,268 | 3,549 | 77.1% |
| 2026/12会社予想 | 20,877 | 2,842 | 2,968 | 2,055 | — | 80.1% |
過去5期と会社予想を並べると、読み取れることは3つあります。
2022年12月期がこの6期で最高益だった。 売上高21,100百万円(前期比+16.6%)、営業利益5,570百万円(同+77.4%)、経常利益6,200百万円(同+78.7%)、純利益4,860百万円(同+89.1%)と、いずれの段階でも大きく伸びました。翌2023年12月期は一転して、売上高17,600百万円(同△16.6%)、営業利益2,460百万円(同△55.8%)、経常利益2,760百万円(同△55.5%)、純利益1,980百万円(同△59.3%)まで急落しています。この落ち込みの背景には、後述する地球の絆創膏事業からの撤退に伴う損失計上の影響もあったとみられますが、具体的な計上額の内訳までは決算短信から特定できませんでした。
2024年12月期に急回復したものの、2025年12月期・2026年12月期予想は再び減益基調にある。 2024年12月期は売上高21,130百万円(前期比+20.1%)、営業利益4,739百万円(同+92.6%)、経常利益5,210百万円(同+88.8%)、純利益2,790百万円(同+40.9%)まで戻しましたが、2025年12月期は売上高20,473百万円(同△3.1%)、営業利益4,286百万円(同△9.6%)、経常利益4,240百万円(同△18.6%)、純利益2,268百万円(同△18.7%)と再び減益。2026年12月期の会社予想(修正後)も売上高20,877百万円(同+2.0%)、営業利益2,842百万円(同△33.7%)、経常利益2,968百万円(同△30.0%)、純利益2,055百万円(同△9.4%)で、増収でも大幅減益という組み合わせです。
自己資本比率は業績の振れとは無関係に一貫して上昇している。 純利益が19.8億円から48.6億円の間で大きく振れる一方、自己資本比率は2021年12月期の49.2%から2026年6月末の80.1%まで、毎期途切れることなく上昇しています。利益水準がどう動いても内部留保と配当・自己株買いのバランスを保ってきたことがうかがえます。
4. ROA13.5%はどこから来たか、そして2026年12月期に何が起きたか
2025年12月期実績の総資産経常利益率(ROA)13.5%は、決算短信に明記された実績値です。この高さがどこから来ているのかを、経常利益率と総資産回転率に分解して確かめます。
| 経常利益率 | 総資産回転率 | ROA(積) | |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期実績 | 20.7%(経常利益4,240百万円÷売上高20,473百万円) | 0.66回(売上高20,473百万円÷総資産30,946百万円) | 13.5%相当 |
| 2026年12月期会社予想 | 14.2%(経常利益2,968百万円÷売上高20,877百万円) | 0.67回(売上高20,877百万円÷総資産31,029百万円※) | 9.6% |
※総資産は2026年6月末(中間期末)の実績値を代用。会社予想時点の期末総資産は開示されていないため。
この分解から分かるのは、ROAの高さは資産の軽さ(回転率)ではなく、光学フィルム事業の高い利益率によるところが大きいということです。 総資産回転率は0.66回から0.67回へほぼ変わっておらず、2026年12月期にROAが13.5%から9.6%へ低下する要因は、ほぼすべて経常利益率の低下(20.7%→14.2%)で説明できます。つまり「資産効率が悪化した」のではなく「採算そのものが悪化した」局面にあります。
なぜ採算が悪化したか — 通期予想の大幅下方修正
2026年8月14日、会社は2026年2月13日公表の通期予想を大きく下方修正しました。営業利益は4,403百万円から2,842百万円(前回予想比△35.5%)、経常利益は4,407百万円から2,968百万円(同△32.7%)、純利益は3,052百万円から2,055百万円(同△32.7%)、EPSは165.06円から111.14円になっています。
修正理由として会社が挙げているのは次の3点です。「メモリー不足の影響が下期も継続すると見込まれるため、当社製品を使用するノートブックPC等の売上が鈍化することにより、下期の売上高の減少が見込まれる」「不安定な中東情勢の影響による原油価格上昇を反映した売上原価や販管費の上昇が見込まれる」、そして「下期の平均為替レートの前提を、前回予想の1US$=150円から1US$=157円に変更」。円安方向への前提見直しは本来増益要因ですが、メモリー不足によるPC出荷減と原油高がその効果を打ち消すほど大きく響いた、という構図です。
中間期の純利益+103.3%は「本業の改善」ではない
