高松コンストラクショングループ(1762) 純利益3.1倍もQ1はCF未作成、自己資本比率50.0%に反発
本記事をお読みになる前に
本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載内容は有価証券報告書等の公開情報にもとづく分析ですが、正確性・完全性を保証するものではなく、将来の株価や業績を約束するものでもありません。投資判断は必ずご自身で情報を確認し、責任をもって行ってください。本記事はあくまで参考情報としてご利用ください。
生成AI利用本記事は、決算短信・有価証券報告書などの一次情報をもとに、生成AIを用いて作成・編集しています。掲載する数値は一次情報との照合を行っていますが、誤りが含まれる可能性を排除できません。重要な数値は必ず出典元の原典でご確認ください。
株式会社高松コンストラクショングループ
2026/08/19 時点
株価
3,735円
時価総額
1,339億円
配当利回り
3.86%
年間144円
PER
11.4倍
PBR
0.89倍
ROE
8.0%
ROA
6.0%
経常利益ベース
自己資本比率
50.0%
配当性向
39.6%
有利子負債
333億円
D/Eレシオ
0.23倍
有利子負債÷自己資本
※ 指標は記事執筆時点のスナップショットです。最新の数値はご自身で証券会社等の情報をご確認ください。
この記事の結論
- 2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は、売上高884億49百万円(前年同期比+11.8%)・純利益32億92百万円(同+309.4%)と大幅増益で着地した。通期計画(純利益125億円)に対する進捗率は26.3%で、単純な4分の1(25%)を上回っている。
- 前号記事で論点にした「営業キャッシュ・フローの悪化」は、この第1四半期については四半期連結キャッシュ・フロー計算書自体が作成されていないため、数値で直接検証できない。貸借対照表からは、短期借入金が187億20百万円減る一方で受取手形・完成工事未収入金等が327億71百万円減っており、売掛債権の回収を借入圧縮に充てたと解釈できる動きが見えるが、これは営業キャッシュ・フローそのものの証拠ではない。
- 自己資本比率は前期末の46.7%からQ1末は50.0%へ3.3ポイント改善し、有利子負債は520億円から332億80百万円へ減少、有利子負債の自己資本に対する比率(D/Eレシオ)も0.354倍から0.226倍へ下がった。ただし1四半期だけの動きであり、傾向が定着したと判断するのは時期尚早である。
- 一方で、連結受注高は前年同期比△6.1%(うち建築事業は△11.0%)と減少しており、売上・利益の伸びは主に手持ち工事残高の消化(完成工事高の計上)によるところが大きい。先行指標である受注高の鈍化は、今後の増収ペースに影を落とす可能性がある新しい論点である。
目次11項目
1. 概要
高松コンストラクショングループは、2026年8月19日時点で株価3,735円、PER11.38倍(2026年3月期実績EPS328.18円ベース)・PBR0.89倍(同BPS4,218.07円ベース)、ROE8.0%・ROA6.0%(経常利益ベース、いずれも2026年3月期実績)という水準にあります。予想配当利回りは3.86%で、これは会社が公表している2027年3月期の年間配当予想144円を株価で割った値です。なお、自己資本比率だけは直近の第1四半期末(2026年6月30日)時点の50.0%を使っており、他の指標(ROE・ROA・PER・PBR等)が前期末(2026年3月期実績)ベースであるのとは時点が異なる点に注意してください。
2026年8月5日に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)決算は、売上高884億49百万円(前年同期比+11.8%)・純利益32億92百万円(同+309.4%)という大幅増益になりました。
前号記事(2026年3月期通期決算を扱った記事)では、純利益が前期比+77.1%という大幅増益だった一方で営業キャッシュ・フローが-168億89百万円に悪化したことを論点にしました。同時に自己資本比率も低下しており、前期末の水準は51.1%、当期末の水準は46.7%でした。今回のQ1でこの流れがどう変わったのかを確認するのが、この記事の中心テーマです。ただし結論を先に言うと、Q1では四半期連結キャッシュ・フロー計算書そのものが作成されておらず、営業キャッシュ・フローの実数による直接の答え合わせはできません。 貸借対照表から読み取れる範囲の材料を整理するのが§4の内容です。
2. 会社概要とビジネスモデル
