四半期分析建設業2026/9期 Q3

ニシオHLDG(9699) Q3減益でも自己株買い、資金政策を明文化した理由

2026/09/04 公開2026/09/04 更新6分で読了対象決算:2026年9月期 第3四半期

本記事をお読みになる前に

本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。

生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。

ニシオホールディングス株式会社

東証プライム 9699 ・ 9月期決算

2026/09/04 時点

株価

4,710円

時価総額

1,337億円

配当利回り

2.80%

年間132円

PER

10.8倍

PBR

0.94倍

ROE

8.7%

ROA

4.1%

純利益ベース

自己資本比率

45.5%

配当性向

30.0%

有利子負債

643億円

D/Eレシオ

0.44倍

有利子負債÷自己資本

※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。

この記事の結論

  • 2026年9月期第3四半期累計(2025年10月〜2026年6月)は、売上高1,578億05百万円(前年同期比△3.2%)・営業利益133億32百万円(同△9.8%)・純利益81億79百万円(同△12.7%)と減収減益で着地した。会社は「大阪・関西万博関連特需の反動減」と「建設資材の高騰や作業員不足を背景とした新規工事着工の遅れ」を理由に挙げている。
  • 決算と同じ2026年8月3日、会社は資金政策の方針を初めて明文化し、上限600,000株(発行済株式の2.16%相当)・取得価額総額上限20億円の自己株式取得を決定した。減益の四半期に株主還元を選んだ背景には、Q3末の現金及び預金が674億70百万円(前期末比+52億66百万円)まで積み上がったことと、自己資本比率45.5%・D/Eレシオ0.44倍という財務水準がある。詳細は第4節で整理する。
  • 通期業績予想(2025年11月10日公表から修正なし)に対する進捗率は、純利益67.0%・経常利益68.0%・営業利益66.7%・売上高71.7%で、単純な75%の目安をいずれも下回っている。Q4での挽回が必要な水準である。
  • 配当は2022年9月期予想以降、5期連続で期初予想を期末にかけて上方修正してきた実績がある(例: 2025年9月期は128円→131円)。2026年9月期の予想132円はQ3決算時点でも据え置かれており、この実績を踏まえると期末にかけて上振れる可能性はあるが、決算短信からそれを確約する記載は無い。
目次11項目
  1. 1. 概要
  2. 2. 会社概要とビジネスモデル
  3. 3. 業績の推移
  4. 4. 資金政策の明文化と自己株買い ── 減益の期でも株主還元を選んだ理由
  5. 5. 配当の推移
  6. 6. 会社の現状と直近の動き
  7. 7. 業界とセクターの状況
  8. 8. 今後のスケジュール
  9. 9. 想定されるカタリスト
  10. 10. 想定されるリスク
  11. 11. まとめ:どう判断材料にするか

1. 概要

ニシオホールディングスは、2026年9月4日時点で株価4,710円、PER10.80倍(2025年9月期実績EPS436.17円ベース)・PBR0.94倍(同BPS4,989.57円ベース)、ROE8.74%・ROA4.07%(純利益ベース、いずれも2025年9月期実績)という水準にあります。予想配当利回りは2.80%で、これは会社が公表している2026年9月期の年間配当予想132円を株価で割った値です。なお自己資本比率だけは直近の第3四半期末(2026年6月30日)時点の45.5%を使っており、他の指標(ROEROAPERPBR等)が前期末(2025年9月期実績)ベースであるのとは時点が異なる点に注意してください。

2026年8月3日に発表された2026年9月期第3四半期累計(2025年10月〜2026年6月)決算は、売上高1,578億05百万円(前年同期比△3.2%)・純利益81億79百万円(同△12.7%)という減収減益でした。会社は「大阪・関西万博関連特需の反動減」と「建設資材の高騰や作業員不足を背景とした新規工事着工の遅れ」を理由に挙げています。

この記事の中心テーマは、この決算と同じ日に会社が発表したもう1つの適時開示です。会社は資金政策の考え方を初めて明文化したうえで、上限20億円の自己株式取得を決定しました。減益の四半期になぜ株主還元を選んだのか、その原資に財務面で無理がないかを、第4節で整理します。