2026年中間期(1〜6月)の実績は、営業利益1,898百万円(前年同期比△15.5%)、経常利益2,021百万円(同+3.1%)、純利益1,410百万円(同+103.3%)でした。営業利益は減益なのに純利益が2倍以上に伸びており、一見すると矛盾しているように見えます。
理由は損益計算書の営業外・特別損益にあります。前年中間期には為替差損299,958千円と、地球の絆創膏事業からの撤退に伴う製品保証引当金繰入額792,041千円等を含む事業撤退損失832,173千円という、営業外費用・特別損失が計上されていました。当中間期はこれらが解消し、為替は95,809千円の差益に転換、特別損失も固定資産売却損益・除却損のみのわずか8,483百万円にとどまっています。つまり営業利益の減益は本業の実力を反映したもの、純利益の急増は前年の一時的な損失の反動によるもので、両者は矛盾しません。 むしろ「増収増益に見えるが実態は特別損益で嵩上げされている」という、利益の質を確認しないと見誤りやすい典型例です。
下方修正と同じ日に、配当据え置きと自己株買いを発表
もっとも注目すべきは、この大幅な下方修正が発表されたのとまさに同じ2026年8月14日に、会社が2つの株主還元策を打ち出したことです。
1つ目は配当予想の据え置きです。2026年2月13日の期初予想から一貫して年間50円(中間0円・期末50円)としており、8月14日の通期予想修正でも配当予想は「修正なし」と明記されました。ただし、その裏で配当性向の意味合いは変わっています。会社が期初に見込んでいた配当性向は30.3%(50円÷修正前EPS165.06円)でしたが、下方修正後のEPS111.14円で計算し直すと、配当性向は45.0%程度まで切り上がる計算になります。
2つ目は自己株式の取得・消却です。上限65万株(発行済株式数の3.51%)・取得価額上限10億円、取得期間2026年8月17日〜12月30日で、取得後は全株消却する予定です。会社は取得理由を「株式市場からの評価、足元の株価水準等を踏まえ、機動的な自己株式取得を実施し、株主還元及び資本効率の向上を図るため」と説明しています。
この組み合わせをどう読むかは、見方が分かれます。 経営陣が今回の減益要因(メモリー市況によるPC出荷鈍化)を一過性と見て、高い採算性を持つ事業構造への自信を維持していると読むこともできますし、会社自身が取得理由に「株価水準」を挙げているとおり、業績の下振れによる株価への影響を株主還元の強化で補おうとしている、と読むこともできます。どちらが正しいかを決めつける材料は、今回の開示だけからは得られません。
5. 配当の推移
| 決算期 | 期初予想 | 年間配当 | 期初比 | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|
| 2024/12 | 25円 | 35円 | +10円 | 24.2% |
| 2025/12 | 35円 | 40円 | +5円 | 32.8% |
| 2026/12会社予想 | 50円 | 50円 | — | 45.0% |
- 2026/12:期初(2026年2月13日公表)から50円で、8月14日の通期業績予想の大幅下方修正でも配当予想は「修正なし」と明記され据え置かれた。会社が当初見込んでいた配当性向は30.3%(50円÷修正前EPS165.06円)だったが、下方修正後のEPS111.14円で計算し直すと配当性向は45.0%程度まで切り上がる。
2024年12月期は期初予想25円から実績35円へ、2025年12月期は期初予想35円から実績40円へと、いずれも期中に増額修正されており、期初は保守的に出す傾向がうかがえます。会社は2026年12月期についても期初から50円と、2年連続の増配となる水準を提示していました。
ただし2026年12月期は、これまでの「期中に上振れる」パターンとは異なる動きになっています。通期業績予想を大幅に下方修正した8月14日の中間決算でも、配当予想はまったく修正されず50円のまま据え置かれました。増額修正が続いてきた過去2期とは対照的に、今回は「上げも下げもしない」という選択です。 会社予想EPS111.14円に対する配当性向は45.0%程度になる計算で、2025年12月期実績の32.8%から大きく切り上がります。会社が明示的に予想を出しているため、予想配当利回り3.96%(50円÷1,263円)はそのまま使える数字ですが、その裏で配当性向の水準が変わっていることは押さえておく必要があります。
6. 会社の現状と直近の動き
財政状態と有利子負債
2026年6月末の総資産は31,029百万円(2025年12月末30,946百万円)、純資産(自己資本)は24,843百万円(同23,864百万円)、自己資本比率は80.1%(同77.1%)です。半年で自己資本比率がさらに上昇しました。