高松コンストラクショングループは、中核子会社の高松建設を中心とする建設持株会社です。グループとして建築(オフィスビル・商業施設・医療福祉教育施設・集合住宅など)・土木(陸上/海洋/環境)・不動産(賃貸マンション等の土地活用、総合ビル管理)を手がけ、中核の高松建設は企画・設計から施工・維持管理までを一貫して担う総合建設業です。
建設業は受注生産・工事進行基準にもとづく会計が特徴で、着工から竣工・引き渡しまでのタイムラグがあるぶん、単年度・単四半期の決算だけでは実態をつかみにくい業種です。この特性は、後述する§4・§7の論点と直結します。
強みと弱みの整理
強み
Q1は3セグメントすべてで増益
2027年3月期第1四半期の営業利益は54億61百万円(前年同期比+173.4%)、純利益は32億92百万円(同+309.4%)でした。建築(セグメント利益+83.1%)・土木(同+151.4%)・不動産(同+142.5%)のいずれもセグメント利益が拡大しており、特定事業への偏りではありません。
自己資本比率がQ1末に50.0%へ改善し、有利子負債を圧縮
短期借入金は前期末の470億円からQ1末は282億80百万円へ187億20百万円減少しました。有利子負債(社債+短期借入金)は520億円から332億80百万円へ減り、有利子負債の自己資本に対する比率(D/Eレシオ)は0.354倍から0.226倍へ下がっています。
配当予想は据え置き、配分は均等化
2027年3月期の年間配当予想144円は、2026年5月13日の公表から2026年8月5日のQ1決算まで修正されていません。前期は中間45円・期末85円という期末偏重の配分でしたが、今期は中間72円・期末72円の均等配分を予定しています。
弱み
四半期連結キャッシュ・フロー計算書が作成されておらず、増益の現金裏付けを直接検証できない
決算短信には「当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」と明記されています。多くの企業がQ1では四半期CF計算書を省略する一般的な実務であり、この会社固有の異常ではありませんが、前号で指摘した営業キャッシュ・フロー悪化への答え合わせは、この決算では数値として確認できません。
連結受注高が前年同期比△6.1%、主力の建築事業は△11.0%
売上・利益の伸びは主に手持ち工事残高の消化(完成工事高の計上)によるところが大きく、新規受注そのものは減少しています。先行指標である受注高の鈍化が続けば、将来の増収ペースに影響する可能性があります。
マンション市況・建設投資に連動する景気敏感な事業構造
売上の主軸は建築請負工事で、マンション市況や非住宅の建設投資動向に業績が左右されます。資材価格・労務費の上昇局面では、価格転嫁が遅れれば採算が圧迫されます。
3. 業績の推移
数値で確認する
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 営業CF | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019/03 | 249,700 | 12,400 | 12,400 | 7,020 | — | — |
| 2020/03 | 282,400 | 14,700 | 14,400 | 8,700 | — | — |
| 2021/03 | 283,100 | 12,200 | 12,100 | 7,470 | — | — |
| 2022/03 | 263,900 | 11,200 | 11,500 | 6,730 | — | — |
| 2023/03 | 282,500 | 12,000 | 11,800 | 7,530 | — | — |
| 2024/03 | 312,700 | 11,700 | 11,300 | 9,170 | — | — |
| 2025/03 | 346,685 | 11,460 | 10,619 | 6,452 | 5,132 | 51.1% |
| 2026/03 | 357,675 | 17,897 | 17,512 | 11,426 | -16,889 | 46.7% |
| 2027/03会社予想 | 400,000 | 20,000 | 19,500 | 12,500 | — | — |
読み取れることは3つあります。
売上は一本調子ではなく、波を伴いながら拡大してきた。 2019年3月期の2,497億円から2026年3月期の3,577億円まで拡大していますが、2021年3月期の2,831億円から2022年3月期の2,639億円にかけては一時的に落ち込んでいます。その後2023年3月期に2,825億円まで戻し、2024年3月期以降は3,000億円台へ乗せています。
利益は2026年3月期に急拡大した。 営業利益は2025年3月期の114億60百万円から2026年3月期は178億97百万円へ、経常利益は106億19百万円から175億12百万円へ、純利益は64億52百万円から114億26百万円へと、いずれも大きく伸びています。増収率+3.2%に対して利益の伸びが際立って大きいのは、採算改善(原価率の低下や案件構成の変化など)が働いたことを示唆しますが、その内訳までは短信の主要数値だけでは特定できません。