2. 会社概要とビジネスモデル

ニシオホールディングスは、旧・西尾レントオールを中核とする建設機械・産業機械等の総合レンタル会社です。2023年4月に持株会社体制へ移行し、現在の社名になりました。事業セグメントは、道路・土木、建築・設備、イベント、海外(豪州・ベトナム)の4分野からなる「レンタル関連事業」と、海外製建機の輸入販売・建設工事用機械の製造・保険や不動産賃貸業を含む「その他」の2つです。2026年9月期第3四半期累計の売上高1,578億05百万円のうち、レンタル関連事業が1,562億57百万円(構成比99.0%)を占めており、事業のほぼ全体がレンタルという単一のビジネスモデルに集約されています。

同じ建設セクターに分類される高松コンストラクショングループ(1762)と対比すると、事業の構造は大きく異なります。高松コンストラクショングループは建築工事そのものを受注し、工事進行基準にもとづいて売上・利益を計上する総合工事業者です。これに対しニシオホールディングスは工事を受注するのではなく、建機・産業機械を貸し出す立場で、収益は保有するレンタル資産の稼働率とレンタル料に左右されます。会計上も、未成工事支出金のような工事進行基準特有の勘定科目は無く、代わりに保有資産の減価償却費が費用構造の中心を占めます。建設投資の総量に業績が連動するという点は共通していますが、利益とキャッシュ・フローが乖離する理由は両社で異なります(詳しくは第7節)。

強みと弱みの整理

強み

  • 工事進行基準特有の未収債権リスクを持たない資産効率型のビジネスモデル

    売上の99.0%(Q3累計)を占めるレンタル関連事業は、保有資産の稼働率とレンタル料で収益が決まります。総合工事業者のような未成工事支出金・完成工事未収入金の増減による利益とキャッシュ・フローの一時的な乖離は構造的に生じにくい業態です。

  • 資金政策を明文化したうえでの自己株式取得

    2026年8月3日、資金余剰が見込まれる場合は配当性向にとらわれず株主還元を検討するという方針を明文化し、上限600,000株(発行済株式の2.16%相当)・取得価額総額上限20億円の自己株式取得を同時に決定しました。Q3末の現金及び預金は674億70百万円(前期末比+52億66百万円)に積み上がっています。

  • 5期連続で期初配当予想を上方修正してきた実績

    2022年9月期予想98円→実績100円、2023年9月期予想100円→実績112円、2024年9月期予想113円→実績126円、2025年9月期予想128円→実績131円と、5期連続で期初予想を期末にかけて上方修正しています。ただし2026年9月期がこのパターンに続くかどうかは、決算短信からは確約されていません。

弱み

  • Q3累計は減収減益、通期進捗率も75%の目安を下回る

    売上高は前年同期比△3.2%、営業利益は同△9.8%、純利益は同△12.7%でした。通期予想に対する進捗率は純利益67.0%・経常利益68.0%・営業利益66.7%・売上高71.7%で、いずれも単純な4分の1×3(75%)を下回っており、Q4での挽回が必要です。

  • 「その他」セグメントの急減と、レンタル関連事業も減益

    その他セグメントはQ3累計で子会社売却・グループ内再編の影響により売上高が前年同期比75%減の15億48百万円まで落ち込みました。中核のレンタル関連事業もQ3累計の売上高は前年同期比99.5%とほぼ横ばいながら、セグメント利益は同91.4%と減益です。

  • 有利子負債の増加と自己資本比率の低下

    有利子負債(借入金ベース)はQ3末に642億71百万円で、前期末の565億85百万円から76億86百万円増加しました。自己資本比率は前期末の46.6%からQ3末は45.5%へ低下し、D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)は0.41倍から0.44倍へ上昇しています。

3. 業績の推移

売上高(左軸) 営業利益(右軸) 会社予想
0075,0005,000150,00010,000225,00015,000300,00020,0002021/092022/092023/092024/092025/092026/09単位:百万円
自己資本比率(%)30405046.6
数値で確認する
決算期売上高営業利益経常利益純利益自己資本比率
2021/09161,80013,70013,5008,830
2022/09170,60014,90014,3009,170
2023/09185,70016,30015,70010,300
2024/09199,00018,00017,40011,600
2025/09214,95419,60218,80012,10946.6%
2026/09会社予想220,00020,00019,00012,200
単位:百万円。出典:決算短信(2025年9月期実績・2026年9月期通期予想)、およびIR BANK集計による過年度実績(2021年9月期〜2024年9月期は億円単位に丸めた値)