有利子負債(1年内返済予定の長期借入金758百万円+長期借入金903百万円)は1,661百万円で、2025年12月末の2,070百万円からさらに圧縮されています。自己資本24,843百万円に対する負債資本比率(D/Eレシオ)は0.07倍で、2021年12月期の0.43倍から一貫して低下してきました(IR BANK集計:2021年12月期0.43倍→2022年12月期0.25倍→2023年12月期0.19倍→2024年12月期0.13倍→2025年12月期0.09倍→2026年中間期末0.07倍)。有利子負債の圧縮が続いている具体的な理由(借換えの有無や返済計画の詳細)までは決算短信から特定できませんが、営業キャッシュ・フローが安定して有利子負債を上回る規模で生み出されていることから、長期借入金の約定返済が進んでいるとみられます。
キャッシュ・フロー
中間期累計の営業キャッシュ・フローは2,634百万円(前年同期2,211百万円)、投資キャッシュ・フローは△1,242百万円(同△1,592百万円)、財務キャッシュ・フローは△1,186百万円(同△2,253百万円)でした。財務キャッシュ・フローのマイナス幅が前年より小さいのは、前年中間期に958百万円の自己株式取得があった一方、当中間期は配当金支払728百万円が中心だったためです(今回発表された新たな自己株式取得は8月17日以降に実行されるため、この中間期のキャッシュ・フローにはまだ反映されていません)。現金及び現金同等物の中間期末残高は8,061百万円(前年同期末7,763百万円)です。
7. 業界とセクターの状況
機能性フィルムを含む化学・素材セクターでは、個社の努力だけでは動かせない構造的な制約があります。
川下の電子機器市場のサイクルに業績が連動します。 恵和の主力である光学製品事業は、ノートPC・タブレット・車載ディスプレイ向けが中心で、PCの出荷台数やメモリー・部材の需給という、自社では制御できない外部要因の影響を強く受けます。今回の通期予想下方修正は、その典型例です。
主要原材料が原油価格に連動します。 フィルムの原料となる樹脂・有機溶剤のコストは原油市況や中東情勢などの地政学リスクに左右され、価格転嫁が追いつかなければ採算が圧迫されます。
為替の影響を受けます。 海外売上・海外拠点(2026年中間期に加わったKEIWA Germany GmbHを含む)を持つため、円安・円高のどちらの方向にも業績が振れます。
同じ化学・素材セクターで当サイトが扱う日本カーボン(5302)が黒鉛電極という単一市況への依存で振れ幅が大きいのに対し、恵和は電子機器の需要サイクルという別の外部要因に業績が連動します。どちらも「単年の指標だけでは割安・割高を判断しにくい」という、市況・素材セクター共通の性質を持っています。
8. 今後のスケジュール
2026年12月期 第3四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2026年12月期 通期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年12月期 第1四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年12月期 第2四半期(中間) 決算発表
過去の発表時期からの推定
いずれも過去の発表時期からの推定であり、確定日は同社IRサイトで確認してください。
9. 想定されるカタリスト
メモリー不足によるPC出荷鈍化と原油高が想定通り下期業績を圧迫しているか、それとも一部緩和しているかを確認できる最初の機会。
今回の下方修正の主因。メモリー市況が想定より早く正常化すれば上振れ要因、悪化が長期化すれば追加の下方修正要因になる。
計画通り進捗し予定どおり全株消却されれば、発行済株式数が減り1株当たり指標の改善要因になる。
下期の為替前提は1米ドル=157円に見直し済み(円安方向)。前提より円高に振れれば増益効果の一部が剥落し、逆に円安が進めば増益要因になる。
10. 想定されるリスク
光学製品事業への高い依存リスク。 売上の8割超・セグメント利益の94%超を光学製品事業に依存しており、今回のようにノートPC向けメモリー市況が悪化すると、通期業績全体が大きく揺さぶられます。
利益の質のリスク。 2026年中間期の純利益急増(+103.3%)は、前年に計上されていた特別損失・営業外費用の反動によるもので、本業の収益力そのものは営業利益ベースで△15.5%の減益です。特別損益に頼った期は、翌期以降の反動にも注意が必要です。
配当維持のリスク。 通期純利益予想の下方修正にもかかわらず配当は据え置かれ、配当性向は会社予想ベースで45.0%程度まで上昇する計算です。業績の下振れがさらに続けば、50円という水準の維持自体が難しくなる可能性があります。
自己株式取得が計画どおり進まないリスク。 上限65万株・10億円の取得は2026年8月17日から始まったばかりで、市場環境や株価水準次第では計画どおりに進捗しない可能性があります。
11. まとめ:どう判断材料にするか