利益の急拡大とキャッシュ・フローが逆方向に動いた期があった。 営業キャッシュ・フローは2025年3月期の+51億32百万円から、2026年3月期は-168億89百万円へ転落しました。この逆行が2027年3月期にどうなるかが、次節で扱う論点です。
4. 前号の論点への答え合わせ ── 営業CFは検証できないが、BSからは何が読み取れるか
前号記事では「純利益+77.1%の大幅増益なのに営業キャッシュ・フローは-168億89百万円へ悪化し、自己資本比率も51.1%から46.7%へ低下した」ことを論点にし、この第1四半期でその流れが変わるかを確認する、としていました。結論から言うと、この決算では営業キャッシュ・フローの実数による直接の答え合わせができません。
決算短信8ページの「(キャッシュ・フロー計算書に関する注記)」には、次のように明記されています。
「当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません。」
これは多くの企業がQ1決算では採用している一般的な実務であり、この会社に固有の異常事態ではありません。ただし結果として、前号で指摘した営業キャッシュ・フローの悪化が改善に向かっているかどうかを、数値で直接確認することはこの決算ではできません。
代わりに、貸借対照表の増減から間接的に読み取れる材料を整理します。
| 項目 | 前期末(2026/3末) | Q1末(2026/6末) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 3,147億34百万円 | 2,945億04百万円 | -202億30百万円 |
| 純資産 | 1,469億26百万円 | 1,473億23百万円 | +3億96百万円 |
| 自己資本比率 | 46.7% | 50.0% | +3.3pt |
| 短期借入金 | 470億円 | 282億80百万円 | -187億20百万円 |
| 有利子負債(社債+短期借入金) | 520億円 | 332億80百万円 | -187億20百万円 |
| D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本) | 0.354倍 | 0.226倍 | -0.128 |
| 受取手形・完成工事未収入金等 | ─ | ─ | -327億71百万円 |
出典:2027年3月期 第1四半期決算短信「財政状態の概況」
短期借入金が187億20百万円減る一方で、受取手形・完成工事未収入金等(売掛債権)が327億71百万円減少しています。 売掛債権の回収が進み、それを原資に借入を圧縮した、という流れ自体は、前期に運転資本が膨らんでキャッシュ・フローがマイナスに振れた動きとは逆方向のシグナルです。この点は前号の懸念に対してポジティブな材料といえます。
ただし、これはあくまで「増加していた運転資本の一部が減った」ことの間接的な証拠であって、営業キャッシュ・フローそのものの数値ではありません。 売掛債権の回収が実際にどれだけ現金の増加に結びついたか、他の勘定科目(未成工事支出金や工事未払金など)の動きと相殺してネットでどうだったかは、四半期CF計算書が無い以上、この資料からは特定できません。過度に「キャッシュ・フローが改善した」と断定するのは避けるべきです。
自己資本比率は46.7%からQ1末は50.0%へ3.3ポイント改善しました。前号で指摘した「51.1%→46.7%の低下」に対する反転の兆しではありますが、1四半期だけの動きで傾向が定着したと判断するのは時期尚早です。
一方で、この決算では新しい論点も出てきました。連結受注高が前年同期比△6.1%(106,995百万円)、うち主力の建築事業は△11.0%(61,657百万円)と減少しています。 売上高・利益が伸びているのは主に完成工事高(過去に受注した工事の消化)によるものであり、先行指標である受注高そのものは鈍化しています。これは、今後の増収ペースに影を落とす可能性がある材料です。
なお、配当予想の構成が前期の期末偏重(中間45円・期末85円)から今期は均等(中間72円・期末72円)に変わっている点も、決算短信から確認できる事実です。深読みは避けますが、株主還元のタイミングに関する会社の考え方が変わった可能性がある変化として記録しておきます。
まとめると、この第1四半期の決算は「前号の懸念(営業キャッシュ・フローの悪化)を数値で払拭する決算」ではありません。BSからは改善的な材料(自己資本比率の反発、借入圧縮、売掛債権の回収)が読み取れる一方で、新しい懸念材料(受注高の減少)も出てきました。営業キャッシュ・フローの実数を確認できるのは、四半期連結CF計算書が作成される見込みの2026年11月の中間決算です。 それまでは、この記事の見立ても「部分的な答え合わせ」にとどまります。