読み取れることは3つあります。

売上・利益とも、2021年9月期から2025年9月期までは一貫して拡大してきた。 売上高は2021年9月期の1,618億円から2025年9月期の2,149億54百万円まで、5期で約1.33倍に拡大しました。この間、営業利益は137億円から196億02百万円へ、純利益は88億30百万円から121億09百万円へと、いずれも増加を続けています。

利益の伸びが売上の伸びを上回る年が多かった。 2024年9月期は営業利益が前期比+10.4%・純利益が同+12.6%と、増収率(+7.2%)を上回るペースで利益が拡大しました。2025年9月期も営業利益は前期比+8.9%・経常利益は同+8.0%で、増収率(+8.0%)とほぼ同水準か、それをやや上回る利益の伸びが続きました。

2026年9月期は、通期予想の段階で成長ペースの鈍化が織り込まれており、Q3累計の実績はそれをさらに下回っている。 会社は2026年9月期通期(据え置き)として売上高2,200億円(前期比+2.3%)・営業利益200億円(同+2.0%)・経常利益190億円(同+0.9%)・純利益122億円(同+0.7%)を計画しており、2025年9月期までの高い伸びに比べると鈍化を見込んでいます。実際のQ3累計は前年同期比マイナスで着地しており、通期計画の達成にはQ4での挽回が必要です。

4. 資金政策の明文化と自己株買い ── 減益の期でも株主還元を選んだ理由

2026年8月3日、ニシオホールディングスは決算発表と同じ日に、もう1つ重要な適時開示を出しました。「資金政策の方針変更に関するお知らせ」と「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」です。この2つがなぜ同じ日に、しかも減収減益の決算と同時に出たのかを整理します。

まず、資金政策の方針変更の中身です。 会社は取締役会(2026年8月3日開催)で、次の4項目からなる資金に関する考え方を明文化しました。

  1. 原則年1回、次期計画公表時に次期の資金需要見通しを決算短信等で明確化する
  2. 資金余剰が見込まれる場合は、配当性向にとらわれず自己株取得や増配等の株主還元を検討する
  3. 資金需要が旺盛な場合は、借入・エクイティ等から適切な調達策を検討する
  4. 大きな環境変化や大型投資機会が生じた場合は、期中でも見通しを変更・公表する

そのうえで会社は、同日公表の自己株式取得について「今後1年については現時点では資金の余剰が継続すると考え、株主還元を行うべきだと判断した」と説明しています。つまり、Q3累計の決算自体は減益でも、会社の判断基準は「単四半期の損益」ではなく「今後1年の資金の過不足」に置かれている、というのがこの2つの開示から読み取れる論理です。

この判断を財務データで裏付けられるかを見てみます。 Q3末の現金及び預金は674億70百万円で、前期末比+52億66百万円増えています。総資産は前期末比+208億61百万円増加していますが、その内訳は貸与資産(レンタル資産)+87億85百万円、現金及び預金+52億66百万円、土地+10億94百万円等で、現金も含めて資産全体が積み上がっている局面です。一方で負債合計も+151億48百万円増えており、その内訳は長期借入金+74億97百万円、リース債務(固定)+33億31百万円等です。

有利子負債(借入金ベース、リース債務を除く)はQ3末に642億71百万円で、前期末の565億85百万円から76億86百万円増加しました。自己資本比率は前期末の46.6%からQ3末は45.5%へ、D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)は0.41倍から0.44倍へと、財務レバレッジはやや上昇する方向に動いています。