恵和は、光学フィルム事業の高い採算性(2025年12月期実績の経常利益率20.7%)を土台に、自己資本比率80.1%・負債資本比率0.07倍という健全な財務を築いてきた会社です。一方で2026年12月期は、ノートPC向けメモリー不足という外部要因を主因に通期予想が約3割下方修正され、ROAも13.5%から9.6%へ低下する見込みです。それでも会社は同じ日に配当据え置きと自己株買いを発表しており、株主還元の姿勢そのものは崩していません。
判断の分かれ目は、この業績下方修正を一過性のPC市況要因と見るか、採算悪化の始まりと見るかです。
ROA低下の中身が資産効率ではなく利益率の低下だったことは、事業の性格自体は変わっていないことを示唆します。メモリー不足が下期に解消・緩和されるなら、次期以降ROA・利益率は回復する余地があります。逆に、PC市場向け機能性フィルムという構造への依存自体をリスクと見るなら、配当性向が45.0%程度まで上昇している中での更なる悪化には注意が必要です。なお、現在のPBR0.94倍が過去の水準と比べて高いか低いかを判断できるだけの長期レンジのデータは、今回確認できていません。
次の確認ポイントは、2026年11月上旬に予定される第3四半期決算です。メモリー市況とPC出荷動向が想定どおりに推移しているか、そして自己株式取得が計画どおり進んでいるかを確認してください。
この記事の見立てが外れたと判断する条件
以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。
- 2026年11月に予定される第3四半期決算で、メモリー不足によるPC出荷鈍化が想定以上に深刻化し、通期予想(経常利益2,968百万円・純利益2,055百万円)がさらに下方修正された場合。2026年8月14日時点の下方修正が底ではなかったことになる。
- 自己株式取得(上限65万株・取得価額上限10億円、取得期間2026年8月17日〜12月30日)が計画通り進捗せず、大幅な未達で終わった場合。株主還元姿勢の実効性への疑問が強まる。
- 下期の為替が会社の前提(1米ドル=157円)より大幅に円高に振れた場合。今回の予想に織り込まれた円安の増益効果が剥落し、業績はさらに下振れする可能性がある。
- 年間配当が50円から減額された場合。配当性向はすでに会社予想ベースで45.0%程度まで上昇しており、業績悪化が続けば50円維持の前提が崩れる。
よくある質問
- 恵和(4251)の配当は100株でいくらになりますか?
- 2026年12月期の会社予想は年間50円(中間0円・期末50円)です。100株保有なら年間5,000円(税引前)になります。 通期業績予想は2026年8月14日に大きく下方修正されましたが、配当予想はこの50円のまま据え置かれました。
- 恵和(4251)はなぜ通期業績予想を下方修正したのですか?
- 2026年8月14日、会社はノートPC向けメモリー不足の影響で下期のPC出荷が鈍化する見込みであること、 中東情勢の緊迫化に伴う原油価格上昇で主要原材料(樹脂・有機溶剤)のコストが上昇する見込みであることを理由に、 通期の経常利益予想を4,407百万円から2,968百万円(前回予想比32.7%減)へ修正しました。
- 恵和(4251)は減益予想なのに、なぜ配当を維持し自己株買いも発表したのですか?
- 2026年8月14日、会社は通期予想の下方修正と同じ日に、配当予想(年間50円)の据え置きと、 上限65万株・10億円の自己株式取得(取得後全株消却予定)を発表しました。会社は取得理由を 「株式市場からの評価、足元の株価水準等を踏まえ、機動的な自己株式取得を実施し、株主還元及び資本効率の向上を図るため」 と説明していますが、業績下振れの一時性への自信か株価対策かは、今回の開示だけからは判断できません。
参考文献・引用元
- 01
恵和株式会社「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」
2026年8月14日開示。連結業績・セグメント情報・配当の状況・キャッシュ・フロー計算書(損益計算書の営業外損益・特別損益の注記を含む)・貸借対照表・通期業績予想を参照。 / 2026/08/14 開示
- 02
恵和株式会社「2026年12月期 通期業績予想の修正に関するお知らせ」
2026年8月14日開示。前回予想(2026年2月13日公表)と修正後予想の比較、修正理由(メモリー不足によるPC出荷鈍化、原油価格上昇、為替前提の見直し)を参照。 / 2026/08/14 開示
- 03
恵和株式会社「自己株式の取得及び消却に関するお知らせ」
2026年8月14日開示。取得上限65万株(発行済株式数の3.51%)・取得価額上限10億円、取得期間2026年8月17日〜12月30日、取得後の全株消却予定、取得理由の記載を参照。 / 2026/08/14 開示
- 04IR BANK「恵和(4251) 決算まとめ/配当金の推移」
2021年12月期〜2023年12月期の通期業績・自己資本比率、および有利子負債・負債資本比率(D/Eレシオ)の過去推移(2021年12月期0.43倍〜2025年12月期0.09倍)を、決算短信・有価証券報告書を集計した二次情報として参照した(2026年8月24日時点の表示)。