5. 配当の推移
| 決算期 | 期初予想 | 年間配当 | 期初比 | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|
| 2010/03 | — | 23円 | — | — |
| 2019/03 | — | 60円 | — | — |
| 2024/03 | — | 82円 | — | — |
| 2025/03 | — | 82円 | — | 44.2% |
| 2026/03 | 90円 | 130円 | +40円 | 39.6% |
| 2027/03会社予想 | 144円 | 144円 | — | 40.1% |
- 2010/03:長期的な配当推移を示す参考値(IR BANK集計)。
- 2025/03:中間41円・期末41円。純資産配当率2.1%。
- 2026/03:中間45円・期末85円。当初予想90円から期末にかけて40円増額。純資産配当率3.2%。
- 2027/03:中間72円・期末72円の予想。2026年8月5日発表の第1四半期決算時点でも修正なし。前期の期末偏重(45円/85円)から均等配分に変わった。
配当は長期的に増加してきました。2010年3月期の23円から2019年3月期の60円、2024年3月期の82円を経て、2026年3月期は130円まで積み上がっています。
2026年3月期は当初予想90円に対し、期末までに130円へ40円増額されました。これに対して2027年3月期の予想144円は、2026年5月13日の公表以来、2026年8月5日のQ1決算時点まで修正されていません。中間72円・期末72円という均等配分は、前期の「中間45円・期末85円」という期末偏重の配分から変化した点として押さえておく価値があります。
株価3,735円に対する予想利回りは3.86%です。これは会社が明示的に開示した2027年3月期の年間配当予想144円にもとづく数値です。
過去の実績を踏まえると、2026年3月期のように期中で増額修正される可能性はありますが、それは第4節で触れた運転資本・キャッシュ・フローの状況が実際にどう推移するかとも無関係ではないと考えられます。
6. 会社の現状と直近の動き
2027年3月期第1四半期の損益計算書を、前年同期と比べます。
| 項目 | 前Q1(2025年4〜6月) | 当Q1(2026年4〜6月) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 完成工事高 | 609億60百万円 | 650億38百万円 | +6.7% |
| 不動産事業売上高 | 181億20百万円 | 234億10百万円 | +29.2% |
| 売上高合計 | 790億81百万円 | 884億49百万円 | +11.8% |
| 売上原価合計 | 680億49百万円 | 735億37百万円 | +8.1% |
| 売上総利益合計 | 110億32百万円 | 149億12百万円 | +35.2% |
| 販管費 | 90億34百万円 | 94億50百万円 | +4.6% |
| 営業利益 | 19億97百万円 | 54億61百万円 | +173.4% |
| 経常利益 | 18億66百万円 | 53億20百万円 | +185.0% |
| 親会社株主帰属四半期純利益 | 8億04百万円 | 32億92百万円 | +309.4% |
出典:2027年3月期 第1四半期決算短信
第1四半期の1株当たり四半期純利益(EPS)は94.56円で、前年同期の23.10円から大きく伸びています。減価償却費はのれん償却(42百万円)を含めて5億34百万円で、前年同期の5億01百万円とほぼ同水準であり、増益の主因が設備投資の急拡大によるものではないことがうかがえます。
セグメント別(外部顧客向け・第1四半期累計)は次のとおりです。
| セグメント | 受注高 | 完成工事高等 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|
| 建築事業 | 616億57百万円(前年同期比△11.0%) | 407億50百万円(同+4.7%) | 33億36百万円(同+83.1%) |
| 土木事業 | 249億66百万円(同+7.1%) | 242億88百万円(同+10.2%) | 15億15百万円(同+151.4%) |
| 不動産事業 | 203億71百万円(同△4.6%) | 234億10百万円(同+29.2%) | 24億47百万円(同+142.5%) |
出典:2027年3月期 第1四半期決算短信