ここに、この決算の判断の分かれ目があります。 自己資本比率の低下・有利子負債の増加という方向だけを見れば、「資金に余裕がある」という会社の説明とは逆方向に見えなくもありません。ただし、上限20億円の自己株式取得は、Q3末時点の現金及び預金674億70百万円や自己資本1,448億55百万円の規模に対して相対的に小さく、また負債の増加は主にレンタル資産への設備投資(貸与資産+87億85百万円)を賄うための長期借入金であり、自己株買いの原資とは性質が異なると考えられます。両者を同じ「資金需要」として一括りにはできない一方で、投資と株主還元を同時に進めていること自体が、財務規律の面でどこまで持続可能かは、次の四半期以降の自己資本比率・有利子負債の推移で確認する必要があります。

もう1つ、この判断を補強する材料が配当の実績です。 2022年9月期予想98円→実績100円、2023年9月期予想100円→実績112円、2024年9月期予想113円→実績126円、2025年9月期予想128円→実績131円と、5期連続で期初予想を期末にかけて上方修正してきました。保守的な期初予想を出し、期末にかけて実際の業績や資金余剰を確認しながら上積みするという会社の姿勢は、今回初めて明文化された「資金余剰が見込まれる場合は還元を検討する」という方針と整合的です。ただし、2026年9月期の予想配当132円はQ3決算時点でも据え置かれたままで、今期もこのパターンが繰り返されるかどうかは、通期決算(2026年11月予定)まで確認できません。

自己株式取得の概要は次のとおりです。取得上限は600,000株(発行済株式総数(自己株式を除く)に対し2.16%)、取得価額総額上限は20億円、取得期間は2026年8月4日〜11月30日で、証券会社への投資一任方式による市場買付です。取得理由は「機動的な資本政策の遂行および資本効率の向上を通じて株主利益の向上を図るため」とされています。

5. 配当の推移

決算期期初予想年間配当期初比配当性向
2020/0977円77円0円
2021/0980円85円+5円
2022/0998円100円+2円
2023/09100円112円+12円
2024/09113円126円+13円30.2%
2025/09128円131円+3円30.0%
2026/09会社予想132円132円30.0%
  • 2026/09:2025年11月10日公表の期初予想から、2026年8月3日の第3四半期決算時点まで修正なし。中間配当は0円で、期末のみの一括配当という実績が続いている。
1株当たり。「期初比」は期初予想に対する着地の差。 出典:決算短信「配当の状況」、およびIR BANK集計による過年度の実績

配当は2020年9月期の77円から2025年9月期の131円まで、長期的に増加してきました。この間、2022年9月期予想以降は5期連続で期初予想を期末にかけて上方修正しています(例: 2025年9月期は予想128円→実績131円)。

2026年9月期の予想配当は132円で、2025年11月10日の公表以来、2026年8月3日のQ3決算時点まで修正されていません。過去5期の実績を踏まえれば期末にかけて増額される可能性はありますが、決算短信にそれを確約する記載はなく、断定はできません。配当は期末のみの一括配当で、中間配当は0円という実績が続いています。

株価4,710円に対する予想利回り2.80%は、会社が明示的に開示した2026年9月期の年間配当予想132円にもとづく数値です。予想配当性向は132円÷EPS予想439.44円で約30.0%となり、2024年9月期実績(30.2%)・2025年9月期実績(30.0%)とほぼ同水準です。

6. 会社の現状と直近の動き

2026年9月期第3四半期累計の損益を、前年同期と比べます。

項目前Q3累計(2024年10月〜2025年6月)当Q3累計(2025年10月〜2026年6月)増減率
売上高1,631億01百万円1,578億05百万円△3.2%
営業利益147億78百万円133億32百万円△9.8%
経常利益141億82百万円129億22百万円△8.9%
親会社株主に帰属する四半期純利益93億72百万円81億79百万円△12.7%
EPS337.59円294.60円

出典:2026年9月期 第3四半期決算短信

セグメント別(外部顧客向け・Q3累計)は次のとおりです。

セグメント前Q3累計売上高前Q3累計利益当Q3累計売上高当Q3累計利益
レンタル関連事業1,570億48百万円141億00百万円1,562億57百万円(前年同期比99.5%)128億88百万円(同91.4%)
その他60億53百万円3億48百万円15億48百万円(同25.6%)75百万円(同21.7%)

出典:2026年9月期 第3四半期決算短信

その他セグメントの急減は、子会社売却・グループ内再編の影響によるものと決算短信に説明されています。中核のレンタル関連事業はQ3累計の売上高こそほぼ横ばい(前年同期比99.5%)ですが、セグメント利益は同91.4%と、稼働率または採算面で減益要因があったことがうかがえます。

会社は減収減益の背景として「大阪・関西万博関連特需の反動減」と「建設資材の高騰や作業員不足を背景とした新規工事着工の遅れ」を挙げています。一方で、夏場以降はデータセンターや物流倉庫等の新築工事が動き出しており、2026年9〜10月開催のアジア競技大会関連工事も本格化しているとしています。

通期業績予想(2026年9月期、2025年11月10日公表から修正なし)に対する進捗率は、売上高71.7%・営業利益66.7%・経常利益68.0%・純利益67.0%です。単純な4分の3(75%)という目安との比較では、いずれの項目も下回っており、Q4に相応の挽回が必要な水準です。ただし、イベント関連の需要が例年Q4(7〜9月)に偏る可能性や、前述のアジア競技大会関連工事の本格化など、季節性・一過性の要因も業績の着地に影響しうるため、この進捗率だけで通期の未達を断定することはできません。

7. 業界とセクターの状況

当サイトでは、同じ建設セクターに分類される総合工事業者の高松コンストラクショングループ(1762)をすでに扱っています。両社とも建設投資の総量に業績が連動するという点は共通していますが、会計上の性格は異なります。

高松コンストラクショングループは工事を受注し、工事進行基準にもとづいて売上・利益を計上する総合工事業者で、未成工事支出金や完成工事未収入金の増減によって利益とキャッシュ・フローが一時的に乖離しやすい構造を持ちます。これに対しニシオホールディングスは建機・産業機械を貸し出す立場で、収益はレンタル資産の稼働率とレンタル料に左右されます。会計上は、工事進行基準特有の勘定科目の代わりに、保有資産の減価償却費が費用構造の中心を占め、稼働率が低下すれば固定費(減価償却費)の負担が相対的に重くなるという別の構造的な特徴があります。同業にはカナモト(9678)などがあり、建機レンタル業界には複数のプレイヤーが存在しますが、本記事は同業他社との詳細な比較を目的としていません。

このセクターに構造的に決まっていることとして、次の2点が挙げられます。第一に、官公庁・民間の建設投資の総量に業績が連動する景気敏感な事業であり、個社の努力で需要そのものを作り出すことはできない。 ニシオホールディングスの場合、道路・土木、建築・設備に加えてイベント・海外(豪州・ベトナム)という複数の需要源を持つことで、国内建設投資の波を一定程度平準化する構造にはなっていますが、大阪・関西万博のような一過性の特需とその反動は、この分散だけでは完全には吸収しきれないことが、今回のQ3決算からも確認できます。第二に、レンタル資産の取得・維持には継続的な設備投資が必要で、減価償却費という固定費が利益の重石になりやすい。 稼働率が下がった局面では、この固定費負担が採算を圧迫します。ニシオホールディングスのQ3累計の決算では、売上がほぼ横ばいの中でセグメント利益がQ3累計で前年同期比91.4%まで落ち込んだレンタル関連事業に、この構造の一端が表れていると考えられます。

8. 今後のスケジュール

2026年11月中旬(予定)当サイト推定

2026年9月期 通期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年2月上旬(予定)当サイト推定

2027年9月期 第1四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年5月上旬(予定)当サイト推定

2027年9月期 第2四半期(中間) 決算発表

過去の発表時期からの推定

2027年8月上旬(予定)当サイト推定

2027年9月期 第3四半期 決算発表

過去の発表時期からの推定

決算発表日はいずれも過去の発表時期からの推定です。確定日は同社のIRサイトで確認してください。

9. 想定されるカタリスト

時期想定イベント蓋然性方向
2026年11月中旬(予定)2026年9月期 通期 決算発表両面

純利益の進捗率は67.0%にとどまる。Q4で計画(純利益122億円)に届くかどうかと、配当予想132円が過去5期の実績どおり上方修正されるかが焦点になる。

2026年8月4日〜11月30日自己株式取得の実施状況上振れ

上限600,000株・取得価額総額20億円の市場買付。証券会社への投資一任方式のため、実際の取得ペース・完了時期は月次の適時開示で確認できる。

2026年9〜10月アジア競技大会関連工事の本格化上振れ

決算短信は同大会関連工事が本格化しつつあると説明している。イベント関連セグメントおよび土木・建築セグメントの稼働率に一時的な押し上げが期待できる一方、大会終了後は反動が出やすい。