連結受注高の合計は1,069億95百万円(前年同期比△6.1%)です。建築事業の受注減少(△11.0%)が目立つ一方、完成工事高(売上)は建築+4.7%、土木+10.2%、不動産(売上高ベース)+29.2%と、いずれも伸びています。受注と売上が逆方向に動いているのは、手持ち工事残高の消化が進んでいることを示しています。
通期業績予想(2027年3月期、2026年5月13日公表から変更なし)に対する進捗率は、売上高22.1%・営業利益27.3%・経常利益27.3%・純利益26.3%です。単純な4分の1(25%)という目安との比較では、利益面は上回り、売上高はやや下回っています。ただし建設業は工事の竣工時期に決算が左右されやすく、この進捗率だけで通期の着地を見通すことはできません。
7. 業界とセクターの状況
当サイトでは、電気機器・建設資材セクターの未来工業(7931)と愛知時計電機(7723)をすでに扱っています。いずれも建設・インフラに関連する需要を持つという点で本銘柄と比較材料になりますが、需要の性格は三社三様です。
| 高松コンストラクショングループ(1762) | 未来工業(7931) | 愛知時計電機(7723) | |
|---|---|---|---|
| セクター | 建設業 | 電気機器・建設資材 | 電気機器・建設資材 |
| 需要の性格 | 建築工事そのものの受注(マンション・非住宅建築) | 非住宅建設・改修需要(建物に組み込まれる部材) | 計量法にもとづく法定取替需要・インフラ更新 |
| 会計上の特徴 | 工事進行基準(未成工事支出金等が利益とCFを乖離させやすい) | 一般的な製造業の会計 | 一般的な製造業の会計 |
| 自己資本比率(直近開示) | 50.0%(2027年3月期Q1末) | 80.7% | 74.8% |
| 予想配当利回り(会社予想ベース) | 3.86% | 3.09% | 3.91% |
この3社を並べると、「建設投資に連動する」という当初の切り口は、1762と7931には比較的よく当てはまる一方、7723にはやや当てはまりが弱いことが分かります。 高松コンストラクショングループは建築工事そのものを請け負う総合工事業者で、非住宅・住宅の建設投資の増減を直接受け止める立場です。未来工業は建物に組み込まれる電材・管材のメーカーで、建設投資に連動しますが、間に卸売業者を挟む間接的な関係です。これに対し愛知時計電機の水道メーターは、計量法という法制度にもとづく強制的な取替需要が中心で、新設の建設投資が増えなくても需要が発生し続けます。
建設業というセクターに固有の制約は、この記事で繰り返し触れた工事進行基準による利益とキャッシュ・フローの乖離、そして個別案件ごとの競争入札にさらされやすく、資材・労務費の上昇分を価格に転嫁できるかどうかが採算を左右するという2点です。また、四半期ごとの決算開示の粒度が製造業に比べて粗く(Q1では四半期CF計算書自体が作成されないなど)、四半期単位での実態把握が難しいという点も、この業種を評価するうえでの構造的な制約といえます。高松コンストラクショングループは企画・設計から施工まで一貫して担う体制を持ちますが、自己資本比率はQ1末で50.0%まで改善したとはいえ、自己資本比率70〜80%台の電気機器・建設資材の2社と比べると、財務の安定性ではまだ見劣りします。この差は、個社の経営努力だけでなく、総合工事業という業態自体の構造(受注生産・工事進行基準・入札競争)に起因する部分が大きいと考えられます。
8. 今後のスケジュール
2027年3月期 第2四半期(中間) 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年3月期 第3四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2027年3月期 通期 決算発表
過去の発表時期からの推定
2028年3月期 第1四半期 決算発表
過去の発表時期からの推定
決算発表日はいずれも過去の発表時期からの推定です。確定日は同社のIRサイトで確認してください。
9. 想定されるカタリスト
中間決算では通常、四半期連結キャッシュ・フロー計算書が作成される。上半期の営業キャッシュ・フローの実数を初めて確認できる機会になり、前期通期の-168億89百万円からの改善が実際に進んでいるかが判明する。
第1四半期は連結受注高が前年同期比△6.1%、建築事業が△11.0%だった。この減少が一時的な発注時期のブレか、傾向的な鈍化かを判別する材料になる。
主力の建築請負工事の受注環境を左右する。地価・資材価格の高止まりはデベロッパー側の新規着工判断に影響し、通期の受注高予想450,000百万円(+3.2%)の達成度を測る材料になる。
第1四半期は売上総利益率が改善し増益に寄与した。資材・労務費が再び上昇局面に入れば、この採算改善が続くかどうかに影響する。
10. 想定されるリスク
第2節の強みと同じ分量で、弱気材料を整理します。