随時データセンター・物流倉庫等の新設着工動向両面

決算短信は夏場以降、データセンターや物流倉庫等の新築工事が動き出していると説明している。建設資材高騰・作業員不足による着工遅れが解消に向かうかどうかを示す先行指標になる。

10. 想定されるリスク

第2節の強みと同じ分量で、弱気材料を整理します。

通期進捗率が75%の目安を下回っているリスク。 Q3累計時点の進捗率は純利益67.0%・経常利益68.0%で、Q4だけで残りの計画達成には相応の挽回が必要です。会社が説明する「アジア競技大会関連工事の本格化」「データセンター・物流倉庫等の新設着工」が想定どおりに進まなければ、通期予想(純利益122億円)を下回る可能性があります。

自己株式取得と有利子負債の増加が同時に進んでいるリスク。 Q3末の有利子負債(借入金ベース)は642億71百万円で前期末比+76億86百万円、自己資本比率は46.6%から45.5%へ低下しました。レンタル資産への設備投資を借入で賄いながら、同時に上限20億円の自己株買いを実施することが、財務規律の面でどこまで持続可能かは、今後の自己資本比率・D/Eレシオの推移を見る必要があります。

その他セグメントの縮小と、レンタル関連事業自体の減益が続くリスク。 その他セグメントはQ3累計で子会社売却・グループ内再編の影響により売上高が前年同期比75%減となりました。中核のレンタル関連事業も売上高はほぼ横ばいながらQ3累計のセグメント利益は前年同期比91.4%と減益で、単なる一時的な要因にとどまらない可能性があります。

一過性のイベント特需への依存リスク。 大阪・関西万博関連特需の反動減が今回の減収減益の一因として挙げられており、2026年9〜10月開催予定のアジア競技大会関連工事についても、大会終了後には同様の反動が生じる可能性があります。

11. まとめ:どう判断材料にするか

2026年9月期第3四半期累計は、売上高1,578億05百万円(前年同期比△3.2%)・純利益81億79百万円(同△12.7%)という減収減益でした。通期予想に対する進捗率も67.0%(純利益)にとどまり、単純な75%の目安を下回っています。その一方で、決算と同じ日に会社は資金政策の方針を初めて明文化し、上限20億円の自己株式取得を決定しました。

判断の分かれ目は、この自己株式取得を「単四半期の損益が振るわなくても揺るがない、今後1年の資金余剰にもとづいた合理的な株主還元」と見るか、「有利子負債が増加し自己資本比率が低下する局面で、投資と還元を同時に進める無理のある判断」と見るかです。 前者を重視するなら、5期連続で期初配当予想を上方修正してきた会社の姿勢と整合的な、株主還元に前向きな経営判断と読めます。後者を重視するなら、Q3末の自己資本比率45.5%・D/Eレシオ0.44倍という財務レバレッジの上昇と、通期進捗率の低さを合わせて、慎重に評価すべき局面と読めます。次の通期決算(2026年11月中旬予定)では、Q4の業績挽回の有無、自己株式取得の実施状況、そして2026年9月期の配当が予想132円からさらに上方修正されるかどうかを確認できます。それが、この記事の見立てに対する答え合わせになります。

この記事の見立てが外れたと判断する条件

以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。

  • 2026年11月の通期決算で、純利益が会社予想122億円を大きく下回って着地した場合(Q3累計時点の進捗率は67.0%で、Q4だけで計画達成には残り33.0%=約40億21百万円の純利益を積む必要がある)。
  • 自己株式取得が2026年11月30日の期限までに上限(600,000株・取得価額総額20億円)に対して大きく未達で終わった場合、または2026年9月期の配当が予想132円を下回って着地した場合。「資金の余剰が継続する」という会社の説明が実態と合っていなかったことになる。
  • 自己資本比率がQ3末の45.5%からさらに低下し、前期末の46.6%との差が拡大する、あるいは有利子負債(借入金ベース)がQ3末の642億71百万円からさらに積み上がり、D/Eレシオが0.44倍を明確に上回って上昇し続けた場合。
  • 2025年11月10日公表の通期業績予想(売上高2,200億円・営業利益200億円・経常利益190億円・純利益122億円)が、通期決算発表前に下方修正された場合。

よくある質問

ニシオホールディングス(9699)の配当はいくらですか?
2026年9月期の会社予想配当は年132円(期末のみの一括配当で、中間配当は0円)です。100株保有の場合、税引前で13,200円になります。株価4,710円(2026年9月4日時点)に対する予想配当利回りは2.80%です。この予想は2025年11月10日の公表以来、2026年8月3日のQ3決算時点まで修正されていません。
なぜ減益の四半期に自己株式の取得を決めたのですか?
2026年8月3日、決算発表と同じ日に会社は資金政策の方針を初めて明文化し「今後1年については現時点では資金の余剰が継続すると考え、株主還元を行うべきだと判断した」と説明しました。Q3累計は減収減益でしたが、現金及び預金はQ3末に674億70百万円(前期末比+52億66百万円)まで積み上がっており、この資金余剰を根拠に上限20億円の自己株式取得を決定しています。詳しくは本文第4節で整理しています。
自己資本比率が45.5%に下がったのはなぜですか?
Q3末の有利子負債(借入金ベース)は642億71百万円で、前期末の565億85百万円から76億86百万円増加しました。レンタル用の資産(貸与資産)純額も前期末比+87億85百万円増えており、負債の増加ペースが純資産の増加ペースを上回ったため、自己資本比率は前期末の46.6%からQ3末は45.5%へ低下しました。設備投資(レンタル資産の積み増し)が主因とみられますが、内訳の詳細までは短信の主要数値だけでは特定できません。

参考文献・引用元

  1. 01
    ニシオホールディングス「2026年9月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」

    連結経営成績(累計)、連結財政状態、配当の状況、2026年9月期通期業績予想、経営成績の概況(定性コメント)、財政状態の概況(貸借対照表の増減要因)、セグメント情報、借入金の内訳を参照。 / 2026/08/03 開示

  2. 02
    ニシオホールディングス「資金政策の方針変更に関するお知らせ」

    資金政策の考え方の見直し(4項目)と、自己株式取得を決定した理由(「今後1年については現時点では資金の余剰が継続すると考え、株主還元を行うべきだと判断した」)を参照。 / 2026/08/03 開示

  3. 03
    ニシオホールディングス「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」

    取得株式数の上限(600,000株、発行済株式総数(自己株式を除く)に対し2.16%)、取得価額総額の上限(20億円)、取得期間(2026年8月4日〜11月30日)、取得方法(市場買付・投資一任方式)を参照。 / 2026/08/03 開示

  4. 04
    IR BANK「ニシオホールディングス(9699) 決算まとめ」

    通期業績(売上高・営業利益・経常利益・純利益・EPS・ROE・ROA)の推移を、有価証券報告書・決算短信を集計した二次情報として参照した(2026年9月4日時点の表示)。2021年9月期〜2024年9月期の値は同サイトの表示値(億円単位に丸めた値)にもとづく。ROAは純利益÷総資産ベース。 / 2026/09/04 開示

  5. 05
    IR BANK「ニシオホールディングス(9699) 配当金の推移」

    一株配当の期初予想・修正・実績の履歴、配当性向を、二次情報として参照した(2026年9月4日時点の表示)。 / 2026/09/04 開示

  6. 06
    Kabutan「ニシオホールディングス(9699)」株価情報

    2026年9月4日15:30時点の終値4,710円、PER10.6倍、PBR0.90倍、予想配当利回り2.80%、時価総額1,337億円、発行済株式数28,391,464株を参照。本記事の metrics はこれらのスクリーニング目的の表示値ではなく、決算短信の会社開示値をもとに独自に算出している(詳細は本文参照)。 / 2026/09/04 開示