営業キャッシュ・フローが未検証のままであるリスク。 第4節で触れたとおり、この第1四半期には四半期連結CF計算書が作成されておらず、前期の-168億89百万円という悪化が実際に改善しているかどうかは、次の中間決算まで確認できません。仮に中間決算で再び大幅なマイナスが確認されれば、Q1のBSから読み取れた材料は改善の兆しではなかったことになります。
受注高の減少が続くリスク。 連結受注高は前年同期比△6.1%、主力の建築事業は△11.0%と減少しました。売上・利益の伸びは手持ち工事残高の消化に支えられており、受注減少が続けば、いずれ完成工事高の伸びにも影響が及ぶ可能性があります。
自己資本比率の改善が一時的にとどまるリスク。 46.7%から50.0%への改善は1四半期分のデータにすぎません。運転資本が再び膨張すれば、有利子負債への依存が再び強まる可能性があります。
建設市況・マンション市況の反転リスク。 主力の建築請負工事は、マンション市況や非住宅の建設投資動向に連動します。地価や資材価格の高止まりが続けば、デベロッパー側の新規着工判断が慎重になり、受注環境がさらに悪化する可能性があります。
11. まとめ:どう判断材料にするか
2027年3月期第1四半期は、売上高884億49百万円(前年同期比+11.8%)・純利益32億92百万円(同+309.4%)という大幅増益で着地しました。自己資本比率も46.7%からQ1末は50.0%へ改善し、有利子負債・D/Eレシオも縮小しています。前号で指摘した財務面の懸念に対して、少なくとも表面上は改善的な材料が並んでいます。
一方で、この改善を裏付けるはずの営業キャッシュ・フローの実数は、四半期CF計算書が作成されていないため確認できません。また、連結受注高が前年同期比△6.1%と減少しているという、前号では触れていなかった新しい懸念材料も出てきました。
判断の分かれ目は、Q1のBSから読み取れた財務面の改善シグナル(自己資本比率の反発・借入圧縮)と、新たに出てきた受注高の鈍化という2つの材料のどちらを重く見るかです。 前者を重視するなら、前期に指摘した財務面の懸念は和らぎつつある局面と読めます。後者を重視するなら、増益の裏で成長ペースそのものが鈍る予兆に注意を払うべき局面です。次の中間決算(2026年11月上旬予定)では四半期連結CF計算書が作成される見込みで、営業キャッシュ・フローの実数と、受注高の減少傾向が続くかどうかの両方を確認できます。それが、この記事の見立てに対する本格的な答え合わせになります。
この記事の見立てが外れたと判断する条件
以下のいずれかが起きた場合、本記事の整理は前提から崩れます。買うかどうかを判断する際は、 強気材料と同じだけこちらも見てください。
- 2026年11月発表の中間決算で、上半期の営業キャッシュ・フローが前期通期(-168億89百万円)に匹敵する規模の大幅マイナスで着地した場合。第1四半期のBSから読み取れた「借入圧縮・債権回収」という間接的なシグナルが、実際のキャッシュ・フロー改善を意味していなかったことになる。
- 自己資本比率がQ1末の50.0%から再び低下し、前期末の46.7%を下回るなど反転した場合。財務健全性の改善が一時的だったことを示す。
- 連結受注高の減少が続き、通期受注高予想450,000百万円(前期比+3.2%)を大きく下回る、あるいは建築事業の受注減少(△11.0%)がさらに拡大した場合。手持ち工事残高の消化に依存した増収がいずれ息切れすることを意味する。
- 通期業績予想(売上高400,000百万円・営業利益20,000百万円・純利益12,500百万円)に対し、中間期時点の累計進捗が単純な50%を大きく下回るなど下振れが明確になった場合。
- 2027年3月期の配当が予想144円を下回って着地した場合。2010年3月期以降続いてきた増配トレンドが途切れたことになる。
参考文献・引用元
- 01高松コンストラクショングループ「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
連結経営成績(累計)、連結財政状態、財政状態の概況(貸借対照表の増減要因)、キャッシュ・フロー計算書に関する注記(8ページ「当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」)、配当の状況、セグメント情報、四半期連結損益計算書の明細を参照。 / 2026/08/05 開示
- 02IR BANK「高松コンストラクショングループ(1762) 決算まとめ/配当金の推移」
通期業績・財政状態・キャッシュ・フローの各推移(/results)、配当の期初予想・修正・実績の履歴(/dividend)を、有価証券報告書・決算短信を集計した二次情報として参照した(2026年8月19日時点の表示)。過年度の数値は同サイトの表示値(億円単位に丸めた値)にもとづく。